主題歌
- オープニングテーマ:地球戦隊ファイブマン
- エンディングテーマ:ファイブマン、愛のテーマ(最終回のみ2番)
- 挿入歌:五つの心でファイブロボ
OPは、「1、2、3、4、5、ファイブマン〜♪」とか、マイブラザー、マイシスターとか、兄弟であることなどを非常に強調しているほかはこれといった特徴がないが、EDはかなりの名曲だと思っている。
クサい歌詞ではあるが、「もしも命と引き替えに君の未来が叶うなら、何も何も惜しくはない」とか「君の綺麗な微笑みは君を未来で待っている愛の答えなんだ」などという、保護すべき対象をはっきりと意識した歌詞は、生徒という保護すべき対象をしっかり持っているはずの先生という職業にピッタリだからだ。
もっとそういう部分を本編に絡められれば良かったと思う。
EDの画面では、文矢とレミの高校入学や、学達の小学校での写真などにアーサーがしっかり写っていたりして、本当にアーサーが親代わりだったことを実感させてくれる。
基本ストーリー
地球人星川博士は、銀河の多くの星が次々と滅んでいくことを発見し、家族を連れて宇宙へ旅立ち、荒廃したシドン星に緑を蘇らせることに成功した。
だが、銀帝軍ゾーンが現れ、シドン星を再び死の星にしようとする。
銀帝軍ゾーンは、1000個の星を滅ぼしている最中であり、一度滅ぼしたシドン星に緑が復活したことを知って再び滅ぼすためにやってきたのだ。
星川博士は、宇宙基地マグマベースで5人の子供とサポートロボットアーサーG6を地球に脱出させた。
それから20年後、地球を1000個目の星にするべくゾーンの魔の手が伸びてきた。
その前に立ちふさがる5人の戦士。
彼らこそ、シドン星から脱出した星川博士の子供達の成長した姿だった。
星川兄弟の勤めるニュータウン小学校はゾーンに破壊され、愛する生徒達を手放した兄弟は、ファイブマンとしてゾーンに戦いを挑む。
こうして、ファイブマンとゾーンの戦いが始まった。
メンバー
ファイブレッド:星川 学(がく)
理科の先生で、額のマークは原子、ゴーグルにラインはなく、胸のVの字も分割されていない。
星川兄弟の長男で第一子。
地球に帰った後、弟妹達の面倒を見ながら成長したため、言動が保護者的になっている。
シドン星から持ち帰ったシドンの花を大切に育てており、生徒にも株分けしていたが、最終回でこれが最後の希望となる。
特技は剣道で個人武装はVソード。
ファイブブルー:星川 健(けん)
体育の先生で、額のマークは抽象化したスポーツマン、ゴーグルのラインは1本で胸のVの字は2分割。
兄弟の次男で第二子。
特技は体操全般で個人武器はツインアレイ。
武器に頼るよりは肉体を駆使して戦うべきという信念を持っており、37話『人間大砲』では、スーパーファイブロボのジェットナックル発射機構を利用し、ファイブテクターを装着した自分を弾丸として発射し、巨大闘士を倒している。
ファイブブラック:星川文矢(ふみや)
国語の先生で、額のマークは囗(くにがまえ)の中に「語」の字、ゴーグルのラインは2本で胸のVの字は3分割。
兄弟の三男で、レミとは二卵性双生児の末っ子。
シドン星を脱出したときはまだ赤ん坊であり、両親の顔を知らないのがコンプレックスになっている。
特技は空手で個人武器はパワーカッター。
ファイブピンク:星川数美(かずみ)
算数の先生で、額のマークは“+×÷”を重ねたもの、ゴーグルのラインは3本で胸のVの字は4分割。
兄弟の長女で第三子。
主に家事全般を担当していたのは数美だったようで、母親代わりを勤める場面もあったようだ。
特技はフェンシングで個人武器はキューティーサークル。
ファイブイエロー:星川レミ
音楽の先生で、額のマークは8分音符、ゴーグルのラインは4本で胸のVの字は5分割。
文矢とは二卵性双生児だが、どちらが先に生まれたのかは不明。
特技は拳法系で、酔拳が得意。
個人武器はメロディータクト。
星川博士
宇宙の星々が次々と死滅していくことを発見し、超光速宇宙船マグマベースを自力開発してそれらの星を救いに行った天才科学者。
シドン星の生き残りイーヤとトーヤを発見し、一緒に植物を復活させたばかりのところにゾーンの襲撃を受け、子供達をアーサーに託して脱出させた。
平和目的のくせに、既にアースカノンやファイブロボといった戦闘兵器は開発済みだったわけで、邪魔する奴とは戦う気満々だったのかもしれない。
ゾーンに妻と共に捕らわれて奴隷として売られたが、なんとか脱走したらしい。
ゾーンの目的やメドーの弱点を探るため、20年近くも研究を続けていた。
そのための移動手段及び戦闘兵器として作ったスターファイブをグンサーに奪われ、それでも希望を捨てずに研究を続けていためげない人。
どう考えても文矢とレミはシドン星に来てから作った子供であり、そういう意味でもバイタリティ溢れる人と言えよう。
アーサーG6
星川博士がアシスタント&育児&家事用に作ったロボット。
幼い学達を託されて地球に帰った後は、5人の親代わりとして頑張っていた。
実は強力な破壊兵器でもあり、変形して必殺武器アースカノンになる。
グンサー
自称:宇宙の暴れウルフ。
要するにチンピラであり、強くなりたい一心で無茶をやっていて瀕死の重傷を負い、星川夫妻に介抱されているうちにスターファイブを見付けて奪い取ったという、恩を徒で返した極悪人である。
地球に流れて来てファイブマンと戦ううち、学との間に友情が芽生えたが、ゾーンに石化された上、宇宙に追放された。
その後、再び地球に落下して蘇生したが、学を庇ってビリオンの剣を受け、星川夫妻の生存と居所を学に教えて息絶えた。
変身システム
男3人は左手首に付けたVチェンジャーブレス、女2人は首から下げたVチェンジャーコンパクトをそれぞれ外して高く掲げ「ファイブマン!(1人ずつのときはファイブレッド!など)」と叫ぶと、Vチェンジャーの先端部がVの字型に開いて輝き、スーツが装着される。
このスーツ関連とVチェンジャーだけは、星川兄弟の開発品らしい。
逆に言えば、ほかの装備品は、メカも含めて星川博士が開発したものだということで、星川博士の偉大さが分かろうというものだ。
Vチェンジャーブレスは、手首のベルトと土台部分からVチェンジャーを外し、コンパクトの方は、ペンダントトップであるVチェンジャー(なんて大きなペンダントトップ)を外して変身するという方式であり、単に持ち歩くためだけにブレスやペンダントになっているのだ。
なお、ピンクとイエローのマスクには、額のマークと同じイヤリングがついており、アップ用のマスクではちゃんとぶら下がっている。
オモチャのVチェンジャーのギミックは、Vチェンジャーを外してスイッチを押すと、先端が開いて発光部が光り、変身音を上げるというものだった。
2002年現在、スーパー戦隊唯一の男女で変身アイテムが違う戦隊だが、これが災いしてコンパクトの方の売れ行きはイマイチだったらしい。
また、コンパクトはブレスに比べて大きく重い上に、首紐との接合部が弱く、暫く遊んでいると自重を支えきれなくなって抜け落ちやすくなるという欠点があった。
ブレスの方も、メッキ丸出しの安っぽいものだが、本編もこれを使っていたようなので文句を言うわけにもいくまい。
鷹羽は、この安っぽさと、腕から外して変身というシステムが気に入らなかったため、購買意欲が湧かなかった。
そこへ持ってきて、友人がこのブレスを250円で買ってしまったため、500円で売っている店を見付けたときに「高い!」と感じてしまい、買いそびれてしまった。
今にして思えば、あれを買っていたら、きっと鷹羽は変身アイテムコレクターの道を歩み続けただろう。
名乗り
「星川学、ファイブレッド!」
「健、ファイブブルー!」
「文矢、ファイブブラック!」
「数美、ファイブピンク!」
「レミ、ファイブイエロー!」
「地球戦隊! ファイブマン!」
変身ポーズでの右手を高く上げ、左手を肩の辺りに止めたポーズ(ウルトラマンの登場ポーズのような感じ)から、そのまま個人のポーズに入るのが特徴。
変身後の名乗りで本名を名乗る戦隊は初めてだったが、毎回名前を言っていたわけではない。
武器
共通武装は、右腰のファイブラスター。
『ライブマン』のライブラスターと音が似ているため、混同する人も多かった。
グリップ部を折り畳み、銃身部を外すとVパワーグリップというパワーユニットになる。
ここから刀身を出した状態がファイブラスターの剣モードだ。
個人武器としては、レッドの短剣:Vシャトラー、ブルーの円盤:ツインリスビーとツインヨーヨー、ブラックの二枚刃剣:ブラックジョー、ピンクの計算機:サークルピュータ、イエローの笛:イエローフルートがあり、これらにそれぞれVパワーグリップを装着することで強化型になるが、実際は強化型の方だけが使われており、個人武器で使われたのはツインリスビーとツインヨーヨーくらいだったと記憶している。
強化型個人武器は、レッドの剣:Vソード、ブルーのパンチ増強武器:ツインアレイ(片手用のバーベルに刃が付いたもの)、ブラックのパンチ増強武器:パワーカッター、ピンクの剣:キューティーサークル、イエローのスティック&ロープ:メロディータクト(スティックから新体操のリボンが伸びているようなもの)であり、初期必殺技のブラザーアタックでは、これら5つの武器を使用していた。
ブラザーアタックは、それぞれ武器の名を叫びながら、まずメロディータクトで相手を縛り、順次キューティーサークル、パワーカッター、ツインアレイで殴った後、Vソードで必殺技Vソードアタックを決めるというもの。
2つ目の必殺技がアースカノンで、アーサーG6に秘められていた変形機構が事故で解放されてから使えるようになった。
アーサーが飛んできて、「変形! アースカノン!」と(アーサーが)言いながら巨大なバズーカ砲に変形し、5人で抱え持って撃つ。
スーパーファイブロボでも勝てなかったビッグガロアンに起死回生の一撃を加えたほどの破壊力を持つ。
ほかに、当時のドッヂボールブームを反映して、スーパーファイブボールという技もある。
これは、『ゴレンジャー』のゴレンジャーストームのリメイクであり、それぞれがボールをパスしながらエネルギーを注入していき、最後にその回の主役がアタックをかける。
誰かが触るたびに、その色とマークがつき、最後のアタック時には、アタックした者の色とマークが付いて、その上からVマークのついたカバーが付く。
レッド以外の誰かにトドメを刺させたいときに利用できる必殺技だが、当然レッドも使用していた。
ここに、37話で開発されたファイブテクターが加わる。
ファイブテクターは、肩を覆うショルダーガード、脛を覆うパワーレガース、下腕を覆うアームシールドからなるスーパー戦隊始まって以来の“全員お揃いの強化パーツ”だ。
どちらかというと防御用というより攻撃用の装備であり、パワー増幅能力とスーツより数段上の強度によって敵を叩き潰す使い方をする。
これを使った必殺技ファイブテクター(名前が技名と同じなのはワザとだったらしい)は、全身をエネルギーで包んで体当たりする技で、5人一緒でも単独でも使える便利な技だった。
ファイブテクターが最も効果的に使われたのは、レッドとビリオンの最終決戦だっただろう。
ビリオンにマントを被せられ身動きできなくなったレッドに、満を持したビリオンが剣を振り下ろすと、レッドはちゃっかりファイブテクターを装着してビリオンの剣を受け止め、Vソードでビリオンを貫いていた。
考えようによっては卑怯臭いが、ものすごく理に適った勝ち方だった。
『ファイブマン』では、『ターボレンジャー』のターボカセットシステムを承継し、共通の銃(ファイブラスター)のパーツを加えることでパワーアップする個人武器という逆の発想をした。
ところが、肝腎の個人武器がVパワーグリップを付けて5人に合わせた武器になることを前提にデザインされたため、それぞれ単体時の特徴が出しにくくなってしまった。
結果、上記のとおり、ツインリスビー以外の個人武器は本編内で生かされず、Vパワーグリップ合体後の強化型個人武器だけが印象に残ることになってしまった。
つまり、ファイブラスターと個人武器の両方を買わないと、本編で活躍する強化型個人武器にはならず、しかも強化型個人武器を作ると、ファイブラスターの方は銃身部分しか残らないため遊べないのだ。
本編中でも、レッドは剣を2種類(ファイブラスター剣モードとVソード)持っているのに二刀流ができなかった。
この反省が次作『ジェットマン』に生かされることになる。
移動装備
5人それぞれがホークアロー1〜5というオフロードバイクを持っているが、本編で登場したのを見た覚えはほとんどない。
ロボット
ファイブロボ
星川博士が開発し、マグマベース内に収納されていたスカイアルファー(レッド搭乗:頭部・胸部)、キャリアベータ(ブラック・イエロー搭乗:腰部・背部・脚部)、ランドガンマ(ブルー・ピンク搭乗:腕部)の3つのメカが「合体! ブラザージョイント!」で合体する巨大ロボ。
合体後は、ブルー達がアルファーの操縦席に転送されてきて、5人で一緒の操縦席になる。
ほかにファイブトレーラー(アルファーが先端部、ベータが荷台部を構成し、ガンマがベータの上に乗る)という車両型にも合体できる。
ファイブロボの武器は両腕のツインカノンと、超次元ソード。
超次元ソードは、剣先を外すと二刀流もでき、どちらの場合でも必殺剣になるが、特に必殺技名はなく、「正義の刃を受けてみろ!」と叫んで敵を斬りつける。
スターファイブ
グンサーが星川博士から盗んできた巨大ロボ。
巨大戦闘機スターキャリアから「変形! スターラウンド!」で変形する。
ちょっと猫顔で、武器は二丁のスターガン。
右手のスターガンから「スターハングビーム!」で束縛光線を出して敵を捕らえ、左手のスターガンで「ハングビームエンド!」とトドメの一撃を加える。
博士は、スターキャリアで地球に帰還し、先に到着しているはずのファイブロボと合わせて対ゾーンの戦力とすることを考えていたらしく、ファイブロボとの合体機構、ひいてはマグマベースとの合体機構をも持たせていた。
スターキャリア形態では、ファイブロボを上に立たせたまま大気圏内を飛行できるだけのパワーを持つ。
普段はスターキャリア形態でマグマベースの後部に固定されている。
スーパーファイブロボ
ファイブロボとスターファイブが「合体! スーパーブラザージョイント!」で合体する超巨大ロボ。
分解したスターファイブが、ファイブロボの脚部・腕部・頭部・胸部・背部を覆う形で合体する。
操縦席のモニターでは、その合体の模様をチェックしており
ブラック「レッグアーマーOK!」
ブルー「アームカバーOK!」
レッド「ヘッドギアOK!(指をパチンと鳴らす)」
5人「完成! スーパーファイブロボ!」
と叫ぶ。
武器は、拳を飛ばすジェットナックルで、必殺技は両足首の光速ジェットで加速してエネルギーを集めた右手で殴るスーパーベクトルパンチ。
47話『超獣大脱皮』では、黒ゴルリンを相手に右・左のワンツーパンチを叩き込んでいた。
マックスマグマ
星川兄弟の家であり、超光速宇宙船でもあるマグマベースが、スーパーファイブロボを収納合体「合体! マックスクロス!」で人型になった姿。
全身24個の砲門から一斉掃射するダイヤモンドマックスが必殺技。
商品展開としては、ファイブロボで“ロボット形態以外にも合体可能”というのをウリにしており、本編内でも何度かファイブトレーラーで出動している。
また、スターファイブは、2台目ロボとしてはプロポーションがいい方で、スターエンドというそれなりに見栄えのいい必殺技を持ったこともあって、単なる超巨大ロボ用パーツではない商品バリューを持てたと思う。
ただし、スーパーファイブロボへの合体は、スターキャリアの羽をファイブロボの縮めた腕に巻き付けるなどの安っぽいものになってしまった。
特筆すべきは、スーパー戦隊オモチャ史上(2002年3月現在)最高値の1万6,800円というDXマックスマグマの存在だろう。
マグマベース状態のときはそれなりに基地として遊べるが、ロボット形態では、はっきり言って箱以外の何物でもなく、ダイヤモンドマックスの発射ポーズも取れないため、売れ残りまくって値崩れを起こした。
鷹羽は、ファイブロボ、スターファイブ、マックスマグマの3つ全てを半額で買っている。
これにはバブル崩壊が始まったという世相も反映されているものと思われるが、これに懲りたバンダイは、5年後のキングピラミッダーまで基地合体ロボは出していない。
ちなみにDXマックスマグマには、文矢とレミが登場する合体説明ビデオが付属していた。
敵組織 銀帝軍ゾーン
首領:銀河皇帝メドー
銀河戦艦バルガイヤーのメインブリッジなどに顔だけで出現する謎の女。
1000個の星を滅ぼすべく、バルガイヤーで宇宙を荒らし回った。
その正体は、実はバルガイヤーそのものであり、自分が銀河超獣になるため1000個の星を滅ぼし、その死のエキスを吸うのが目的。
メドーは部下を利用するための隠れ蓑であり、かつてバルガイヤーがフラれた宇宙人の娘の姿をホログラフで投影しただけだった。
大幹部:ガロア艦長
20年以上前からバルガイヤーの艦長を務め、幾多の星を滅ぼしてきた男。
すぐそれを自慢するが、実はバルガイヤーの艦長は、初代艦長シュバリエ以下数代いた(先代艦長でなく初代艦長と呼ばれている)ものと思われ、ガロア自身が指揮を執って滅ぼした星はそんなに多くないようだ。
シドン星で学が撃ったビームで顔に傷を付けられた因縁があり、レッドを憎んでいる。
レッドをも圧倒する剣の腕を持ち、必殺技の大風車剣の威力は絶大だが、その思慮の浅さのせいか負けが込んでいる。
逆さまデーでただ1人ファイブマンと戦う羽目になったときには、「負けたら死刑の特上」「死んでも死刑や」とドンゴロスに脅され、銀河闘士に土下座して助けを請うという情けない姿を見せた。
シュバリエの登場以来、窓際に追いやられ、ついには掃除係に格下げされたが、掃除のために入った部屋で見付けた超エネルギーでゴルリンを強化して生み出した巨大ロボビッグガロアンでスーパーファイブロボを破壊した功績で、シュバリエと艦長の座を争うところまで失地回復した。
シュバリエの死と共に、「バルガイヤーの艦長はこのガロアをおいてほかにない!」と笑ったが、戦艦ならともかく銀河超獣バルガイヤーに艦長など必要なわけもなく、既に正常な判断力を失っていたようだ。
最期はバルガイヤーの体内でメドーの棺に落ち込み、爆発に巻き込まれて死んだ。
大幹部:初代艦長シュバリエ
バルガイヤーの艦長として、ガロアより遙に多くの星を滅ぼしてきた男。
その功績からメドーに褒美を貰って引退し、悠々自適の生活を送っていたが、ゾーンが地球で苦戦していると知って、戦いを楽しむために地球にやってきた。
当初はゾーンの指揮系統と違う流れで戦っていたが、やがてガロアを蹴落として艦長に復帰した。
バロックスティックという杖を、バロックフェンサー(剣)、バロックシュート(銃)、バロックビュート(ムチ)に変形させて戦う。
自称“銀河のヒーロー”で、「ヒーロー、空はひび割れ、ヒーロー太陽は燃え尽き…」という替え歌を好んで歌う。
幹部:銀河博士ドルドラ
バルガイヤーで兵器開発などを担当する科学者。
合身銀河闘士製造マシンを作った。
メドーの正体がバルガイヤーという化け物であることを知り、絶望したところを合身銀河闘士バラドルギンにされてしまった。
幹部:銀河剣士ビリオン
酒と剣を愛する狂戦士。
自分より少しだけ弱い敵を倒すのが好きで、敵が自分より強い場合はパートナーを連れて戦う。
最終的に敵を殺すのが目的なので、パートナーが傷つけばあっさり見捨てる薄情な男だが、ドルドラが銀河闘士にされてしまったのはかなりのショックだったようで、レッドに最後の一騎打ちを挑んで敗れた。
最期の言葉は、「いい月だ…酒を…!」
幹部:銀河商人ドンゴロス
金儲けのことしか考えていない商人。
メドーからご褒美(金)を貰うために手柄を立てようとし、傭兵などを雇うこともあるが、大抵ケチって失敗する。
金持ちで太っ腹なシュバリエに真っ先にへーこらした。
バルガイヤーの最期には、「まだ褒美を貰っていない」ということで、金庫を漁って金を奪っていたが、そのために逃げ遅れて死んだ。
幹部:銀河の牙ザザ
ドルドラに仕える護衛。
卵生の生物らしい。
メドーの正体を知って正気を失ったドルドラに駆け寄ったところで一緒にバラドルギンにされてしまった。
バラドルギンは、一応外見上はザザの姿も受け継いでいるが、名前を受け継いでいない。
まぁ、ザザドルギンとか言われても困っちゃうが。
準幹部:銀河戦隊ギンガマン
9話『登場ギンガマン』で、正義の味方のフリをして人間の信用を得る作戦のため結成された5人の宇宙人戦隊。
作戦失敗後、姿を消していたが、シュバリエが独自の部下として迎え入れた。
最終決戦でファイブマンに敗れ、「シュバリエ様〜、さようなら〜」と言い残して死んだ。
なお、8年後にとってもよく似た名前のスーパー戦隊がオンエアされるが、こいつらが結構有名だったこともあって、悪役呼ばわりされたりパクリ呼ばわりされたり、巷では結構大変だったらしい。
怪人:銀河闘士
○○ギンという名の付く宇宙生物たち。
宇宙人から人工生命体まで幅広く、これがそうだという定義はない。
合身銀河闘士
ドルドラが作った合身銀河闘士製造マシンで2体の銀河闘士を合成して作られる強力な銀河闘士。
△△ギンと□□ギンを合体させて△△□□ギンになる。
2体分の銀河闘士の能力を発揮できるため、全く違う能力を併せ持つことができる。
こう書くとゲルショッカー怪人(2種類の動植物)のような印象を受けるが、銀河闘士には元々無機物的な奴も多いため、プテラTVギンのようなデストロン怪人(動植物+メカ)みたいな奴もいる。
戦闘員:バツラー兵
ゾーンの主な構成員だが、人工生命体であるのかは不明。
人間並の知能と感情を持っており、逆さまデーのときにガロアを1人でファイブマンと戦わせてボロボロにした報復を恐れて、「調子に乗りすぎたかな? 明日からが思いやられる」と心配していた。
武器は、カニのハサミの片側のような剣。
銀帝軍ゾーンは、巨大生命体バルガイヤーが、神のごとき力を持つ銀河超獣となるための手足として結成された組織だが、そのことは誰も知らない。
かなり昔のことになるが、バルガイヤーは、メドーという宇宙人の娘を愛したが拒まれ、バルガイヤーの巨体としつこさに恐れたメドーは崖から落ちて死んでしまった。
そしてバルガイヤーは、その死体を自分の胎内に安置し、魂を閉じ込めた。
その後バルガイヤーは、銀帝軍ゾーンを結成して1000個の星を滅ぼす旅に出る。
その際、メドーの姿を空間に投影して『銀河皇帝メドー』を名乗り、自分自身は単なる戦艦のフリをしている。
これは、正体を知られたら、誰も自分のために働こうとしないことを知っていたからだと思われる。
事実、ドルドラはバルガイヤーの正体を知った途端、「こんなもののために人生を賭けていたなんて…」と嘆いて発狂している。
バルガイヤーは、自分がきちんとした人間として扱って貰えないことを熟知していたのだろう。
バルガイヤーは、星が滅ぶ瞬間に湧き出る“死のエキス”を吸うことで成長するらしく、1000個の星の死のエキスを吸うことで「神」になると言っていた。
本当に神になるわけではないだろうから、神に匹敵する力の持ち主になるという意味なのだろう。
そして、1000個目の星である地球で苦戦を重ねたため、一足早く超獣に脱皮して自らの手で地球を滅ぼすことにした。
銀河超獣バルガイヤーは、地球を滅ぼすことで神になると言っていた。
つまり、ファイブマンが倒した時点では、完全体ではなかったのだ。
脱皮に足りないエネルギーを「最高極上の死のエキス」で代用していたというわけだ。
ここで1つ疑問が浮かぶ。
なぜバルガイヤーは、シドン星の花を苦手としたのだろうか。
答えは与えられていないが、2つの仮説が立てられる。
1つは、滅ぼしたはずのシドン星の植物があることで、“1000個の星を滅ぼした”という前提が崩れて死のエキスの効果が帳消しになる可能性があること、2つ目は、メドーの魂が成仏してしまうことでバルガイヤーに精神的ダメージを与えられることだ。
バルガイヤーは、メドーの死体を体内に保存していたことから、本気でメドーを愛していたことが分かる。
メドー自身は、執拗なラブコールを送ってきたバルガイヤーを嫌悪していたため、「愛を拒んだために殺された」と言っていたが、実際の所は逃げまどうメドーが勝手に足を踏み外して崖から転落死しただけのことだ。
メドーにとっては殺されたようなものだが、バルガイヤーにしてみれば“死んでしまった”わけだ。
バルガイヤーは、何らかの方法でメドーの魂を体内に封じ込めていたわけだから、もしかすると神のような力を手に入れたときに再生させるつもりだったのかもしれない。
また、星川博士は、シドンの花をバルガイヤーの体内に持ち込んで何かをしろと言いかけていた。
博士は花を持ち込むだけでは駄目なことを知っていたのだ。
そこで鷹羽としては、これらの相乗効果で倒したのではないかと考えている。
つまり、シドン星が滅んでいなかった証を体内に持ち込むことで、バルガイヤーの力の一部を削ぎ、それによって封印を弱めてメドーの魂を成仏させ、バルガイヤーがショックを受けている間に攻撃を仕掛けて倒したのだろう。
ということは、バルガイヤーは今でもメドーを愛していたということだ。
考えようによっては、バルガイヤーは身の程知らずな恋に生涯を賭けた凄い奴だったのかもしれない。
巨大化
ゴルリンという真っ白な巨大生物に銀河闘士の細胞を吸収させ、ゴルリンの身体を核に再構成する。
ただし、吸収するのは生きているうちでなければならない。
ゴルリン12号は、そのために急かされ、岩につまずいて転び脳震盪を起こしてしまった。
そのとき、ビリオンとザザの間で
- ビリオン「ゴルリンも、走れば岩につまずく、か」
- ザザ「人生色々でございます」
という会話があった。
次の回で登場したゴルリンが13号だったところを見ると、どうやら12号はそのまま死んでしまったらしい。
ゴルリンが吸収できるのは生物だけだが、ガロアはゴルリン36号をバルガイヤーの艦内で見付けた超エネルギーで強化し、無機物であるブルドーザーなどを吸収させてビッグガロアンを作り出した。
ちなみに、シュバリエ配下の黒ゴルリンは、ゴルリンを戦闘用に強化したものらしく、両肩にビーム砲を備えており、銀河闘士吸収能力はないものと思われる。
おまけ
5(ふぁいぶ)くん人形
23話『5くん人形』で命を持った人形が、その後解説者のような存在となって異世界からファイブマン達の戦いを見守っている。
ファイブマンそれぞれの人形が各1体のほかガロアの人形:ガロやんがいる。
大抵はガロやんがレッドくん達にいじめられている。
なお、当時、手にはめて遊べるレッドとピンクの人形が発売されていたのは、こいつらの存在のためである。
ラストへの流れ
ファイブマンは、銀河系P16惑星にいるという両親と銀河ワープ通信で連絡を取ることに成功するが、バルガイヤーが脱皮の準備に入った影響で通信が途絶えてしまった。
そしてバルガイヤーは、脱皮が終わる4時間後に“この世で最高極上の死のエキス”を与えるようシュバリエとガロアに命じ、それがファイブマンの命だと思ったシュバリエ、ガロア、ギンガマンは脱皮を妨害しようとするファイブマンに戦いを挑む。
シュバリエは、ガロアが吹っ飛ばされ、ギンガマンが全滅すると、レッドと一騎打ちに持ち込むため、ゴルリンを呼んでブルー達4人とアーサーの乗るスーパーファイブロボにぶつける。
そしてちょうど4時間後、黒ゴルリンもシュバリエも死んだ。
ホッとするレッドの目の前で、シュバリエの死体がエネルギー体となってバルガイヤーのサナギに吸収される。
バルガイヤーが望んでいた“最高極上の死のエキス”とは、幾多の殺戮を繰り返してきたシュバリエが全力で戦って死ぬときに発するものだったのだ。
遂に銀河超獣となったバルガイヤーは、1000個目の星:地球を滅ぼして神にならんと動き出す。
その恐るべき力の前にはマックスマグマさえも敵わない。
だがその時、P16惑星の星川博士との通信が回復した。
ファイブマンは、崩れ落ちるマックスマグマの中からスーパーファイブロボで脱出し、博士の指示どおりシドン星の花を持ってバルガイヤーの胎内に突入する。
そこには、かつてバルガイヤーの愛を拒んだ女:メドーの死体が安置されていた。
シドン星の花の花粉を受けてメドーは成仏し、バルガイヤーがショックを受けている隙に、ファイブマンはスーパーファイブロボのエネルギーを集中させてバルガイヤーに体当たりし遂に倒した。
戦いが終わり、ファイブマンの5人は、生徒達の『仰げば尊し』に送られてスターキャリアでP16惑星に向かう。
両親と合流し、ゾーンに滅ぼされた星々にシドン星の花を咲き誇らせるために。
傾向と対策
ファイブマンは、『地球戦隊ファイブマン』というタイトルからも分かるように、非常に難産な作品だった。
何が凄いって、どういう特徴の戦隊なのか、タイトルを聞いてもさっぱり想像がつかない。
いや、ま、マスクマンとかゴーグルVとか、その手の連中もいるにはいるが、「5人」はないだろう、「5人」は(FIVEMENじゃないって突っ込みはなし)。
当時、タイトルのネタも尽きてしまったと言われたものだ。
デザイン的にも先祖帰りしており、ピンクのゴーグルがハート型になっていることや胸のVの字が1〜5に分割されているところなどにスーパー戦隊シリーズの先祖であるゴレンジャーの影響を感じさせる。
もしタイトルが『ファイブレンジャー』だったなら、間違いなく「あ、ゴレンジャーね」と言われてしまっただろう。
また、『先生』というカテゴリーで統一したため、デザイン上の変化を付けにくくなってしまった。
レッド、ブルー、イエローあたりはまぁいいとして、ブラックの「語」の字は何かの冗談としか思えないし、ピンクの四則演算合体マークなど、何の意味があるのか分からなかった人の方が多かったのではないだろうか。
構成などを見ても、メンバー全員が本当の兄弟というのも凄いが、5人揃って教師で、しかも同じ小学校に勤めていて、2話で学校がひとまず解散してしまうというのはもっと凄かった。
実際に先生だったのは、2話までだったような気がする。
『ウルトラマン80』でも、12話くらいまで先生だったのに。
この際、文矢とレミは20才なのに小学校の先生をやっていることについては、触れないでおいた方がいいかもしれない(本来、四年制大学の教育学部を出ないと小学校の国語教諭にはなれないのだ)。
音楽だけの先生にはなれるけどね。
…あれ? よく考えてみたら、小学校に理科の先生とか算数の先生とかっていたっけ?
基本的に全般教えられる先生じゃないとまずかったんじゃ…?
やべ、前提が狂っちゃったよ。
まぁ、そんなこんなで視聴率的にもかなり低迷していたらしい。
聞くところによると、最低視聴率が4%前後で、当時スーパー戦隊シリーズ最低記録を打ち立てたのだそうだ。
視聴率の話が本当かどうかはともかく、番組が勢いに乗れずにいたのは確かだ。
鷹羽としては、ガロア以下の幹部達がキャラクター的に押しが弱かったせいではないかと思っている。
金の亡者ドンゴロスの軽薄さや、味方も見捨てるビリオンなどもさることながら、一番弱かったのはガロアのキャラクターだ。
演技に迫力がないことも相まって、シリアスで怖い大幹部にはなれなかったのだ。
15話『レッドが2人!!』では、レッドをも圧倒する戦闘力を見せたが、それでもキャラの弱さは克服できず、『ファイブマン』は様々なテコ入れを始める。
その最初が5くん人形の登場だ。
番組中で命を得た人形ということで存在を確立させ、マペットを発売してマーチャン展開に生かしつつ、本編でも可愛い人形で子供の心を掴みたかったようだが、残念ながら本編の流れを中断させるだけの存在でしかなかった。
結局、5くん人形は35話あたりで姿を消すことになった。
2つ目は、番組のコメディ化だ。
26話『九州だョン』では、ゾーンの逆さまデーなどという奇天烈な設定を生みだした。
これは、ゾーンで恒例の20年に1回やってくる地位が逆転する日で、バツラー兵が一番上で次に銀河闘士、その下にザザやドンゴロス、ビリオン、ドルドラが入って、なんとガロアが一番下になってしまうのだ。
こうして、バツラー兵に命令されたガロアが1人でファイブマンと戦うことになった。
メドーの地位がどうなるのか気になるところだが、この回のメドーの出番は、逆さまデーの説明の時だけであり、どうやら首領の座は揺るがないようだ。
この回では、先に挙げた「死刑の特上」のほかに、ガロアの『何でもOK免許証』(どんな乗り物も運転できるというどこかの星の運転免許)や、コガネギンがエネルギー源である金を探してゴールドパークに行ったとき移動用電車に貼ってあった『すっごい故障中』の張り紙、コガネギンが「金があった」と触ったガロアから金色のボールが2個落ちていく(ガロアがそれを見て「そんなバカな…」と言う)などの映像も飛び出すぶっ飛びっぷりだったが、本来配下である銀河闘士に「コガネギン様助けてください、このままでは死んでも死刑です」などと懇願するガロアの姿は笑えるを通り越して情けなさ過ぎた。
こうして失敗したかに見えたテコ入れだが、初代艦長シュバリエの登場によって一気に大逆転となる。
キザで明るいシュバリエのキャラは、ファイブレッドをライバルとしたことで“時々出てくる強敵”という印象を与えることに成功し、また、黒ゴルリンやギンガマンを配下に持っているため、等身大戦闘でも巨大化戦でも銀河闘士を必要としないストーリーテリングを可能にして物語のバリエーションを増やした。
またシュバリエは、女性ファンを多く獲得し、その意味でもテコ入れとしての役目を十分に果たした。
ここで、失敗したかに見えたガロアのギャグキャラ化が生きてくることになった。
これが怪我の功名なのか狙っていたものかは分からないが、キザで実力者のシュバリエと、名誉挽回を目論んでは失敗していくガロアという好対照が生まれ、33話『必殺裏返し』のゴリワシギン(製造に失敗し、2体の銀河闘士が背中合わせで融合しているだけ)のような普通なら受け狙いにもならないデザインが生きてくることになるのだ。
最高幹部から掃除夫にまで凋落するキャラクターなどそう滅多にお目にかかれない。
シュバリエというシリアス担当が現れたことで、ガロアが思いっきりギャグに走れるようになったことは、ガロアというキャラクターの描写の上でも起死回生の策と言えるかもしれない。
ただし、これによって“レッドのライバルはシュバリエ”という認識が確定してしまったわけで、番組内で目立つのは学とシュバリエだけという状態が生まれてしまった。
学の女性人気は結構凄かったらしく、白衣を羽織れば完了するコスプレのしやすさも相まって、当時の冬コミには結構な人数の学兄ちゃんがいたらしい。
今だったら、間違いなく学とシュバリエのやおい同人誌がはびこったことだろう。
ちなみに、翌年の後楽園遊園地の野外劇場では、ガロアとシュバリエが学を取り合うというコメディネタが演じられている。
ところで、20年前には既にガロアがバルガイヤー艦長だったわけだが、シュバリエの年齢は何歳なのだろうか?
先代ではなく初代艦長と言うからには、2代目3代目がいたのだろうし、ガロアが3代目だったとしても、40〜50年前にはシュバリエは引退しているのだろう。
80才くらいなんだろうか?
まぁ、宇宙人の年齢だし、とんでもない長生きな種族かもしれないが、ちょっと気になるところではある。
また、『ファイブマン』は、ストーリー展開のバリエーションにも挑戦した作品だった。
まず、巨大メカの登場しないストーリーが2回ある。
通常スーパー戦隊では、1話以外でロボが登場しない話には、その穴埋めとして合体前のメカが登場することになっている。
『ファイブマン』では、14話『可愛いウソつき』で、少女が暴走させたランドガンマが10秒くらい登場しただけ、という話を作っている。
上記のゴルリン12号は、このときの登場であり、巨大化戦をしないために転ばせられたのだ。
また、39話『愛をください』では、巨大メカどころか銀河闘士やゴルリンすら登場しない話をやっている。
この話は、昔ビリオンに救われた宇宙人ソーラがビリオンを慕って地球にやってきてファイブマンと戦うという話だ。
ビリオンを正義の戦士と信じているソーラは、「平和な地球を侵略してきたファイブマンから地球を守るため戦っている」というビリオンの言葉を信じてファイブマンと戦うにあたり、戦闘力を上げるために怪物化する薬を飲むことにするのだが、その前に思い出を作るため、ビリオンと一日だけデートする。
そして、ファイブマンに敗れたソーラをビリオンは切り捨て、ソーラは騙されたことに気付くが、学がビリオンのフリをしてソーラを看取るという展開だ。
この回では、怪人役は怪物化したソーラであり、巨大化もしないで終わる。
また、ビリオンとソーラのデートのラストでは、ロングショットとはいえスーパー戦隊史上初めてのキスシーンも登場している。
ソーラを演じたのは当時16才の水野美紀で、この1年後(平成4年)、コーセー「ルシェリ」のCMで「ねぇ、チューして」をやってメジャー化した。
この回に登場したのは、てっきり次作『ジェットマン』に出演するためのオーディション兼だと思っていたので、登場しないことを知ったときは残念だったものだ。
そのほか、少年マンガからネタを持ってきたらしい話もある。
27話『眠れば死ぬ』がそうだ。
当時週刊少年ジャンプに連載中だった『JOJOの奇妙な冒険 第3部空条承太郎編』に登場する“死神13(デス・サーティーン)”の能力をそのままパクったんじゃないのかと思うほどの内容だった。
スタッフ側がどういう意図でこういう話を作ったのかは分からないが、「はやってるからやったらウケるかな」だったらちょっとタチが悪いかも。
もう1つ、これはストーリー関連ではないが、アイキャッチがないのも『ファイブマン』の特徴だった。
正確には、本編の映像を続けたまま、ヌキ文字のロゴを画面右下に出してCMに入り、同様にCMが終わるという形だ。
本編の正味時間を少しでも延ばそうという意図だったのか、それとも単に変化を付けたかっただけなのかは不明。
さて、『ターボレンジャー』のときに書いた「スーパー戦隊シリーズは今年(ターボレンジャー)で終わり」という噂話について説明しよう。
ヒントは“『ファイブマン』と同時期にやっていたメタルヒーローは何か?”だった。
例年メタルヒーローとスーパー戦隊は約1か月のズレで『テレビマガジン』などの児童誌に新作発表がなされる。
そして、ターボレンジャーと同時期にやっていたメタルヒーローは『機動刑事ジバン』であり、次作は『特警ウインスペクター』だった。
さて、ここでちょっと『ウインスペクター』のメンバーの名前と色を思い出してほしい。
ファイヤーが赤、バイクルが金色(黄色)、ウォルターが緑だ。
変に思わないだろうか?
ファイヤー(火)が赤はいい。
バイクルは、色はともかく胸にタイヤが付いている。
だが、ウォルターはどうして緑なのだろう?
「ウォルター」と聞けば、当然「ウォーター」、つまり「水」を連想するだろう。
普通「水」を表すキャラと言えば青をイメージするのに、どうして緑なのか?
そして、ウォルターの色は、緑と言うには妙に青っぽい。
鷹羽の記憶では、最初に発表されたとき(イラストだったが)のウォルターは青かった。
つまり、当初の企画段階では、青いボディの水の戦士だったのだろう。
それが、『ファイブマン』発表のころから緑になった。
つまり、戦隊シリーズが終了するからメタルヒーローに赤・青・黄の三原色を譲るつもりだったけど、戦隊の続行が決まって取りやめになったのではないかと思われる。
当時、鷹羽はアトラクション関係の事務所に所属していたのだが、戦隊シリーズの続行が危ぶまれているという噂は聞いていた。
あくまで噂話だが、一応業界の話だったわけで、信憑性は高いと思う。
何しろ、事務所関連の偉いさんから「鷹羽、やっと決まったけど、次の奴は顔に国語とか書いてあるぞ」などと言われたのだから…。
まさか本当に書いてあるとは思わなかった。
ちなみに、事務所を辞めちゃった後の話だが、同じ人から「次の奴は顔が星だよ。勘弁してほしいよな、まったく」と聞かされたことがある。
それが『オーレンジャー』のことだったなんて、口が裂けても言っちゃう♪