週刊北條『仮面ホウジョーV-1』第48話
(今年も宜しくお願いします編)

 屋上から突き落とされ、落下するエクシードギルス…!
 去っていく『空のホウジョー』。

 背中のギルススティンガーをロープのように伸ばし、ビルの壁の手すりに巻き付かせて、かろうじて落下を免れたエクシードギルス…。


【オープニング『仮面ホウジョーFIGHT! 〜24.7version』】
(でぃでんどんどどん♪)


 第48話「影の批判者」

 警視庁で会議中の、警察幹部会・小沢・北條。

 幹部真ん中「…では小沢管理官は、G3ユニットを強化・拡大すべきだというのかね」
 小沢「その通りです。
  アンノウンが滅んだという証拠は何もありません。
  また、たとえそうであったとしても、将来出現するかもしれない未知の敵に対して、充分な備えをしておくべきだと思いますが」
 幹部メガネ「どうかな。
  今ここに存在しない敵に対してそれほどのことをする必要があるのかどうか」
 幹部右「…ところで、北條主任…」
 北條「私がここに呼ばれた理由はただひとつ…『ホウジョー』の暴走をどうするかだ。
  違いますか?」
 幹部右「…いや、そういうことを聞いているわけではない。
  我々は、自宅待機中の君を別に呼んだ覚えはないのだが」
 北條「………」
 幹部右「自宅にいなければならない君がここに来ているとなると、無断欠勤ということになるが…」

 出勤表の北條のページを取り出し、欠勤のハンコを押そうとする幹部右。

 北條「ま、待ってください!
  ただちに自宅に出勤します!

 あたふたと帰り支度を始める北條。

 北條「…で、ですが、これだけは言わせてください。
  私はこれまで、あらゆる偏見を排除し、ただ事実を事実として直視しながら、『ホウジョー』なる存在を調査してきました。
  結論から言えば、私は小沢管理官の意見に賛成です。
  だが…」
 幹部メガネ「…北條主任」

 いつの間にかストップウォッチ&タイムリミットお知らせ用の鐘を取り出している幹部メガネ。

 北條「(慌てて荷物を片付けながら、早口で)ミ、未知なる敵に備えるという目的の中には、『ホウジョー』の持ち主…ひいては、人間全体に対する心のケアという面も含めるべきだ!
 小沢「何ですって?」

 ストップウォッチを眺めながら、予鈴の鐘を鳴らす幹部メガネ。

 チーン!

 北條「(荷物を持って必死に出口へ歩きながら)ト、当然でしょう!
  もし将来的に『ホウジョー』を暴走させる者が増えていったら、それこそ、小沢管理官の言う『未知なる敵』になるかもしれない!
  彼らは、心の持ち方次第で聖人にもなれば悪人にもなる!
  その可能性は、充分にあると思いますが!


 早口でまくし立て、ダッシュで出口に走る北條。

 …チーン! チーン!

 出口の一歩前で、無情にも鳴る鐘。


 倉本の店で、早朝から料理を作っている可奈。

 翔一「(出勤してきて)おはようございます。
  こんなに早くから勉強ですか。すごいな〜」
 可奈「…少しでも早く一人前になりたいんです」
 翔一「へぇ〜…でも、あんま無理しない方がいいですよ。
  身体壊しちゃ、なんですから」
  (可奈のレシピを見て)ん、この料理は…
  鯵のムニエル、オリーブソースですよね。俺大好きなんです」
 可奈「…あの、話しかけないでもらえませんか?
  私、友達作りにここに来てるわけじゃないですから」
 翔一「…すいません」


 おやっさんの店。
 まだ傷の癒えていない涼が、痛みに耐えながらバイクを修理している。

 おやっさん「どうした?」
 涼「…いや…」
 おやっさん「具合が悪いんなら、休んでもいいんだぞ」
 涼「(苦しげな表情で)大丈夫…」


 警視庁。
 白バイ隊員として新たな部署に移った尾室が、隊員室で落ち込んでいる。
 そこにやってくる小沢。

 尾室「あ、小沢さん」
 小沢「何かすごく久しぶりのような気がするけど、どう?元気でやってる?」
 尾室「さっき上に怒られちゃって…」
 小沢「…何かあったの?」
 尾室「いや、大したことじゃないんですけど、昨日、ダークサイドミラーっていう有名な暴走ライダーを取り逃がしちゃって」
 小沢「そう…大変ね」
 尾室「小沢さんの方はどうですか?」
 小沢「会議会議の毎日よ。口だけは達者な北條透を相手にね。
  …どうしてるかしら、氷川君は。
  またみんなで一緒に働けるといいけど」
 尾室「…(涙目で)小沢さん…」
 小沢「どうした?」
 尾室「僕…僕…嬉しいです! 小沢さんにそんな風に言ってもらえて!」

 小沢の胸にすがりつこうとする尾室。
 ブラインドのヒモを引っ張る小沢(二人の姿が見えなくなる)。

 ドゴッ!!!

 ブラインドの向こうで、鈍い膝蹴りの音と、何かが床に転がる音が響く(画面激しく揺れる)。

 小沢「(ブラインドの向こうで)よしよし。泣かない泣かない。
  また焼肉おごってあげるから。ね!」
 尾室「(ブラインドの向こうで苦しげに)は…はい…ありがとうございます…


 雑木林の中で、空中に浮かんで目を閉じている梵字こぞう。

 梵字こぞう「人間よ…私の子供たちよ…滅びなさい…
  私はもう…あなたたちを愛することができない…」
  滅びなさい…滅びなさい…
  自らの姿を恥じて…


 公園を歩いている女性。
 歩きながらふと後ろを振り返ると、自分と全く同じ顔をした女性がこちらを眺めている。

 女性「…!」


 現場検証を行う河野と氷川。
 建物の壁に頭をめり込ませていた女性が、担架で運ばれていく。

 河野「…全く信じられんよ。
  目撃者の証言によると、突然走り出して、自分から壁に激突したらしい。
  幸い、壁が薄かったので、気絶するだけで済んだらしいが…。
  一体どうなってるんだ? 動機のない奇妙な自傷行為が、都内だけでも30件を越えている。
  しかも、この2日間でだ。
  …それに、聞いた話じゃ、人間のこういう奇妙な行動は、日本だけじゃなく、世界中あらゆる地域で起こっているそうだ」
 氷川「…河野さん、ちょっとこれを見てください」

 メモ書きを河野に見せる氷川。

 河野「…なんだいこりゃ?」
 氷川「行動を起こした人の人柄なんですが、奇妙だとは思いませんか?」
 河野「…何が言いたい?」
 氷川「関係者の証言では、被害者は、周囲の言動にビクビクしていて、いつも謝っているような人たちばかりだったそうです。
  つまり、行動を起こした人の全員が、周りの目を常に気にする、自分に自信を持てない性格だということです」
 河野「しかしお前…どういうことなんだ一体?」
 氷川「分かりません、まだ…。
  でも何か、途方もないことが起こってる気がします。
  人類全体に…我々ではどうすることもできない何かが…」


 おやっさんの店で、バイクを一人で修理している涼。
 そこへ、尾室の白バイに追いかけられているリサがバイクで飛び込んでくる。

 涼「またお前か。
  今度はどうした。どこをやった?」
 リサ「…あんたこのバイク改造できない? もっと早く走れるように」
 涼「断る」
 リサ「何よ、客の注文が聞けないっていうの?」

 近づいてくる白バイのサイレンの音。
 店の奥に隠れるリサ。

 涼「…」

 事情を察して、リサのバイクをシートで隠す涼。
 それと同時に、店の前に停まる尾室の白バイ。

 尾室「すいません、ちょっといいですか?」
 涼「何か?」
 尾室「ダークサイドミラーって暴走ライダーについて、心当たりはありませんか?
  真っ赤なバイクに、黒い姿見のマークを書いたバイクなんですけど」
 涼「…知らないな」
 リサ「(店の奥で)…」
 尾室「これがまたひどい奴で、この辺りを我が物顔で暴走しまくって、もうメチャクチャな走りで。
  僕なんか奴のおかげで、上から大目玉食っちゃってもう…
  たまりませんよ」
 涼「…」
 尾室「じゃ、失礼します」

 走り去ろうとした尾室がふと店の中のバイクを見ると、シートの一部がめくれて、バイクの赤いボディがのぞいている。

 尾室「…(バイクを指さし)それは?」
 涼「知らないと言ってるだろ」

 白バイを降りてバイクを調べようとする尾室の前に立ちはだかる涼。

 尾室「(涼にすごまれ)そ、そうですか。じゃ、失礼します。
  …あ、何かあったら連絡ください。すいませんでした」

 そそくさと走り去る尾室の白バイ。

 涼「(シートをめくって)…ダークサイドミラーか。ガキだな」
 リサ「何よあんたに何が分かるって言うの!?
  ……どうして? どうしてあたしをかばったりしたの?」
 涼「お前がガキだからさ。警察のやっかいになるのはまだ早い」
 リサ「ふざけないで! 何も知らないくせに。
  あたしは走らなきゃいけないの!」
 涼「何のために?」
 リサ「だって…」
 涼「だって何だ?」
 リサ「…他に何をどうすればいいのよ!?」
 涼「…ガキだな」


 倉本の店の厨房で、スープを作っている可奈。

 可奈「…シェフ、お願いします」
 倉本「…どれ。
  (可奈のスープを味見して)……何だこれは。
  すぐに作り直せ! こんなんでお客から金取れるか!」
 可奈「…すいません!」
 翔一「(二人のやりとりを眺めながら)…」

 料理を片づけようとした可奈が、誤って鍋を翔一の肘にぶつけてしまう。

 翔一「あち!」
 可奈「ごめんなさい!」
 翔一「(笑顔で『気にしないで』ポーズ)」
 倉本「何やってんだ馬鹿野郎!!」
 可奈「すいません! …すいません!」


 店の奥で、翔一の肘の火傷の治療をしている可奈。

 可奈「ごめんなさい。
  怒ってますよね。やっぱり」
 翔一「え? …いえいえ!
  話しかけたらまた怒られるかなって。
  ほら、『友達作りに来てるわけじゃない』って」
 可奈「…もういいんです。クビですから」
 翔一「クビ?」
 可奈「はい。さっきオーナーシェフに言われました。
  『来なくていい』って…」
 翔一「…」


(CM)


 交差点。
 赤信号で停車しているリサのバイク。
 後ろから走ってきて、その横に並ぶ涼のバイク。

 リサ「…」
 涼「俺も物好きでな。ガキの走りが見たくなった」
 リサ「あたしについて来れると思ってるの?」

 青に変わる信号。
 それを合図に、デッドヒートを繰り広げる2台のバイク。


 倉本の店。
 店に向かって深々とお辞儀し、出ていく可奈。

 翔一「可奈さん!」

 店から走って出てくる翔一。

 翔一「…本当にいいんですか、このままで?
  あんなに一所懸命だったのに!」
 可奈「仕方ありません。
  色々とありがとうございました。気にかけてもらって。
  それから…なんか、冷たくしてごめんなさい」


 涼にあっという間に引き離され、焦ってアクセルをふかしながらカーブを曲がるリサ。
 …前を見ると、涼のバイクが横断歩道の前で停車している。
 その先には道路を横断中の小学生が。

 リサ「!」

 慌ててブレーキをかけようとして、バランスを崩すリサのバイク。
 横からリサにタックルする涼。
 横転したバイクが、子供たちの直前で停止する。

 道路に転がっているリサ。

 涼「…大丈夫か?」
 リサ「……」


 一緒に歩きながら語り合う翔一と可奈。

 可奈「本当言うと私、あの店で3軒目だったんです。
  どこに行っても上手くいかなくて…才能ないんです私」
 翔一「そんなことありませんよ!
  可奈さんならきっといいシェフになれますって!」
 可奈「…私のお父さんもシェフだったんです。
  心がとっても温かくなる料理を作る人でした」


 水辺で語り合う涼とリサ。

 リサ「…あれが大人の走りってやつ?」
 涼「まあな」
 リサ「……本当にあたし、ガキなのかな…
  でも走ってれば、嫌なことも忘れられるし…」
 涼「嫌なこと?」
 リサ「あたしこう見えても、将来有望な陸上選手だったんだ。
  みんなあたしに期待してたし、あたしも走ることしか考えてなかった。
  …けど、練習中にケガをして…」


 一緒に歩きながら語り合う翔一と可奈。

 可奈「…私、お父さんの作る料理が大好きでした。
  お父さんも、いつか私に料理を教えてくれるって。
  …でもお父さん、約束を守ってくれなかった。
  もしかしたら私、行方不明になった父のことを、心のどこかで恨んでいるのかもしれません。
  約束を破った父のことを。
  だから私の料理はダメなんです」
 翔一「そんなことありませんよ。
  可奈さんはお父さんのこと大好きなはずです。
  だからお父さんの跡を継ごうとしてるんじゃないですか。
  あきらめないで、もう一度やってみましょうよ。
  先生だってきっと分かってくれるはずです。
  …そうだ! もう一度さっきのスープを作って、今度こそ先生をうならせてやればいいんです!」
 可奈「…無理ですよ私には…」
 翔一「(可奈の両肩を力強くつかんで)大丈夫ですって!
  …(自分の手にハッと気づき、気まずそうに両手を離して)…
  とにかく、チャレンジしてみてください。
  俺、手伝います。
  店が終わったら、迎えに行きますから!」 


 水辺で語り合う涼とリサ。

 リサ「…私が走れなくなると、みんな手のひらを返したように冷たくなって!
  …コーチも…クラブメイトも…」
 涼「同じだ…俺と…」
 リサ「え?」
 涼「…いや。
  だが、裏切られることも悪くない。その分人の痛みも分かるようになる」
 リサ「でもどうすればいいのよ!? もうあたしには夢がないのに!」
 涼「夢なんかなくても生きていける!
  いや、自然体で生きていくのが俺の夢だ!」
 リサ「どういうこと?」
 涼「花が自分の境遇を嘆いたり、他の花を羨んだりすると思うか?
  それでも花は咲く。花は枯れる。
  そういう風に、生きていければいいと思う」
 リサ「…分からない。あたしには。
  やっぱり、子供だから?」
 涼「…もう一度俺と走ってみるか」
 リサ「…大人の走りを、教えてくれる?」
 涼「ああ。今夜ここで待ってる」


 夜。
 道路の脇で車のタイヤを交換している男が、道路脇の雑木林から漏れている光を見つけ、思わずそっとのぞき込む。

 空中に浮かんで目を閉じている梵字こぞう。
 それを守っている『空のホウジョー』。

 男「!!」
 空のホウジョー「ここは聖地。人間が踏み入ってはいけません」


 バイトを終え、バイクでリサとの待ち合わせ場所に向かっていた涼が、『空のホウジョー』に襲われる男の悲鳴をキャッチする!
 ターンして現場へ向かう涼!

 必死に逃げる男に向かって、ドス黒い弓矢を構えて発射する『空のホウジョー』!
 男の身体を貫く矢!

 貫いた矢が変形し、男そっくりの人物に姿を変える。

 男「…!?」
 男(コピー)「……(不気味な笑顔)」

 男(コピー)の眼を見た男の頭の中に、何かが流れ込んでくる…!


 バイクで現場に駆けつける涼。

 男「…うわああああああああ!!!!」
 涼「!?」

 半狂乱になりながら、車の修理工具で自らの頭を叩き続けている男。

 涼「どうした!? おい! よせ!」
 男「…やめてくれぇ…。
  もう…やめてくれぇ…」
 涼「…!」

 自分を傷つけることを止めない男に当て身を喰らわせる涼。
 気絶し、大人しくなる男。

 涼「…」

 周りを見ると、先日戦った『空のホウジョー』が近くに立っている。

 涼「お前は…!」
 空のホウジョー「……」

 『空のホウジョー』の攻撃に吹き飛ばされる涼!

 涼「ぐっ…変身!!」

 涼の背後に浮かんだ木野(司)の幽鬼体が涼の身体と一体化し、ギルスへと姿を変える!
 が、たちまち『空のホウジョー』に叩きのめされ、変身が解けて気絶する涼!


 待ち合わせ場所で、ひたすら涼を待っているリサ…。


 仕事を終え、バイクで可奈の元へ向かっていた翔一が、異変をキャッチする!
 ターンして現場へ向かう翔一!


 現場へ到着した翔一の前に現れる『空のホウジョー』。

 翔一「!! …変身!」

 真島+沢木の幽鬼体が翔一の身体と一体化し、アギトグランドフォームへと姿を変える!

 『空のホウジョー』に立ち向かうが、全く歯が立たない!


 自分のアパートで、ひたすら翔一を待っている可奈…。


 翔一「……!!」

 気合いを込め、ポーズを取る翔一。
 「もっと強い力が欲しい」という翔一の純粋な感情が、『ホウジョー』の力を呼び覚ます!
 体内の白梵字こぞう(幼児)が、翔一の感情に応えて小学生ぐらいに成長する。
 新たな『ホウジョー』パワーを得た幽鬼体が、アギトバーニングフォームへとその姿を変える!

 必殺の炎のパンチを喰らわそうとするアギトバーニングフォーム。
 だが、『空のホウジョー』の圧倒的な攻撃力の前に、近づくことすらできず、吹き飛ばされていく…!!


(つづく)


【次回予告】(ちゃらっちゃらっ♪)

 ???「…今度はアンノウンを、守るためにね」
 ホウジョー「チリから生まれし者共よ…」
 北條「あなたがた一般人は、『ホウジョー』の存在によって救われるかもしれません」

     『目覚めろ! その魂!!』


 紋付き袴姿の涼、翔一、氷川と、振り袖姿の小沢。
 4人の隣には獅子舞が。

 一同「明けまして、おめでとうございます!」
 涼「本年は!」
 氷川「なんと!」
 翔一「東映まんがまつり『G3-Xピンク対仮面ホウジョーV-1』の製作が決定!?
  …いいのかな?」
 小沢「(画面手前にパタパタ走って来て)本編のご意見ご感想も書き込んでね!」

 「(口をパクパクさせた獅子舞の中から北條の声)…私はセリフなしですか?


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