第155回 ■ BANDAI SPIRITS 超合金魂 GX-95「闘士ゴーディアン」02
2022年2月26日 更新
というわけで、「超合金魂 闘士ゴーディアン」レビューの続きです。
ここでは、デリンガー、ガービン、ガービンの各種装備、そして専用台座について触れて行きます。
前ページはこちらから。
■デリンガー:
デリンガー。
全高5メートル。
ダイゴの「デリンガー、セット・イン」の掛け声で、内部にプロテッサーを収納する形で合体する中型ロボ。
「プロテッサー、ゴー」の掛け声で、プロテッサー分離が可能。
デリンガー。
全高約21センチ(首・足首延長時)、重さ約90グラム。
プロテッサー同様、こちらも殆ど全てがプラ製で、ダイキャストはつま先を除く足首のみです。
この大きさでこの重量だと、手にした時のスカスカ感は、「これ本当に超合金ブランドなのか?!」と言いたくなるくらいです。
ボディと脛部分くらい、ダイキャストにしても良かったんじゃないか? と思えてならないガッカリ感を味わわされる非常に困ったものです。
リニューアル版が今後出るようなら、とにかくダイキャストパーツを大幅に増やしてもらいたいものです。
そうなったら、買い直してもいいから!
とはいえ、プロテッサー同様、造形自体は非常に優れていて、他社製品のデリンガーと比べても自然なスタイルで、とてもよくまとまっています。
このスラッとした体型は、本当に魅力的です。
前後比較。
背中の穴はもう説明不要かと思いますが、正面胸部中央にある横長の穴は、用途不明です。
一見、ガービン内側の突起が嵌って固定するためにも思えますが、全然そんなことはありませんでした。
の、覗き穴……?!
肩と肘の可動は、基本的にプロテッサーと同じくらいです。
腰を限界まで回してみた状態(黄色い枠内参照)。
これは、思いっきり右に捻っています。
説明がないと全然分からないと思いますが……
ちなみに、これは中にプロテッサーが入っていても変化はありません。
プロテッサー同様、合体後の可動枠確保の為に、脚はおかしな方向に曲げられるようになっています。
デリンガーの首は、引き伸ばして可動範囲を広げることが出来ます。
上は、ガービンとの合体時に必要となる「首縮め」状態。
この状態だと、首は横方向にしか回せません。
下は、首を伸ばした状態。
こうすることで、 申 し 訳 程 度 に 顔を上下に向けられます。
デリンガーは、足首を引き伸ばすことで可動範囲を広げられます。
横方向にはさほど広がらないのですが、前方向の可動幅が広がります。
……正直、思ってたほど拡張はされません。
さて、いよいよプロテッサーとの合体です。
ダイゴの時同様、プロテッサーの前腕が下向きになるよう肘の向きを調整します。
次の準備として、プロテッサーのつま先を上方向に曲げます。
デリンガーの四肢、胴体を展開します。
膝下のハッチも開く必要があります。
デリンガーの膝下には左右から飛び出ている突起がありますが、そこにプロテッサーの足首が来るよう、上から足首を差し込むようにしてはめ込みます。
プロテッサーの背中の穴をデリンガー内側の突起に固定します。
四肢を閉じて、胴体も閉じていきます。
プロテッサーと合体した状態。
胸部の隙間が、より強調された気がします。
脚の付け根の可動は、さすがに狭くなります。
ですが、それでも後方にはそこそこ反ることが可能です。
背面は、非常にすっきりした出来になっています。
次は装備です。
左が「マグナムパンチ」、右が「赤光剣」。
マグナムパンチは、斧部分の反対側がハンマーになっているので、そちらも武器として使えます。
武器持ち手が左右付属します。
必殺技は「アバランチアタック」と言います。
残念ながら、全体の可動範囲が広くないため、効果的に武器を構えるポージングが非常に取り辛いです。
赤光剣は、細身の長剣で、緑光剣や後述する白光剣とは全く異なる形状です。
レイピア風の緑光剣、サーベル型の赤光剣、そしてグレートソードといったいでたちの白光剣(後述)と、それぞれ形状が全く異なるのが面白いですね。
デリンガーは、先の通り造形は非常に良いものの、その大きさからダイゴやプロテッサー以上に可動範囲の狭さが気になり、何より殆どダイキャストを使用していないという、質感的なガッカリ要素が強く、貧乏くじを引かされたような感があります。
後に触れるガービンは、その大きさからまた別な評価が出来、またデリンガーと共通する欠点がさほど気にならなくなるという利点があるので、益々デリンガーばっかり割を食う結果になった気がします。
ケンリュウとの比較。
続けて、ガービンのレビューに移ります。
■ガービン:
全高15メートル。
ダイゴの「ガービン」の掛け声で、内部にデリンガーを収納する形で合体する大型ロボ。
「チェンジ・アタック、デリンガー」の掛け声で、デリンガー分離が可能。
最も外側にあたるため非常に高い防御力、また最大の武装数を誇る。
ガービン。
全高約31.6センチ(足首非延長時・頭頂部まで)、重さ約875グラム。
プロテッサーやデリンガーと大きく違い、このガービンはダイキャストの使用率が非常に多く単独でもかなりの重量があり、手応えのどっしり感はかなりのものです。
胸部、腹部、腰部、前腕、足首がダイキャスト製です。
前後比較。
この画像を見て「うn?」と思った方は、相当なゴーディアンファンでしょう。
後述しますが、本商品のガービンは前期・後期のフェイスおよびツノを交換可能です。
しかし、コアなファンにはお馴染みの通り、ガービンの前期・後期は顔以外にも腹部・腰部も形状が変わっています。
前期は腹部の四角い部分(本商品では穴)と、腰部のバックル状の部分が存在しません。
つまり、頭部のみの変更しか適わないわけで、その為本商品では「前期の頭部と後期のボディ」という一種のキメラ的な形状になっています。
なので、ここは前期と後期に分けて商品を別売した「ダイカモデル(マルサン製品)」の方に軍配が上がる感じになりましたが、どこまで許容できるかは購入者次第ではないかと思います。
尚、ガービンの胸部と腹部の隙間には、「背中サポート」という透明のプラパーツがデフォルトで付いています。
単独時にはこれを差し込んで体勢を維持するように、という意図なのかもしれないのですが、実際にはなくても全く問題はありません。
また、きっちり収まるものでもないので、基本的には不要なパーツと考えて良いと思います。
ちなみに、(先では触れませんでしたが)プロテッサーとデリンガーにも同様の「背中サポート」があります。
先でも触れましたが、ガービンは頭部の一部を交換することで、前期版と後期版を再現できます。
デフォルトでは後期版となっています。
額から頭頂部にかけての白い部分を取り外すと、顔パーツを取り外して交換できます。
また、耳に当たるツノパーツも交換可能です。
尚、筆者は前期版の顔が好きなので、本レビューでは主に前期版にしています。
ツノは左右共に2パーツ構成で、頭部とツノを繋ぐジョイントが存在します。
前期頭部用のツノも後期頭部用のツノも、どちらもこのジョイントパーツで接続出来ます。
ただ、接続は結構緩く、しょっちゅうポロリします。
プロテッサー、デリンガーの頭部は横方向に360度回るのですが、ガービンだけはこのくらいが限界です。
ガービンの首の形状は、真上から見ると縦長の長方形なんですが、このため頭部根元の内側が干渉するのが原因のようです。
ただ、プロテッサーやデリンガーも縦長の首なんですが、首延長ギミックの影響もあり、普通に回るようです。
ガービン単独での、脚部可動(股関節)はこんな感じです。
デリンガー同様、足首を引き伸ばすことで可動範囲を広げることが出来ます。
内部にはダイキャスト製のクリック式関節が仕込まれていて、三段階に調整出来て前後に広く動かせます。
ここにつま先の可動も加わり、足首周りの自由度はかなりのものになります。
ガービンは非常に語ることが多いので、とりあえずとっととデリンガーと合体させてしまおうと思います。
プロテッサーをデリンガーに合体させる時と同様、デリンガーの前腕を下向きにするような形で肘の向きを調整しておきます。
尚、今回の撮影で初めて気付いたのですが、肘の丸い部分に僅かな塗装ハゲが発生するようです。
最初は自分が何かポカをしたのかとも思ったのですが、左右ほぼ同じ位置に、しかも裏側にも発生しているので、何かしらの干渉が発生しているのかもしれません。
一応注意喚起しておきますが、これもガンダムマーカーでちょちょいと修正が可能なので、一応覚えておいた方がいいことかもしれません。
ちなみに、筆者がガービンとの合体時に検証してみたのですが、ガービンの腕をどう動かしてもこの部分が干渉している様子はありませんでした……
デリンガーと同様の各部展開を行い、準備をします。
つま先を上に折り曲げたデリンガーを、上方向から差し込むように合体させます。
ここは、かなりタイトな状態なので、最初は結構難易度が高めに感じられるかもしれません。
三体合体状態。
これで、総重量は約994グラムに達します。
ほぼ1kg!
スカスカだった部分の身か詰まり、充実感が増しました。
……が、実はこれより2.9cm背が低い「超合金魂ダイラガーXV」よりも、147gも軽いんですよね……
背面は、一見シンプルですが非常に複雑な立体構成になっているのが分かります。
合体後の脚部は、左右にここまで開きます。
尚、本商品は太ももを押さえながら関節を曲げる必要があり、それは説明書にも記されていることなのですが、注意深く動かしていてもこのように、中のロボの脚部フードが外れたりしがちです。
まあこれは、デリンガーでも起こりうることなのですが。
■各種装備:
ここからは、各種武装・装備について触れて行きます。
まずは、両脛部分のハッチを開き、ミサイルパーツを接続することで「フットミサイル」を再現出来ます。
両前腕は取り外しが可能で、「ガトリングアーム」が再現可能です。
両方のツノは、繋げることで「ガービンフッカー」という武器になる設定です。
このガービンフッカーには、ガービン前期・後期両方のツノを接続できます。
ガービンフッカーは、デフォルトではガービン前期のツノが付属しています。
その為、後期型頭部で再現する際には、差し替える必要があります。
「手裏剣」という名称の、劇中には特段固有名詞がない武器も付属します。
デフォでは重なり合って一本型になっていますが、ずらすことで×型になります。
これを持てる手首もありますが、実際には保持力はそんなに高くありません。
「マイティライボー」。
いくつかのバリエーションがある武器ですが、本商品ではそれらを再現可能です。
また、これを構えるための斜め向きの手首も付属します。
「マイティライボー」基本形態。
肩を後方に回せない構造のため、構えのポーズは少々苦手です。
マイティライボーの先端部を交換し、先で紹介した手裏剣を差し込むことで、槍のような形態も再現可能です。
マイティライボーの部品構成(手裏剣含む)。
軸の長さは約23.8センチと、結構な長さがあります。
続けて「デュークスクリュー」。
「DX分身合体」版でも非常に目立っていた武器です。
ダンベルに刃がついた独特の形状の武器。
ゴーディアンボムの発展形のような形が、個人的に大好きです。
確か、後述するシャインシェルドから取り出していたような?
デュークスクリューをマイティライボーに接続することも可能。
というか、デュークスクリューを槍型に変形させた感じに構成できるといったものでしょうか。
シャインシェルド。
「DX分身合体」版では、赤色の成型色で表現されていた盾。
本商品では、かなり緻密な造形となりました。
最大幅、約9.5センチ。
手前にあるのは、専用グリップです。
シャインシェルドのグリップは、このように裏側の中央に差し込みます。
ガービンに装備させた状態。
しかし、お察しの通り? グリップの形状の都合で、いささか構え辛いスタイルになっています。
各装備を構えるための斜め手首を使って、このように構えます。
これは、手の穴に差し込んでからちょっと捻ることで、グリップの突起部が引っかかりロックがかかるのですが、それに気付かないとスッカスカで、スッポ抜け易くなります。
シャインシェルドは、劇中同様、花のように展開することが出来ます。
これで、五連装ビームガンが使用できるようになります。
肝心のビームガンの造形が少々おざなりな感もありますが、そこはご愛嬌。
シャインシェルド中央の青色の突起は、取り外し可能です。
ここに、先述のデュークスクリューの刃部分を接続出来ます。
そして最後の装備・白光剣。
非常に大型の剣で、全長約31.3センチ、刃渡り約22.5センチ。
ガービン本体とだいたい同じくらいの大きさです。
塚部分の青はメタリックブルー塗装で、とても綺麗です。
シャインシェルドと共に構えると、なんか雰囲気が変わりますね。
バイカンフーとの比較。
合体システムの内訳の違いもあれど、かなりの大きさの違いがあります。
以上、プロテッサー・デリンガー・ガービンの紹介・レビューでした。
次は、専用台座についてです。
■台座:
次に専用台座(ディスプレイ)です。
全7パーツ構成で、全装備をまとめる事が出来ます。
全装備をまとめた状態、の前面。
前面左寄りの部分。
プロテッサーのゴーディアンボム関連の装備をまとめられます。
反対側には、デリンガーの装備「赤光剣」と「マグナムパンチ」をまとめられます。
台座裏面。
こちらには、各ロボの手首や交換用顔パーツ、マイティライボー先端部などを飾ることが出来ます。
各ロボットとダイゴを立たせることで、全ての内容物が一まとめになります。
それぞれの装備のある位置に、各ロボットを立たせる形となります。
ダイゴは、足裏の穴を台座の突起に差し込むことで安定が図れます。
ただし、クリントはただ乗せているだけで固定は出来ません(各ロボットも同様)。
以上、超合金魂 闘士ゴーディアンでした。
【総評】
待ちに待った超合金魂の大本命! の一つである「ゴーディアン」。
装備が豊富、オプションも充実しており、最初はやや戸惑うかもしれませんが慣れれば割と扱いやすく、非常に楽しめる玩具です。
可動範囲こそ広いとは決して言えませんが、これは構造を考えれば仕方のないことですし、旧商品や似たような構造の玩具を弄ったことのある方なら、容易に想像出来るものでしょう。
なので、そこは評価を左右するポイントではないと考えますし、ここまであえて細かく触れて来なかった理由もここに起因します。
装備、各ロボット、ギミックは本当に良く出来ていて、それについては手放しで褒めたいです。
また、ダイゴ大滝を可動フィギュアにしたのもナイスなアレンジで、これにより以前のような癒着問題を気にかける必要も(一応)ありません。
ガービンの武器も組み替えが楽しく、作り込みも凄いため、本当に大したものだと思います。
ポージングに制約が多いため、かっこよく飾るにはセンスを要しますが、緻密な設計から来る脅威のマトリョーショカ型合体は、現在の視点でも非常に優れており、これを弄ることで如何に当時のアイデアが優れ、また昨今の玩具の技術が洗練されたかを味わうことが出来る逸品だと思えます。
が、しかし。
正直なところ、これを「ゴーディアン玩具の決定版」とは、個人的にはとても言い切れません。
理由は先で散々述べた通り、とにかくプロテッサーとデリンガーの材質の大半が非ダイキャストによるところが大きいです。
造形については文句なし、ギミックについても同様なんですが、これではプラデラであって、決して超合金ではありません。
確かに、ダイキャスト率の高いガービンで補っているとはいえ、内蔵されるロボがどうしてこんな軽いスッカスカ感満載の出来にならなければならないのか?
そのあまりのアンバランスさに、どうしても違和感が強まります。
ここがどうしても納得が行かず、本商品に対する筆者の評価は、決して高くはありません。
先ほどから散々例に挙げた「超合金魂バイカンフー」の方が、ぶっちゃけ合金玩具としての出来は上です。
確かに、ケンリュウとバイカンフーの非合体状態のふにゃふにゃさ、関節部の大きな空虚感など、これはこれで問題はあるのですが、各ロボの質感と重量感がこれらを補い、更にボディ内に「詰め物」を入れられるため、思ったよりもスカスカ感を感じさせないようになっています。
これとは逆に、あまり隙間を感じさせない今回のゴーディアンの方が、スカスカに思えてならないとは皮肉です。
13年以上前に発売された商品に劣っていて、どうすんのよ……
というのが、本商品に対する筆者の素直な気持ちです。
せめて、もう少し早い時期に商品化していれば、その辺もう少し何とかなったんじゃないのかな……という気も、正直しています。
「超合金」という商品ブランドの一部を指して論外な話かもしれませんが、昨今、ダイキャスト不要視の向きもあるため、本商品についての上記の評価は、必ずしも絶対なものではありません。
むしろ、これはこれで満足するユーザーも多いと思われるので、実際の評価は購入者各位に委ねられるべきかとは考えていますが、あくまで筆者個人の評価としては、上記の通りであったということを重ねて述べておきたいと思います。
本商品は、「超合金魂ゴッドシグマ」等と同様、作中のイメージを重視して立体化したというよりは、当時品の「DX分身合体」版をリスペクトしたものと云えるでしょう。
なので、あくまで作中イメージを優先・基準とする方には不向きかもわかりませんが、当時品を知る人・好む人は趣を感じることが出来ますし、また純粋に技術の進歩を実感し楽しめます。
そういう見地では、本商品は凄く良く出来たものですし、遊び甲斐のあるものなのは確かです。
なんやかやで、今回レビュー撮影の為に一通り弄り直して、筆者はそれを再度実感出来ました。
尚、「DX分身合体」は経年劣化の報告が非常に多く、価格が高騰化しているにも関わらず自然破損が発生(特に脚部)してしまうとのこと。
それはとても恐ろしいことですが、その代わりに、分身合体の魂を受け継いだ本商品を愛でるというのも、これからの事を考えたらアリなのかもしれないですね。