SECRET 第33回 ■ 和風堂玩具店 ぱにぽにだっしゅ!「橘玲」
2006年9月10日 更新
ここでは、タイトル画像に利用したフィギュアをご紹介。
うわ、気づいたら二ヶ月半ぶりの更新じゃんか!
今回は、数ヶ月前の最大の話題作、ぱにぽにの橘玲です。
登場作品はともかくとして、この商品は色々語る所が多いので語っていきたいと思います。
商品は、橘玲の特徴的な制服姿ではなく、なんと裸ワイシャツ!
裸ワイシャツ道三段を自認する筆者としましては(なんだそれ)、前々回のみずほも良かったですが、今回の様にちょっと横幅がある体型の方が、裸ワイシャツ姿は映えるものなのです。
あと、丈の長さね。
体格よりも一段小さい物を身につけて、マイクロミニ状態にするのが良いのです。
実によくわかってる原型師さん(ぽりご氏)です!
ここは是非、裸ワイシャツ四段の資格を捧げたいと思います。
というわけで、橘玲。
2005年7月〜12月まで、テレビ東京系で全26話放送された「ぱにぽにだっしゅ!」のヒロインの一人。
2006年8月30日発売で、定価7,329円(税込)。
高さは約22センチ(台座含まず)、台座の直径は約8センチ。
ポージングの都合で、台座なしでは飾れません。
左足の裏と左ふくらはぎの二箇所で固定しています。
多分、この固定位置なら湾曲はしないと思うです。
保証はしないけど。
やや両脚が開き気味ですが、適度な幅のある腰つきと少し太めの脚、ぷっくりした巨乳が良い感じ。
商品画像初公開時、予約が瞬時に満了したのも(後述)納得です。
身体の微妙なしなり具合もいいものです。
スレンダー体型至上主義の人にはあまり好まれないかもしれませんが、こういう体型の女性の方が抱き心地が…いやあのその(暴走)
と、訳のわからん話はおいといて、いつもの旋回撮影。
右横側と後ろ姿が、特に色っぽいですね。
特に、下着の圧迫によって形が歪んでいるヒップが妙にリアル。
顔アップ。
メガネは透明プラ製で、顔側面と前髪パーツの隙間になんとなく挟んで固定する形式。
どうも明確なガイドがないようで、特に左側の固定が甘くややメガネがズレてます。
メガネは取り外し可能。
予備はないので、取り外した後になくさないように注意が必要。
顔はなかなか可愛らしく出来ています。
ワイシャツ自体は、みずほワイシャツVer.同様透明軟質素材に吹き付け塗装で再現されています。
前が閉じられていないので、無理矢理開く事も可能。
ただし開いた状態で固定は不可能なので、どうしてもという時は、このようにワイシャツの端を丸めて胴体に挟み込まないといけません。
ワイシャツパーツによる厚み増加を計算に入れているためか、中身の胴体は結構細め(若干バランスが悪い?)に作られています。
でも、作るべきところはしっかり作られているところは、さすがですな。
胸の谷間から腹部、下半身にかけて。
普段見えない部分なのに、このこだわりよう。
いい時代になったものです(ぉ
胸だけマンガ胸なのがちょっとアンバランスですが。
個人的にはリアル胸にして欲しかったかな。
顔とのバランスが崩れるけど。
で、こう見せられると、どうしても気になってしまう胸の先端部ですが…
ガバッと。
原型(というか、これより前に発売されたガレキ版)ではあった乳首は、この製品化にあたって省略されました。
大変残念な仕様変更ですが、これはもう仕方ないのかな?
話によりますと、メガハウスのこより以降、乳首再現は完成品製品化にあたっては自粛するような傾向が業界内に広まっているらしいですが、本当なのでしょうかね?
ま、確かに、去年か今年の頭辺りにこれが発売されていたら、乳首付いていたような気もしなくもないですね。
一応、先端にあたる部分には「まるで乳首をペーパーで大雑把に削り落とした」かのような痕跡がみられ、若干色味の異なる彩色が施されています。
写真だとわかんない。
ポージングの都合で左胸を開くことができないのですが、形状は右と同じ処理。
ちなみにワイシャツ自体の除去は、腕を強引にもぎ取らない限り不可能です。
なんかもうたっぷりやっているような気がするんだけど、一応のお約束。
なんつーか、わざわざこんな角度から見なくても、充分アレな気がします。
右手に持つドリンク缶には、作品ロゴが。
色はどー見てもドクターペッ●ー系だよなあ、ウン。
こちらパッケージ。
サイズは、縦23センチ×横18センチ×奥行7センチ。
この手の商品としては、異様にコンパクトにまとめられています。
反面、箱は透明プラ(ブリスター?)のみ、中身は台紙と薄いブリスターのみで豪華さに欠けますが、箱の豪華さを絶対視する人は少ないでしょうから、これはいいんじゃないでしょうか。
なお、本体はタカラトミーの某商品シリーズのごとく、ハリガネで巻き付け固定されています。
箱に戻すときは、ちょっと手間がかかるかもしれません。
【買ってみて一言】
人によって好き嫌いが分かれる微妙な造型ですが、完成度そのものはかなり高いと思います。
また、こういうコスチュームというか、シチュエーションがたまらなく好きだという人には、充分オススメできます。
よく「ボディバランスが悪い」という意見を目にしますが、これは先述の通り、ワイシャツパーツによる膨張を前提とした造型なわけですから、仕方ないでしょうね。
それを許容できるかどうかが、大きな分かれ目なのかもしれません。
筆者個人としては、近年購入した物の中でも、かなりのお気に入りにランクインしています。
ただ、果たして7000円超えという高価格に見合ったものかどうかというと、なんともいえません。
いやまあ、場所によってはいまだ入手困難みたいなので、確かに値段が云々などとは安易に言えない状況でありますが…
どちらにしろ、実物を見て気に入ったら買い、欲しいなと心のどこかで思っていて、商品を見かける機会があれば、押えておいて損はないかもしれません。
さて、この橘玲。
元々は、冬のワンフェスにて出典されたガレージキットが原型でして、後に和風堂玩具店が完成品販売を告知。
どうも当初からの予定だったようで、ワンフェス→発売告知までのコンボは妙に迅速でした。
発表は2006年の3月頃。
当初の発売予定は6月末でした。
元々ワンフェスで注目を浴びていたせいか、それとも見た目で注目を受けたのか、予約はあっというまに満了。
久々に、瞬殺レベルの超高速展開が発生しました。
二次予約待ちの人は、その後ネット上で情報をひたすら待ち続ける事になり、持久戦へ突入。
四月から五月頃は、(まだ出ていないけど)品薄というイメージが広まりまくりで、相当な数のマニアが焦り始めていました。
それでも、一応予約は順当に行われてはおり、一箇所満了になってもしばらくするとまた別な所が開始、それが終わるとまた別な所が…という感じで、それなりに予約数は増えていきました。
当然、そのすべてに出遅れた人は、この頃もっとも胃を痛めていたと思うのですが…
しかし。
五月中旬辺りから、だんだん雲行きが怪しくなり始めてきました。
なんと、まだ発売まで数ヶ月あるというのに、いくつかの店舗が早々に「予約キャンセル」を告知し始めてきたのです。
実はこの橘玲、発表後しばらくの間を置き、「限定4000体」という追加宣伝が成されていました。
これが焦燥感を煽ったのか、普通に欲しい人・転売目的の人・確実に確保したいと複数狙いする人すべてを巻き込んでしまい、予約数は相当膨らんだようなのです。
4000体というのは、完成品フィギュアとしては特段少ない数ではなく、そこそこ普通の流通数です。
ただ、そうと知らない人達が焦ったわけです。
過去、和風堂商品ですぐに店頭から姿を消してしまったものがあった事も、影響しているかもしれません。
だから、膨大な予約希望数が実際の入荷数を上回り過ぎたのでしょう。
それで、音を上げた店舗が多く出てきたわけです。
ところが、話はそう単純ではありませんでした。
なんとこの時、和風堂/エンターブレインが各店舗への出荷数を極端に下げてしまっていたのです。
この頃、ある店舗が自サイトに告知した状況によると、「バンダイ MOVIE REALIZATION 仮面ライダーTHE FIRST」は発注数に対して約25%予定、「超合金魂ボルテスV」は100%、「メガハウス エクセレントモデルRAHDX ガンダム・アーカイブス サイド3 G.A.05 ミーアキャンベル」は約88%、その他海洋堂、コトブキヤ、アルター、マックスファクトリー、やまと、グッドスマイルカンパニー、クレオス等はほぼ100%という状況だったそうです(あくまでこの時期の話)。
それに対し、橘玲の納品解答は、たったの2%!!
ちなみに、同時期予約を行っていた同社製品「Fate/stay night セイバー」は、約1.7%だったそうです。
店舗側の怒りが、すごく伝わってきます…
もちろん、すべての店舗がこういう状況だったわけではありません。
ただし、こういった事態が起きているにも関わらず、なんとそれから数ヶ月以上も延々と予約を取り続けているという、不思議な店舗がありました。
エンターブレイン直営店「eb!Store」です。
こちらは、時たま在庫表示が×になる事もありましたが、ほぼ発売直前頃まで予約を継続させました。
なぜそんな事が可能だったのかは、もはや述べる必要はないと思います。
つまりは、そういう事だったと。
実際の所、度重なる延期の繰り返しにより発売は二ヶ月延び(延期期間そのものは短めですが、延期告知が多かったため随分待たされた印象がありました)、その間、待っている人達の間で「実は増産しているのでは」などという憶測も囁かれました。
また、元々待機期間が長かった上の延期ですから、発売直前頃にはすでに興味をなくしてしまった人も多かったようで、ある店舗では予約キャンセルもかなりあったそうです(実は筆者も一体キャンセルしています)。
ヤフーオークションも、発売前に出品されたものは一万数千円単位の落札がありましたが、いざ発売されるとループの繰り返しも多く、意外に人気が伸びません。
当然、以前のような祭り状態も起こらず、なんともあっけない幕切れに終わりました。
否、今でも確かに注目度は高いですし、入手困難な場所もあるにはあるのです。
ただ、それは当初予想されていたものよりも、かなり緩いようです。
結局のところ、「ぱにぽに橘玲」が本当に4000体のみの発売だったのかは、知る由もありません。
ただ、この商品を巡る約半年に渡る状況は、「完成品フィギュアへの希少価値への盲目さ」「予約時と実売時でのユーザーの心情の差異(熱の冷め具合)」「メーカー側の考え方と店舗&ユーザー側の認識の差異」を、これ以上ないほどに白日の下に晒しだしたわけです。
或いは、晒されたのは和風堂/エンターブレインの考え方の問題だったのかも…
ひょっとしたら、予約合戦開始時期に「これのどこがいいんだ?」と、とっととスルーした人が、一番利口だったのかもわかりません。
以前も別な所で語りましたが、筆者個人としては、今回の騒動は昨今の完成品フィギュアバブル衰退化の影だったのではないかと勝手に解釈しています。
なんとなくですが、美少女ガシャポンフィギュアブーム衰退期の頃と、同じような雰囲気なんですよね。
そんな印象を抱かされました。
もちろん、これはあくまで個人的な意見ですが。
ブームはいずれ必ず衰退するわけですが…本当に衰退の兆候が見えてしまうと、それはとても悲しいものです。
今回の問題が、その一端とはならないで済む事を、切に祈りたいものです。