欲しいものあれこれ6 |
鷹羽飛鳥 |
更新日:2007年1月14日
昔は『ウルトラQ』から数えて「ウルトラシリーズ」と呼ばれていましたが、『Q』にはウルトラマンが出てこない上、東映作品である『キャプテンウルトラ』なども存在するせいか、『ウルトラマンG』や『ウルトラマンパワード』などの海外製のウルトラマン誕生を経て、いつの頃からか「ウルトラマン」が登場する円谷プロゆかりの作品を指す「ウルトラマンシリーズ」という言い方がスタンダードになったようです。
ふと気が付くと、現在スカパー!のTBSチャンネルで放送中の『ウルトラマンティガ』は、「ウルトラマンシリーズ30周年記念作品」として企画されたものだったりします。
個人的には、ついこの前だったような気がするのですが、考えてみると『ティガ』の放送開始は平成8年9月ですから、もう10年前だったりするんですね。
この『メビウス』は、『ウルトラマン80』以来25年ぶりに地球にやってきたウルトラマンという設定になっています。
つまり、『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、『帰ってきたウルトラマン』、『ウルトラマンA』、『ウルトラマンT』、『ウルトラマンレオ』、『ウルトラマン80』の7作品を同一時間軸上の歴史として、それらに続く“怪獣が存在する2006年”を描いているわけです。
『ウルトラセブン』は、劇中では小道具や演出の関係などもあって、時代設定に統一が欠けている感もありますが、本来の設定年代は1980年代半ばとされており、『80』の時代(1980〜1981年)よりも未来だったりします。
また、1話のナレーションで、ウルトラ警備隊が十数年前から存在していることも語られており、どう考えても『ウルトラマン』と世界観を繋げる気があったとは思えません。
もっとも、この辺はセブンが『帰ってきた〜』でウルトラブレスレットを届けに登場した時点で崩れてしまっていますので、今更あれこれ言うのは野暮でしょう。
さて、このサイトのライタープロフィールにもあるとおり、鷹羽のウルトラ体験は『帰ってきた〜』から始まっています。
そこから『レオ』までばっちり見て、その後に『ザ・ウルトラマン』や『80』も全部ではありませんが見ていました。
ご存じの方はご存じでしょうが、『レオ』終了から数年経った1978年頃は、小学館の『コロコロコミック』や『小学○年生』などに、内山まもる氏によるウルトラマンのオリジナルコミックが連載されたり、各ウルトラ戦士の得意技や怪獣の写真などが掲載されたりして、ブームが再燃している時期でした。
ちなみに新潟県では、この当時、午前6時ころからウルトラシリーズの再放送をしています。
元締が書いたウルトラ怪獣消しゴムも、この時期のものです。
当時発売されていたケイブンシャのウルトラマン大百科には、『ウルトラQ』〜『レオ』までの円谷シリーズの各サブタイトルと内容、登場する怪獣の名前やスペックなどが記載されており、子供達の間では一種のバイブルになっていました。
『ザ・ウルトラマン』の制作は、それらのムーブメントを受けてシリーズ復活を企図したもののようです。
このときに限らず、ウルトラシリーズは、TVシリーズ休止中も、常にある程度の人気を保っていました。
例えば『セブン』が終了した後も、『ウルトラマン』や『セブン』は頻繁に再放送されていたそうですし、それらの戦闘シーンだけを放送する5分間番組『ウルトラファイト』が放送されたりしていました。
『ウルトラファイト』は、あまりの人気に正規の戦闘シーンだけでは足りず、新たに撮影したものを放送していましたが、セブンと怪獣が棒を持って砂浜でどつきあっているだけなどのとんでもないものが続出し、伝説となりました。
スカパー!のファミリー劇場で放送されていますので、興味のある人は見てください。
頭を抱えたまま硬直するか、ツボにはまりまくるかどちらかでしょう。
…飲食しながらの視聴はやめておいた方がいい、とだけ忠告しておきます。
それはさておき、そういった本放送では見ていない人達も含め、ウルトラマンの活躍物語を求める声は大きかったそうです。
その「轟く叫びを耳にして」、ウルトラマンは「帰ってきた」のです。
『帰ってきた〜』第1話の撮影終了時までウルトラマンの再来という設定だったのに、商品化の関係から別のウルトラマンということにされ、アーストロン戦の撮影をやり直した話は、今では有名ですね。
このスポンサーからの横槍がなければ、ウルトラ兄弟という設定は生まれなかったでしょう。
『仮面ライダー』で、藤岡氏の事故がダブルライダーという展開を生んだのに通じるものを感じます。
ソースがいまいちはっきりしないのですが、『帰ってきた〜』にセブンが登場したのは、最終話で生死不明のまま姿を消したセブンが生きているという公式回答だったという説を読んだ記憶があります。
そういえば、『レオ』放送当時、MAC壊滅と共に死んだ(としか思えない展開だった)モロボシダンについて、雑誌展開で“宇宙空間に放り出されたダンは宇宙警備隊の手で救出され、現在蘇生措置を受けている(もうじき蘇る予定)”というような記事が載っていました。
今回の『メビウス』劇場版パンフレットを見ると、どうやら救出されたというのが公式見解のようです。
さて、鷹羽が初めて新マン別人ネタを知ったのは、ポピー(現:バンダイ)の「リアルホビー・ウルトラマン」の説明書でした。
この「リアルホビー」というのは、1983年ころにバンダイが発売していた“高年齢層向けの怪獣系モデル”です。
この時期は、1975年で一旦終了した“ゴジラ映画”復活へのムーブメントが大きくなっていた頃で、その勢いがウルトラ系へも波及していました。
プラモデルで、ウルトラマン、ウルトラセブン、バルタン星人(2代目)、ゴモラ、ペギラ、ガラモン、ゼットン、ゴジラ、キングギドラなどが発売されており、それらに関節可動とよりリアルな造形を求めた結果がリアルホビーでした。
バンダイは、同時期に「ハイコンプリートモデル」というプラモデル的完成品を発売していましたが、こちらも当時としては画期的な指が動いて銃を握れるギミックを搭載しており、この頃“造形とギミックを両立させたリアル志向の商品”を模索していたようです。
さて、このリアルホビー、バルタン星人(初代)、ウルトラマン、ガメラ、大魔神、ゴジラが発売されました。
いずれもある程度柔軟な材質を使用して表面のモールドをかなり細かく再現している商品でした。
ことにウルトラマンは、手足に針金を内蔵して肘・膝を曲げることができ、目とカラータイマーが光るという優れものでした。
ただし、成形色は一部のクリアパーツを除いてグレー一色で、自分で色を塗らなければならない仕様でした。
このリアルホビー・ウルトラマンのもう1つのウリが3タイプのマスクの再現でした。
知らない人はいないと思いますが、一応念のために説明しておくと、ウルトラマンの顔は、当初口を動かす予定だったためにラテックス製(Aタイプ)で、結局動かさないことになったため同じ型からFRP(グラスファイバーという説もあり)で作り直したもの(Bタイプ)、新しい型で作り直したもの(Cタイプ)の3種類があります。
Cタイプが一般に知られているウルトラマンの顔で、ゾフィーや新マンもこの顔です。
BタイプはCタイプより口の幅が狭く、Aタイプは材質の関係で皺だらけになっています。
ちなみに、Bタイプになった際、ウルトラマンのスーツそのものも新調されており、胸板を厚く上腕部を逞しく作り直され、なぜか爪先が尖っています。
AとCは、序盤と終盤に使用されたため、スチール写真などでよく見かけますが、Bは使用期間は一番長いのに、中盤使用ということもあって、スチール写真もあまり見かけず、その分マイナーなようです。
『メビウス』劇場版では、ウルトラマンの顔をAタイプで再現したというのをウリにしていますが、ウルトラマンが異様に年寄り(ゾフィーよりも!)に見えるので、鷹羽的にはどうも気に入りません。
これには、ゾフィーや新マンとの差別化を図るために顔をAタイプにしたという噂もあり、特に体の模様が似通っていてロングショットではほとんど見分けのつかないゾフィーのことを考えると、顔を変えたくなるのもやむを得ないかという気はします。
こんな話を元締としていて、どうせならBタイプを再現すればいいのにと言ったところ、元締から「Bタイプだと見分けのつかない人も多いから」と言われました。
そんなことないと思うけどなぁ…。
閑話休題。
リアルホビー・ウルトラマンは、目を光らせる都合上、顔の前部(スーツで硬質パーツになっている部分)全体がクリアパーツになっていました。
要するに、目以外を自分で銀色に塗るわけですが、3種類の顔のパーツを同梱して取り替えられるようにしたのです。
たしか、Bタイプの顔に合わせて、爪先の尖った足首のパーツも同梱されていたと思います。
多分、一般商品としては初めてA・B・C3タイプの顔の差異を意識して制作されたものでしょう。
そして、ウルトラマン関連のマスプロ製品として初めて目とカラータイマーが光る商品でもありました。
あまり実感は湧かないでしょうが、ウルトラマンは常に目が光っているヒーローのエポックでもあります。
目の光が消えるのは、意識を失った時や死んだ時だけ。
鷹羽が幼い頃、親戚から貰ったウルトラマンのムックでテレスドンと戦うウルトラマンの写真を見て、暗い中に光る目の存在感にえらく惚れ込んだものでした。
今に至るまで、要所要所で目を光らせるヒーローはいても、常に光りっぱなしというのはそうはいません。
なぜなら、スーツアクターの視界が狭くなるからです。
例えば宇宙刑事ギャバンの場合、目が光らないアクション用のマスクではゴーグル部分全てが視界になるのに、目が光るアップ用マスクだと電飾パーツが障害物となって著しく視界が狭くなりますね。
そういう位置的なものだけでなく、ウルトラマンの視界は、覗き穴が目の光の影響を受けるため最悪です。
ウルトラマンの目の光る仕組みは、簡単に言えば懐中電灯のようなものです。
その端っこに穴を開けているわけですから、光の反射の影響をモロに受けるのです。
目の脇で懐中電灯を光らせてみれば、どれほど見づらいか分かるでしょう。
この目の光は、ウルトラマンのアイデンティティの1つとなっており、雑誌などでウルトラマンの目が光ってなくて黄色一色だったりすると、妙に安っぽく見えて興醒めしてしまいます。
ウルトラマンAの目には微妙な光の模様がありますが、『T』客演時には、スーツが違うらしく目の光り方が違い、そのため印象が変わっているくらいです。
円谷は、ショーに対しても相当シビアだそうで、チームによって貸出する衣装のレベルを変えるんだそうです。
円谷直系のチームによるアトラクションショーでは、ちゃんと目もカラータイマーも光っているウルトラマン達が登場し、ステージが少し暗くなると、とても雰囲気が出ます。
『G』当時、ショー用の“白い目でゴム製スーツのウルトラマングレート”を見たときは、ほとんど別物のように感じました。
ウルトラマンのもう1つの特徴として、カラータイマーが青点灯から赤点滅に変化するだけでピンチを演出できるというのがあります。
子供のころ、ウルトラマンごっこをするのに、赤く塗った牛乳瓶の蓋の上に青く塗ったのをかぶせ、途中で青い方を剥がしてピンチを演出した人は多いと思います。
目とカラータイマーがいかにウルトラマンのキャラクター性を支えているか分かろうというものです。
元々カラータイマーは『ウルトラマン』企画段階では考えられておらず、撮影段階で、合成に手間の掛かる戦闘時間を短くするための方便として付け足されたものだそうです。
ですから、ウルトラマンの当初のデザイン画にはカラータイマーは付いておらず、それに基づいて作られた変身シーン用のパースモデルにも付いていません。
ファミリー劇場で放送中の『ウルトラマン』の変身シーンを注意して見てみると分かります。
カラータイマーは、“戦える時間が短い”ことを視覚的に表現するためのパーツなんですね。
今にしてみると、それがいかに素晴らしい発想だったかが分かろうというものです。
ところが不思議なことに、ウルトラマン系の商品で、目とカラータイマー両方が光るものはほとんどありません。
鷹羽が思いつく限りでは、このリアルホビー・ウルトラマンと「ウルトラの星計画」シリーズ、メビウスのBGMヒーローズくらいです。
スーパー戦隊やライダー系は、ガシャポンやプライズで、光るデフォルメ系アイテムが多いですが、ウルトラ系はあまりありません。
これは、1つには、光る場所が頭部と胸部に分かれているせいです。
光らせるということは、電池や電子部品、発光パーツを内蔵する必要があるわけですが、目と胸両方を光らせるようとすると、発光パーツが2つになる上、首の部分にコードを通す必要があるわけです。
そのため、構造が複雑になるためコストがかかるのと、首の内部にある程度の空洞を用意しておかなければならないというのがネックになるのです。
前掲のウルトラマンのライトはカラータイマーが光るわけですが、胴体部に電池等が入っていますし、ネクサスは電飾装置が頭部だけに収まらなかったため、胸にまで発光部を設けられなかったようです。
前述の「ウルトラの星計画・ウルトラマンティガ」の場合、胴体部に電飾システムが内蔵されていますが、首にコードを通す関係で、首の回転ギミックがオミットされています。
恐らく首に回転機構を付けると、コードが引っかかってよじれ、断線する危険があるからでしょう。
また、電飾装置のサイズの関係か、腰部の左右方向の可動はありません。
「帰ってきたウルトラの星計画・ウルトラマンマックス」の場合は、その辺が改良されているようですが、少なくとも構造が複雑になる分高額化するのは間違いないわけで、やはり敷居は高いようです。
メビウスには、各関節が可動して、目が光り、カラータイマーが青点灯→赤点滅に変化、点滅音あり、しかもメビウスブレス点灯という究極の「ウルトラの星計画」を期待したいところですが…そんなことしたら、一体いくらになるのでしょう…。
とりあえず、デフォルメのプライズでいいんで、なんとか目とカラータイマー光るメビウス出してください。