第20回 ■ タカラ 勇者エクスカイザー「マスターピース キングエクスカイザー」1
2006年1月22日 更新
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久しぶりに、装着変身以外のアイテムのレビューです。
おお、しかもタカラ製品!
バンダイ以外は本当に久しぶりです。
いえ別に、バンダイ崇拝主義という訳ではなくて、単に個人的興味を引くものがなかっただけなんですけど。
しかし…今回はエクスカイザー!!
まさかまさかの、勇者シリーズのMP化!
思い入れたっぷりのこの商品、レビューしない訳には参りますまい!
遅くなって申し訳ありませんでしたが、魂揺さぶられながらお送りする今回のレビュー、今回は2ページ構成で行ってみましょう。
それでは、「フォームアップ!」
●タカラ マスターピース「キングエクスカイザー」 定価9450円(税込)
- エクスカイザー本体
- 拳パーツ×全5種
- ジェットブーメラン×2
- スパイクカッター×2
- 非戦闘時用ブレストパーツ
- ディスプレイスタンド(2パーツ構成)
- 星川コウタ・ミニフィギュア
- マリオ・ミニフィギュア
- キングローダー本体
(キングエクスカイザー・ボディ) - 拳パーツ×全6種
- カイザーショット
- カイザーソード短(2パーツ構成)
- カイザーソード長
- 取扱説明書
- 説明書付加説明用紙
●劇中のキャラクター
エクスカイザーは、1990年2月3日から1991年1月26日まで全48話放送された、「勇者シリーズ」の記念すべき第一作目「勇者エクスカイザー」に登場する、メインロボット。
宇宙海賊ガイスターを追って、地球にやって来た宇宙警察エクスカイザーとその仲間は、実体を持たないエネルギー生命体。
地上で活動するために地球の既存メカ各種と合体・融合して物理ボディを得るが、その際エクスカイザーが利用したものが星川家の自家用車だったため、星川家長男・コウタと知り合う事になる。
以降、エクスカイサーはコウタから地球上の常識やルール、価値感などを教わりながら、「地球の“宝”」を奪うために暗躍するガイスター達を相手取り、壮絶な戦いに挑んでいく。
いつしか、エクスカイザーとコウタの関係は友情に発展し、そして、さらにかけがえのないものになっていく。
だが、ガイスターを捕らえた時、宇宙警察である彼らは地球を去らなくてはならないのだ……
エクスカイザーは、普段は星川家の自家用車(市販車にしては妙に独特な形状のオリジナル車種)の姿をしており、星川家の車庫の中で待機している。
ガイスター出現の報を受けると、自力で車庫を飛び出し、現場へ急行!
その際、一度ビークルモード状態のままで変型し、星川家の自家用車とは別な姿になる(残念ながら本商品では、この変型の再現はオミットされている)。
その後、さらにロボット形態に変型し、ガイスターや、彼らがエネルギーボックスを無機物に合成させて作り出した巨大メカ・ガイスターロボ に戦いを挑む。
一見非武装に見えるが、実際はかなりの武器を内蔵しており、ジェットブーメランやスパイクカッター等の飛び道具、フレミングノヴァ、インパクトフラッシュ、ショルダーボム、ブレストビームなどの多彩な武装を使い分ける。
しかし、エクスカイザーの力だけではどうしようもなくなった時、サポートメカのキングローダーを異次元より召喚し、これと合体!
巨大ロボ「キングエクスカイザー」となり、さらに強化されたパワーでガイスター達を蹴散らしていく。
キングエクスカイザーも、外観から想像できないほど多彩な装備を持っており、カイザーソード、カイザーショット、カイザービーム、カイザーブラスター、カイザーミサイル、カイザーバリヤー、キングバリヤー、カイザーフレイムなどを使い分ける。
メインの必殺技は、カイザーソードにエネルギーを蓄積し、延長した刀身を振り下ろして“その場から動かず”相手を一刀両断する「サンダーフラッシュ」。
その他、「真空桜吹雪」「カイザーウイングブレイク」などの技を披露した事もある。
エクスカイザー自身は善悪問わず、生き物の生命を尊重する主義であるため、同じエネルギー生命体のガイスターを殺したりはしない。
倒すのは、あくまで彼らが作り出した、非生命体のガイスターロボだけだ。
それは、ガイスターの首領・ダイノガイストとの最終決戦の時まで強調され続けた。
エクスカイザーは、後にドラゴンジェットというさらなるサポートメカを用いるようになり、やがて本人すらも想像していなかった“超巨大合体”に至るわけだが…
劇中のエクスカイザーは、ロボットの身体を持つ宇宙人であり、人間とほとんど変わらない感性と感情を持ち、さらには礼に厚く、大変完成された人物像として描かれていた。
ほとんど非の打ち所がない性質で、コウタとの関係も友達同士というよりは、むしろ「父と子」の関係に近かった。
もちろん、コウタにはちゃんと父親が居るのだが、エクスカイザーの存在はそれとは別の「理想的な大人」としての存在感があった。
また同時に、カイザーズのリーダーとしての貫禄も申し分なく、仲間のレイカーブラザーズやマックスチームを指揮する姿勢に、微塵の違和感もなかった。
指揮と言っても、トランスフォーマーに登場するコンボイ司令官のようなスタイルではなく、他の仲間と並列関係にありながらも、きちんとリーダーとしての存在意義を発揮していたわけだ。
このように、エクスカイザーの描かれ方は大変秀逸で、実は、他の勇者シリーズでもあまり成功していなかったスタイルだったりする。
エクスカイザーに並ぶ「主人公の少年と共に在る」という図式を確立・昇華させたのは、他では「勇者警察ジェイデッカー」のデッカードだけであり、それ以外の作品では、残念ながらリーダーロボが他のメンバーの中に埋没してしまっていたり、主人公の少年の腰巾着みたいな扱いになってしまっていたりする。
(「太陽の勇者ファイバード」のファイバードこと火鳥は、それ自体で作品の主人公格にのし上がってしまったので、例外&別進化形態と言えるだろう)
そのように見ていくと、エクスカイザーは、シリーズ第一弾にしていきなり完成され切っていたキャラクターだった事がわかるだろう。
「エクスカイザーの魅力」のほとんどは、劇中描写だけでなく、声を演じた速水奨氏によるところも大きいだろう。
氏の深みのある声質は、エクスカイザーに「信頼性」という、形に出来ない魅力を与えていた。
また、常に誠実な姿勢を維持するエクスカイザーは、決して嘘を言わない。
そしてそれが、最終回のコウタとの別離の「最強のお約束破り」を生み出し、ファンの心に深く残り続けるシーンへと昇華させたのだ。
なんと、最終回の一場面のインパクトだけで、同人誌を作ってしまったという人が多発した程だ。
それほどまでに、ファンの心を強く打った名作「勇者エクスカイザー」。
当時思い入れていた人にとって、今回のマスターピースは、絶対に入手しなければならなかった必須アイテムであると言えるだろう!
●概要:
「マスターピース キングエクスカイザー」発売の報が流れたのは、2005年の夏頃だったと記憶している。
当時の個人的感想は、まったくなかった。
というより、感想を抱くよりも先に、ネットで予約していたからだ。
冷静になって、当時の反響を思い返してみると、「なぜ突然勇者がMPに?」とか「どういう構造になるんだ?」とか、実に様々な感想があったようだ。
マスターピースは、いわばタカラにとっての「超合金魂」みたいなもので、過去発売された「TFシリーズ コンボイ」「同 ウルトラマグナス(コンボイのリペイント)」の流れから、だいたいのファンはトランスフォーマーシリーズが続いていくものと想像していたようだ。
ところが、いきなり第三弾(造形的には第二弾)で、予想を大きく外してくれたのだ。
ファンの間に複雑な思いはあったと思うが、全体的には好意的に受け止められていたようだ。
その後は、「完成度はどうなるか」「可動はどう処理されるか」という、当然の疑問へと話題が集中していく事になる。
番組放送当時に発売された「巨大合体キングエクスカイザー」という商品がある。
これは、劇中の合体シークエンスを再現してはいるものの、それ以外の部分に(当時の感覚から判断しても)難点が多く、ただ「人型の箱の中にエクスカイザーを収納するだけ」の物に過ぎなかった。
無論、中にエクスカイザーが収まっている関係で可動はゼロに等しく、せいぜい脚がちょっと左右に開くのと、肘が90度曲がるだけ。
それ以外は首すらも可動しないという、凄まじいものだった。
で、こちらのインパクトが強かった事と、中に人型ロボが収納される「ゴーディアン方式」の場合、どうしても関節可動率が低下するという過去例の印象があり、古くから玩具に興味を持っていた人達は、どうしても不安が拭えなかったようだ。
しかし、原型写真が発表された途端、この可動率に対する不安は「疑問の声」と変わった。
中にエクスカイザーを収納している割には、妙に動いている!
しっかりポーズを付けているではないか!
股関節がしっかり曲がっている!
肩がスイングしている!
意外な新技術導入か? と想像させる原型写真はなかなかの販促効果があったようで、プレイバリュー重視派の人達の興味をも強く惹いたようだ。
ただし、一部でプロポーションに対する不満の声も上がっており、事実、発売された商品はかなりずんぐりむっくりの体型になってしまった。
とはいえ、これはこれで…いやいや、続きはレビューで触れよう。
なお、以下の本文では
旧…巨大合体版
新…マスターピース版(本商品)
として統一呼称するので、よろしく。
●エクスカイザー/カーモード:
全長5.2メートル。
エクスカイザーが、星川家の自家用車に融合したもの。
ナンバープレートは「多摩33 ぴ38-52」。
ロボット時の重量が32.6トンというから、不可思議な力で軽量化されてでもいない限り、カーモードのエクスカイザーは一般車両の平均重量の実に約25倍にも及ぶことになる。
或いは、平均より重い分が、エクスカイザー本体(エネルギー体)の重さなのだろうか。
この重さで最高速度398.3km/hを出せるというのだから、いったい何psの出力があるのか知りたいところ。
おっと、その前にサスペンションとスプリングの強度と性能も知りたいぞ。
ともあれ、さすが宇宙警察、スペックだけでもスケールが違いますな。
本商品のカーモードは、厳密には第一次変型体であり、星川家で待機中の一般車両型とは微妙に違う。
最も大きな違いは、ボンネットの獅子マークと、リアフェンダー周辺の形状。
劇中では、コンソールパネルも変型しており、ハンドルが収納・消滅する。
一般車両状態で自走し、走行中にこの形態に変化、さらに現場でロボット形態へと変型するというプロセスを踏む。
「巨大合体版」の時は“エクスカイザー車”という身も蓋もない名称をつけられていたカーモード。
旧版との比較をしてみよう。
- ・サイズ
- 旧:17センチ×幅最大約7.1センチ×高さ最大約4.5
新:長さ約8.5センチ×幅最大約3.5センチ×高さ最大約2.2センチ(ルーフトップ約1.8センチ) - ・シャーシ形状
- 旧:ライオン顔がレバーで反転して収納される。
新:ライオン顔が奥に引っ込み、接地を防ぐ(格納はしない)。 - ・配色・マーキング
- 旧:ほとんどが成型色。ウインドウなど一部塗装。ライオンマークはステッカー。ホイール部分未着色。
新:リアフェンダー・メインボディ部を除いてほとんどがペイント。ライオンマークはタンポ印刷。部分的に墨入風の塗装あり。ホイールが設定通り赤く塗られている。 - ・ロボットモードへの変型プロセス
- 旧:肩・腕部(リアフェンダー方向)から変型させなくてはならない。
新:先に脚部(フロントノーズ方向)から変型させなくてはならない。
※それぞれパーツのかみ合いの関係で、ストッパー効果が働いているため。 - ・変型時のラチェット感
- 旧:文句無くカッチリはまり、パーツの結合感もしっかりしている。
新:ラチェット感皆無。さらに、リアフェンダー部分の固定に難がある。 - ・新旧共通部分:
- リアウインドウ部分の、キングローダー用接続穴。
リアフェンダー部分の変型構造。
全体的に小型化し、作りも複雑になったものの、実は基本的な変型構造は旧版と大差ない。
リアウインドウ下の空間に、エクスカイザーの頭部と前腕部が折りたたまれている状態になっており、真後ろから見るとその様子が確認できる。
つまり、旧版同様スカスカになってしまっているわけだが、ここはさすがのMPでもフォローできなかったようだ。
個人的には、うまく隠して欲しかったけどなあ。
新版は、折りたたまれた両肩をリアウインドウで押さえ込み、ジョイントを合わせる事でフェンダーの横広がりを防ぐ構造になっているが、リアフェンダーの基部がボールジョイントになっている関係で、リアウインドウがあまりうまくはまらない場合がある。
また、ロボット時の腰・股間部の関節増加に伴い、車体全体がゆがみ易くなった事もあり、フロント部分の折り曲げと固定に少し手こずる感覚がある。
この辺りは、慣れでなんとかフォローできそうな感じだ。
個人的には、もう少しリアフェンダーの固定感を強めて欲しかったような気がする。
リアフェンダー側の凸ジョイントの爪の長さをもう少し伸ばせば、なんとかなりそう?
カーモードのスタイルは、劇中のイメージにかなり近づき、旧版よりもシャープな印象になった。
何より、フロントノーズが延長され、より“らしく”なったのは見逃せない。
ノーズの長さを維持しながらも、ロボット形態時の脚の長さも両立させるというのは、なかなかすごい事だ。
旧版は、ロボット時の足の長さのバランスを優先させるため、ノーズ部分が妙に短くなり、まるでランボルギーニカウンタックのような印象があったが、その分劇中イメージからは程遠くなってしまっていたからねえ。
よくよく見ると、新版はこんなに薄っぺらなボディなのに、しっかりロボットに変型するのだから、技術進歩は凄いなと思わされる。
惜しむらくは、キングローダーの接続部などが、旧版同様表面に露出しっ放しになっている事だろうか。
ここは、なんとかうまく誤魔化して欲しかった気がする。
キングローダー側の接続ジョイントが「やりすぎ」というくらい凝ったものなので、ここが無念なポイントなのだが…
とはいえ、このサイズだと出来る事も限られるからなあ。
●エクスカイザー/ロボットモード:
全高10.3メートル。
劇中での、エクスカイザーの本当の姿ともいえるスタイルで、星川家の自家用車から二段変型したもの。
星川家の自家用車は元々はごく普通の一般車両で、無論、ロボット変型機能などはまったく持ち合わせていなかった。
エクスカイザーが乗り移った事で、一般メカがいきなり変型メカ化したわけで、これらはエネルギー生命体の特殊能力的に扱われている(この辺はTF的な解釈の名残だよね)。
この「変型なんか考えてもいないメカに無理矢理変型ギミック導入」というプロセスは、その後「伝説の勇者ダ・ガーン」まで継承され、シリーズ七作目「勇者指令ダグオン」でも、一部応用的に使用されていた。
宇宙警察官ルナ(人間の姿をした宇宙人)が、間に合わせで手近にあったパワーショベルに力を照射し、ファイヤーエンの二台目ロボット・パワーダグオンになるファイヤーショベルをこさえてしまうという離れ業をやってのける場面がある。
要するに、宇宙警察やエネルギー生命体は、なんでもありという事だ。
もし、伝説の勇者達やルナがマシンにめぐり合えず、掃除機や電柱しか見つけられなかったらどうなっていたのか、大変興味深い。
閑話休題。
エクスカイザーは、後の勇者シリーズの主役ロボの原型(注:ダ・ガーン以降)であり、かなりスタンダードなイメージだが、胸に大きなライオンの顔があったりと、自己主張もばっちり。
非戦闘時にはこの顔を収納させるが、本商品では、パーツ差し替えでこれを再現。
本商品は、関節可動率が遥かに高まり、より劇中のプロポーションに近づいた。
- ・サイズ
- 旧:高さ約17×肩幅約17センチ
新:高さ約9.5センチ×肩幅約7.7センチ - ・関節可動
- 旧:肩・上腕基部・肘・股関節・膝が可動。肘のみ二重関節。
ただし、いずれも変型合体過程で必要な可動なので、それぞれ曲がる方向や幅が限定されている。
首は完全固定、足首も変型に沿った範囲でしか可動しない。
新:首・肩付け根・肩の後ろに回る長いパーツ基部・肘・腹部・足首にボールジョイント採用。上腕基部・股関節・膝が可動。
股関節と膝関節の間に、もう一つ関節が増設されている。その他、八の字立ちが可能。 - ・腰部アーマー
- 旧:完全固定。
新:スカートアーマーが別箇可動。サイド×2・正面と計3つの構成。 - ・専用付属武器
- 旧:なし。しかし、なぜか手首に武器を持たせられそうな穴が開いている(実際には何も持たせられないが)。
新:各種オプション付きだが、武器単体ではなく、エフェクトパーツを接続する「雰囲気アイテム」になっている。
さらに、5種類の手首と、ディスプレイスタンドが付属する。
手には何も持たせられない。 - ・その他
- 旧:ボンネットのライオンマークが、膝周辺部分に見えている
新:ライオンマークが変型時に脛の裏側に回りこみ、見えなくなる。 旧:オールプラ製。
新:脛部分(フロントノーズ部分)がダイキャスト。
エクスカイザー・ロボットモードは、ミクロマンよりも小さなサイズなのだが、かなり自由なポージングを楽しめる構造になっている。
ただし、肩の構造に変型事情のしわ寄せが来ており、ちょっと特殊な可動のさせ方が必要になる。
赤い肩パーツの基部にボールジョイントが仕込まれ、上腕を繋ぐ部分がただの一重関節になっているため、エクスカイザー特有の指差しポーズをやるためには、赤い肩パーツを思い切り持ち上げ、頭に接触する寸前くらいまで寄せなければならない。
ここは構造的に、肩の基部を回転ロール、上腕基部をボールジョイントとすべきだったように感じるのだが、どうしてこうなったのだろうか?
肩が正面を向いている状態でも、上腕が前に出せる構造にさえしておけば、カーモードへの変型にも支障はなかった筈だし、むしろリアフェンダー周辺の不安定感も緩和できたと思うのだが。
もっとも、その場合肩のスイング機構も盛り込まなければならないから、やはりサイズ的&強度的に難しかったのだろうか?
いずれにしても、ここはかなりクセのある構造なので、注意が必要だ。
脚部は、巨大合体時の関節可動の都合で、かなり多く関節が設けられている。
そのおかげで、劇中のジャンプポーズなども容易に行え、またその際、ディスプレイスタンドが嬉しい効果を発揮してくれる。
このサイズで、身体を捻りながら片膝を前に思い切り出すという、力の流れを感じさせる姿勢が取れるのは嬉しい。
ライオンブレストは、押し込む事でカーモード時の接地(擦れ)を防げるが、逆に引っ張り出すのがきつい。
何か先端の細いもので、背中側の隙間から押し出してやると楽なのだが、これはちょっと難儀させられる。
また、引っ張り出しても固定が不充分のため、またすぐに引っ込んでしまう。
これは、非戦闘時ブレストでも起こる問題点だ。
せめて、爪をひっかけるためのへこみを、サイド部分に設けて欲しい。
まあ、慣れればなんとか引き出せるんだけど。
武器のジェットブーメランとスパイクカッターは、エフェクトパーツの基部を手首部分に装着する。
武器とエフェクトは完全に一体化しているため、分離は不可。
これは、飾る際のボーナスパーツ的なものだと解釈すべきだろう。
エクスカイザー自体のオプションではないが、同スケールの星川コウタとマリオのミニフィギュアが付属。
コウタの足元に台座部分があるため、並べて飾るとやや違和感があるが、エクスカイザーの大きさをイメージさせる比較対象としては秀逸で、なかなかありがたい。
キングエクスカイザー時の肩の上なんかに飾ると、いい感じかもしれない。
●キングローダー:
全長22.4メートル、総重量54.3トン、最大速度472.5km/hの巨大ビークル。
エクスカイザーの専用サポートメカで、キングエクスカイザーのボディ全体を構成する。
アメリカントレーラーですら全長15メートル前後だから、こんなものが地上を走行したらとんでもない迫力だろう…と思ったら、劇中では開き直って、まるで地響きが伝わってきそうな程の大迫力で疾走していた。
カーモードのエクスカイザーと連結し、牽引車(トレーラー)モードになるが、これはオープニング以外では24話のみでしか再現されていない。
これだけの大きさの物を牽引するなら、確かにエクスカイザー自体も30トンくらいの重さは必要かもしれない。
よく考えると、トレーラーモードでそれぞれが最大速度を出したらえらい事になりそうだが、そういう無粋な考えはどこかへうっちゃっておこう。
キングローダーは、エクスカイザーの遠隔操作でのみ走行可能のようで、一見コクピットに見える部分は、どうやらただのダミーのようだ。
上面部は、空母のカタパルトを連想させる形状になっており、まるで中から小型メカでもせり出してきて離陸しそうな雰囲気だ。
ひょっとしたら、初期設定か何かで、小型内蔵メカでも発進させる予定があったのかな?
恐らく、形状イメージとしては車両運搬用トランスポーター型なのだろう。
普段は異次元空間に格納されているという設定で、地上メカの何かが変質させられたものではないらしい。
召喚時、暗雲を切り裂くような稲妻の落下と共に、遠方からドドドと疾走してくる姿がカッコイイ!
合体時にはウイング(上面の滑走路に見える部分)を開き、空中に浮かび上がる。
本商品では、これに「フライトモード」という独自名称が付いているが、劇中で単独飛行による活躍シーンがあったわけではない。
合体バンクでは、さっきまでド迫力で走っていたキングローダーが、突然優雅に宙を舞い始めるという「違和感」がキモで、しかも、飛翔進行方向に対して横回転しながら屹立し、しかも飛行中にブースターを切るという、メカフェチ泣かせの細かい演出がふんだんに加えられている。
そして、空中で屹立・静止した状態でシャーシ側のハッチを展開し、内部にエクスカイザーを収める。
キングローダー召喚・合体時は、BGMの迫力も手伝って、本当にすごい迫力になっている。
本編を見た事のない人は、せめてこの召喚・合体バンクだけでも見ていただきたい。
本商品のキングローダーは、旧版の「むやみなデカさ強調」とは雰囲気が異なり、コンパクトながら中身がギュッと詰まった感じだ。
サイズから得られるイメージに反して、意外に重さがあるし、パーツ密度の高さも感じられる。
また、外観も劇中イメージの再現が徹底されており、大変完成度が高い。
ただし、白の成型色パーツが安っぽさを感じさせてしまうという欠点があり、これが第一印象をかなり悪化させている。
タカラは、白や銀の成型色部品の扱いが昔からダメな事で有名だが、バイナルテックシリーズなどでも見受けられる難点がここでも如実になっており、大変惜しい。
特に、フロント部(キング時のつま先になる部分)の白成型色部分はものすごく汚くなっているものがあり、筆者の物は、表面ズダズダ&拭き取れない汚れ大量付着という、かなり酷い状態だ。
どうしてこの部分のパーツだけ…
白成型色部分は、せめて表面に艶加工があったり、うっすらパール塗装が施されているだけでも、ぐっと高級感が出せたと思える。
もっとも、タカラはそういう所にほとんど気を遣ってくれないからなあ。
ここでも、旧版との比較をしてみよう。
- ・サイズ
- 旧:全長約33センチ×最大幅約16.7センチ(胴体部約13.5センチ)
新:全長約25.5センチ×最大幅約11センチ(胴体部約8.5センチ) - ・シャーシ形状
- おおまかな構造・コンセプトは、新旧ほぼ同じ
- ・フロントタイヤ周辺
- 旧:前輪むき出し(終始)
新:ローダー走行時・飛翔時・ロボット時で形状変化。
タイヤ部分が三角形構造になっており、回転させる事で「二輪」「一輪&ブースター露出」「格納」状態を再現可能。 - ・上面部
- 旧:ウイングが左右個別に可動
新:ウイングが左右連動。先端部を固定するためのジョイントあり。
(ジョイント自体に格納ギミックが設定されている) - ・リアブースター周辺(キングエクスカイザーの頭部収納)
- 旧:底の抜けた箱型のブロックで、キング頭部を覆い隠す。
新:基本的に旧と同じだが、キング頭部を180度回転させる。
(※新旧共に、キング頭部の完全格納は不可能) - ・リアブースター周辺(形状)
- 旧:基部に回転機構がある以外、まったくの無変型。
新:バーニア面が可変し、ローダー時とロボット時で厚みが変わる。 - ・後輪部分
- 旧:キングの前腕をそのまま折りたたむだけ。
新:折りたたみ時にロックがかかる&手首を回転させて半収納状態に。 - ・エクスカイザー・カーモードとの接続
- 旧:前輪部分を反転させ、両方をまたぐジョイントパーツを露出させて接合・合体。
新:基本構造は同じだが、接続ジョイントの収納・接合がより複雑化。 - (牽引車ギミックとしては、旧版の方が優秀。新版は接合部の可動範囲が狭く、あまり良いスタイルにまとまらない難点がある上、外れやすい)
- ・塗装・モールド
- 旧:ボディ全体が白い成型色のプラで構成されており、塗り分けはほとんどない。
マーキングのほとんどはステッカーで再現。
新:成型色部分・塗装部分が複合。フロント部分側面の排気口状モールドや、ウイング部分などに塗り分けあり。
ヘッドライト・テールランプも別箇塗装されている。 - ・その他
- 旧:後輪が黒成型色パーツ一つのみの構成。
新:ホイールとタイヤ部分が別パーツになっている(後輪すべて)。
キングローダーは、細かく見ていくと、大変複雑な構造になっている事がわかる。
特に、キングの足首になるフロント部分周辺の構造は秀逸で、タイヤ収納関連のみならず、キングのつま先・かかとに相当する部分の可動構造などにも目を見張る。
また、トレーラーモードの時にはフロント部を180度ほど反転するのだが、その際、内部でストッパーが作用し、フロント部をがっちり固定してくれるようになっている。
ひょっとしたら、このストッパーはグレート合体時などに応用されるのかもしれないが、現時点では、これ以外に役目を果たしていない。
フロント部の真上に、白いブロック状パーツが飛び出ているが、これはキングエクスカイザーのかかとになる部分。
フロント部とこのかかと部分が、それぞれフレキシブルに可動するようになっている。
キングエクスカイザーの脚部関節はプラプラしないようになっているため、キングローダー時にボディがゆがむ事はない。
また、両脚を固定するロックも内股部分に内蔵されているため、フロント部が横に開く事もない。
また、このジョイント自体左右で反転収納させる事が可能なので、目立つ事はない。
この辺りは、なんとなくバイナルテックシリーズの名残が感じられる。
ただし、ジョイントをはめる際に少し手こずってしまうので、ちょっと慣れが必要だ。
キングローダーは、全体のフォルムに大きな違和感はなく、むしろかなり良くまとめられている。
本商品全体に見える「仕上げの粗さ」を度外視すれば、ある意味もっとも完成度が高いかもしれない。
個人的には、キングエクスカイザーの頭部をどう収納するかに期待していたので、旧版とさほど変わらない処理に甘んじてしまったが残念だったが、かといって代替案が思いつくわけじゃないからなあ、う〜ん…。
せめて、頭部をすっぽり覆い隠すようになっていれば、文句なしなんだけどねえ。
なお、キングエクスカイザーからキングローダーに変型させる際、肘部分を直角に折り曲げないとならないのだが、この時かなり強い抵抗があるため、壊すのを恐れるあまり曲げきれない人が居るようだ。
ここは「勇気」を持って、ぐいっと力を込めて曲げてみよう。
すると、ある程度抵抗を乗り越えた時点で、すいっとスムーズに曲がってくれる。
この抵抗が大きい事については、筆者は問題だとは思っていない。
もし、ここがもっとゆるければ、キングローダーの後輪部分が横に開いてしまう可能性があるからだ。
ここには意外に負荷がかかっているので、むしろ固定はきつい方がいいのだ。
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