古物倉庫 第7回 ■ タカラ 勇者エクスカイザー「巨大合体 キングエクスカイザー」

2006年1月19日 更新

 2005年12月。
 タカラから「マスターピース キングエクスカイザー」が発売されました。
 「勇者エクスカイザー」大×1億7千万好きな筆者も、もちろん予約して買いましたとさ。

 でも、いざレビューページを作ろうとして、ふと思った筆者。
 マスターピース版を語るより先に、元祖である「巨大合体」版キングエクスカイザーを紹介すべきなのではないだろうか?

 と思い立ち、いきなり方向転換して作り上げたのが、今回のこちらのページ。
 てなわけで、マスターピース版より先に「勇者エクスカイザー」本放送当時に発売されたメイン商品を扱ってみます。
 マスターピースを持っている人は、技術の進歩を、そして当時番組をリアルタイムで見ていた方々は、少しだけ1990年に戻って、堪能してやってください!

 それでは…Go with me Exkizer!!

 まずは、各ビークルマシンから。
 左がキングローダー、右がエクスカイザー・ビークルモード。
 ただし! この商品内では「エクスカイザー車」と呼ぶのが正しい(後述)。
 なんか恥ずかしい名称だなあ。

 エクスカイザー車(説明書表記)。
 星川コウタの父が乗る自家用車に、エネルギー生命体のエクスカイザーが憑依して誕生したもの。
 本編では「通常車両(第一)形態」→「第二形態」→「ロボット形態」と2段変形するのですが、1→2への変形は車のディテールが変わるだけなので、残念ながら変形ギミックはオミットされています(MP版も同様)。
 というわけで、こちらは第二形態。
 シールを貼ってないのでのっぺりしてますが、実際はボンネットに獅子のマークが付きます。

 MP版ビークルモード(右)との比較。
 言うまでもなく、劇中イメージに近いのはMP版の方。
 詳しい比較はMP版レビューでやりますが、MP版ビークルモードが長さ約8.5センチ×幅最大約3.5センチ×高さ最大約2.2センチ(ルーフトップ約1.8センチ)であるのに対して、巨大合体版のは、長さ約17センチ×幅最大約7.1センチ×高さ最大約4.5センチというジャンボサイズ。
 これは、「勇者王ガオガイガー」のガイガー登場まで、主役勇者コアロボとしては最大サイズでした。

 ファイバード?
 火鳥兄ちゃんはシリーズ最小でしょ?

 横・斜め後方・正面から撮影。
 真後ろから見ると、エクスカイザーの頭部が見られます。
 リア部がスカスカな割には、全体的にガッチリした造り。
 対象年齢低めだから当然なのですが、おかげで安心してガシガシ遊び倒せます。

 変形開始。
 まず、リア部分を展開して、腕と肩を構成します。
 こっちからやらないと、変形できません。

 折りたたまれていた脚を伸ばして、リアウインドウ部分を背中に回します。
 フロントウインドウ部分を折り曲げるとつま先(足首)に。
 これで自立可能に。

 シャーシ側は、エクスカイザーの胸部と腹部です。
 左側の黄色いスイッチを上から下に動かすと、ライオンブレストが回転・出現します。

 人間には絶対不可能な曲げ方をしていた腕を伸ばして、脚を開くと変形完了!
 エクスカイザー・ロボット形態。
 肘が二重関節なのはいいんですが、
 首は無可動・上腕と脚の付け根は左右にしか動かないため、ろくにポーズが取れないときたもんだ。
 しかし、変形構造の都合で両肩が前方向にスイング可能。

 キングローダー。
 メカの詳しい説明はMP版にて。
 キングエクスカイザーのボディを構成する、巨大ビークル。
 長さ約32センチ×最大幅16センチ×高さ約10センチ。
 地を走るザンバード。

 以下は、サイドビューと先端部の変形。

 先端部を回転・変形させる事でジョイントを設定。
 エクスカイザー車のリアウインドウに空いている穴に差し込むことで、OPと24話でおなじみのトレーラーモードを再現。
 ちなみに、このモードに限り、MP版より本商品の方が完成度高し。
 その理由は、MP版レビューで。

 では、いよいよ巨大合体!
 まずは「キングローダー!」と力一杯叫びましょう。
 脳内ミュージック・スタート!!

 ウイングを展開させながら、キングローダーが優雅に宙を舞って…。
 このシーン、個人的に大好きでした。

 リアブースターを解放し、キングエクスカイザーのヘッドブロックを露出。
 キングローダーの天板とノーズ部分を回転させます。

 この時点で、キングの顔部分に何もない事に注目。

 本体を屹立させて、シャーシ側のハッチをフルオープン!

「フォームアップ!!」

 エクスカイザーを収納して、前面ハッチを閉じると、キングヘッドの底部分にエクスカイザーの頭頂部が来て、これがキング顔パーツを押し上げます。
 合体後にキングの顔が整うという、劇中のシチュエーションが再現されるわけです。
 これは、巨大合体オリジナルのギミック。
 さらに、左胸の黄色いスイッチを押して、ライオンブレストをポップアップさせましょう。

 どーでもいいけど、
 目つきが悪いぞエクスカイザー!

 キングエクスカイザー全身。
 一号ロボにして、全高約29センチもの巨体!

 背面。
 背中の板は、本当はブースターユニット。
 内側にバーニアのシールを貼り付けて再現します。
 これは、キングローダーのブースターがバックパック化するというプロセスが、玩具的にギミック再現できない無理のあるものだったためです。
 後にMP版で改訂されるわけですが、この時は、これでなんとか我慢するしかなかったんです。

 ただ、この背中の空間はやむを得ず空いているものだとばかり思わせておいて、実はそうではなかったという事を、後に思い知らされる事に…

 カイザーソードは、設定通り右脚側面部に収納。

 折りたたまれていた刀身を伸ばして、準備OK。
 と言っても、収納の関係でものすごく短いから、迫力不足なんてものじゃない…

 さて、実はこのキングエクスカイザー。
 聞くところによると、当初の設定では存在しなかったそうです。

 「勇者エクスカイザー」では、他メカとの合体機構を持たない単体ロボットが活躍する内容になる筈でした。
 ところが、後からパワーアップ合体が決定してしまったため、さあ大変。
 単独で完成されているエクスカイザーに、合体用の機構を取り込む事が難しくなっていたため、やむを得ず、エクスカイザー全体を別な物で包み込んでしまう合体方式が選ばれました。
 そう考えると、エクスカイザーだけ他の勇者シリーズ作品にない独自の合体形態なのも納得できますね。
 そんなキングエクスカイザーに、さらにドラゴンカイザーを合体させる事になったため、最終完成形のグレートエクスカイザーは「包んだ上にさらに包む」という合体スタイルにせざるを得なかったわけです。
(この辺の詳しい事情については、マスターピース版ドラゴンカイザーの説明書内に記述があります)

 しかし、この裏情報がいつしか一人歩きをしてしまい、「(後からドラゴンカイザーとの合体が決められたので)玩具キングエクスカイザーの初版には、グレートエクスカイザーに合体するための機構が付いていなかった(再販から適応された)」などという、間違った噂が生まれてしまいました。

 でっち上げで作られた合体設定だから、さらなる合体機構が最初から組み込まれていた筈がない、という連想から生まれた噂なのでしょうね。

 前置きが長くなりましたが、上の写真が、その説を根底から否定する部分。
 丸で囲まれている部分が、グレートエクスカイザー合体時に、ドラゴンカイザーのパーツを接続固定するためのジョイントです。
 もちろん反対側にもあるのですが、これは初版にもきっちり付いてました。
 今回レビューに使用したのは、グレート登場後に発売された再販?(二次出荷かも)ですが、放送当時筆者が持っていた別な奴(初版)にも、きっちりこのジョイントがありました。
 これ以外にも、キング肩の前面下部には、グレートの腕をスライドさせるためのガイドが設けられています。
 要するに、番組企画と玩具開発は全然別の話だという事ですな。

 初版は合体不可、再販のみ可能…なんて事するわきゃないんですけどね、そもそも。

 ちなみにこのジョイント、後にとんでもない影響を本体に及ぼす事になるのですが…

 MP版(左)との比較。
 サイズはこんなに違います。

 付属シール。
 クリックで拡大表示します。

 マニュアル表裏。
 クリックで拡大します。
 ただし! それぞれかなり巨大な画像なので、くれぐれもご注意を。

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【買ってみて一言】

 今となっては、すでに過去の遺物的扱いになっている「巨大合体」。
 ですが、これは放送当時のみならず、その後約十年にわたって「勇者シリーズ玩具コレクターの登竜門」的存在となっていました。
 勇者ロボは、シリーズ三作目「伝説の勇者ダ・ガーン」から主役ロボ玩具の小型化が始まり、これが七作目「勇者指令ダグオン」まで続きます。
 しかしこの「巨大合体」は、コアになる主役ロボがでかい、さらに合体メカも輪を掛けてデカイ! と来るもので、他シリーズアイテムとは根本的な迫力が違いました。
 まさに商品名「巨大合体」という名にふさわしいほどに。
 このド迫力は、今でもなお健在です。
 おかげで、同番組の他ロボット玩具とのサイズ差がすごい事になってしまいましたが、まあそんな事は小さな問題です。
 とにかく、ここにさらに「巨大変形ドラゴンカイザー」が合体し、男玩史上でも有数の「超巨大ロボット玩具」へと進化するわけですから、それはもう、とんでもない超弩級の迫力です。
 もはや、この迫力は現在の玩具ではまず再現不能でしょう。
 大きいおもちゃに惹かれる属性の人には、もうそれだけでたまらないものがありますね。

 そんなわけで、本商品は「構造的には劣るものの、存在感は決して現在の玩具にひけを取らない」アイテムとなっているわけです。

 ちなみにこの商品、2001年頃に「新勇者復活計画」というカテゴライズでファイバードやダ・ガーンなどと共に復刻されましたが、残念ながらあまり売れなかったようで、ドラゴンカイザー復刻にまで至らず、市場からひっそり姿を消しました。
 そちらは、オリジナルとは異なり、アニメ本編に準拠したペイントが成されていたという話なのですが、生憎持っていないためなんとも言えませぬ。

 ちなみに、本商品とドラゴンカイザー、いまだにそれなりの需要があるようで、プレミア価格つきまくりのようです。
 以前ほどの勢いはなくなったように見受けられますが、グレートに合体できる二体セットだと評価はまだまだ高いようですね。
 マスターピースと並べて飾りたいと、今から考えてしまった人は、ちょっと厳しい探索をしなければならないかも。
 そりゃまあ、もう16年前の商品なんですから、当然といえば当然なんですが、ね。

 で、これオマケ。
 それぞれクリックで拡大。
 残念ながら初期版のカタログはありませんでした。

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