G3-X・ピンク 第26話『ダブルライダー・新サイクロン』
ガードチェイサーが風を切る!
握ったアクセルを全開にし、お化けマンションを目指すG3-X!
ォォォォォォォォォォォ!!
氷川(…ん? あの音は…バイクの…)
前方から微かに聞こえてくる音に反応。
レッドアイザーで正体を掴もうとするG3-X。
広視覚、超望遠の機能を持ったマルチグラスシステムの人工複眼が映像情報を得るのに3秒とかからなかった。
二台のマシンが近付いて来るのを視認。
その正体は…。
G3-X(! …ダブルライダー!)
このまま突入するか、それともスピードをダウンさせるか…一瞬、躊躇する氷川。
その氷川の迷いを見透かしたかのように、グン! と加速し、猛然と突っ込んで来る1号ライダーの新サイクロン!
1号「サイクロンアタック!!」
吠える! 1号ライダー!
ブオオオオオオオオ!!!
急速に接近する新サイクロン!
ブロロロロロオォォ!!!
ギリギリの所でかわすガードチェイサー!
氷川「!」
安堵する暇も無く、後続の2号ライダーの新サイクロンが猛スピードで突進して来る!
2号「サイクロンアタック!!」
ダブルライダーの連携攻撃!
間一髪! …再び、激突寸前でかわすガードチェイサー!
サイクロンアタックをかわされるも、鋭くサイクロンをUターンさせて猛然とガードチェイサーを追う2号ライダー!
氷川(今は彼らと闘っている時間は無い…)
ガードチェイサーの速度を上げるG3-X。
その後方から猛追する新サイクロン!
氷川「速い!」
瞬く間にガードチェイサーに追いつき並ぶ新サイクロン。
スピードでは、遥かにガードチェイサーを凌駕している。
ヴオオオオオオオオ!!!
アクセルを緩めず、2号ライダーが一気にガードチェイサーを追い抜いていく。
氷川「!」
次元の違う速さに驚愕する氷川。
時速300キロを超える速度をもってしても、新サイクロンとの距離は詰まらない…。
あっ…という間にG3-Xはマシンを見失ってしまった。
充分に距離を離した所で緊急ブレーキをかける2号ライダー。
後部からパラシュートを射出! 制動がかかり、急停車!
新サイクロンから2号ライダーが降り立つ。
そして…。
追いついて来たガードチェイサーを視認すると、猛然とダッシュ!
2号「トウッ!!」
加速がついたところでジャンプし、空中で前転!
必殺の!!
2号「ライダァー! キィーック!!」
ドゴォッ!!
G3-Xの胸部に炸裂するキック!
マシンから強烈に吹っ飛ばされるG3-X!!
カウルを激しく擦って横転するガードチェイサー!!
……静寂……
倒れているG3-Xをじっと見つめている2号ライダー。
全く動く気配の無いG3-X……
その光景を遥か上空から、一機のヘリが監視している……
「G3-X…コノ程度ナノカ…」
上空のヘリから、G3-Xと2号ライダーの戦いを監視していた男が呟く。
仰向けに倒れたまま、動かないG3-Xに歩み寄る2号ライダー。
『…かわ君…っかり・なさい…氷川君! …立ちあがって! …』
氷川(…お…小沢さん? …)
意識朦朧の氷川に呼びかける声。
「2号ライダーが近づいてくるわ! 早く! 立ちあがって!」
氷川「…! …榎田さん?!」
榎田「氷川君! 気が付いた?! …GM-01! アクティブ!」
Gトレーラー・オペレーター席から榎田の指示が飛ぶ。
「予定通リ、回収作業ヲ…!!」
ドウッ! ドウッ! ドウッ!
さらに呟くヘリの男の声をかき消すかのように、轟く銃声!
上半身を起こしたG3-XがGM-01を連射する!
寝撃から、左膝を立てての膝撃、そして立射と、素早く射撃体勢を移行。
2号ライダーの胸部に嵐のような集中砲火を浴びせる!
2号「グッ!」
身体に凄まじい衝撃が伝わり、地面を転がる2号ライダー!
氷川(今のうちに…)
GM-01を右脚に収納後、倒れているガードチェイサーに向かって駆け出すG3-X。
2号「ウグっ…」
苦悶の声を上げ、必死に身を起こす2号ライダー。
2号「トオ!」
掛け声と共に地面を蹴って、ライダージャンプ!
G3-Xとガードチェイサーの間を割るように着地し、肉弾戦を挑む。
2号「トオッ!」
矢継ぎ早に繰り出すパンチ!
衝撃で火花が飛ぶ、G3-Xの胸部ユニット!
氷川「くっ!」
G3-Xも反撃のパンチを放つが、その腕を掴まれ…
2号「トオッ!」
一本背負いを決められ、地面に叩きつけられる!
なおもG3-Xを強引に立たせる2号ライダー。
両手で後頭部を挟み込んだ状態で引き回して態勢を崩し、G3-Xの顔面に膝蹴りの連打!
榎田「氷川君! GM-01で突破口を開くのよ!」
榎田の指示を受け、膝蹴りを受けながらもGM-01を手にして至近距離から2号ライダーの腹部に発砲!
ドウッ! ドウッ!
抉るような衝撃に2号ライダーの身体が大きく吹っ飛ぶ!
その隙にガードチェイサーに駆け寄り、後部トランクを開けてGX-05(携行型重火器)を取り出すG3-X。
アタッシュケース状に折りたたまれた形態からガトリングモードへ変形させる為、解除ナンバー【1・3・2】を入力する。
「解除します」
GX-05の音声が響く中、変形完了。
剥き出しになる6連のガトリングマズル。
2号「トウッ!」
ダメージが残る状態ながら、2号ライダーはバネに弾かれたように起き上がり、臨戦態勢をとる。
だが…
2号「うっ!…」
氷川「?! …」
G3-Xの目の前で突如、2号ライダーが頭を抱えて苦しみだした。
道路F
先行しているガードチェイサーに追いつかんと、トライチェイサー2001を走らせるG3-X・レッド【一条】。
アクセルを全開。エンジン・プレストによって、車体を300キロ近くまで瞬時のうちに加速させる。
一条(戦いに間に合えば良いが…)
アクセルを緩めず、【お化けマンション】を目指し、ひた走る!
ピーッと音が鳴って、Gトレーラーから無線が入った。
笹山「緊急事態発生! 一条さん! G3-Xが1号、2号のダブルライダーに襲撃されました!」
スピーカーから笹山の緊迫した声が響く。
笹山「現在、G3-Xは2号ライダーと交戦中。1号ライダーは此方に向かっている模様です。警戒してください!」
一条「了解」
高ぶる気持ちを抑え、一条は努めて冷静に答えた。
ブオオオオオオオー!
緊張感が高まる中、急カーブを曲がるトライチェイサー。
一条「!」
カーブを曲がりきった所で、トライチェイサーに向けて停まっている白いマシンを視認。
急ブレーキをかけるレッド。
跨っている男の姿を見て、一条はきつく唇を噛んだ。
一条(1号ライダー!)
ドウン! ドウン! ヴオオオオオオ!
レッドを視認するや、唸りを上げて新サイクロンが飛び出した!
素早く、トライチェイサーから降り、GM-01改を構えるレッド。
立射の態勢で照準を前輪に合わせる。
ブオオオオォ――ンッ!
蛇行して照準をズラそうとする新サイクロン。
その姿は、地を這う白い稲妻のようだ。
ドウッ! ドウッ! ドウッ!
火を噴くGM-01改!
1号ライダー「サイクロンジャンプ!」
カウルの両側から羽根状のサイクロンカッターが飛び出し、滑空!
弾丸はマシンに着弾する事無く、虚空に消えて行った。
そして…
ブオオオオォォ――ン!!
爆音と風を巻き起こし、新サイクロンが急降下!
一条「!」
滑るように右方向に跳躍!空中から突っ込んで来るモンスターマシンをかわすレッド。
だが、仮面ライダーはレッドに数秒の余裕も与える事は無かった。
オオオオオオォォ!!
素早くターンを決め、再びレッドに突っ込んで来る新サイクロン!
一条「くっ!」
レッド、瞬時に振り向き、膝撃ちの態勢に。
ドウッ! ドウッ! ドウッ!
幾多の修羅場を潜り抜けてきた一条の射撃テクニックが炸裂!
バアンッ!
前輪を撃ち抜かれる新サイクロン!
マシンから放り出され、地面を転がるも、素早く態勢を整える1号。
だが…
1号ライダー「うあっ! …」
一条「!? …」
突然、両手で頭を抱え、1号ライダーが苦しげな様子を見せる。