スーパー戦隊の秘密基地・地球署「特捜戦隊デカレンジャー」
第8回 スワットモード・御!
鷹羽飛鳥
更新日:2004年11月14日
 前回、劇場版の話の中で「イーガロイドが3体登場しているのも、さりげに予算の有効利用と言えるでしょう。これは、後でテレビにそのまま登場させられます」な〜んて書きましたが、34話『セレブ・ゲーム』で、早速3体とも登場してしまいましたね。
 やはり、毎回巨大ロボと等身大怪人、場合によっては被害者の着ぐるみまで作るということもあって、『デカレンジャー』の台所事情はかなり厳しいようです。

 そんな辛い戦いの日々に、強力な助っ人が登場しました。
 その名はスワットモード!
 今回は、そんなお話です。
 
 
 33話『スワットモード・オン』から、デカレンジャー・スワットモードが登場しました。

 1回限りでない5人揃っての二段変身(増加装甲)としては、『地球戦隊ファイブマン』のファイブテクター、『星獣戦隊ギンガマン』の獣装光に次いで3つ目となります。
 『ファイブマン』では、両肩、両下腕、両すねに増加アーマーが付きましたが、防御力アップとそれに伴う体当たり技が主力で、特に武器はなく、商品化もされませんでした。
 『ギンガマン』では、「うなれ、銀河の光!」の叫びと共に、5人に腕輪・足輪が付いたり、星獣剣にパワーアップパーツが付いたりするほか、追加武装として左手に獣装の爪というかぎ爪型の武器が増え、商品展開の方でも、それまでに発売されていた星獣剣に装着するパーツなどが入った銀河の光セットというのが発売されました。
 ただし、これらはいずれもそれまでのスーツを素体としたパワーアップであり、いかにも増加アーマーといった趣です。

 ところが今回は、頭部の形状が変わり、手持ち武器まで全く違うものを持つようになっています。
 正直、ボディアーマーの方は無骨すぎて好きになれないのですが、耳のサイレン部分がむにゅっと浮き上がってアンテナやマイクが生えてくる描写には、メカニックとしてのバージョンアップがなされていることが感じられ、なかなかいい感じです。
 ただ、スワットモード専用武器のDリボルバーは『特救指令ソルブレイン』のパイルトルネードそっくりで、ケルベロスΔの代わりにSPライセンスをセットするなど「まんまだな〜」と思ってしまいますね。
 強化バージョンのソフビ人形が発売されたのも今回が初めてのはずですが、不思議なことにレッド、ブルー、グリーンの男性3人分しか発売されず、女性陣2人の分は今のところ発売予定はないようです。
 やっぱり、あそこまで無骨なデザインだと女性らしさがなくなるし、買ってくれる子が少ないという読みなんでしょうか?
 でも、5体揃えたい子というのも相当数いるような気はしますけどね。
 大きなお友達だけなんでしょうか?


 ところで、33話でブンターの「SPライセンスにスワットモードを転送しておいた」という台詞があったため、スワットモードがSPライセンス内蔵と思っていた人も多かったようで、翌34話のナレーションで、デカベースからの転送方式だと説明されたことに多少の混乱もあったようです。
 鷹羽的には、スワットモードの装備は予めデカベースに用意されており、ブンターが転送したのは“スワットモード発動用のプログラム”もしくは“スワットモード制御用のプログラム”だったと思っています。
 スワットモード発動やDリボルバーフルパワーの際には、SPライセンスをセットしていますから、SPライセンスに何らかの制御システムが転送・付加されたことはまず間違いありません。
 これだけでは、ブンターの台詞がそういう意味だという理由にはなりませんが、少なくともスワットモードをSPライセンスに内蔵するためには、物理的にデカメタルを収納させる必要があるわけで、それを「転送しておいた」と表現することには違和感を感じます。
 どうせスワットモードは、5人専用ではなく宇宙警察共通の特殊装備ですし、元々地球署に保管されていた物があったか、ちょうど5人が訓練しているころ本部に行っていたテツが受け取って帰ってきたと考える方が自然だと思います。
 
 
 さて、冒頭に書いた「強力な助っ人」とはどういう意味かというと、まぁ、商品が増えるというのもあるんですけど、それ以上に等身大怪人が楽になるからなんですね。

 例のマッスルギアの存在です。

 ちょっと思い出してもらいたいのですが、ここ数回、等身大の怪人は首から上だけの着ぐるみで、下は単なる服といった感じの者が多いです。
 頭だけなら制作費も浮きますし、スマートな宇宙人も以前から結構出ていますから、手抜きには見えません。
 そして、戦闘時にはマッスルギアを着用することで、戦闘能力大幅アップに説得力を持たせ、なおかつ首から下の着ぐるみの使い回しが利くという1粒で2度おいしい状態。
 これは、かつて『大戦隊ゴーグルV』の巨大ロボ:コングで、上半身だけ等身大怪人のものを使用して下半身は使い回していたことに似ていますが、コングでのあからさまな使い回しとは一味違います。
 マッスルギアはアブレラが扱っている商品ですし、34話でアブレラが改良を加えてパワーアップしているという説明を入れたことで、“前に戦ったときより強くなっている”ことに今後も違和感が出ません。
 元々戦闘能力を上げるためのアイテムとして登場したのですから、非力なアリエナイザーなら、マッスルギアを使う(アブレラが売り込む)のはむしろ当然ですらあります。

 この手の番組に登場する宇宙人というのは、大抵は倒すべき敵であり、当然戦闘能力が求められます。
 また、悪者に追われる側として登場しても、追われるに値する何らかの特殊能力を持っているのが常であり、以前から、宇宙で特殊な能力を持っていないのは地球人だけなどと揶揄されたりしています。
 ところが、このマッスルギアは、特殊能力を持っていない宇宙人でも強力な敵に変える力を持っているのです。
 極論すれば、役者が顔を出したままマッスルギアを着て登場したとしても、地球人型のアリエナイザーがマッスルギアを着たという扱いになるわけです。
 これは上手いやり方です。
 マッスルギアを着るだけである程度の戦闘能力が保証されるため、イコールスワットモードの必要性に繋がりますから、この手の番組にありがちな強すぎる装備をもてあまし、不必要なところで強力な武器を使うという悪癖に陥る危険も軽減されるわけです。
 欠点としては、マッスルギアを着用せず、ノーマルのデカレンジャーに倒されるアリエナイザーは弱いという印象を持たれてしまうことでしょうか。
 37話『ハードボイルド・ライセンス』に登場したマイク星人クロードなどは、ブルー1人で倒せるほど弱い宇宙人でしたが、それだけに、“恋人の弟を自分の手でデリート”という重たいストーリーにできました。
 ここで、5人揃ってDリボルバーフルパワーで射殺したりしても、あの重さは出ないでしょう。
 この辺は逆転の発想で、大変上手かったと思います。
 Aパートで、隠れているクロードを探すのにスワットモードのサーチシステムを使ったりと、装備を画面に出すことも忘れません。

 個人的には、必殺技を使うとき以外はスワットモードになる必要が感じられないスワットモード専用ロボ・デカウイングロボの存在が気になるところですが、もうしばらくは温かい目で見守ろうかと思います。
 あとは、装備に差を付けられてしまったブレイクがどこまで弱体化するかが気がかりってとこですか…。




 頼むよ、おい。



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