主題歌
- オープニングテーマ:高速戦隊ターボレンジャー
- エンディングテーマ:ジグザグ青春ロード
DANCE・ときめく心(最終回のみ) - 挿入歌:明日にアクセル! ターボロボ
タックル! ターボラガー
前作『ライブマン』に続き、『ターボレンジャー』でもレッド役の役者が歌うことになった。
それがどういう経緯だったのかは分からないが、レッドターボ炎力役の佐藤健太氏は、この後東映所属の歌手になったらしく、4年後の『恐竜戦隊ジュウレンジャー』でもOPを歌っている。
また、最終回で普段と全く違う歌をEDに持ってくるというのも『ターボ』が初めてだった。
基本ストーリー
2万年前、人間と妖精達は聖獣ラキアと協力して暴魔百族を封印した。
だが、人間達は文明の発展と共に妖精の存在を忘れてしまっていた。
そして、地球が汚染されたことで妖精達はほとんど死に絶え、暴魔百族の封印が遂に解けてしまう。
地上にただ1人生き残っていた妖精シーロンは、太宰博士と協力し、妖精の姿を見ることの出来る人間を見付け出してターボレンジャーを結成した。
だが、封印の守護神であるラキアも力尽き、暴魔大帝ラゴーンのいる暴魔城までも復活してしまった。
ラキアを失ったターボレンジャーは、太宰博士が開発した強化服やターボロボを武器に暴魔百族に挑む。
メンバー
レッドターボ:炎力(ほのお・りき)
都立武蔵野学園高校3年生で、野球部のキャプテンにしてエースで4番という絵に描いたようなさわやかスポーツマン。
ベルトの文字は『GT』で、専用武器ターボカセットは長剣GTソードとなり、二刀流を使いこなす。
ブラックターボ:山形大地
力の同級生で、陸上部。
パワー戦士でありながら沈着冷静な策士という二面性を持つ。
ベルトの文字は『T』で、ターボカセットはTハンマー。
ブルーターボ:浜洋平
力の同級生で、水泳部。
ベルトの文字は『J』で、ターボカセットはJガン。
2丁拳銃にしたり、Jガンを合体させてマシンガンのように使ったりする。
イエローターボ:日野俊介
力の同級生で、体操部。
ベルトの文字は『B』で、ターボカセットはBボーガン。
ピンクターボ:森川はるな
力の同級生で、武蔵野学園の生徒会長。
バトン部にも所属している。
ベルトの文字は『W』で、ターボカセットはWステッキ。
太宰博士
妖精の存在を信じ、妖精と交信するための特殊な装置(妖精グラス)を開発した天才科学者。
シーロンと出会い、暴魔百族の封印のことを知ってそれと戦うための装備を開発した。
予想よりも暴魔の復活が早かったせいか、装備の開発が後手に回ってしまっているが、地上最大の大封印の上に基地ターボビルダーを築くなど、開発意図そのものは素晴らしい。
妖精シーロン
地球にたった1人生き残っていた妖精。
太宰博士と出会い、封印が解けたときに暴魔百族と戦える人間を捜していた。
聖獣ラキア
2万年前に人間や妖精と共に暴魔百族を封印した聖獣。
2万年の間、暴魔城を封印し続けてきたが、地球が汚染されてきたため、その力を失いつつあった。
そしてネジクレボーマとの戦いで重傷を負い、星になってしまった。
変身システム
特殊な素質を持つ者がターボブレスを付け、左のブレスのスイッチを押しながら「ターボレンジャー!」(1人のときは「レッドターボ!」など)と叫ぶと強化服が装着される。
右のブレスは通信機になっている。
スーツを装着してその能力を発揮するには、妖精を見る力を持つことが必要だが、その力は度々失われ、その度に力達は変身能力を失うことになった。
逆に言えば、妖精を見る力の持ち主ならば誰でも変身できるわけで、力達の同級生である建一がブルーターボに変身したこともある。
建一が、どうして1話の時点でシーロンの声を聞けなかったのかは謎だ。
ターボレンジャーの撮影用マスクは、アクション用、アップ用、メッキ仕様、変身不能用の3種類ある。
このうちメッキ仕様は、マスクの銀色部分がメッキになっているわけだが、Vターボバズーカ発射のシーンでしか使われていない。
しかも、銀色のメッキということは鏡面状態になるということであり、ほかのものが映り込んでしまうために照明に気を使うことになる。
そこで照明をメッキ部分に当てないようにしているため、結果的には、メッキにした意味がないくらい暗くなってしまっていた。
また、変身不能用は、ゴーグル以外が全て白いもので、このときはスーツも含めて全身真っ白なターボレンジャーが5人いるという面白い状態になっている。
ちなみに左のブレスは、劇場版と3話くらいまでは前後逆に付けられている。
これは、変身時に押すボタンの位置関係によるものと思われる。
左のブレスはいびつな卵のような形状で、先細りの側にボタンがあり、その隣にファンがついている。
ベルトはファンの脇辺りの位置にあるので、中心よりやや太め側についているということになる。
これが、初期はボタンが手首の方にきていたのだが、3話ころからボタンが肘側になるようにブレスを付けるようになってしまった。
右手の親指でボタンを押すため、初期の方がボタンを押しやすいのだ。
これがわざわざ押しにくい位置に変えられたのは、左手首を動かすときに、ブレスが手の甲に当たって痛かったからだと思われる。
変身シーンでちょっと押しにくいよりは、普段付けていて痛くない方を選んだということだろう。
このターボブレスのオモチャは、当時放送中の『仮面ライダーBLACK RX』のDX変身ベルト付属のリストビットと同様に、モーションコントロールを採用している。
ライトブレスの中にバネスイッチが仕込んであり、右手を強く振るとバネがスイッチ板に触れて通電し、ブレスのライト&サウンドが作動する仕組みだ。
だが、リストビット以上に過敏なため、電源を入れっぱなしにしておくと鳴らさずに動くのが不可能なほどで非常に鬱陶しい。
対処法としては、バネの動きを制限するための芯棒を入れるという方法がある。
なお、レフトブレスの方は、ゼンマイによるファン回転であり、あらかじめ巻いてあるファンが、スイッチを押されることで解放されて回転して「ギュイーン!」と音がするだけのものだった。
なんでも、あんまりやりすぎると、ファンの裏側のパーツが摩耗して音がしにくくなるんだそうな。
名乗り
「レッドターボ!」
「ブラックターボ!」
「ブルーターボ!」
「イエローターボ!」
「ピンクターボ!」
「高速戦隊! ターボレンジャー!!」
というパターンだが、やはり完全な名乗りの回数は少なかったように思う。
なお、戦闘終了(勝利)後、一列になった5人が次々と振り返りながらVサインを出し、「ビクトリー!」と叫ぶ。
武器
標準武装は右腰のターボレーザーで、グリップ上部に折り畳んだ状態の剣(ターボレーザーソード)が合体している。
ソードが合体しているかどうかでは威力に違いはないらしい。
初期必殺技であるプラズマシュートは、5人のターボレーザーのビームを空中の一点に集め、それを敵の頭上に落とすというものだった。
個人武器としてターボカセットがあり、それぞれGTソード、Tハンマー、Jガン、Bボーガン、Wステッキという武器になる。
特にレッドはGTクラッシュ、ピンクはステッキブーメランなどの必殺技を持ち、これだけで暴魔獣を倒すこともあった。
また、ターボレーザーのソードを外した部分に、ターボカセットを折り畳んで合体させて使用することもでき、その場合はノーマル時より破壊力が大きくなる。
特にJガンを合体させたターボレーザーは、通常より連射スピードが上がるらしく、ハンドマシンガンとして使っていた。
流れ暴魔ヤミマルにプラズマシュートを破られてからは、ターボアタッカーのエンジンを利用したVターボバズーカが必殺技となった。
Vターボバズーカは、使うたびにターボアタッカーのエンジンを合体させている。
ターボレーザと合体するターボカセットシリーズのほか、音と光の出るGTソードも発売されており、番組中のGTクラッシュのシーンでは、オモチャと同じ音が鳴っていた。
移動装備
5人全員にバイク:マッハターボ01〜05が与えられているほか、レッド用にターボアタッカーというバギーがある。
ターボアタッカーは、かっとびズルテンとの戦闘以外で使われることはほとんどなかったが、その分エンジンだけがVターボバズーカに呼び寄せられることになった。
ロボット
「ターボマシン!」の掛け声で発進させたターボGT(レッド搭乗:頭部、胸部、背面)、ターボトラック(ブラック搭乗:胴体、両腕、大腿部)、ターボジープ(ブルー搭乗:左足首)、ターボバギー(イエロー搭乗:右足首)、ターボワゴン(ピンク搭乗:両脛部)の5台のターボマシンが「合体シフト! ターボロボ!」で合体し、巨大ロボターボロボになる。
合体完了時には「チャージアップ! ターボロボ!」と叫ぶ。
両足首がジープとバギーそのままなので、ローラースケートのように滑走することができる。
また、GT以外は空を飛ぶ機能はないが、合体すると自力で大気圏を脱出・再突入できるようになる。
12話『星になった暴魔獣』では、アラクレボーマを抱えたまま、ラキアの星まで数分で往復するということをやってのけた。
ターボロボの武器は腰に付いている2丁のターボカノンと、ターボシールド、高速剣で、必殺技は高速剣ターボクラッシュ。
高速剣を逆手に持ち、ローラーダッシュですれ違いざまに斬る技だ。
その際、ロボはゴーグルの中から2つの目が光る。
2台目ロボ:ターボラガーは、太宰博士により、秘密基地ターボビルダー内で密かに作られていたが、巨大化したジンバに破壊されたターボロボの穴を埋めるため、突貫作業で完成された。
大型戦闘機ラガーファイターから「変形シフト! ターボラガー!」の掛け声で変形し、変形終了時は「シフトアップ! ターボラガー!」と叫ぶ。
武器は両肩のビッグラガーガンとラグビーボール型のバトルボールで、必殺技は両足にエネルギーを集め、スクリューキックをかますスクリューラガーキック。
どうしてラグビーなのかは謎。
そして、ターボロボとターボラガー両方がピンチに陥ったとき、設計にはなかった合体機能が生まれ、スーパーターボロボが完成した。
所謂“奇蹟の超合体”なわけだが、初合体後は、いつでも合体できるようになった。
「スーパーシフト! スーパーターボロボ!」の掛け声で、パーツ毎に分かれたターボラガーがターボロボに合体し、ボディ前面と両腕、両足首になる。
スーパーターボロボの必殺技は、胸から発射されるスーパーミラージュビーム。
なお、スーパーターボロボになると、ターボロボの両腕とターボラガーの両腕は、それぞれ背中に生えたままになっており、後ろから見ると腕が6本あるのが分かる。
そして、ターボラガーと共に出現した巨大基地ターボビルダーは、それまで地下基地に収納されていたターボマシンもターボビルダーに収納されることになった。
また、要塞の甲板部を起こすとロボット形態になり、スーパーターボロボと合体(収納)できる。
このときのスーパーターボビルダービームが、ターボレンジャー最大の武器となる。
ちなみに、ターボビルダーは移動能力を持っていないが、実はその足下には、108体の暴魔獣が封印された地上最大の大封印があり、ターボビルダーはその封印を押さえているのだ。
設計されていなかったスーパーターボロボとの合体機能がどうして最初からあったのかは、永遠の謎である。
商品を見ると、ターボロボは、両足のジープ、バギーのタイヤが接地しているため、棒立ち状態ながらターボクラッシュ風に走らせることができる。
また、通常時に滑らないよう両足の裏につけるカバーが付属しており、これをつけると足の裏が平になる。
『ライブマン』に続いての2大ロボ合体によるスーパーターボロボは、前回と同じパターンを使うわけにもいかず、2台目ロボであるターボラガーをボディカバーと高下駄パーツにして合体させる方法をとった。
このため、主に上半身だけが一回り以上大きくなるという結果になり、スーパーターボロボの外見は非常にみっともない。
ちなみに、どのくらいとんでもないかというと
着ぐるみでは、肩から生えているかのように擬装された上腕部がアクターの肩位置であり、胸のパーツの奥にアクターの顔がある
くらいとんでもないのだ。
つまり、着ぐるみを着ている人は、地上30センチくらいの高下駄を履き、上腕部の横とボディの間の穴からこっそり腕を通し、自分の頭より2つ分上にロボの頭があるという非常に辛い体勢なのだ。
歩くことはおろか肘を曲げることさえほとんど不可能という張り付け状態である。
スーパーターボロボが肘を曲げているように見えるシーンでは、実は上腕部を軸に腕全体が回っているのだ!
変形の関係上処理しきれなかった両ロボの腕は、上記のとおり後ろに伸ばした状態で重なっており、背中から見ると馬鹿みたいである。
そして、戦隊史上初となる要塞ロボだが、これは、空母メカが廃止されたことに伴うものだろうと思われる。
空母メカは、2台目のロボが登場する以前から存在する以上、1台目と2台目を両方搭載できる空母は巨大になりすぎる上に先の展開をバラしているようなものなので敬遠されたのだろうと思われる。
ターボビルダーの商品は、昔のトミカプラレールのようにレールを付けて、ターボジープとターボバギーを走り降ろさせることができる。
定価は、破格の12,800円だったが、発売数が少なかったそうで、すぐに売り切れてしまった。
敵組織 暴魔百族
首領:暴魔大帝ラゴーン(ネオラゴーン)
暴魔百族を支配する暴魔の王。
高空を移動する巨大な暴魔城に住み、地上を狙っている。
2万年前、ラキアによって幹部共々暴魔城ごと封印されていた。
ヤミマルの計略により、レッドターボと戦わされて敗死したが、異次元で力を溜めてネオラゴーンとして復活した。
大幹部:暴魔博士レーダ
暴魔百族のナンバー2。
30話『レーダの最期』で、度重なる失敗の責任を取らされる形でレッドターボと一騎打ちの末敗れた。
「このままでは死なん」と言いながら爆死したが、結局そのまま死んでしまった。
幹部:姫暴魔ジャーミン
普段は人間のような顔をしているが、戦闘時等はヘビの顔になる暴魔術使い。
体内にクロコボーマが封印されている。
最後の手段として、そのクロコボーマを解き放って共に出撃したが敢えなく敗れた。
幹部:暗闇暴魔ジンバ
はるか昔、ある姫を守るために戦って死んだ武人の魂が、死体を冷酷に捨てた姫への怨念から生まれた。
暗闇魔神剣を武器とし、レッドとは何度か死闘を演じた。
7話『恋人を食べる暴魔獣!!』で1度倒されても復活し、何か復活する秘密があるかのようだったが、その秘密は明かされることなく、28話『ロボ合体不能』でターボビルダーの砲撃を受けて散った。
幹部:かっとび暴魔ズルテン
低級幹部でお調子者。
作戦の指揮を取ることもあまりなく、そのせいかレーダらが責任を取らされて散っていく中、ただ1人生き残った。
バギー形態かっとびズルテンに変身できる。
お調子者で腰が軽く、ラゴーンがヤミマルの計略で倒されたと見るや、すかさずヤミマルに取り入って暴魔城を明け渡してしまった。
大幹部:流れ暴魔ヤミマル
武蔵野学園高校に転入してきた流星光(ながれぼし・ひかる)。
鍵盤の上で逆立ちしたままピアノを弾くという『柔道一直線』を彷彿とさせる妙な転校生は、実は流れ暴魔ヤミマルだった。
暴魔としての力が非常に弱かったため、暴魔にも人間にも相手にされず、2万年前には封印されなかった。
それがコンプレックスになっており、人間も暴魔も憎んでいるが、自分が暴魔と人間の混血児であることは知らない。
その後2万年の間武者修行を続け、戦闘能力だけなら暴魔獣を遙に上回り、ジンバら幹部をも凌ぐほどになったが、暴魔城に行くほどの特殊能力はないため、相変わらず暴魔の仲間にはしてもらえなかった。
実はパワーアップ前のヤミマルが使う特殊能力の数々は、肩に載せたヤミクモ(配下に収めた暴魔獣ヤミクモボーマの変身)の能力であり、そんなところからもヤミマルの戦闘力の高さと特殊能力のなさのアンバランスさが伺い知れる。
ヤミクモの吐く糸から、流星銃、流星剣、ヤミカマ、ヤミオノ、ヤミユミ、ヤミガマ、ヤミこんぼうに自在に変形する武器を作りだし、流星剣でプラズマシュートを真っ二つに切り裂いた。
後に、同じ流れ暴魔であるキリカと出会ったことで真の力に目覚め、パワーアップを果たして暴魔城に行けるようになり、謀略を尽くしてラゴーンをレッドターボに倒させてオブ真上を乗っ取った。
パワーアップ後は、キリカ同様赤と黒の鎧に身を包んでいる。
キリカとは、赤い糸で結ばれている。
大幹部:流れ暴魔キリカ
力達の同級生である月影小夜子は、実は流れ暴魔であり、ヤミマルと出会ったことでその能力が覚醒した。
実は、2万年前、人間の母と暴魔獣キメンボーマとの間に生まれた子であり、人間と暴魔の架け橋となるべく育てられたのだった。
自分が流れ暴魔であることを知らず、人間だと信じて生きてきたキリカにとって、ヤミマルのコンプレックスは理解できない部分であり、そのため、やがて2人の関係にはヒビが入ることになる。
怪人:暴魔獣
どのように生まれるのか分からないが、大概において狂暴で、人間を殺すことを喜びとしている。
兄弟がいたり親子がいたりするし、人間との間に子供を作ることもできる。
かといって、必ずしも親から生まれてくるという生態でもないようだ。
世界のあちこちに封印されており、自然破壊と共に弱ってきた封印を破ったり、幹部に封印を解かれたりして復活する。
戦闘員:ウーラー兵
知能の低い1つ目の暴魔。
邪骨剣(じゃこつけん)という武器を持ち、集団で襲い掛かる。
そこら中に埋まっており、幹部らの「湧け!」の声で出現する。
呼ばれないと出てこられないらしい。
ダンゴボーマによって、数人で集まってウーラーダンゴというボールになる技を与えられた。
行動隊長のウーとラーだけは体色が赤く、知能が高い。
暴魔百族は、どうやって発生したのか分からないが、要するに邪悪なエネルギーの集合生命体といった程度の描写だけされている。
暴魔獣と幹部やラゴーンとの間にどれほどの違いがあるのかもよく分からない。
ただ、スモウボーマ、アラクレボーマ、キメンボーマのように、必ずしも邪悪とは言えない奴もいれば、氷魔・炎魔のように合体しないと暴魔獣としての力を発揮できない奴もいる。
また、ウーラーボーマというウーラーと同類の暴魔獣もいることから、暴魔力の強弱によって能力が変わってくるということもありうる。
分類の非常に難しい奴らだと言えるだろう。
巨大化
倒された暴魔獣は、幹部の力で巨大化する。
特定の巨大化要員やアイテムはなく、幹部それぞれが自分の力で巨大化させているのだ。
レーダは杖、ジャーミンは口、ジンバは剣、ズルテンはホラ貝からのビームで巨大化させる。
ヤミマルは、当初は肩に載せているヤミクモの力で巨大化させていたが、パワーアップ後はツノからのビームで巨大化させるようになった。
キリカは盾からのビームで巨大化させる。
真実の物語
2万年前、暴魔百族と人間・妖精連合軍の戦いの中、人間と暴魔獣の混血児であるヤミマルは、能力の低さから暴魔百族の仲間に入れてもらえなかったが、そのために封印を免れた。
その後、ヤミマルは人間の姿に化け武者修行を続けることになる。
一方、暴魔獣キメンボーマは1人の人間の女性と愛し合い、小夜子という子が産まれた。
キメンボーマはカシムと名を変え、人間の姿に化けて生活していたが、やがて小夜子の母は死んでしまった。
カシムは、小夜子を人間として育てるため、オマモリボーマに命じて人間の中で生活させ、自らは影から見守ることにした。
幼いころから妖精に憧れていた太宰博士は、妖精を見ることのできる妖精グラスを開発し、シーロンと知り合った。
そして、シーロンから暴魔百族のことを聞かされた博士は、聖獣ラキアの力が尽きかけていることを知り、やがて封印が解けるであろう暴魔と戦う戦士のための装備を開発すると共に、古文書から地上に残った大封印の在処を見付け出して、その上に巨大基地ターボビルダーを建設し始めた。
そして、ターボロボとなる5台のターボマシンが完成したころ、遂に暴魔百族の封印の1つが解けてしまった。
博士は、妖精シーロンが見付けた力達5人にターボブレスを与えてターボレンジャーを結成した。
やがて力をつけてターボレンジャーの前に現れた流れ暴魔ヤミマルは小夜子と出会ったことで暴魔としての能力を覚醒させた。
ラストへの流れ
ヤミマルの計略で死んだはずのラゴーンがネオラゴーンとなって復活した。
その攻撃で、ターボレンジャーもヤミマル・キリカも変身不能になってしまう。
なんとか変身能力を回復させた7人だったが、ネオラゴーンは、ヤミマルを生贄に地上最大の大封印を破ろうとする。
それも失敗すると、ネオラゴーンは、最後の手段として暴魔城を大封印にぶつけて封印を破ることにした。
ターボレンジャーは、暴魔城に突入して暴魔城の落下を止めようとするが、そこに現れたヤミマルのせいでネオラゴーンに逃げられてしまった。
脱出したターボレンジャーは、巨大化したネオラゴーンをスーパーターボロボで倒し、スーパーターボビルダービームで暴魔城を破壊しようとするが、暴魔城内には意識を失ったヤミマルがいることが分かり、攻撃できない。
必死に呼び掛けるキリカ、ターボレンジャー、山口先生。
その叫びとキリカとの赤い糸のお陰でヤミマルは脱出でき、暴魔城もスーパーターボビルダービームで破壊できた。
戦いの後、ヤミマルは、人間の温かい心を知り、光と小夜子という人間としてこれから生きていくことを誓い、力達の前から去っていった。
シーロンは、地球を離れ、聖獣ラキアの元へと旅立つ。
そして、力達5人も卒業式を迎え、新たな生活へと旅立っていく…。
傾向と対策
スーパー戦隊11作目となる『ターボレンジャー』は、デザインイメージを“車”という1つのモチーフで統一した。
これまでのスーパー戦隊では、陸・海・空と分けた『サンバルカン』や『ライブマン』、電子頭脳の特徴で差を付けた『デンジマン』『バイオマン』、個々人の能力で差をつけた『チェンジマン』『フラッシュマン』、『マスクマン』などの、デザイン的には統一して能力で差を付けるというやり方が主流だったが、『ターボレンジャー』では、全て“車”であり、素体としてのターボレンジャーには、これといって能力差がないのが特徴だ。
よく似たタイプとしては、『ダイナマン』での“爆発”という共通項だけで括られた戦隊もあるが、ダイナマンでは“自分の色の爆発”というアイデンティティで個別化されていた。
それに対し、ターボレンジャーの5人の明確な差異は、主に使う武器によっている。
これは、1つにはネタが尽きてきたというせいもあるが、これにより、統一イメージの5人という集団としてのアイデンティティを模索し始めたのだ。
“明確な差のない戦士でも見分けがつく”という長く続いたシリーズの強みを生かしているわけだ。
これにより、次作『ファイブマン』や『ジェットマン』などのように、個別の能力差を特に持たない戦隊や、『ジュウレンジャー』『ダイレンジャー』のように、“モチーフと特殊能力が一致しない”戦隊が生まれる素地ができたと言えるだろう。
また、ターボレンジャーのアクションは、『ライブマン』でのシュラー3人衆のアクションを踏襲したコンビネーションアタックという連携技を基調としている。
これは、仲間の身体や木、壁などを蹴っての空中殺法を中心に組み上げたアクロバティックな立体攻撃で、以後スーパー戦隊シリーズの特徴的なアクションとなっていく。
これによってスピーディーで立体的な殺陣をつけられるようになった反面、昔からのトクサツファンには、「身軽すぎて威力がなさそう」などとも言われることになった。
また、『ターボレンジャー』の特徴としては、初めて高校生戦士だけで構成された戦隊ということがあり、そのため「青春」とか「18才」といった単語が何度となく語られることになった。
最終回のサブタイトルなど『青春の卒業式』だ。
戦う力の源も、純粋な心の持ち主であるが故の命の輝きといったニュアンスで語られ、「18才は、人間が最も輝ける力を発揮できるときなんだ!」というセリフもあった。
これはつまり、人は誰でもターボレンジャーになりうるということを意味し、OPでの「5人の中に君がいる」という歌詞に符合する。
ただ、結局ターボレンジャーの変身能力は、幼いころに妖精から授かった力であることが発覚したため、“人間の本来の能力ではない”という矛盾を抱えることになってしまった。
どうしてそんな力を応用した強化服を開発できたのかよく分からない。
また、自然破壊によって封印の力が弱まったため復活した暴魔と戦うのが大気汚染の象徴である排気ガスの元:自動車の戦士ターボレンジャーというギャップは、どうしてもつきまとう。
もちろん、ターボレンジャーのマシンは無公害という設定だが、それにしてもイメージというものはそう簡単にはいかないものだ。
車をモチーフにしたのは、やはり失敗だったのではないだろうか。
もう1つの弱点として、暴魔百族の設定のいい加減さが挙げられる。
『敵組織』の項で書いたとおり、暴魔は普通の生物ではないが、少なくとも地球産の生物ではある。
ところが、2万年前に封印されたくせに、ヤシキボーマ、ダルマオトシボーマ、スモウボーマ、レーザーボーマ、ガンマンボーマなど、デザイン・能力共に「本気で2万年前のつもりか!?」と叫びたくなるような暴魔獣が多い。
また、そういうのを置いておいても、不死身と見せてあっさり死んでしまったジンバや、「俺は死なん!」と復活しそうなことを言っておいて復活しなかったレーダなど、どうやらテコ入れの一環として幹部達が整理されてしまったらしいのだが、どうにも唐突だった。
そのせいで、キリカが登場したのだろうが、2万年前の戦いのころにはキリカはもう生まれていたという強引な設定が違和感をつきまとわせる。
つまり、オマモリボーマによって育てられてきた小夜子は、約2万年にわたって赤ん坊のままでいたくせに、ここ17〜18年で一気に高校生レベルまで成長してしまったのだ。
逆に、ヤミマルは2万年前には既に初登場時とほぼ同じ外見を持っていた。
暴魔の存在がどうにも不鮮明でならない。
これらの混乱は、視聴率やオモチャの売上などに反映されたものと思われ、『ターボレンジャー』は、10月の番組改編期以降、それまでの土曜夕方6時枠から、金曜夕方5時半枠に移動になっている。
移動後も放映時間は25分のままだった。
こういった影響からか、番組途中ころから、「スーパー戦隊シリーズは今年で終わり」という噂が流れた。
このような噂は、その後のシリーズでも度々流れることになったが、鷹羽が初めて聞いたのは、このときだった。
そして、それは実のところマジで危なかったらしい。
これについては、次の『ファイブマン』で語ることにしよう。
ヒントは、翌年やっていたメタルヒーローは何という番組だったか、ということだ。
さて、こうしてかなりしっちゃかめっちゃかながら、卒業式で幕を閉じた『ターボレンジャー』だが、一言で表すと
こうして、地上にただ1人残っていた妖精もいなくなった
ということになる。
本当にあれで締めて良かったんだろうか…?
オマケ:10大戦隊集合
1話として放映された特番は、復活した暴魔百族と対峙するターボレンジャーの後ろから過去のスーパー戦隊が現れ、それぞれの戦隊の名場面を流しながら説明した後、ターボレンジャーが「俺達に任せてくれ!」と先輩達に宣言するという形になっている。
いつもの採石場(寄居)に、本当に戦隊全員(X1マスクは当然いない)が集合してしまうという、今ではとてもできないことをやっている。
バトルフィーバーからターボレンジャーまで合計53人が揃った様は壮観であり、鷹羽は『恐怖 53人衆の襲撃』と呼んでいる。
2001年製作の『ガオレンジャー』のビデオでは、ゴレンジャーからの歴代レッド24人+ガオレンジャー5人+ゲスト4人(ビッグワン、メガピンク、ギンガブルー、ゴーイエロー)の合計33人しかいなかったことを考えると、どれほどの迫力か分かろうというものだ。
ちなみに、ゴレンジャーからガオレンジャーまで全員(6人目も)集めると、129人(ニンジャマン、シグナルマン、黒騎士はデザインが違いすぎるので除いてある)もいる。
並ぶスペースの確保は無理だね。