スーパー戦隊の秘密基地・地球署「特捜戦隊デカレンジャー」
第6回  さすがの時間差撮影
鷹羽飛鳥
更新日:2004年9月9日
 前回「弱体化しないで」と書きましたが、デカブレイクは登場早々にその他大勢レベルに弱体化してしまいました。
 登場編翌週の24話『キューティー・ネゴシエーター』では、アルパチにあっさり捕らえられてしまいますし、他の話でも特に活躍しません。
 とはいえ、無意味に弱体化したわけではないのです。
 今回は、その辺について考えてみました。


 今年も劇場版の季節がやってきました。
 それでなくてもスケジュールがきつい毎週放映作品なのに、更に劇場版の撮影が同時進行で進むというゴールデンウイーク前の週刊誌連載並のハードスケジュールです。
 同じようなスケジュールを抱える仮面ライダーシリーズでは、『龍騎』は総集編モドキやドタバタコメディで誤魔化し、『555』では流星塾メンバーの内ゲバで時間を稼ぎました。
 その点、『デカレンジャー』は非常に巧く誤魔化しています。

 それがデカブレイク:テツなのです。

 劇場版撮影中と思しき期間には、20話『ランニング・ヒーロー』(バン)『キューティー・ネゴシエーター』(ウメコ)25話『ウィットネス・グランマ』(セン)26話『クール・パッション』(ホージー)27話『ファンキー・プリズナー』(ジャスミン)という具合に、主役となるキャラとテツ以外はほとんど画面に顔を出さない話が続きます。
 その上、28話『アリエナイザー・リターンズ』29話『ミラー・リベンジャー』では、テツ自身が主役となり、バンが絡む形になっています。
 これは、裏を返せば、メインとなる役者2人以外は劇場版の撮影に専念できるということを意味します。
 ついでに言うと、28話『アリエナイザー・リターンズ』は、よくある再生怪人話であり、この回だけの新キャラと言えば黒ずくめの戦闘員もどきが1人だけでありながら、次回活躍する天才犯罪者ジェニオとテツの因縁話を絡めることで話を単純化させないようにしています。
 また、再生怪人は弱いのではなく、デカレンジャーは常に研究と訓練を怠らず、一度戦った相手には二度と負けないのだという方向でまとめるという上手い作劇でした。


 話を戻しましょう。
 スーパー戦隊では、主役話にはほかのキャラがあまり絡まない話が多いですが、『デカレンジャー』の場合、ほかのキャラから完全に切り離されてしまうとこれまで描いてきたチーム性が希薄になってしまいます。
 ですから、掛け合いをさせるキャラクターを最低あと1人配置することが望ましいわけですが、まさか所長であるドギーが出歩くわけにもいきません。
 そこでテツに白羽の矢が立ったんですね。
 ちなみに、センは単独行動でしたが、それにはきちんと“誰にビョーイが取り憑いているか分からない”という1人で行動する合理的な理由が与えられています。

 デカブレイク登場後の個人話では、25話でセンが単独行動を取る以外は、全てテツが主役に絡んでいます。
 これを、テツ中心にしてしまうと5人が弱くなりすぎますし、話数的にもテツ主役が連続してしまうことになるのでバランスが悪くなります。
 そこで、主役をテツと掛け合いさせることで、テツのキャラクターを掘り下げつつ既存のキャラを浮き立たせようというわけです。
 そして、テツは、今後ともある程度のウエイトで登場し続けるわけですから、『555』の流星塾の面々やデルタのようにキャラが薄くなったり話が破綻したりという弊害は生まれません。

 ただし、唯一の弊害が、ブレイクが弱くなってしまうということなのです。

 いかにスーパーエリートの特凶といえど、毎回のようにメインのキャラを食ってしまうほど活躍されては困ります。
 そうなると、最初に書いたように、相対的にブレイクが弱くなってしまうんですね。
 本来単独で5人以上に活躍できるはずのブレイクは、5人のやっていることにいちいち感心しながら3歩下がって歩く後輩にならざるを得ません。
 また、2人で掛け合いをする以上、いつもいつも角突き合わせているわけにもいきませんから、意見の対立を連発することもできません。
 こうして、テツは必要以上に急速に5人と馴染んでしまったわけです。

 無論、それだけが理由でテツが前面に出ているわけではありません。
 新キャラであるが故に、ある程度画面に顔を出し続けている必要があること、スーパーデカレンジャーロボ(超巨大合体ロボ)を登場させるために必要なキャラであることなど、ほかにも画面への露出を必要とする理由はあるのです。
 ただ、それにしても、5人がこれまでどおり常にチームで動いていられたなら、テツは初期のガオシルバーのようなセミレギュラー的存在でいられたでしょう。
 ブレイクの強さを多少犠牲にしてでも、撮影と役者のスケジュールを優先させた…ということだと思います。


 さて。

 きっぱりはっきり断言して書いていますが、実のところ、これを書いている現在、鷹羽は劇場版の情報をテレビCMでしか見ていないので、テツがどれくらい画面に出るかは知りません。
 つ・ま・り、テツが劇場版本編にどれくらい絡むキャラなのかは、実は全く分かってなかったりします。
 そんなんでこんなに断言していいのか? という疑問も多少ありますが、鷹羽得意の展開予測というやつでして。
 誰かさんが耳からアンテナ出して「るーるーるー」と言っている姿が脳裏に浮かんでいますから、多分大丈夫だと思います。
 まあブレイクはともかく、テツはほとんど登場していないでしょう。

 そんなわけで、見る前から逆説的に内容を予測してこんなもの書いてるわけですが、多分大丈夫…だと…思います。




 → NEXT COLUM
→「気分屋な記聞」トップページへ