第63回 ■ バンダイ 月刊ホビージャパン誌上限定販売「超合金 初音ミク」

2010年11月20日 更新

 

 今回及び同時更新の前回は、ここしばらく続いた「S.H.フィギュアーツ」ではないものを選んでみました。
 ホビージャパン40周年企画で、グッドスマイルカンパニーが協力し、バンダイが超合金で培った技術を組み込んで製作した「最強のネタ玩具」。
 それが「超合金・初音ミク」です。
 これまでfigmaをはじめとして、各メーカーが完成品フィギュアを発売してきた「初音ミク」ですが、よりによって超合金になるなんて誰が予想したでしょうか?
 まあ確かに、昭和50年代には「のらくろ」「オバケのQ太郎」、平成に入ってからも「両津勘吉」など、よもや超合金化するとは思えないキャラクターが製品化してきたわけですが、今回はそれらとはなんか違うものを感じます。
 というわけで、この稀代のネタ超合金、徹底レビューいたします。

 初音ミク自体はあまりにも有名なので、今回はあえて説明をオミットします。

 

 超合金「初音ミク」は、月刊ホビージャパン2010年5月号と6月号にて通販受付を実施。
 ただし、宣伝告知はそれより以前から行われ、ファンの間でも広く認知されていました。
 受付期間は、2010年3月25日(5月号発売日)から5月10日(当日消印有効)まで。
 応募には、本誌付属の購入券が必要。
 本体価格は税込8,400円ですが、送料・手数料が1,000円かかるため、実際は9,400円とかなりの価格になります。
 ホビージャパン本誌やWEB上告知時に使用されていた画像と、若干色味が異なりますが(画像補整の影響かな)、仕様及び完成度はほぼそのまま変更なしでした。
 配送日は、10月下旬の予定が若干遅れて11月8日に。
 翌9日には応募者の許に届いたわけですが、中には8日中に届いた人もいたようで、ちょっとビックリです。

 

 何の説明もない上で画像だけ見ると、単なるメタリック塗装のフィギュアにしか見えないので、まずは概要を説明してみます。
 キャラクター物の超合金というと、「両津勘吉」みたいに古いスタイルの超合金玩具のスタイルを踏襲するパターンとパーツの一部をダイキャスト化するパターンが思い浮かびますが、今回は後者に近い物です。
 しかし、決して既存のフィギュアの部品を流用したものではなく、すべて新規造型です。
 また、各部関節やコスチューム、ヘッドパーツなどは過去にない独自の構造となっており、従来品とは全くの別物と化しています。

 本体の材質ですが、顔・手首・前髪・ツインテール・後ろ髪・ネクタイ・スカート部分がPVC。
 頭部内側フレーム・上着の下側・前腕部分がABS。
 残りは全てダイキャスト製です。

 

 基本構造は、わかりやすく説明すると「figma」+「超合金魂マジンガーZ」。
 それぞれの特徴については後述しますが、とにかく複数のブランドの合体作になっています。
 では、左サイドビューから旋回撮影。

 

 背面。
 めったやたらとネジ穴が目立ちまくりで、どことなくごつい背面。
 背中や腕だけでなく、太股やふくらはぎの裏にもくっきりと開いています。
 本商品が初めて発表された時から指摘されまくっていた部分ですが、これは「狙ってやった結果」と思われます。
 超合金魂やフィギュアーツなどで、散々ネジ穴隠し技術を培ってきたバンダイですから、やろうと思えば隠せたはず。
 それを全くやっていないどころか、隠す気がないというほどネジ穴が浅い。
 この特徴から、どう考えても意図的であるのは明白です。
 超合金といえばネジ穴、ネジ穴といえば玩具の象徴。
 最近はネジ穴に対する批判が多くなりましたが、この辺は解っている人が愛でれば良いポイントなのでしょう。

 背中央の変な模様は、なんと「超合金」の浮き彫りロゴ!

 

 首や上腕、そしてこの写真からは見えませんが、太股側面に走るパーツ合わせのラインも、ネジ穴同様合金玩具の特徴です。
 腕のパネル部分も、丁寧なタンポ印刷が施されています。

 

 ノーマル顔のアップ。
 この辺はグッスマの本領発揮ですね。
 figma版と良く似ているので、単なる流用だと考えている人もいるようですが、そもそもパーツの大きさが異なるので使い回しなんかできっこありません。

 

 ノーマル顔は、ミクのイラストでよく見られる可愛らしいすまし顔ですが、どことなく不適かつミステリアスな印象も含まれている気がします(そこが魅力だと筆者は考えますが)。
 前髪のせいでややデッサンが狂っているようにも見えますが、実物はそんな事ないので安心です。
 とにかく、この顔は本当に良く出来てます。

 今後も顔は、ちゃんと作れる別な所に外注するようにしてくれないかなあ。
 どのシリーズとは言わないけどさぁ。

 

 こちらは2つ目の顔・笑顔or歌い顔。
 口を開いているものはこれのみになります。
 可愛いことは可愛いんですが、いささか癖のある表情であまり評判はよくない様子。
 また、視線が右側に寄っているためこれを使うとポージングが限定されてしまうという難点も。
 個人的には、口の大きさはもう少し控えめで良かったんじゃないかなと思います。

 

 こちらは3つ目のめを閉じた顔。
 うっすら微笑みを浮かべていて、どことなく神秘的な雰囲気すら感じます。
 使い所はあまりないかもしれないけど、出来は大変よいもので積極的に使いたいところ。
 蛇足ですが、今回は要所で「魂STAGE ACT-4」を使用しています。
 これについても触れるべき点がありますが、それは後述。

 

 顔パーツの交換方式は、figmaと全く同じです。
 前髪を取って、顔パーツを引っぺがして後頭部パーツに接続して交換です。
 顔をはずしても頭そのものは取れない所がfigmaテイスト(フィギュアーツなら首上から交換だし)。
 首と頭部を繋ぐジョイントは、顔とは別に後頭部に繋がっています。
 だから、無意味に前髪だけはめ込むことも可能。

 

 このままだと、ちょっとしたホラーですな。

 

 初音ミクといったらネギ、ネギと言ったら鍋と相場が決まっていますが、当然の如く本商品にもネギが付属します。
 「なんで長ネギが関係あるの?」と思った人は、説明がめんどいんでwikiでも覗いてきてください。

 

 長ネギは2種類計4本付属。
 ちょっとわかりづらいかもしれませんが、上写真の向かって左側が無変形版、右が変形版です。
 専用の握り手(後述するマイク持ち手とは別物)が左右一対付属しますが、ぶっちゃけかなり持たせ辛い……というか手の穴を通しづらいです。

 

 ネギトンファー。
 殴られても痛くなさそうだけど、きつい匂いが付きそう。
 実は変形する方のネギは、このようにトンファーみたいに持たせることが出来るんです。
 思いつきじゃなくて、パッケージ裏の写真や説明書にも記されている持ち方です。

 

 両手長ネギトンファーを構えて、明鏡止水の境地に。
 トンファーって確か片方が防御用なんだっけ?

 

 既にお気づきの方もおられたでしょうが、ツインテールパーツは何故か磁石ジョイント接続になっています。
 そのため、このような取り外しも可能。
 外したおサゲはまるでレンゲのごとし。
 ショートカット風になった、新鮮な雰囲気の初音ミクが楽しめますが、この仕様には本当に驚かされました――悪い意味で。
 とにかく、保持力がないためおサゲが常に下向きになってしまう上、少しでもいじろうものなら指や手がぶつかってポロポロ落下してしまい、大変ストレスが溜まります。
 はっきり言って、ものすごく邪魔!

 

 マグネジョイント部アップ。
 初公開時からここは金属の球体関節でしたが、まさかマグネットパワーだとは誰も想定していなかったようです。
 かくいう筆者もその一人。
 超合金魂「鋼鉄神ジーグ」でも散々叩かれたものですが、バンダイのマグネジョイントは保持力に大きな問題があり、磁力は充分でも関節保持力が全然ダメという困ったものになりがちなのです。
 このページの画像全ての髪の毛が真下に垂れたままで、全然浮き上がっていないのはこれが原因。
 ただでさえ大型かつ重いおサゲを、保持力皆無のマグネジョイントで保持仕切れる訳がなく、たなびかせることなどは不可能になってしまいます。
 どうしてもなんとかしたいなら、改造するか手でさりげなくパーツを支えるしかないです。

 ちなみに、関節保持力は弱いですが磁力そのものはとても強く、おサゲを掴んでそのまま本体を丸ごと持ち上げる事も可能です。
 恐らくですが、摩擦力確保がイマイチなのと、ボージョイントに対して頭部の受け皿が小さすぎる(ボールジョイントを包み切れない)のが最大の問題かと。

 

 マグネジョイントは、専門用語?で言うところの「マグネモ8」。
 でも、無理矢理他玩具のパーツをドッキングさせる事も可能です。
 出来心で、プライザーとマイティを装着してみました。
 が、フルパワー姿勢の保持はさすがに無理でした。

 

 同口径「マグネモ11」サイズのパーツ、マッハウイングを装着。
 さりげなく? 腕で支えている状態で、当然こんな位置で固定なんかできません。
 やってみたはいいけど、全然面白くなくてちと残念。
 以上のおかしなパーツは、シーエムズ「BRAVE合金ガ・キーン」からの流用でした。
 というか、これしかなかった!

 

 ミクの特徴の一つ、ヘッドセットは後頭部パーツと一体化しています。
 ちょっとマイク部分が太い気もしますが、耐久性の問題を考えると仕方ないですね。

 

 次はボディ部の構造について。
 まず肩ですが、胴体側にクリック関節が仕込まれているため、動かすとカチカチ音がします。
 当然保持力も充分で、へたれる恐れは皆無です。
 腕を動かしても肩のラインを崩さないよう、背中側にシールドが接地されています。
 ただし、上腕部分は大きくジョイントパーツが露出していて、目立ってしまいます。
 これを「玩具的処理」と解釈するか、「粗」として捉えるかはその人次第という所でしょうか。

 

 腕を水平に開いてみた状態。
 所謂「腋見せ」なんですが、色気もへったくれもありません。
 上腕部分のジョイント露出は好き嫌いが分かれると仮定しても、「ロール軸がない」問題はいささか気になるかなと。
 本商品は上腕部が回転せず、可動範囲は全て肘部分のみでまかなっています。
 そのためか、思いの外ポーズを取らせ辛いという難点が生じています。

 後述しますが、脚部にもこのような「もちょっとなんとかならなかったのか」的部分が見え隠れでござるの巻。

 

 前腕のプレート部分は、ものすごい精密な再現が行われていてちょっと感心させられます。
 ものすごく細かい線までくっつく事なくきっちり分けられている仕上がり。
 ちょっとどころか、かなりすごいかも。

 

 肘部分は、頭部と同様マグネジョイントになっていて、このように引き抜くことが出来ます。
 構造的には、超合金魂の「マジンガー」系と良く似ています。
 先の通り、ここはロール軸も兼ねています。
 接続力は相当なもので、前腕だけ掴んで全体を持ち上げることは当然として、引き抜く際にもちょっとした力が必要なほどです。

 んで、なぜそんな機構が必要なのかというと。

 

 それはこれ「ロケットパンチユニット」と換装するためです。
 何故、初音ミクにロケットパンチ?! とお思いの方も多いでしょうが、超合金といえばロケットパンチなんだから仕方ないのです。
 自然の摂理と言い換えても構いません。
 真面目な話をすれば、かつての超合金玩具は、元になったキャラにそんな設定がなくてもロケットパンチ(スプリングによる手首発射機構)が付いていたものですが、今回「も」それをリスペクトしたわけです。
 これが、本商品がネタ玩具とされる所以でもあります。
 パーツ構成は、これまた超合金魂「マジンガーシリーズ」と同じで、発射ユニットに肥大化した前腕を接続する方式です。
 手首はPVCで、引き抜く事が可能。

 個人的には、ロケットパンチよりも「特捜ロボ・ジャンパーソン」のブレイクナックルを連想するのですが。

 

 パンチを飛ばし終えた状態。
 目測だいたい40センチ強くらいは飛ぶようです(平均値取ってないけど)。
 発射ユニットに、ガトリング砲の銃口のような、あるいはドリルミサイル発射口を思わせるようなモールドがあります。
 実によくわかっていらっしゃる。

 

 一応、ユニット自体は左腕にも接続可能ではありますが、手首が一つしかないため結果的に右腕専用になってしまいます。
 出来れば両方欲しかった気がしますが。
 発射ユニットと前腕パーツを比較すると、ロケットパンチの内部がどれだけ空洞かなんとなくわかるかと思います。

 

 普通の握り拳はこんな感じ。
 確かに、飛ばすなら別ユニット化した方が迫力はありますね。
 必要性の有無はともかく。

 

 次は脚部。
 近年あって当たり前という雰囲気になっている回転ロール軸ですが、残念なことに本商品には設置されていません。
 このため、八の字立ちがやや難儀になってしまいます。
 女の子のフィギュアなんだから八の字立ちなんて……と感じる方もいるかと思いますが、むしろ逆で女の子フィギュアの方が足が開けた方がいいのです。
 なぜなら、「モデル立ち(カメラに向かって手前のつま先をまっすぐ向ける立ち方)」には必須の可動だからです。

 

 脚は全く回転させられないというわけではなく、全て股関節で制御します。
 上の画像は、出来る限り八の字立ちをさせてみた状態で、これ以上膝を外側に向けることは出来ません。
 その上、足首の接地性も充分とはいえず、脚の曲げ方・広げ方によっては斜めになってしまう事もしばしば。
 それでも、なんだかんだで自立してしまう所はさすがなんですけど。

 

 もう一つの難点は、膝関節。
 「フィギュアーツ」プリキュア系とは異なり二重関節なのはいいんですが、脚線を整えることに主眼を置きすぎたのか、かなりアレな出来になっちゃいました。
 こちらは、すね側の関節だけを曲げた状態。
 太股側の関節が、既に異彩を放っていますが。

 

 こちらは膝全体を完全に曲げた状態。
 パッと見はまともかもしれませんが、よく見ると膝のすぐ上部分から折れ曲がっていて、かなり奇っ怪な形状になってしまいました。
 一応、これによりfigma以上の膝曲げが可能になりましたが、かなり好みの分かれるポイントかと思います。
 本商品を「初音ミクをアレンジした合金玩具」と見るか、「初音ミクの合金フィギュア」として考えるかで、評価が最も変わるのでしょうね。
 ちなみに関節保持力は充分で、カタつく事はありません。

 

 構造解説上やむを得ず、ここでいきなり「お約束」開帳。
 残念ながら縞パンではありませんが、話によるとこれは版権元の監修による結果だとかなんとか。
 それはともかく、股関節構造は「主軸パーツを合金化したfigmaタイプ」といった趣で、ここのボールジョイントによって脚全体のロールが管理されます。
 ただ、figmaにあった「太股上部の回転ロール」は存在せず、ボールジョイント受け部分が太股と完全に一体化しています。
 この結果、先でも述べた通り八の字立ちが難しくなり、可動範囲はfigmaに劣ってしましまいます。

 もっとも、この辺はパーツの耐久度や自重の保持など色々な問題に対策した結果かも知れず、一概に問題点と責められないのもまた事実です。

 

 こんな股関節ですが、回転に関して制約があるというだけで、前後左右の可動は充分過ぎるものがあります。
 上の写真は、左右の脚をそれぞれ限界まで前後に曲げた状態。
 本体が斜めになってしまったため、右足はそんなに曲げられそうにないように感じますが、実際は90度にやや足らずというくらい上げられます。
 後方へは相当大きく曲げられ、しかも干渉を緩和するためスカートも前後別パーツ構成になっています。
 そのため、曲げすぎるとサイドスリットが出現。
 色っぽさはゼロだけどね。

 

 全身像で見るとこんなところです。
 左足の膝部分が目立ちますが、 商品の仕様やらコンセプトを理解してくると、そんなに気にならなくなってくるかもしれません。

 

 銀色のコスチュームは上半身部分途中までがボディと一体成形ですが、下半分はプラパーツです。
 これは可動範囲を広げるための処理だと思われますが、なぜか分割部分からお腹が見えてしまいます。
 上体を後方に反るとヘソの辺りまで見えてしまいます。
 普通なら思わぬご褒美とするところなんでしょうけど、なぜかあまりありがたみを感じません。
 ちなみにこのパーツ分割方式は、figma版とほぼ同様です(さすがにそちらのパーツ材質はすべて同じですが)。

 

 個体差かもしれませんが、ネクタイパーツの固定力は物凄く低く、しょっちゅう落下してイライラさせられます。
 単に穴に突起を引っかけてるだけ、というレベルで、ツインテールパーツ落下の数倍以上の酷さです。
 あまりに酷いので、今回は内側に瞬間接着剤を点々と付けて保持力を高めました。
 その時気付いたんですが、ネクタイ裏側のボールジョイント部分の大きさが、胸元の穴より小さい……

 

 次は、付属品について。
 まずはハンドマイク。
 さっきネギを持たせていたのとは違う、専用の「小指立て」持ち手を使用して、歌っている姿を再現出来ます。
 いいなあ、手首が豊富で本当にいいなあ、いいなあ。

 

 かといって、ネギ持ち手は使い道がないかというとそんなことはありません。
 マイクスタンドも付属するので、パワーボーカル風に掴ませる役に立ったり。
 また、歌ってる時にはネギを振り続けて欲しいという向きもあるでしょうし。

 

 大型付属品は、マイクとマイクスタンド、そしてキーボードとスタンドパーツ。
 マイクスタンドは、マイクを支えている黒いパーツ部から取り外しが可能で、ここから手に持たせられます。
 キーボードは、下面に脚部分を接続するだけという簡単仕様。
 しかして、鍵盤はメッキ仕様、本体の大部分(スイッチやチューナー部分)は合金製という構成で、結構ズッシリ感があります。

 

 キーボードの高さはこんなもの。

 

 マイクスタンドを立たせることで、弾き語りも再現可能。
 本当はマイクスタンドを横に持ってきたいところなんですが、後述する台座に乗せる場合はこの位置が指定ポジションだったりします。

 

 わかり難いかもしれませんが、キーボードにも「超合金」の浮き彫りロゴが施されています。

 

 個人的には、キーボード弾き語りなら真正面を向いた歌い顔にしたいところです。
 残念ながら、この顔で代用するしかありませんが。
 それから、キーを叩いているような形状の手首もあると嬉しかったのですが、残念ながら指間が開いている形状の手首がありません。
 上の写真で使っているものが、一番マシかなという感じ。

 

 専用のディスプレイ台座。
 超合金魂のそれにかなり近い構造です。
 「魂STAGE」や「di:stage」とはコンセプトが異なり、ポージングさせて飾るのではなく転倒しないようホールドし、かつ付属パーツを収めておくためのものです。
 ミク本体を支えているのは、「聖闘士聖衣神話」用のスタンドのアームと「魂STAGE」のハンド部分を組み合わせたようなもので、保持力は完璧。
 かなり重たいミクのボディを、揺らぎなくガッシリ支え切ります。
 しかし、キーボードとマイクスタンドはロック機構がなく、ただ上に置いているだけ。
 そのせいか、安定性に欠ける印象が拭い切れません。
 ロケットパンチユニットの他、ネギを活けるスタンドもありますが、2本までしか立てられません。

 

 前面部には、メッキ加工のプレートが。
 こちらはプラ製で、しょっちゅう指紋がつくので拭き取りを徹底しましょう(ヘタすると取れなくなってしまうから)。

 

 台座の裏側には引き出しがついており、この中にサブパーツを全て収納可能です。
 活け切れなかったネギもしっかり収納と、見た目の印象以上の収納力があります。
 ただしちょっと固めに設置されているので、引き出す時は台座本体をしっかり押さえながら行う必要があります(出来ればマイクスタンドとキーボードも下ろした方が)。

 

 figma「初音ミク(ライブステージVer.)」との比較。
 確かに良く似てはいるんですが、ご覧の通り大きさ・形状は全くの別物です。
 とは言いつつ、基本構造は割と似ているんだなぁと感心させられる一面もあったり。
 上写真のfigmaの顔は、本商品の笑顔と同じような造りですが、正直こちらの方が良い顔しています。
 見方によっては、目で笑わず口だけで笑ってるかのような表情にも見えますが……

 

 これで一通りの仕様に触れましたが、最後にサイズ比較を。
 初音ミクの大きさは、約17.3センチと意外に大柄です。
 左:figma「朝比奈みくる・戦うウェイトレスVer.」(約13.3センチ)と、右:S.H.フィギュアーツ「仮面ライダー2号−FIRST−」(約14.3センチ)と比較すると、こんな身長差に!

 

 全体的な出来について。
 間近で見ると、やはり玩具的解釈による各関節部が気になりますが、ここまで何度も書いてきた通り、購入者の解釈次第でいくらでも許容出来るかな、と思われます。
 ただし、「可動主体」の評価を加えるか否かで、また別な判断が出来そうです。
 四肢のポージングに癖があり、また胴体部の可動範囲もあまり良好とは言えず、そういう見地では過去に発売された各種アクションフィギュアに何歩も譲ってしまいます。
 ただしあくまでこれは合金玩具だ、と割り切るなら、むしろこれは動きすぎなくらい可動範囲が広いわけです。

 しかし何はともあれ、重く取れやすいツインテール、重いボディに割と多い関節可動部分がありながらも、しっかり自立出来てしまうというバランスの良さは、絶賛されるべきではないでしょうか。
 これは脚部の関節の固さや、足首の保持力によるところが大きいようですが、本当に大事なことです。
 自立性が低すぎな「フィギュアーツ」には、特に見習って欲しいものです。

 

 ただし、立たせる事に関しては、意外な問題点も見えたりします。
 というか、どうしようもないものなので、単純に問題と言い切るのもどうかとは思うのですが。
 初音ミク本体は合金使用率がとても高く、当然かなりの重さに達します。
 そのため、他製品用のスタンドでは充分支え切る事が出来ません。
 例えば、今回撮影補助に使用した「魂STAGE ACT-4」は、ACT-3までの問題点の多くが改善され保持力・支持力も格段にアップしましたが、それでもミクは角度限定でしか支えられません。
 具体的には、ちょっとでも斜めの姿勢にしたり、アーム部に寄りかかるような姿勢になると、ひっくり返ってしまうのです。
 フィギュアーツを二体同時に浮かせて保持する事も可能なのに、ミクの場合は単体でアウト。
 それだけ重量級ということなのです。
 専用台座のスタンドは、初めて組み立てる時は必要以上に丈夫でアームも固いと感じますが、それくらいないとダメなんだとすぐに理解出来ます。
 あな恐ろしや。

 

 なんとなく、サイズの合うバイクはないかなと探してみたら、「S-RHFサイドバッシャー」が一番しっくり来ました。
 ただし、手の構造上グリップは握り切れないため、端っこに引っかけているだけでバランスは良くないです。
 無理矢理他玩具を関連づける際に用いる候補の一つ、といった程度ですかね。

 

 最後に、パッケージ正面。
 サイズは25×19.6×8センチ。
 正面のミクのシルエット部分は、ブルーメタリックの箔押し加工。
 とても綺麗なので、ここの破損には注意したいものです。

 

 パッケージ裏側。
 新撮の写真が掲載されていたりして嬉しいのですが、実際には再現不可能なツインテール展開保持や後方たなびきがふんだんに行われていて、ちょっとした詐欺テイスト。
 その他、所々に施された反射光の「合成」やが、安っぽくてとても残念。
 あと、なぜか画像がとても暗めに印刷されていて少し気にかかります。

▲ TOP ▲

【買ってみて一言】

 

 筆者は、「こんなオイシイネタ玩具は滅多に出ない!」と考え、早々に申し込みました。
 逆に言えば、従来のような完成品フィギュアとしての初音ミクではなく、「超合金である初音ミク」を最初から求めていたわけです。
 そのせいか、此処までに問題点・疑問点として挙げてきたポイントは最初から許容していたわけです。
 それでも、ツインテールのマグネジョイントだけは例外でしたが。

 ユーザーの嗜好によって評価が分かれそう、と既に記しましたが、本商品に限っては事前に仕様が解っていたこともあるので、購入前に充分な理解をしておく必要があるでしょう。
 最近は、「関節可動は多く・広くて当たり前」「ネジ穴は隠して当然」という傾向が非常に多くなり、本来可動など重視されていない「DX戦隊ロボ」系にまで求められている感がありますが、本来は商品またはシリーズごとに個性・特徴がある筈で、全てに同一のフォーマットを求めるというのは、何かがおかしいと言えます。
 それはあくまで「その人が欲しい玩具」を求めているのであって、玩具商品の良さを認めるという向きではありません。
 本商品は、ある意味それを際立たせる性質を持っているような気がします。

 

 んで「超合金・初音ミク」自体の魅力ですが。
 当初は仕様に対する好き嫌いが出るでしょうけど、弄っているうちに良さが実感出来る良い物です。
 何より全身金属感タップリ&重量感ドッシリで、それでいて可愛いとスタイルも充分(ミク的な意味で)ですから、色々な要素が混じり合っているわけです。
 可動タイプの美少女フィギュア=PVCやABSの塊という先入観を打ち破り、独特の、しかし以前どこかで覚えた質感を楽しめる。
 その上でネギだのロケットパンチだのと盛り沢山ですから、素直に楽しめます。
 問題は価格に見合ったものかどうかという点ですが、そこら辺は手にした人によって判断が変わると思います。
 筆者は大変良いものではあるけど、さすがに送料込で1万弱というのは行きすぎかなと感じます。
 合計8千円くらいが適切かなあと。
 ま、多少は願望も混じってのことですが。

 既に申し込みは終了しているので、これからはオークションや中古屋などで入手するしか手段はありません。

 ――が、ホビージャパンでは確か、いずれバージョン違いなども出したいと書いてあったような。
 いまだにそれに関する発表はありませんが、続報に期待するのもいいでしょう。

 それより前に、「超合金はちゅねみく」の方が発売されそうだけど?!

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