古物倉庫 第12回 ■ 星獣戦隊ギンガマン DX超合金 獣空合体「ギガフェニックス」
2009年6月27日 更新
このページは、現在絶版の商品またはドエラい昔に発売されたアイテムをご紹介します。
「星獣戦隊ギンガマン」2体目の紹介は、29話より登場した3(4?)台目ロボット・ギガフェニックス。
五体の飛行メカが合体して完成する、空中戦用の青いロボ! …なのはいいけど、ギガライノスと共に本編での扱いがちょっと色々とアレだったという、不遇の存在でもあったり。
というわけで、今回はこちらを弄繰り回してみましょう。
尚、例によってこのページの写真の物には、筆者の主義で付属のシールを一切貼っていませんので、あらかじめご了承を。
鋼星獣ギガフェニックス。
元々はフェニックス星出身の星獣で、母星を失い彷徨っていたところを闇商人ビズネラに捕らえられて改造された。
しかも、よりによって五体分離という“ギガバイタスに収納される以外何のメリットもない”機能を付加されてしまい、さらに洗脳までされていたという、シリーズの中でも一二を争う不遇な設定を背負った苦労人。
30話で正義の心を取り戻してギンガマンに協力するようになるのはいいけど、せっかく五体に分離するにも関わらずとうとう一度もリョウマ達に乗って貰えなかった上に、ほとんど「オタスケマンのスケットメカ以下の扱い」でしかなかったという不幸っぷり。
さらにさらに、Vシネマ「星獣戦隊ギンガマンVSメガレンジャー」では、ギガライノスと共に壮絶な死を遂げる凄惨さ。
なんだか、まるでスタッフに嫌われていたかのような、壮絶不幸っぷり。
その辺色々と大人の事情もあったようだけど。
さて、獣空合体DXギガフェニックス。
一応超合金と銘打ってはいますが、同シリーズ「DX超合金
星獣合体ギンガイオー」に比べると合金使用率は低く、感覚的にはほとんど「超合金名義ではない戦隊ロボ玩具」と大差ない感じ。
実際には、股関節やすね部分、肩部フレームの一部に合金が使用されていますが、上半身がほとんどプラ製のためか、とってもアンバランスに思えたり。
やや胴長っぽいフォルムではあるけど、そんなに極端にイメージを損なうスタイルではない感じ。
関節可動は、やはりというか当然というか「戦隊ロボ伝統」の範囲のみ。
要するに、腕が回る程度でしかないです。
正確には、手首が回転するだけちょっとマシ。
脚は、少しだけ左右に開くけどほとんど無可動と考えてOK。
もっともこれは、脚部のギガウイング4と5の接触回避のためのギミックなんだけど。
メイン武器のギガニックブーメラン。
でっけぇウイング!
というか、ほとんどナタ!
この豪快かつ単純明快なデザインは嫌いじゃないんですが、残念ながら分離時は完全な余剰パーツで、どこにも収まりません。
ギガライノスのギガンティスバスターは、ギガホイールの余剰パーツの寄せ集めだったんだけど…まあ、ギンガイオーの銀凱剣も個別に収納されるわけじゃないしね。
本編未使用の必殺武器・ブースターナックル。
別名・余計なところまで飛ばしすぎロケッ○パンチ。
上腕部の中身! まで飛ばしてしまう太っ腹ぶり。
こういうのは是非使って欲しかったなあ。
このギミックは、ちょっと面白い工夫がされているので、詳しくご紹介。
大きさの割には、意外と勢いよく飛び出します。
ブースターナックルパーツは軸の内部にスプリングが内蔵されていて、伸縮可能(ただし、単独では縮めた状態で固定するのは不可)。
先端部がギガフェニックスの拳で、末端部がギガウイング1のブースター部になっているんだけど、実はどちら側もギガフェニックス上腕(肩?)内部に押し込む事が可能です。
ギガウイング時には拳部分を内部に差込みますが、この時はスプリングは伸びた状態で固定。
ギガフェニックス時はブースター部分を内部に差込みますが、この時スプリングは縮んだ状態でロックされます。
このギミックのせいで、分離時と合体時で機体の長さが変わるという、楽しい機構になっています。
パンチ発射スイッチは、かなり異色の構造。
従来の玩具のように、スイッチを小型化するとかモールドの一部っぽく加工するのではなく、逆に大型化して上腕部の裏面を大きく包み込む構造になっています。
これにより、パンチ発射ボタンを押すのではなく「上腕パーツの一部を動かしてパンチを発射する」という、一風変わったギミックが味わえます。
一応従来のような小さなポッチ状スイッチ部もあるんだけど、正直これはかなり押し辛い上にレスポンスが悪いです。
ギガウイング5機。
ギガバイタスから離陸する場面でのみ登場し、すぐに合体してしまうためほとんど活躍の場面がなかった悲運の戦隊メカニック。
よく見ると、それぞれとても個性的な形をしていて、魅力的なんだけど。
ちなみに、収納可能なランディングギアはまったくありません。
正確には、3のみ変型の都合で横に倒れる脚があるけど、それ以外は底面部にポコッと盛り上がりがあるだけ。
ランディングギアがあるだけで、飛行機メカとしては評価が段違いになっただろうに、ものすごく悲しい。
ポピニカ伝統の、収納式のアレが欲しかったなと思っちゃうわけです。
ギガウイング1。
ギンガレッド搭乗……のつもりで設定されたんだろうなあ、きっと。
ちなみにWikiノギンガマンのページでは、なぜか2と間違われて記述されてします。
双胴機を思わせるスタイルで、前述のブースターが目を引きます。
それに、形状のせいかどことなく旧世代のレシプロ機を連想させるラインが秀逸です。
でも、個人的には尾翼に相当するものが欲しかったぞ、と。
ギガフェニックスのとさか部分を屹立させて、尾翼に出来れば…って、それはそれで変か。
合体時は、ギガフェニックスの頭部・上半身基部・両腕を構成。
キャノピーの形が、あんまり戦隊メカニックっぽくなくて個人的には好き。
ギガウイング2。
ギンガグリーン搭乗……予定だった?!
モヒカンジェット。
豪快すぎる垂直翼(しかも機体中央に屹立!)が目立ちまくりの上、主翼がほとんどないという航空力学的に色々考えてみたくなるマシン。
こんなんでマッハ1.8(設定値)で飛ぶんですから、バンザイ空想科学です。
合体時は、ギガフェニックスの胸と背中を構成。
先述のように、Wikiではなぜか間違えられてギガウイング1ということにされてます。
ギガウイング3。
ギンガブ……もうやめ。
飛行機というより、地上スレスレを浮いて移動していそうなコロコロ体型がぷりちー。
ホバータイプの機体で、5機中もっとも「〜ウイング」の名前に相応しくない形状だけど、逆にその異形っぷりがよさげ。
虫を彷彿とさせるキャノピー周辺のデザインが、すごく個性的。
……だけど、これはねーよなー。
ここまで豪快に「余ったので適当な場所に付けてみました」をやられると、思わず何かが漏れちゃいそうです。
合体時は、ギガフェニックスの腰と太腿、あとヘルメット部を構成。
1と共に、コクピットブロックが収納されるギミックあり。
だけど、もんのすごく固い!
ギガウイング4。
今度は突然、シャープなSF戦闘機型に!
これだけ見ると、とてもロボの脚になるとは思えない秀逸なデザインです。
こいつは素直にカッコイイと思う。
合体時は右脚部を構成。
うーん、こういうスマート&スレンダーな機体は、劇中でもガンガン活躍して欲しかったなあ。
でも、ギンガマンでやられてもなあって気もするし、複雑な心境。
ギガウイング5。
キャノピーや主翼、ボディのディテールなど細かい差はあれど、シルエット的にはギガウイング4とほとんど同型機。
こちらも突き刺さるようなシャープなラインが、本当にカッコイイ。
しかも、これと4は本体のほとんどが合金製のため、これだけだと本当に充実感が高いです。
これで、ランディングギアの収納ギミックとかあれば完璧だったんだけどなあ…。
合体時には左脚部を構成。
獣空合体!!
次に、合体プロセス。
まずは、ギガウイング1と2を合体させます。
1のコクピットブロックを内部に押し込めます。
反対側からギガフェニックスの頭部が露出。
1のブースターを取り外しておきます。
ま、本当は無理にこの時点で外す必要はないんだけどね。
撮影上の都合って奴さね。
2本体を前後に引き伸ばします。
2の本体を、1のギガフェニックス頭部をまたぐように折り曲げ、合わせます。
2の主翼は、機体上方向にたたみます。
ギガフェニックスの背中を下に向けて、腹側から見た構図。
1の各ジョイントと、2の胸側・背中側パーツ裏側のジョイントを接続。
これで上半身の基本形完成です。
NGワード:ブルービート。
先程取り外した1のブースターを、前後反転して再接続。
これで両腕が完成。
次に、ギガウイング3。
裏側にぶら下がっている、PVC製のアレを取り外し……
本体下部の謎のパーツ(主砲?!)を、180度回転させます。
さて、ここでコクピットブロックを本体内部に押し込むのですが、ちょっと面白いギミックが。
まず先に、3の主翼?(左右の黒いホバーパーツ)を内側に押し縮めます。
その後、本体裏側(底部?)のつまみを引きながら、コクピットブロックを押し込みます。
この時、主翼の伸縮の方を後回しにする事は出来ません。
必ず先に主翼を縮めないと、どんなに力を入れてもコクピットブロックが押し込めない構造になっています。
なかなか面白いロック機構です。
ただし、ギガウイングに戻す時はえらい苦労させられます。
コクピットのつまみがえらく固く、また一部が中で引っかかりやすいようで、小刻みにカクカクやりながら出してやらないとビクともしないようです。
主翼のランディングギアを、内側に倒します。
この時、太腿にあたるパーツを若干左右に開いておきます。
これで、腰部完成。
ギガウイング4と5の変型は、ほとんど同じ物なのでまとめて。
主翼をそれぞれ折り畳み、機首を引き伸ばします。
すると、キャノピー上部の青いプレートパーツがパコッと外れます。
これでロック解除。
機首部分を上方向に90度折り曲げて、更に押し込みます。
これでつま先と足首が完成&ロックがかかり、青いプレートが足首カバーになります。
とても単純なギミックなんだけど、この足首変型のスマートさはなかなか良い感じ。
カバーがキャノピーを覆い隠す形になるのも、なかなかマニアックな風味でよろしいかと。
結構カッチリ決まります。
4と5のブースター部分と、3の太腿部分をドッキングさせます。
この時、先に太腿部分を左右に開いておかないと、4と5のボディが接触しちゃうわけです。
下半身が完成。
1と3のコクピットを合わせるように接続させて、九割九分合体完了です。
この時、3のコクピットブロックが充分に収納されていないと、2のキャノピー部分が接触して胸ブロックが外れてしまいます。
最後に、3後部にぶら下がっていた謎のアレ(ギガフェニックスのヘルメット)を装着。
ただ、ちょっとブカブカ気味な上にパーツ全体が柔らかいせいか、あんまりスムーズに位置合わせが出来なかったり。
ヘルメット最下部内側にある細い出っ張りを、頭部側面下の溝にはめるように差し込むんだけど…フィット感は限りなくゼロ!
尚、この溝はめ込みを忘れると、ヘルメットはちょっとした事ですぐ外れてしまいます。
合体完了。
写真で見ると複雑そうに感じるかもしれないけど、実際手にとってやってみると実にあっさり、つまんないくらい簡単に終わってしまいます。
DX星獣合体ギンガイオーとの比較。
もはや、同じ作品に登場したほぼ同じ大きさのロボ同士とは思えないボリューム差。
【買ってみて一言】
実は、筆者はこの商品を都合二度購入しています。
最初は本放送当時に購入したのですが、番組終了後あまりにつまらない&単調なギミックに呆れてしまい、とっとと手放したのです。
今回は、たまたま安売りのものを発見出来た上、「スーパー戦隊の秘密基地」との絡みもあったので、撮影目的で再購入しました。
何が言いたいかというと、これは所詮その程度の「つまんない玩具」だと言いたいわけです。
それはちょっと言いすぎなんじゃないかって?
場所によっては結構プレミア付けてるところもあるんだから、それなりに人気と需要はある筈だろうって?
そりゃそうなんだけど、でも、ほんっとつまんないんだもんこれ!
さすがに「シリーズ最低」とまでは言わないけど…もっと単調なギミックの商品も沢山あるしね。
この際、劇中での各メカ・ロボの活躍度合いについては触れないでおきましょう。
それを抜きにしても、この商品にはあまりにも「独自の魅力」がなさすぎなのです。
90年代後期のシリーズ商品、しかも番組後期からの登場ロボとは思えないくらいに。
単なる五機分離合体、単なる手持ち武器、単なるロケット○ンチモドキ。
ギンガイオーの意外な変型ギミックや重厚感もなければ、ブルタウラスの奇抜な合身プロセス(内部収納)や拳収納ギミック(前腕部を回転させると拳がせり出してくる)もなく、またデザインのスカポンさも手伝って、決して良い出来の商品とは言えません。
要するに、「華がない」んですな。
似たような商品だったギガライノス(アレもかなりつまんない玩具ではありますが)は、まだ合体後のドッシリプロポーションがあっただけ若干マシですが、ギガフェニックスの下に行くほど細くなっていくトリガラ体型は、本当に悲しくなってしまいます。
また、どう見ても「ブルービートがPVCのマスク被っただけ」にしか見えないチャチな頭部も、大きなマイナスポイントでしょう。
ましてや、ふにゃふにゃの余剰マスクを被せて外観を整える意味も見えないし。
デザイン、ギミック、構成、その他モロモロ…あまりにもやっつけ感が強すぎるロボなんですよね。
まー、そうは言いつつも、筆者は劇中のギガフェニックスは結構好きだったんですが。
「スーパー戦隊の秘密基地・星獣戦隊ギンガマン」でも触れていますが、このギガフェニックスとギガライノスは本来ギンガマン登場ロボとしてデザインされたものではなく、過去の没ロボットデザインを流用したものだそうです。
「スーパー戦隊アートコレクション 戦隊ロボ編 1975→2002」(メディアワークス刊)には、アーリースケッチ(初期稿)案と共に
「プランニング段階のイメージスケッチの中に、ある程度まとまった数の画稿群が見つかった。
一部は明らかにメガレンジャー用のものだが、さらに発展させた、ギガレンジャーとでも呼ぶべきアイディアも含まれている」
という記述があり、更にその後に
「五つの戦闘機が合体。ギガフェニックスの原形となった」
「太陽系天体の名がつけられた5つの惑星探検車が変形・合体。
ギガライノスの原形と考えられる」
という記述とデザイン画が掲載されています。
なるほど、そういう経緯があったとすると、ギンガマン関連にしては妙に浮いている気がする「ギガ」などという名称が付いている点も頷けそうです。
真偽は定かではありませんが、「高寺プロデューサーが、当初ギンガマンに巨大ロボットを登場させる事を拒み続けていたため色々と予定が狂って、(結局ロボは出させたものの)三体目以降のロボットデザインを練り込むための充分な時間が取れず、やむなく没デザインを流用したロボを出すしかなかった」という説が濃厚です。
その話をあえて鵜呑みにして、あらためてギガフェニックスやギガライノスを見てみると、なんとなくわかるような気もしてきます。
例えば…
- ギンガイオー各部位やブルタウラスに見られる「明確なモチーフカラー」がなく、全機すべて色が統一されてしまっている
- ギガライノスとギガフェニックスにのみ共通し、それ以外にはないデザインが多く見られる(まあ、改造主が同一なんだから当然と言われりゃそこまでだけど)
- 分離時の形態が、あまりにもギンガマンの世界観と噛み合っておらず、モチーフも非生物
- 合体・変型後のデザインにも動物的意匠がほとんど見られない(ヘルメットがなかったら何だかわからないのでは?)
といった特徴があるわけで。
色々複雑な大人の事情があった感が強まってきますが…実際どうだったんでしょうね。
そろそろまとめます。
この「DXギガフェニックス」は、戦隊ロボコンプ目的か、またはギンガマンに特別な思い入れを持っている人以外には、あまり旨味がないかもしれません。
或いは、番組や劇中活躍に関係なく、色々なタイプの飛行機が合体してロボになるというシチュエーションに萌えられる人とか。
五機すべてが飛行機で、しかもそれぞれが特徴的な形状な上に、一部モチーフが判りやすいデザインという構成は、2007年現在戦隊シリーズではこれだけだったりします。
ジェットマンのジェットマシンやゴーゴーVのマーズマシン、タイムレンジャーのタイムジェット、デカレンジャーのパトウイングは、五機全てのデザインラインが統一されていたり、またはモチーフが不明瞭なオリジナルデザインばかりだったりするし。
そういう意味では、このギガフェニックスはちょっと変わった味わいのあるロボ玩具かもしれません。
ただ、決して過剰な期待はしない方が賢明でしょう。
ガックリ感がかなり強いものだという事実は、まず変わらないでしょうし。