週刊北條『仮面ホウジョーV-1』第38話
(映像特典付き完全バージョン)
(※)

 刑事と別れ、バイクで家に向かっている翔一。
 その周りに再びパトカーの集団が現れ、翔一を強引に停車させる。
 パトカーの中から、手錠をかけられたまま姿を現す(黒一色の)北條。

 翔一「(呆れて)北條さん、またですか」
 北條「津上さん、先ほどは上手く逃げられましたが、今度はそうはいきませんよ!」
 翔一「逃げた…って、さっきはただ北條さんが刑事さんに連れて行かれただけじゃないですか」
 北條「そ、そんなことはどうでもいいのです!
  …我々は『ホウジョー』を追っていた。そしてあなたが現れた。
  つまり、あなたも『ホウジョー』である可能性が高い、ということになる。
  それに、私は以前、あなたの家の前であなたと何者かの会話を立ち聞きしたことがあります。
  そのときあなたは確かに自分のことを『ホウジョー』だと言っていた」
 翔一「…」
 北條「津上さん…前回は思わぬ邪魔が入ってしまいましたが、あなたが『ホウジョー』であるならば、それを確認するために、もう一度我々に協力してもらえませんか?
  前回と同じく、任意同行してもらいたいのですが」
 翔一「はあ…それは、いいですけど…」


【オープニング『仮面ホウジョーFIGHT! 〜24.7Version』】
(でぃでんどんどどん♪)


 第38話「その正体…」


 病室で一人眠っている涼に近づいていく木野(司)。

 木野(司)「とんだとばっちりで『ホウジョー』の力を持ってしまったようだが、悪く思うな。
  今、元に戻してやる。
  『ホウジョー』の力を持つ者は、俺だけでいい」

 胸の部分が『V』の形にドス黒く変色している涼。
 そこを狙って手をかざす木野(司)。

 が、急に震えだす右腕。

 木野(司)「なに…!?
  (右腕を見ながら)あいつ…あいつが…
  ぐっ…何故邪魔をする…北條!!


 (回想)

 土砂降りの雨。
 車の中で犯人を張っている司と北條。
 司の制止を聞かず、犯人を追って車から飛び出す北條。
 北條をかばって右腕を撃たれる司。

 木野(司)「ほ…北條!!」

 震える右腕を押さえながら、部屋中を暴れまわる木野(司)。
 その物音で目を覚ます涼。

 涼「…!!」

 身の危険を感じ、暴れる木野(司)を尻目にヨロヨロと病室を抜け出す涼。

 真魚&真島「葦原さん!」

 心を侵食する『ホウジョー』に苦しみながら病院の階段を下りていく涼。
 真島「なによ葦原さん!何があったの!?」
 涼「…もういい!もう充分だ!!」
 真島「葦原さん!」
 涼「くるなァ〜ッ!!!」

 悪態をつきながら病院を出て行く涼。

 真島「(真魚に)どうする?」
 真魚「私、もう一度翔一君に相談してみる」
 真島「うん。
  葦原さんはああ言ってるけど、俺やっぱりそばにいる!」
 涼を追う真島。


 警視庁。
 Gトレーラー内。

 小沢「葦原涼は『ホウジョー』と同じ力を持ちながら純粋な存在だって?」
 氷川「はい」
 小沢「それで?どうするつもりなの?」
 氷川「…探してみるつもりです。それで木野さんが許してくれるなら」
 小沢「許すも何も、あなたは何も悪いことはしてないじゃないの。
  大体葦原涼なる人物が『ホウジョー』と同じ存在だって、それも怪しいものだわ」

 氷川の携帯が鳴る。

 氷川「…はい氷川ですが…木野さん!?」
 木野(司)「その後、何か分かりましたか、葦原涼について」
 氷川「いえ、まだ何も…すいません」
 小沢「貸しなさい!
  (氷川の携帯をひったくって)あなた何か勘違いしてるんじゃないの!?
  警察はあなたのために働く組織じゃないのよ!
  もしもし、聞いてる!?」

 切れる携帯。

 小沢「…何よこれ。失礼なヤツね」
 氷川「失礼なのは小沢さんじゃないですか!
  …何もあんな言い方しなくても…」
 小沢「あなた…最近本当に悪態づいてるわね…。
  ま、いいわ…。
  私が思うに、木野薫というのは、本名ではないわね」
 氷川「本名ではない?何故そんな風に思うんです!?」
 小沢「今まで木野薫は、警察に自分の素性がバレたら困るとしか思えないような怪しげな行動を取ってきた。
  もし木野薫が後ろ暗いところのない本当の善人で、警察の協力を得たいのなら、最初からちゃんと身分を明かして、堂々と接触してきたんじゃないかしら」
 氷川「でも…僕はこの目で見たんですよ!
  木野さんが善人であることは間違いありません!」
 小沢「そうね。
  …でも、もし『ホウジョー』が、木野薫の…人間の、負の感情が具現化したものだったとしたら?」
 氷川「人間の…負の感情?」
 小沢「その可能性は充分あると思うけど?」
 氷川「……」


 地下駐車場。
 バイクでやってきた木野(司)の目の前に現れる沢木。

 木野(司)「…どなたですか?」
 沢木「かつて、『ホウジョー』に絶望した者…
  これから『ホウジョー』を変える者…
  悪を…善に導く者だ」
 木野(司)「…何を言っている。何者だ貴様」
 沢木「お前は、何故『ホウジョー』が存在するかを知らない。
  『ホウジョー』の種は、性格という種の中に、遥か古代において既に蒔かれていたのだ!
  たったひとつの、悪趣味のために!!」
 木野(司)「ひとつの悪趣味…」
 沢木「生物の可能性を模索するものの気まぐれのためにだ!
  『ホウジョー』の力を良い方に使ったとき、初めてお前は、自分を救うことができる!
  お前はまだ、『ホウジョー』の力の恐ろしさを知らない!」


 警察病院・研究室。

 北條「(翔一に)あなたは『ホウジョー』だ。正直に言ってください。
  決して悪いようにはしませんから」
 翔一「…だから違いますって」
 医師「何故『ホウジョー』であることを隠すんですか?」
 翔一「それは…北條さんみたいな人になってしまうのがイヤ
  …おっと、危ない危ない。
  引っかかりませんよ。
  そんな質問に答えたら、『ホウジョー』ってことになるじゃないですか」
 北條「ということは『ホウジョー』なんですね!?
  い、今答えようとしたではありませんか」
 翔一「え…そうなりますか?
  (頭をかきむしって)んん〜〜〜〜〜ややこしいなあ〜〜!!
  ………(考えながら頭を上げて)わかりました。もういいです。
  正直に言います。(手まねきして)ちょっと、耳を貸してください」

 二人仲良く耳をそばだてる北條と医師。

 翔一「(北條のモノマネ)なにを隠そう、実は、この私こそが正真正銘の『ホウジョー』だったのです!
  …ムハハハハハ!!(一人ウケ)」
 北條「(本気で目を輝かせながら)やはりそうでしたか!」
 翔一「………」


 廃工場。
 床の上で横になりながら苦しんでいる涼。

 その涼を看病している真島。
 洗面器に水を汲んで涼の所に運ぼうとしている。

 そこに煙と共に現れるアンノウン(ステリオ・シニストラ)。


 地下駐車場。

 木野(司)「『ホウジョー』の力の恐ろしさを知らないだと!?」
 沢木「……」
 木野(司)「どこの誰かは知らんが、余計な指図はやめてもらおう!
  『ホウジョー』の力の恐ろしさは、俺も知っている!」
 沢木「……」

 木野(司)「!」
 アンノウンの反応をキャッチする木野(司)。
 バイクで走り去る木野(司)を、沈痛な面持ちで見送る沢木。


 Gトレーラー内。

 『警視庁から各局。一般市民からアンノウン出現との入電中。繰り返す−』
 小沢「氷川君、G3-X、出動よ」
 氷川「はい!」


(CM)


 真島を狙うシニストラの前に駆けつけるG3-X。
 シニストラとG3-Xとの戦い。
 が、そこへバイクで割って入る木野(司)。

 氷川「あっ! …木野さん!」
 真島「!」

 シニストラに向かってポーズを取る木野(司)。

 木野(司)「…『変心』!」

 そのままバイクで走り去る木野(司)。
 氷川「……」


 数刻後。
 戦いを続けるシニストラとG3-Xの前に現れるV-2。
 背後には幽鬼体の『ホウジョー』が浮かんでいる。

 V-2に駆け寄るG3-X。

 氷川「…木野さん!」

 その氷川を裏拳で殴り倒すV-2。

 木野(司)「邪魔だ! 図体がでかいだけの無骨漢!!
  あのトカゲは俺が倒す! 俺のこの手で!」

 戦うごとに悪質になっていく攻撃力(とイヤミっぽさ)を駆使して、シニストラを叩きのめすV-2。
 氷川「(怒って)無骨!?
  …違う! この性格は、木野さんではない!」

 V-2の猛攻に、たまらず退却するシニストラ。


 バイクで走り去ろうとする木野(司)。
 氷川「待って! …待ってください。
  あなたは…一体…」
 木野(司)「……」


 警察病院・研究室。

 医師「(翔一に)…もう一度、お尋ねします。
  あなたはいつ、どこで、どうして、『ホウジョー』を持ったのか」
 翔一「(北條のモノマネ)私にも分からないのです。
  まあ、しいて言えばこの私に優れた素質があったから、ということになるでしょうか」
 医師「では、『ホウジョー』としての、あなたの日々の活動内容を教えてください」
 翔一「(北條のモノマネ)そうですねえ…
  この私のあふれる才能を忌憚なく発揮して、日夜第一線で最高級の農作物を作りつづけているとでも言っておきましょうか。
  超一級品のキュウリや、超一級品のトマトなどを」
 医師「いやだから、そういうことじゃなくて!
  ……(北條に)ちょっといいですか?」

 部屋の隅で小声で話す医師と北條。

 北條「…何か」
 医師「あ、いや、もしかしたら彼が『ホウジョー』だというのはウソかもしれませんよ。
  ただ単にイヤミっぽい男のモノマネをしてるとしか思えないんですが…」
 北條「………」

 翔一「(北條のモノマネ)何を二人でコソコソ話しているんです?
  この私に対して失礼じゃありませんか」

 医師「…なんだか、だんだんハラが立ってきました
 北條「…私もです」

 気を取り直して話す北條。

 北條「…津上さん。
  あなたがもし本当に『ホウジョー』なら…」
 翔一「(北條のモノマネ)ええ。
  この私こそが、まさに史上最高・空前絶後の『ホウジョー』です」
 北條「……
  『ホウジョー』を持つ者を探し出して、アンノウンの魔の手から保護したい我々としては、あなたが『ホウジョー』を持ったきっかけを突き止めなければなりませ
ん。
  そこで、あなたに逆行催眠をかけたいのですが…」
 翔一「…逆行催眠?」


 廃工場。

 氷川「(木野(司)に向かって)…あなたの今の性格は、木野さんではない!
  少なくとも、僕の知っている善人の木野さんではない!」
 木野(司)「それがどうかしましたか」
 氷川「何故あなたが『ホウジョー』に!?
  どうして!?あなたは『ホウジョー』なんかを持ったんですか!?」
 木野(司)「(バイクにまたがり)…これだけは言っておきましょう。
  いずれ私は、あなたもイヤがる、最悪の『ホウジョー』になる」
 バイクで走り去る木野(司)。

 警察病院。
 長椅子に寝そべって目を閉じている翔一。
 それを見ている医師と北條。
 メトロノームの奏でるカチコチという音に合わせて、翔一が逆行催眠にかけられている。

 医師「…今、君はどこにいますか?」
 翔一(催眠中)「…俺…学校に通ってます…調理師の学校です…」
 医師「それから?…何が見えます?」
 翔一(催眠中)「姉さんが…姉さんが俺に手を振っています…」
 医師「君は姉さんが好きだった…」
 翔一(催眠中)「…はい…でも…」
 医師「でも…?
  …どうしました?答えてください?」
 翔一(催眠中)「…うそだ…うそだ…
  …姉さんがイヤミを言うなんて…
  …俺…会いに行かなくちゃあの人に…」
 北條「…あの人?」
 翔一(催眠中)「…急がなきゃ…急がないと船に乗り遅れる…」
 北條「船…
  あなたは今、どこにいるんです?」
 翔一(催眠中)「…間に合いました…俺…今フェリーの中にいます…
  ムカつき号っていうフェリーです…」
 北條「…ムカつき号!?
  それで…何が見えます!?」
 翔一(催眠中)「…空と…海と…
  …なんだ?…急に…言い争いが始まりました…
  ヤジが…ヤジが…!」

 翔一の脳裏に浮かぶ、幽鬼体の『水のホウジョー』。

 翔一(催眠中)「うわああああ〜〜〜〜〜っ!!!
 北條「どうしました!?」
 ショックで完全に意識を失う翔一。


 警視庁。

 廊下を一人で歩いている小沢。
 後ろから近づいてくる北條。

 北條「これはこれは珍しいですねえ。取り巻きも連れずにお一人とは。
  氷川さんはどちらですか?」
 小沢「アンノウンに襲われた被害者を探してるわ。
  あなたのように細かい動きはしないのよ、彼は」
 北條「細かい動き…とんでもない。
  今私がしていることは、とてつもなく重大なことです」
 小沢「(立ち止まり)…何よ」
 北條「(もったいぶって)ま、いいでしょう。どうせ分かることだ。
  実は、『ホウジョー』を保護しましてね。この手でね」
 小沢「『ホウジョー』を?
  …で、どの『ホウジョー』よ?」
 北條「(ギクッとして)…は?」
 小沢「このところ『ホウジョー』だらけみたいだから、ひょっとしてニセモノじゃないの?」
 北條「残念ながら私は本物志向でしてね。
  しかもその正体は、あなたも知っている人物だ」

 小沢「…司龍二?

 北條「(驚いて)!
  ち、違いますよ!! 津上翔一です!
  いきなり何を言ってるんです!?」
 小沢「(北條の考えを見透かしたように、ややスローな言い回しで)
  ちょっと言ってみただけなんだけど。
  …そう…あの男が…
  でもやっぱりね。あの男なら『ホウジョー』になってもわかる気がする。
  そう…あの男が…」
 納得する小沢のバックで顔面蒼白の北條。
 小沢「ま、それはそれとして、(振り向いて)会わせてもらえるかしら、彼に」
 北條「(首を振り)…それは」
 小沢「G3ユニットとして、正式に津上翔一に面会を申し入れるわ」


 警察病院・研究室前。
 そこへやって来る北條と小沢。

 北條「(小沢を促し)…どうぞ。
  逆行催眠の影響で、まだ意識を失ったままですが」
 小沢「二人きりにしてもらえるかしら」
 北條「…わかりました」

 廊下に残る北條。

 研究室の中に入る小沢。
 部屋の中で翔一が気を失っている。

 小沢「津上君? …津上君?」

 目を覚ます翔一。
 翔一「…あれ、小沢さん。…何故ここに?」
 小沢「あなた…『ホウジョー』なの?」
 翔一「…はい。実は…。
  でも、国枝先生の言葉で、俺、自分を取り戻しました」


 翔一と国枝の会話(回想)。

 国枝「(空を見上げて)空はいつだって空だ!
  晴れてても曇ってても、雲の上は変わらん。ホントはな。
  …だけど、おんなじ空だったら、晴れてる方がいい」


 笑顔の翔一。
 小沢「…そう。
  良かった。あなたがあなたのままで」
 何も事情を聞かず、ただ翔一の笑顔を眺めながら微笑む小沢。


 廃工場。

 真島を探しながらゆっくり車を走らせる氷川。
 洗面器で水を運んでいる真島を見つけ、車から降りる。

 氷川「(真島に)…きみ!」

 真島「……!!」

 真島の只ならぬ表情を見て、振り返る氷川。
 そこには、迫り来るシニストラの姿が!

 氷川「(真島に)逃げてください!!」
 氷川に襲いかかろうとするシニストラ。

 そこへバイクで駆けつける、サングラス姿の木野(司)。
 バイクの体当たりを受け、吹き飛ばされるシニストラ。

 真島「木野さん!」
 氷川「!」
 木野(司)「(真島を見ながら)…見つけたぞ。
  今度は逃がさん。お前も、葦原涼もな」

 木野(司)の背後に浮かぶ幽鬼体。

 氷川「……!」


 警察病院・研究室。

 小沢の携帯が鳴る。
 まだ逆行催眠の疲労が残る翔一を部屋に残し、廊下に出る小沢。

 小沢「…氷川君?」
 氷川「お、小沢さん!!アンノウン出現!!
  それに、木野さんも現れました!!」
 小沢「……」

 廊下にいる北條をチラッと見る小沢。
 小沢「…わかったわ!」

 携帯を切る小沢。

 小沢「(北條に)助けてくれるかしら?氷川君を」
 北條「な、何故私に頼むんです!?」
 小沢「そう来たわねやっぱり。…いくわよ」

 北條の背広をつかんで引っ張っていこうとする小沢。
 慌てて小沢の手を振りほどく北條。

 北條「待ってください。どこに行くつもりです?」
 小沢「あなたと話しているヒマはないわ」

 ドゴッ!!

 いきなり必殺の膝蹴りを喰らわせる小沢。
 廊下に崩れ落ちる北條。

 ???「…小沢くん!」

 後ろを振り向く小沢。

 小沢「…警視総監!」
 いつの間にか小沢の後ろに立っている警視総監。

 総監「今君が見せた、必殺『真空伸び膝蹴り』は実に見事だった!
  さすがこの俺の愛弟子だけのことはある!」
 小沢「(笑顔で)ありがとうございます。
  総監に教わった空手が役に立ちました」

 満面の笑顔で、小沢の肩を力強く叩く総監。

 総監「今の俺がやりたいことを、ぜひ君がやってくれ!
 小沢「わかりました」

 北條に向き直る小沢。

   バキッ!!

 ズガッ!!

 ビシッ!!


 サンドバッグ状態の北條。

 総監「それでいい!
  一度こうと決めたらとことん突き進む、それが君のいい所だ!
  そして、そんな無茶な行動にわざと目をつぶるのが俺のいい所だ!」
 北條「そ…総監…」
 総監「おお、北條くん!
  君も実にやられるふりが上手くなった!!」
 北條「ふ…ふりではないのですが…」

 満面の笑顔で、北條の肩を力強く叩く総監。

 「ボキッ」というイヤな音が辺りに響く。

 総監「それでいい!
  普段イヤミったらしい分、やられるときは思いっきり気持ちよくやられて相手に花を持たせてやるのが君のいい所だ!
  そして、そんな健気な行動にわざと目をつぶるのが俺のいい所だ!」

 総監の熱弁を、白目をむいたまま聞いている北條。
 総監「小沢くん、君には今度空高くジャンプしての必殺キックを伝授してあげよう!
  北條くん、君には今度石切り場で巨大な鉄球を使った特訓をマンツーマンで叩き込んであげよう!
  二人とも、頑張りたまえ!!」
 小沢「はい!」

 「レッツゴー!ライダーキック」のメロディーを口ずさみながら上機嫌で去っていく総監。


 …気絶から目を覚ます北條。

 北條「…?」

 逃げられないように簀巻きにされた北條。
 屈強な警察官が二人、その北條を担ぎ上げながら小沢の後ろをエイホエイホと歩いている。

 北條「な、何ですかこれは!? 降ろしなさい!!」

 足をバタバタさせながら必死にもがく北條。
 北條の脳裏に、かつて亜紀に簀巻きにされたイヤな思い出がよみがえる。
 北條「(蒼白い顔で)き…気分が…


 廃工場。

 必死に逃げ回る氷川と真島を、幽鬼体を背負ったままジリジリ追い詰める木野(司)。

 木野(司)「…ん!?」
 よろめきつつ奥から現れる涼。

 涼「(真島に)逃げろ!逃げるんだ!!」
 木野(司)「ふん!こんな所に隠れていたのか」

 その木野(司)に背後から襲いかかろうとするシニストラ。
 が、まるで問題にせず、生身の体のまま一蹴する木野(司)(心身共にさらに悪質になっている『ホウジョー』の力)。
 その隙に、木野(司)から逃げる氷川・涼・真島。


 後部座席に簀巻きモードの北條を乗せ、疾走するパトカーを運転している小沢。

 北條「こ、この私に対してこんなむごい仕打ちをしてもいいと思っているのですか!?」
 小沢「うるさいわね。
  あんまりガタガタ言うと、顔面に車をぶつけるわよ!
 北條「……」

 借りてきた猫のようにおとなしくなる北條。


 木野(司)「うん?」

 猛スピードで廃工場に飛び込んできて、木野(司)の手前で急停止するパトカー。
 北條「うわ!」

 急ブレーキのため簀巻き状態のまま後部座席と前部座席との間に転げ落ちる北條。

 小沢「(前を見つめたまま、真面目な表情で)…いたわよ。
    司龍二…いえ、『木野薫』が」
 北條「(起き上がって)……」

 北條のロープを解く小沢。

 小沢「…お膳立ては整えてあげたわ。後は自分で決着をつけなさい。
    二度目の決着をね」
 北條「…」

 停車したパトカーから降りる北條と小沢。


 対峙する、かつての師弟。

 北條「木野さ…」

 言いかけた北條の前で、サングラスを外す木野(司)。
 北條「!!」
 素顔をさらす、司龍二。

 北條「……司さん」
 司「…………」


 睨みあったまま、長い長い沈黙の時が流れる。
 二人の脳裏に去来する、様々の思い出…。

 …その思いを振り払うかのように、同時にポーズを取る北條透と司龍二!
 廃工場に二人の叫びがこだまする!!


 北條&司「…『変心』!!!」


(つづく)


【次回予告】(ちゃらっちゃらっ♪)

 ゆっくりと目を閉じる涼。

 真島「…葦原さん!」
 真魚「氷川さんはどう思ってるんですか?」
 氷川「鬱〜〜!?」
 真島「(頭を抱えて)あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

 沢木の前を通り過ぎる梵字こぞう(幼児)。

 沢木「彼がグレてからでは手遅れになる!」
 氷川「(G3-Xの姿で)…なんで!?」

 脅える翔一。

     『目覚めろ!その魂!!』


※作者注:警視総監が登場するシーンは、当初の38話には入っていませんでした。
  このシーンは、シュウさんのリクエストにより、赤城山掲示板の「週刊小沢」のツリーに「第38話映像特典編」として、下記の替え歌と共に書き込んだものです
シュウさん直々のご要望により、替え歌をここに再掲載します(^_^))

 替え歌『ピンクの小沢』
 (TVアニメ『キックの鬼』主題歌『キックの鬼』のメロディーでどうぞ)

 出動コールだ 飛び出せファイト(オー!)
 出しゃばるヤツは ワンツーパンチ
 ノックアウトだ 右回し蹴り
 今だ チャンスだ 真空伸び膝蹴り!
 ピンク ピンク ピンクの小沢!

 イヤミ男だ 力の限り(オー!)
 逃げるヤツには 三段蹴りで
 不意打ちかわして ハンマーパンチ
 今だ チャンスだ 真空伸び膝蹴り!
 ピンク ピンク ピンクの小沢!

 いくぞ勝負だ 北條透(オー!)
 あおるビールは 小沢の命
 悪口かわして 一本背負い
 今だ チャンスだ 真空伸び膝蹴り!
 ピンク ピンク ピンクの小沢!

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