週刊北條『仮面ホウジョーV-1』第39話Aパート
(Bパートは来週お送りします)
(※)

 素顔をさらす、司龍二。

 北條「……司さん」
 司「………」


 睨みあったまま、長い長い沈黙の時が流れる。
 二人の脳裏に去来する、様々の思い出…。

 …その思いを振り払うかのように、同時にポーズを取る北條透と司龍二!
 廃工場に二人の叫びがこだまする!!


 北條&司「…『』!!!」


 小沢「…!」
 息を呑む小沢。

 ………………
 ………
 …

 小沢「…?」

 突然、回れ右をしてそのままダッシュする北條&司。
 全力疾走のまま、司は自分のバイクへ、北條は小沢のパトカーに乗り込む。
 そして走り去る二人

 一人残された小沢。
 小沢「…なんなのよ、一体!?」


 一方、工場の奥でシニストラに襲われている氷川・涼・真島。
 そこへ駆けつける小沢。

 小沢「氷川君!」
 氷川「小沢さん!」

 その時、氷川と小沢の下に到着するGトレーラー。

 小沢「氷川君、行くわよ!」
 氷川「はい!」

 Gトレーラーに走る二人。

 …氷川の目に一瞬、鈍い光が宿る。
 が、小沢は気づかない。


 涼と真島をジリジリと追い詰めるシニストラ。
 涼をかばいながら、思わず目をつぶる真島。

 そこに駆けつけるG3-X。
 氷川「……」

 涼と真島に掴みかかろうとするシニストラ目がけ、いきなりGM-01を連射する氷川!

 真島「うわ!!」
 すぐ近くにいる涼と真島の周りにも、着弾が集中する!

 小沢「!(驚いて) 無茶しないで氷川君! 二人の救出を優先しなさい!!」
 が、氷川は構わず、連射を続行する。

 小沢「氷川君! 返事をしなさい!」
 氷川の返答はない。

 真島「葦原さん! 葦原さん!」
 銃弾が飛び交う中、必死に逃げていく涼と真島。

 氷川「……!」
 GM-01の連射を喰らい、ひるむシニストラ。
 が、連射を止めない氷川。

 GM-01を全弾撃ち尽くす氷川。
 体勢を立て直そうとするシニストラ。

 ガードチェイサーからGA-04を取り出す氷川 。
 シニストラに向かって撃ち出す!

 シニストラに巻きつき、動きを封じるGA-04アンカーユニット。

 その間にGX-05を取り出す氷川。
 動けないシニストラ目がけて発射!

 集中砲火を浴び、爆発するシニストラ!


 氷川「小沢さん、ざっとこんなもんです!
  この僕に撃ち損じはありませんよ!」

 尾室「や、やった! (小沢の方を向き)やりましたね!」
 小沢「……」

 怪訝そうな表情でモニターを見つめる小沢。
 小沢「(…この無茶な戦い方…どこかで…)」


 数刻後。
 Gトレーラーが引き上げて無人となった廃工場に響き渡る、バイクの爆音と「ガシャン ガシャン」という足音。

 陽炎の中、バイクで走ってくる緑のV-2…。
 陽炎の中、歩いてくる赤いバーニングV-1…。


【オープニング『仮面ホウジョーFIGHT! 〜24.7Version』】
(でぃでんどんどどん♪)


 第39話「北條暴走…!」


 廃工場で再び対峙するV-1とV-2。

 司「ちょうどいい。お前もいずれは知っておかねばならぬ真実…。
  今この場で全てを明かすか…」
 北條「…真実? どういうことです?」
 司「俺は、例の高村の事件がきっかけで、『ホウジョー』の因子が発現した。
  そして、実際に『ホウジョー』を持つことで、この力の正体を知った。
  『ホウジョー』は、それを持った者にもその周囲の人々にも災いをもたらす。
  人類にとって、百害あって一利なしの力なのだ」
 北條「何故です?
  『ホウジョー』の持ち主はいずれこの私のような人間に成長するのではないのですか?」
 司「…ある意味では…たしかにそうだ。
  が、北條…それで本当に人類に幸せがくると思うか?」
 北條「はい! そう思います!
 司「…………」
 北條「司さん、ではあなたが、自分が否定しているはずの『ホウジョー』であり続けようとするのは何故なのですか?」
 司「俺は、今まで数多くの『ホウジョー』の持ち主と会い、その『ホウジョー』を奪い取ってきた。
  『ホウジョー』の力を誰よりも知るがゆえにだ。
  あんな力は人類には必要ない!
  だからこそ、『ホウジョー』を人々から奪い、自らの身に取り込むことで、俺は俺なりに人々の心を救ってきたんだ。
  さおりや高村、そしてお前に対するせめてもの罪滅ぼしのために。
  …心に『ホウジョー』を背負うのは、悪人である俺一人でたくさんだ!」
 北條「……」
司「…いいか北條。
  人類にとって『ホウジョー』が本当に必要な力かどうか…、
  この俺のように、『ホウジョー』を持った人間が、本人や周囲にどういう影響をもたらすことになるか、あらゆる偏見を排除して、ただ事実を事実として直視してみろ!
 北條「司さん…」


 V-2のヘルメットの口の部分が開き、むき出しの唇が現れる。
 口の中でなにやらブツブツ悪態をつぶやきながら、気合いを高めるV-2!
 その身体にダブる幽鬼体。
 
 北條「司さん! その技は…」
 司「前回は手加減したために通用しなかったが、今回は違う。
  …お前にも『ホウジョー』を持った者の気持ちを少しばかり味わってもらおうと思ったが、どうやら生半可な『ホウジョー』を叩き込んでもお前を元気づけてしまうだけのようだ。
  今度はフルパワーでいかせてもらう」

 いつもより念入りにブツブツ悪態をつぶやき続けるV-2。
 普段とは比べ物にならないほど大きな幽鬼体が、巨大な『V』の紋章を描く!
 北條「司さん…あなたは『ホウジョー』の真実を私にわかってもらうために、わざと悪人を演じて…」

 司「いくぞ!」
 幽鬼体のエネルギーを足に込め、凄まじい勢いでV-1にキックを放つV-2!!

 ドギャッ!!

 北條「ぐっ!!」

 かろうじて避けるV-1。
 が、キックの余波で全身のV-1の装甲が砕け散る!
 膝をつく北條。


 急に荒れ模様になる天候。
 二人以外誰もいない廃工場に、激しくイナズマが響き渡る。

 稲光を背中に背負い、浮かび上がるV-2のシルエット。
 司「かすっただけか…
  が、それでも威力は以前とは比べ物にならないほど強力なはず…。
  今度は外さん」

 再び口の中でブツブツ悪態をつぶやきながら、気合いを高めるV-2。
 その身体にダブる幽鬼体。
 描かれる巨大な『V』の紋章。
 今度は右腕に幽鬼体のエネルギーを込めるV-2。

 北條「(司を見ながら)……」

 大粒の雨粒がボタボタと落ちてくる。
 天候は一気に土砂降りに。

 土砂降りの中、北條に向かって一歩一歩近づいてくるV-2。

 司「(北條の至近距離で右腕を振り上げ)この距離なら避けることはできまい。
  終わりだ」
 北條「(司を見上げながら)…」

 北條目がけてパンチを喰らわそうとするV-2。
 だが、急に右腕が震え始める。
 司「(土砂降りの中、右腕を見て)…!!」


 (回想)
 土砂降りの雨。
 車の中で犯人を張っている司と北條。
 司の制止を聞かず、犯人を追って車から飛び出す北條。
 北條をかばって右腕を撃たれる司。


 司の心の中で、微笑む北條の顔(イメージ)。

 司「北條北條が!?
   まただ…何故邪魔をする!?
   北條〜〜〜〜っ!!

 自分の心の中に宿る北條に邪魔され、よろめきながら逃げ去るV-2。

 北條「!!」

 立ち上がって後を追う北條。
 が、すでにV-2の姿はない。
 北條「……」
 その北條の身体からは、前回以上のイヤミオーラが立ち上っている。


 相良のマンション。

 涼の看病を続ける真島が、必要な物を調達するためにマンションを訪れる。
 応接室に入ってきて、電気のスイッチを入れる真島。

 真島「!」

 驚いて後ずさりする真島。
 イヤミオーラを立ち上らせた北條が、いつの間にか応接室のソファに座っている。

 真島「北條さん!」
 北條「真島さん。待ちくたびれましたよ。
  この私を散々待たせておいて、一体今までどこで何をしていたのです?」
 真島「待たせる…って、俺そんな約束した?」
 北條「この私がここで待っていることぐらい、予想できなくてどうします?」
 真島「そ、そんな無茶な!」
 北條「その程度のことは、出来て当たり前です。
  あなたには『ホウジョー』をこれから持とうとする者としての自覚が足りないのではありませんか?
  そもそもあなたは……」

 『ホウジョー』の力を叩き込まれて、ますますイヤミっぽくなってしまった北條。
 さんざん悪態を聞かされながら、必死に相手をする真島。


 (6時間経過)


 北條「…それに最近のあなたときたら、いつもいつも…(エンドレス)」
 真島「…北條さん! …北條さん!
    (涙を流し、頭を抱えながら)俺一体どうすりゃいいんだよ!?」

 イヤミを言いまくる北條の口に伸びる手。
 真島「?」

 いつの間にか、北條の傍らに沢木が座っていて、右手で北條の口を塞いでいる。

 真島「!! あんた…」
 沢木「…彼を助けたいか」
 真島「なによ。
  また真魚ちゃんに…?」
 沢木「いや。彼女の性格矯正能力は、すでに失われている。
  必要なのは、お前の力だ」
 真島「…俺の…力?」
 沢木「そうだ。
  お前の中でも、『ホウジョー』としての力が覚醒しつつある。
  その全ての力を、彼の体内に入り込んだ『ホウジョー』を抑制するために使えば、彼の心は良くなるだろう。
  だが、その時は、お前は『ホウジョー』を失い、普通の人間になる」
 真島「……」
 沢木「…決断は早いほうがいい!
  彼がグレてからでは、手遅れになる!

 口を塞がれながらもモゴモゴとイヤミを言い続ける北條を(ウンザリ顔で)見る真島。

 真島「…ホ、『ホウジョー』を持ったせいでこんな風になるのはイヤだ!
  やるよ!」


 真島の前に立ち、右手の梵字を掲げる沢木。

 沢木「いいか。
  『この男を救いたい』と思いながら念じてみろ。
  そうすれば力が使えるはずだ」
 真島「それでいいの!?」
 沢木「大丈夫だ。この私を信じてやってみろ」
 真島「…わかった。やってみるよ」
 沢木「…くれぐれも余計なことは考えるな。
  力を発揮する対象に悪い感情を持ってしまったら、全てが台無しだ」

 北條「何を二人でコソコソ話しているんです?
  この私に対して失礼じゃありませんか」

 真島「…難しいなあ」
 なんとか意識を集中させる真島。

 真島「(北條さんを救いたい…)」
 沢木の梵字が光を放つ。

 真島「…うわああああああああああああああ!!!

 頭を抱え、悲鳴を上げながら癇癪を起こして大暴れする真島。
 悪態・ヤジ・説教などを声の限りに絶叫しながら、周囲の物を片っ端から破壊していく。

 暗黒の闇に包まれる真島の身体。
 やがて、その闇の中から、全身黒づくめの幽鬼体が現れる。
 服装はV-1のダーキングフォームに、顔は梵字こぞう(幼児)に瓜二つ。

 真島「……」
 憑きものが取れたように、平常に戻る真島。

 幽鬼体に、梵字をかざす沢木。
 黒づくめの幽鬼体の衣装が、次第に真っ白に変わっていく。

 北條のところへ歩いていき、その身体の中に入り込む白い幽鬼体。
 北條「!!!」

 一瞬、カッと目を見開く北條!


 真島「…北條さん!」
 真島に向かって白い歯を見せ、さわやかな笑顔で応える北條。

 北條「(立ち上がり)…真島さん!
  あなたが私を助けてくれたのですね! どうもありがとうございます!」
 真島に向かって深々とお辞儀する北條。

 真島「(心底驚いて)…ど、どうしちゃったのさ北條さん!?
  いきなりお礼を言うなんて!?」
 北條「何を言うんです!
  助けていただいた方にお礼を言うのは当然のことです!」


 性格の悪い部分が『白ホウジョー』の力によって抑制され、まるで別人のようにさわやか好青年チックな性格に変貌してしまった北條。


 真島「(目を丸くして、沢木に)…どういうこと?」
 沢木「(笑顔で)成功だ…。
  とうとうこの男の性格を変えることができた…。
  この白い力を、全ての『ホウジョー』が使いこなすことができるようになれば…人類の未来は明るい!

 北條「(さわやかな口調で)お二人とも、何を話しているのですか?
    ぜひ私も仲間に入れてください!」


 真島「………
  (ボソッと)こんなの、北條さんじゃない…


(CM)
 「『ホウジョー』覚醒!
  見よ、最凶の刃!
  仮面ホウジョーV-1、ダーキングカリバー!
  そして、装着変心もセットで登場!」


 ※作者注:アギトのTV放送は、第39話が放送された次の週が特別番組でお休みになったため、『仮面ホウジョーV-1』では39話をAパートBパートに分け、2週に渡って書き込みました。

←BACK
→NEXT