スーパー戦隊の秘密基地・地球署「特捜戦隊デカレンジャー」
第7回 フルブラスト・アクション
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更新日:2004年10月10日 | |||
見に行ってきました、劇場版『フルブラスト・アクション』。 既に4年連続となった劇場版は、今回も視覚的な部分で豪華な、テレビでは見られない画面でした。 シナリオ的には、例によって流れが読めてしまう内容の薄いものではありましたが、とにかく派手なアクションの連続で、見応え十分。 加えて、出番の少ないブレイクも、初戦でのガスドリンカーズの攻撃で5人が動きを止められた中、ただ1人避けて反撃しているなど、力の差を上手く見せています。 テツはその後、レスリー星へ行ってしまい、鷹羽の予測どおり、ほとんど出番がありませんでした。 前回書いたとおり、テレビのメインとペアを組んでの収録になっていたせいですが、パンフレット収録の座談会では、レスリー星での調査に時間が掛かりすぎだと突っ込まれたテツ役の吉田氏が「テレビの(撮影の)ほうでがんばってました」と、まんまな発言をしています。 さて、この劇場版、前記のとおり脚本的には見るべきものはありません。 ストーリーは、 デカレンジャーは、地球にやってきた特凶犯罪者ガスドリンカーズからウイルスの入ったカプセルを奪い取った。 そのウイルスを開発したレスリー星とは連絡が取れないため、ヌマ・O長官直々の指令でテツが調査に赴き、残った5人は地球にいる異星人達から情報収集を始める。 そんな中、バンの前にレスリー星のスペシャルポリスであるマリー・ゴールドが現れる。 マリーの報告によれば、そのウイルスによってレスリー星の住民全てが機械奴隷に変えられてしまい、マリーはガスドリンカーズを追って地球で潜入捜査をしていたのだという。 地球署はマリーと協力して捜査することになるものの、実はマリーは住民を元に戻すためのワクチンと引き替えにガスドリンカーズの僕となっており、ウイルスを盗んで脱走する。 ガスドリンカーズのボス:ヴォルガーは、アブレラにウイルスとワクチンをセットで売りつけるために地球にやってきたのであり、マリーに命じてウイルスを奪還させたのだ。 マリーの後を尾けた5人にアジトを発見されたヴォルガーは、ウイルスをマリーの体に注入してしまう。 数時間後には、マリーの体で繁殖したウイルスが外に出て、地球全体に蔓延してしまうため、その前にヴォルガーからワクチンを奪わなければならない。 という至極単純なもので、下手をすると、普段のテレビのエピソードより粗の多い脚本です。 なにしろ、ガスドリンカーズがわざわざ地球くんだりまでウイルスを売りに来る必要性は全くない上、莫大な金額でアブレラに売るはずだったウイルスを、いくら奪われないためとはいえ、地球で消費してしまっては全く意味がないからです。 また、デカレンジャー側でも、連絡が取れなくなっているレスリー星から来たマリーの言葉をそのまま信用して署内に入れてしまい、レスリー星に調査に行っているテツと連絡を取ろうともしていないのは迂闊と言えるでしょう。 短時間ながら時間を止められるマリーがガスドリンカーズに一矢も報えず敗れていることも疑問と言えますね。 また、座談会でもセンちゃん役伊藤氏が突っ込んでいますが、バンがマリーに会ったバーでは、一緒に聞き込みに行ったはずのジャスミンが消えてしまっています。 ただ、この4年間のスーパー戦隊シリーズ劇場版は、尺の関係もあって、どちらかというと視覚効果重視のお祭り編といった趣が強く、シナリオよりはむしろ普段より大きな爆発や、大掛かりなアクションなどを強調していると言えます。 この点、1本の映画として、1時間を超える作品になっている仮面ライダーシリーズとは一線を画しており、スタッフもその辺を割り切っているのでしょう。 その意味では、4人の敵のうち男3人に対してレッドらが1人ずつ当たり、女の敵に対してイエローとピンクが組んで戦い、それぞれトドメを刺すというバトルに次ぐバトルの展開は、非常にうまくいっています。 マシンハスキーを空中で横滑りさせながらウインスキーの乗る車を破壊するブルー、ジャンプからの空中で連続攻撃を加えるグリーン、華麗なペア攻撃を放つイエローとピンク、建物を垂直に駆け下りながら互いに銃撃を加えまくるレッドとヴォルガー、使用料の高いヘリコプターに乗って登場するマスターなど、クレーンによる吊りなどを多用しての大規模なアクションが連続します。 クレーン撮影は、撮影角度や吊りのロープの染色(空の色に塗る)、持ち上げた直後のロープの揺れが収まるまでの時間など、非常に手間が掛かるので、普段のテレビ撮影では多用できない面があるんですね。 レッドとヴォルガーの銃撃戦は、互いに2丁拳銃、無駄な動きの多い射撃スタイルと、共通点を作ることで、同種のアクションで対決していることも効果が大きいですね。 まして、普通なら、合成を使ってパトジャイラーの上に乗って駆けつけるとかするだろうに、ヘリで登場するマスターなど、劇場用ならではの経済力を遺憾なく発揮しています。 イーガロイドが3体登場しているのも、さりげに予算の有効利用と言えるでしょう。 これは、後でテレビにそのまま登場させられます。 また、シーンが次々と切り替わるのは、先にジャッジメントを済ませているという展開が大きく作用しています。 デリート許可が出た後でなら、アクションの流れを止めることなくスムーズにトドメに持っていけるからです。 これが、もし4体の敵1人ずつに対してジャッジメントしていたら、チーム分けして戦ってなんかいられなかったでしょう。 というより、普段のジャッジメントタイムがいかに流れを阻害しているかという傍証とも言えますね。 とまぁ、主にアクション編なので、とにもかくにもバンとマリーのロマンスが描けている分、頑張っていると言えるでしょう。 無意味なまでに熱い男:バンが非常にいい味出していました。 そして、すっかり恒例の劇場版特別バージョンのロボット! 純粋に劇場版オンリーだったのは『ガオレンジャー』のガオナイト(ガオコング)だけですが、ともかく、テレビ本編には当分登場しないであろうフルブラストカスタムは、背景が暗めのこともあって、非常に映えました。 ブラストバギーを操縦していたのがブレイクだったこともあって、“なんでスーパーデカレンジャーロボじゃないの?”という疑問も当然浮かぶわけですが、そこはそれ、お祭りですから。 個人的には、やはりブレイク操縦ではない方がよかったと思いますが、そう大きなマイナスでもないでしょう。 レスリー星の全員が機械奴隷ということは、マリー以外のスペシャルポリス(当然いるはず)も犠牲になっているはずですから、ブレイクが操縦するか自動操縦にするしかないわけです。 あそこでデカバイクが壊れていたりするというのも考え物ですし、やむを得ないのでしょうか。 後は、テレビにどのような形で再登場するかですね。 せっかく型まで起こして作ったんだし、これっきりってことはないでしょう。 去年のバクレンオーなんかもテレビ終盤で再登場してますし。 ほかの見所としては、これも恒例の特別バージョンEDでしょうか。 今回は、テレビ版のOPもノーマルEDもあまり劇場版ED向きではないので、『girls in trouble DEKARANGER』の替え歌合唱バージョンだろうとは予測していましたが、正直あそこまで変えてくるとは思っていませんでした。 『THE MOVIE VERSION! DEKARANGER』とタイトルも変え、歌詞がほとんど原型を留めないほどに変えられてしまっていたのには感心してしまいました。 また、ラストに、劇場で見終わったドギーとスワンが映って感想を言っているシーンがありますが、これがテレビ30話EDインサート部での「俺は(劇場版を)見たぞ」「良かったわよぉ」に繋がるわけですね。 ちなみに、ガスドリンカーズの面々は、さすがに「ドリンカーズ」だけあって酒の名前から付けられているようで、ヴォルガー(ウォッカ)、ブランデル(ブランデー)、ジーン(ジン)、ウインスキー(ウイスキー)となっています。 また、人間体を演じているのが、それぞれ遠藤憲一(貴公子ジュニア)、田村円(ザイドス)、天祭揚子(マゼンダ、ガラ)、岡元美登(ブーバ、Dr.アシュラ等)という、過去のスーパー戦隊シリーズで悪の幹部を演じていた人達だったりして非常に豪華です。 ヴォルガー以外は、人間体でいる時間もセリフも少なくて勿体ないですが、その分ヴォルガーは、ジュニアを彷彿とさせる演じ方(わざとそうしたそうです)をしており、昔からの戦隊ファンには嬉しいところでしょう。 ほかにも、宇宙人バーで歌っている宇宙人マイクル・マイクソン(テレビEDに映っているヴォーカリスト)の声で、ささきいさお氏が特別出演していたりします。 ただ、地球に住む宇宙人役として友情出演のウェンディーヌとフラビージョ(本当にそういう役名だった)は、どういう冗談だったんでしょう? 2年前の作品出演者の友情出演ってのは珍しい…のはともかく、あの格好ではなかったんだし、役名くらい変えたっていいと思うんだけどなあ…。 → NEXT COLUM |
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