第66回 ■バンダイ  S.H.フィギュアーツEX「ハードボイルダー・ダッシュブーストユニット」&「タービュラーユニット」

2011年1月14日 更新

 今回は、「S.H.フィギュアーツEX マシンハードボイルダー」専用拡張パーツ2種類のレビューです。
 魂ウェブ限定商品「ハードボイルダー・ダッシュブーストユニット(以下ブーストユニットと表記)」と、「ハードボイルダー・タービュラーユニット(以下タービュラーユニットと表記)」が発売されたことで、ようやく換装遊びが可能になりました。
 さて、ハードボイルダー本体は色々と問題点が多かったですが、今回はどうでしょう?

■ S.H.フィギュアーツEX ハードボイルダー・ダッシュブーストユニット

 

 2010年8月27日〜10月18日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
 2010年12月24日配送。
 同時配送物は、以下の通り。
 「SHFウェザードーパント」
 「キュアエンジェルピーチ(フレッシュプリキュア!)」

 2010年12月の一般販売ラインナップは、以下の通り。

  • 12/11 「仮面ライダーハイパーカブト」

 全長は約15センチ(ハードボイルダー部位除く)
 部品構成はユニット本体のみで、手首や台座などの付属品はなし
 価格は税込3,360円+送料。

 

 マシンハードボイルダー・ダッシュブーストユニット。
 「スタートダッシュモード」と表現される場合もあり、名称が混乱しやすい。
 仮面ライダーWが搭乗するバイクの専用ユニットで、ハードボイルダーの後部に大型のジェットノズルを6門装着したもの。
 普段はリボルギャリーの後部ドラム内に待機しており、遠隔操作によって換装される。
 その凄まじい推進力を利用し、従来とは比較にならない超高速発進を可能にする。
 ジェットノズルはすべてパージ可能で、その後は普通のハードボイルダーとして使用可能。
 一見直進性能に特化しているように思えるが、コーナリングや急旋回、果ては高速バック走行まで行うことが出来る。
 初登場は10話だが最後の登場が15話と、活躍場面が非常に少ない。
 対ナスカドーパント戦では戦線離脱&牽制に、対アームズドーパント戦では追跡に使用。
 3つのユニット中唯一構成が不明瞭で、ノズルパーツだけがリボルギャリー内部に待機していたり(2話のハードタービュラー換装時に確認出来る)、かと思うとハードボイルダー後部を含む全体が待機していたり(こちらは15話で確認可能)と、状況によってコロコロ変わっている。
 また、ハードボイルダーの後部が一つしかないのか、それともノズルと合体した後部が別途存在するのかも、イマイチよくわからない。

 

 さて、4ヶ月の間を空けてようやく手元に届いたユニットですが、まず先に触れておかなければならない大事なポイントがあります。
 また、これはブーストユニットだけでなく、後に触れるタービュラーユニットにも言えることです。
 フィギュアーツ・ボイルダーユニット各種は、いずれも劇中登場マシンの再現をほぼ完全に放棄しています
 実際に見比べてみるとよく解るのですが、形状もパーツの接続位置も、はたまた構成も全然別物で、あくまでパッと見のイメージが似ている程度に過ぎません。
 筆者も、本編映像を見て本当にビックリしました。

 まずブーストユニットですが、ノズル全体の対比・パイプ部の形状・ノズルの形状などが全く異なります。
 具体的には、パイプ部はもっと細く(印象的には一回りくらい)、巻き付いているコードの流れや位置も違っています。
 ノズル部周囲の形状違いは特に顕著で、おおまかな配置こそ正しいもののそれ以外はほとんどデタラメ。
 詳しくは後述しますが、本体とパイプの接続位置や形状も全然違っていて、もはや同一形状部分を探す方が大変というくらいです。
 しかし、何故こんなにも堂々と再現放棄をしてしまったんでしょう?

 

 こちらは、「DXリボルギャリー」に付属するブーストユニット。
 玩具的な省略点がかなり目立ちますが、実はパイプ部やノズル形状はこちらの方が劇中に近くなっています。
 また(商品仕様上仕方ないですが)フィギュアーツ版では不可能だったノズルパージも可能。
 まあ、こちらもこちらでハードボイルダー後部の形状が小さすぎるとか、パイプの隙間が埋まっているとか独自の難点もあるので、一概に優れているとはいえませんが。

 

 ハードボイルダー合体後のサイドビュー。
 ノーマルと同じスタンドが付いているので、自立も安心。

 リボギャ付属版や食玩版の物を比較して考えてみると、ひょっとしたらフィギュアーツ版ブーストユニットは、劇中情報ではなく既存製品またはそのデザインを基に設計したんではないかとすら思えてきます。
 実際のところは当然わかりませんが、ここまで堂々と再現を放棄している事を考えると、ふとそんな気持ちにさせられます。
 以上のことから、本商品に劇中再現度を求めている方には、絶対にお勧め出来ません。
 もっとも、以前触れたように大元のハードボイルダー自体が再現放棄しているので、今更なんですけどね。

 尚、タービュラーユニットはこれに輪をかけて再現放棄レベルが高いのですが、それは後述します。

 

 と、いきなり苦言で申し訳ないですが、だからといって本商品が全く駄目なのかというと、それはまた違う話です。
 上で述べてきたのは、数少ない劇中登場の中でもごく限られた場面、中には一時停止でようやく確認出来る程度の細かい情報を持ち出した上での比較なので、そこまで求めていないという人にはほとんど関係ない話でしょう。
 それより、全体のボリューム感やハードボイルダーのプレイバリュー拡張と魅力的な部分の方が大きいわけで、ある程度の再現で問題なしと考える人には逆にお勧め出来ます。
 とはいえ、再現度の大小以外にも難点はあるので、それはそれで考慮の余地ありかもしれませんが。

 

 ブーストユニット単体。
 驚くことに、パッケージにはこれ一つしか入っていません。
 後輪にはめ込むスタンドパーツもないです。
 その代わり、圧倒的なボリュームでちょっとビックリさせられます。
 本体にはダイキャストは使われていないので、見た目の印象に反してかなり軽めです。

 

 別角度から。
 後輪にはサスペンションが付いているので、ハードボイルダーと合体させた後は若干後部が沈みます。
 ジョイント部の保持力は完璧で、勝手に外れるような心配はありません。

 

 あらためて、ハードボイルダー・ダッシュブーストのフロントビュー。
 いきなり凶暴さが増したようで、個人的に大好きな角度です。

 

 リアビュー。
 これでもかといわんがばかりに増設されたノズルの無理矢理感が素敵です。
 こういう、無骨極まりない作りのメカってすごく魅力的なんですけど、仮面ライダーのバイクとしては今まであまり見かけるケースがありませんでした。
 そういう見地からも、これは相当に個性的だなあと感じさせられます。

 

 なんとなく底面部を撮影してみました。
 こうして見ると、本当に「ハードボイルダーに無理矢理くっつけただけ」なんだと改めて理解できます。
 ステップ付近から生えてるマフラーも、なんだかかっこいい。

 全然関係ないですが、第2話でWヒートジョーカーがリボルギャリーに乗り込んだ時、ハードボイルダーの後部が収納されるんですけど、ドラムが回転した途端どこかに消え失せてしまうんですよね。
 しかも、ブーストユニットが収納されているドックにはノズルパーツしかなくて、バイク後部が抜かれている状態。
 ちょっと気になった面白ポイントでした。

 

 先に触れたパイプ接続部ですが、かなり大きなアレンジが施されています。
 ちなみに、ハードボイルダーのスタンドは金属製でしたが、今回はプラに置き換えられています。
 後輪ホイールも同様。

 

 ブーストユニットを装着すると、Wのライディングポジションに影響が及びます。
 具体的には、ハードボイルダー単体に搭乗させるのとはまた違った微調整が求められます。
 ブーストユニットのフットステップに両脚を乗せると、尻が浮いてしまいがちになります。

 

 こちらは反対側。
 ノズル接続位置の関係で、右側のフットステップは前に移動させられていますから、ハードボイルダー単体時よりは足に負担をかけずに済むのですが、やっぱり足が押し上げられて尻が浮き気味になります。
 このため、ハードボイルダーのライディングポジションのままブーストユニットに搭乗させることが難しく、一旦取り外して足の形を整え直してからあらためて乗せる必要性が生じてしまいます。

 

 じゃあ、ブーストユニットにはまともに尻付けて乗せられないのか? というと、そんな事はありません。
 個人的に発見した2種類の搭乗方法があります。

 まず一つ目は、ハードボイルダーのレビューでも紹介した「右足をわざとステップから外す」方法。
 実際のバイク運転では支障を来すポジションではありますが、右足の可動限界を緩和してやることで、尻がサドル部に難なく接地出来ます。
 また、この方法は換装時にいちいちポージングを変更してやる必要性もなくなり、何より簡単なので個人的にお勧めです。

 

 もう一つは、足首関節の可動範囲を活用する方法。
 右足首を外側(右方向)に過剰に捻り、ステップへの接地性を高める方法です。
 回転させるのではなく、横方向の関節を使って足首全体を左に傾ける、といえば伝わるでしょうか。
 非改造で簡単に出来、しかもきっちりステップに足を乗せつつ尻を付けられるので、ある意味これがベストです。
 ただ、Wの足首を横方向に捻る際には若干力が要るので、壊さないように丁寧に扱いたいものです。

 

 上の説明だけだとちょっとわかりずらいので、角度を調整した足首周辺を撮影してみました。
 膝の向きと足首のズレ具合を参照してみてください。
 足首全体が左に傾いているのがわかると思います。
 人体では絶対無理な動きをさせるのは嫌だ、という人には勧められませんけど。
 そういう場合は「Wも所詮はドーパントだからなんでもアリ」「そんな事いったらアクセルはどうなる?」と考えて、無理矢理割り切るのも一つの手です。

 

 Wの上体関節の可動範囲問題などから、前屈姿勢にしたり乗せ方がまずかったりすると、両肩が脱臼したようになってしまいます。
 これを防ぐために、両肩・腕・手首の関節位置も微調整してやる必要が生じます。

 

 上写真の、赤い矢印が示している部分に注目してください。
 まずWの両肩を、前方向に限界まで押し出します。
 正しくは、思い切り怒り肩になるように。
 次に、肘が外側を向くように上腕ロール軸を回転させ、手首はこの状態で上方向に曲がるように軸の向きを調整しておきます。
 後は、軸の向きを変更しないまま手首を(真正面から見た場合)八の字の角度になるよう回転させます。

 

 こうすれば、上写真のように肩が脱臼せず、かつ尻がサドルに接地し、両脚がステップに着くという理想的なライディングポジションに出来ます。

 

 乗せ方の総括として、CJ単体でライディングポーズを取らせてみました。
 手首が八の字型になっていて、肘が外側に向いているのがわかると思います。
 加えて、両脚がそれぞれ妙な角度になっている点も注目。
 つま先の向きと膝の向きを比較してみてください。

 

 斜めの角度から。
 肩が全体的に前に出ているのが解ります。
 更に、手首がハンドルの角度に合わせて捻られている事、上向きに曲げられているのもおわかりでしょうか。
 この角度だと足の位置や向きがわかり辛いですが、腕の形状とポジションが伝われば幸いです。

 

 以上の調整を行うと、Wをここまでスマートに搭乗させられるようになりました。
 念のため、角度調整で尻が付いているように見せているわけではありません、ちゃんとしっかり座っています。
 ステップにも足がかかっています。

 

 反対側からも撮影。
 肩が前に出て、手首がしっかりハンドルを握っており、足もステップにしっかり乗っています。

 以降、このライディングポジションはハードタービュラー搭乗時にも用いますが、そちらでは更なるアレンジが求められます。
 詳しくは後述。

 

 第10話、追走してくるナスカ・ドーパントに非情のマシンガン連射。
 この後、更にパージしたパーツを叩き付けるという外道極まりない追撃。
 さすが翔ちゃん、やり方がえげつなくて素敵。
 それはそうと、外したノズルパーツは回収しなくていいのかしら?

 

 同一形状なので、当然ながら「S.H.フィギュアーツEX スカルボイルダー」とも換装可能。
 でも、びっくりするほど印象が変わりませんね。

 

 以上、ブーストユニットのレビューでした。

 本商品についてあらためてまとめると、「細かい造型は気にせず、ブーストユニットが大好き」or「とにかくハードボイルダーの増設パーツが欲しかった」という人には良い感じです。
 反面、あくまで劇中再現度を追求する人、更には、活躍場面が少ないと購入意欲が湧かないという人には圧倒的に向きません。
 この辺は購入者各位の考え方次第なので一概に言いまとめられませんが、敢えて何かコメントするとしたら「もうちょっと丁寧な仕事しても良かったんじゃないか?」という印象が強いです。

 ユニット通販情報が公開された当時から言われ続けた事ですが、ユニット単体で3000円以上(ハードボイルダー本体価格の3/4を越える)でこの出来というのはいささか高すぎる感もあり、決して満足度が高い商品とは言い切れないでしょう。
 ノズルパージギミックやスタンドパーツくらいあってもいいんじゃないかとも思いますが、せめてダイキャストパーツを増やすとか、手にした時の満足感を高める工夫が欲しかったものです。
 ただでさえ出番が少なく、購入意欲高揚要素に乏しいものなんですから、もう少し工夫が欲しかったですね。

 蛇足ですが、実はハードボイルダー商品化の話が出た当時、ごく一部で「ハードボイルダー本体+ブーストユニットがセットになっている」という誤情報が流れていたことがあります。
 ひょっとしたら、当初はそういう企画だったけど変更されたって落ちかもしれませんが、こうしてあらためて本商品を見ると、「いっそ本当にそうした方が良かったんじゃないかなあ」と思わされたり。
 そうすれば、ブーストユニットの枠をスプラッシャーに回したり(実現可能かどうかは微妙ですが…)、またハードボイルダー単体のプレイバリューも拡張出来たと思うわけです。

 よく考えたら、一般発売だったハードボイルダーに分離ギミックが付いてても、限定通販商品しか換装させられないんなら本来意味はないわけで。
 なんだかよくわかりませんね。

 さて、世間的には「ブーストユニット微妙」「タービュラーの方が楽しめる」という評価だったようですが、これまたどうして、タービュラーの方も微妙要素てんこ盛りだったりします。
 続けてレビュー行ってみましょう。

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■ S.H.フィギュアーツEX ハードボイルダー・タービュラーユニット

 

 2010年8月27日〜10月18日まで、「魂ウェブ」上にて受注受付。
 2010年12月24日配送。
 同時配送物は、以下の通り。
 「SHFウェザードーパント」
 「キュアエンジェルピーチ(フレッシュプリキュア!)」

 2010年12月の一般販売ラインナップは、以下の通り。
 12/11 「仮面ライダーハイパーカブト」

 全長は約15センチ(前輪及びハードボイルダー部位除く)
 翼長は最大約26センチ。
 部品構成は、ハードボイルダー前輪(ローター型)とユニット本体のみで、手首や台座などの付属品はなし
 価格は税込3,675円+送料。

 

 マシンハードタービュラー。
 仮面ライダーWが搭乗するバイクの専用ユニットで、ハードボイルダーの後部に大型の飛行ユニットを装着したもの。
 普段はリボルギャリーの後部ドラム内に待機しており、遠隔操作によって換装される。
 高速飛行・急旋回・垂直離陸・ホバリングが可能な小型戦闘機のようなもので、換装時は前輪が90度回転し、ローターの役割を果たす。
 前輪部のマシンガンを使い、空中からの砲撃も可能。
 初登場は第2話・対T-REXドーパント戦で、ヒートジョーカーやヒートメタルを乗せて縦横無尽に大空を駆け回った。
 ハードボイルダーのユニット中最も活躍頻度が多く、劇場版「仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010」ではディケイドをも搭乗させて戦ったりと印象的な場面に恵まれている。

 

 タービュラーユニットも、最初に問題点についてとっとと触れてしまいましょう。

 ブーストユニット同様、こちらも劇中のタービュラーとは全く形状が異なっています。
 しかも、今回は細かく見ないと気付かないというレベルでは済みません。
 目立つ所・細かい所ひっくるめて、相違点をまとめてみました。

  • ウイングの形状が全く違う
  • ウイングの角度が水平になっている(実際は関節部から下方向に傾いている)
  • ウイング根元のブースター形状が別物(6角形が4角形になっている)
  • ウイングの接続位置が違う(実際はフットステップの真下辺りから生えている)
  • ウイングのローターの下半分がない
  • ユニット・シャーシ部のモールドがほぼ全部省略されている
  • 垂直尾翼下からメインブースターまでの形状が別物になっている
  • 垂直尾翼根元から伸びている銀色のラインがない
  • 垂直尾翼下のサブブースターの翼部が長くなり、傾斜がなくなっている(実際は斜め上に上がっている)

 この他、パーツ各部の配線状のモールドや微妙な膨らみの有無など違いがありますが、玩具化によって省略されてしまいそうなものには触れていません。
 にも関わらず、これだけの差異が挙げられるわけです。
 特に「ウイングの角度」「ウイングの接続位置」「シャーシのモールド省略」「ローターの省略」が目を引きます。
 第2話の活躍を見れば、これらがよく解ると思われます。

 

 こちらも、恐らくは他の玩具のイメージをそのまま引っ張って来て、ろくに検証もなく作成したのではないかと思われます。
 そう感じさせる要因の一つとして、「DXリボルギャリー」付属のハードタービュラー画像を挙げてみます。
 こちらも、先に挙げた相違点とほとんど同じ特徴が組み込まれています。

 多少好意的に解釈すると、例えばウイングの付け根は劇中通りだとフットステップが押し上げられてしまい、Wの足が上手く乗せられなくなってしまいます(結果尻が大きく浮く)。
 またパーツ分割状の都合などもあるかもしれないので、全てが全て「CGと同じ」に出来ない事情もあるのでしょう。
 中には翼の角度とか造型の違いとか擁護出来ない部分も多いですが、この辺りの差異を受け容れられるかどうかが本商品の評価を分ける大きなポイントになると思われます。

 

 発売前後、なぜかほとんど指摘される事のなかったポイントですが、それはともかく、やはりハードボイルダーの換装パーツが増えるのはありがたいことです。
 というわけで、気を取り直して。
 まずはフロントビューasウイング折りたたみ時。

 

 ウイング展開。
 こんなに幅広くなります。

 

 ウイング展開のままリアビュー。
 主翼と水平尾翼は取り外し式で、何度でも付け外し可能かつハズレやすくなるという事はありません。
 後に触れますが、特に主翼は上に他のフィギュアーツを乗せても平気です。
 本体傾くけど。

 

 タービュラーユニット単体。
 こちらは両翼が別パーツ(差し込み式でちょっとだけ組み立てる)で、ブーストユニット同様オールプラ製。
 ウイングのせいでかなり大きく感じますが、本体そのものはかなり軽めです。
 ダイキャストパーツは全くありません。

 

 商品内訳。
 ユニット本体とは別に、傾いた前輪パーツが付属。
 個人的には、やっぱりオリジナルの前輪がそのまま傾いて欲しかったかなと。
 構造的に無理だとは思うけど。

 

 左がハードボイルダーのオリジナル前輪で、右がハードタービュラー用前輪。
 どちらも同じ角度で並べていますが、右の方は本体に接続するため一部が延長されジョイントが増設されています。
 こういう形状の違いがあるため、オリジナル前輪を傾斜させて固定するのは不可能です。

 

 前輪は、ハードボイルダーのこの部分に差し込みます。
 グッと押し込むことでカッチリハマり、勝手に外れるようなことはありません。

 

 Wヒートメタルを搭乗させてみます。
 こちらも、ハードボイルダー単体やブーストユニット時とは若干違う調整をしなければなりません。
 他所では尻が浮いてしまってまともに乗せることは出来ないと記されているケースもありますが、実際はなんとかなります。

 

 こちらはサイドビュー。
 脚部周辺をわかりやすくするため、わざと左ウイングパーツを除去しています。
 ご覧の通り、尻もしっかり付いているし、手首や肩の位置も問題ありません。
 ただしいささかやっかいの調整が必要なので、以下で説明していきます。

 

 まず足ですが、ブーストユニットの時みたいなおかしな曲げ方にする必要こそないものの、これまでよりも膝の曲げ具合を浅くしてやる必要があります。
 だいたい目測90度くらいの曲げ具合で充分、それ以上は必要ないです。
 逆に曲げ方が大きいと尻が浮いてしまう原因になるので、ゆとりを持たせるわけです。
 また、フットステップを一番下まで下げ、足首をステップの前寄りに配置してやります。
 この調整を、両脚に行います。

 

 次に腕ですが、ブーストユニットの時と違って肘はまっすぐ伸ばします。
 逆に曲がっていると前屈姿勢気味になってしまい、肩が脱臼します。

 

 肘を外側に向け、手首をハンドルの角度に合わせて捻るというのはブーストユニット搭乗時と共通のやり方ですが、ここで肘の向きや手首の角度をしっかり調整しておかないと、なんだかモヤモヤする半端ポーズになってしまいます。

 恐らくですが、タービュラーユニットはフットステップが左右共に従来より前寄りに設置されていて、なおかつ傾斜角度が深いため、ここに足を着ける前提でポージングをすると太股が浮いてしまいがちになり、そこから連鎖的に全体のポージングがずれていくようです。
 後述しますが、タービュラーユニットのフットステップは上下に可動するので、一見微調整がやりやすいように思えますが、回転軸の位置が高すぎるために思ったように行えず、実際には身体を深く沈める役には立ちません。
 フットステップの接続位置を、設計段階でもっとしっかり微調整しておけば解決出来ただろう問題なので、この辺はもう少し配慮が欲しかったところです。

 

 そんなフットステップですが、Wを立たせて飾る際に真価を発揮します。
 ステップに乗せたままだとWの足の位置が固定されてしまうため、あまり派手なポーズは取れませんが、第2話のような空中でフォームチェンジするような姿勢にするのは全く支障ありません。
 Wの重さでステップが自然に下がるということもなく、これは大変に重宝します。

 

 フットステップの可動範囲は上方向にまで及び、かなり高い自由度を誇っています。
 劇中のタービュラーはフットステップ可動などのギミックは当然なく、Wはウイングの付け根部分に足をかけていました。
 本商品ではウイングの取り付け位置が変わってしまったためこれが叶わないので、代替えとして組み込まれたギミックなのかもしれません。
 これがないとWを立たせて飾る際は地べたに足を置くしかないわけで、こういうアレンジギミックなら個人的に大歓迎です。

 

 とはいえ、別にフットステップにしか足を置いちゃいけないわけでもないので、ウイングを足場に利用すればポージングの幅は広がります。
 メタルブランディングなんかもバッチリいけます。
 …正直、ローターのある部分には乗せづらいけど(デコボコしていて自立させづらい)。

 

 ルナトリガーを乗せてみたり。
 本当ならヒートジョーカーも乗せたいところですが、出すのがめんどい……

 

 こうなってくると、劇場版よろしくディケイドも乗せたくなるのが人情ってもんですが、やっぱり色々と不具合が出てしまいます。

  • ウイング(ディケイドを立たせる場所)が後ろにずれているため、Wとの距離が開いてしまう
  • 本体がオールプラなのでディケイドの重みを支えられず、どうしても全体が傾く

 まあ、後者は改善するとなると相当な重さが必要になる筈なので、無茶覚悟の指摘ですが。

 

 ウイングの位置がおかしい事は、ディケイド搭乗を試してみることでよりはっきり解ると思われます。
 まあ、とはいえこれで劇中再現が可能にはなるわけで、全く駄目ということはないでしょう。
 本体が傾くとはいえ、ウイングで支えられるので転倒するほどではありませんし。

 

 ブーストユニット同様、こちらも「スカルボイルダー」と合体可能。
 やっぱり印象があまり変わらない!

 

 以上、タービュラーユニットのレビューでした。
 劇中の露出や活躍が他と段違いなので、こちらの方が需要が高かっただろう事は明白です。
 また、些細ではあるもののウイング展開というギミックもあり、またディケイドをも絡められるというイメージの強みがありますから、やっぱり魅力的です。
 ブンドドにも、こっちの方が向いてる?

 ただ、やはりというか造型がオリジナルほぼ完全無視しているという点には、疑問を抱かずにはおれません。
 先で散々指摘しましたが、全体のシルエットすら変えてしまうほどの変貌ぶりはどうかと。
 ハードボイルダーもかなり適当な造型処理で閉口させられたものですが、こちらも相当なものです。

 また、全体的に作りが安っぽく、とても3675円もする商品とは思えません。
 ダイキャスト完全未使用、ハードボイルダーでは合金パーツがあった前輪すらもオールプラに変更されています。
 また、本体側面部(特にメインノズル周辺)の適当っぷりは相当なもので、シャーシ造型も半分だけやって後はオミットと、「リアルさを追求する高年齢層向け玩具」としては問題がありすぎです。
 ですから、あくまで劇中の再現性を求める人には、決定的にオススメ出来ません。
 個人的には、ブーストユニットの方がまだ(原典の露出が少ない事もあり)オススメ出来るくらいです。

 以上のことから、本商品をハードボイルダー換装遊びのために使用する目的と割り切るのであれば良し、そうでなければ一考する必要ありと結論付けたいと思います。
 もっともこれは受注商品のため、もう注文する事は出来ませんから、もし中古やヤフオクで購入されるのであれば、参考にしていただければ幸いです。
 それにしても、ローターくらいは何とかしろよコレクター事業部……

 ちなみに本商品とブーストユニットですが、手持ちの「魂ネイション2010」撮影画像と比較してみたところ、ほとんど変化が見られない事が判明しました。
 当時は監修待ちと表示されていましたが、結局殆ど手を加えられることなく発売されたようです。

 

 んで、残る一つはどうなるんでしょう……?

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【買ってみて一言】

 仮面ライダーWの関連商品として、ハードボイルダーと並び重要な位置を占める各ユニット。
 分離ギミックのある一般販売商品に対し、そこに繋がるものが一般で手に入らないという部分に微妙なモヤモヤを覚えはしますが、これによりフィギュアーツ版のハードボイルダーは一応の完成を見た気がします。
 色々問題点があり、中には無視し難い部分もありはしますが、プレイバリューが大幅に拡張された事は紛れもない事実で、あって良かった商品である事には変わりありません。

 似ても似付かないけど、遊べるから買うか。
 リアル指向なのに全然リアリティがないと買わないか。

 どちらを選ぶかは、完全にその人次第という事でしょう。
 筆者個人としては、買った事は全く後悔しておらず、またどちらか一方だけでなく両方手に入れて本当に良かったと感じています。
 やっぱり、色々付け替えて遊べる方がいいですからね。
 それに、ブーストユニットの無茶なボリュームやタービュラーのでっかさは、これはこれで癖になる魅力なのです。
 「リアルモデル」よりも「玩具」を求めるのなら、充分ありってことです。


 残るはハードスプラッシャーとリボルギャリーですが……イベントでの参考出品を見る限り、どちらもボリュームが凄まじく、個人的にはとても発売されるようには思えません。
 リボギャに至っては5万越えとか書かれてましたからね。

 

 さて、今回撮影に使用したリボルギャリーとその手下共なんですが、諸事情ありそれぞれ別々な所で撮影したため、アーツ版と並べた比較画像が撮れませんでした。
 どのみちアーツ版ユニットを収めたり、リボギャ内に置いたりするのは無理があるわけですが、飾り方や写真の撮り方によっては両立させられるかな? とすら思わされました。
 2011年1月現在、リボギャが某所で2000円で購入可能なので、もし無理にでも並べてみたいと思った人は、この機会に探してみてはどうでしょう?

 

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