G3-X・ピンク 第25話『アマゾンライダー・大切断』
「ケケ――ッ!」
雄叫び上げて、藤兵衛の頭上高く、ジャンプするアマゾンライダー!
藤兵衛「!?」
予期せぬ事態に思わず、身を固くする藤兵衛。
アマゾン「大切断!!」
大きく腕を振り上げ、必殺技の体勢に…
地面に放り出されていたGX-05を拾い上げ、背面にあるマガジンを装填するG3-XP。
「ギュアアアアアァ――!」
発砲する前に仕留めんと、奇声を発しながらネブラ達が襲いかかる。
「装填終了! GX-05アクティブ!」
迫り来る恐怖を振り払うかのように、叫ぶ澄子。
次の瞬間、G3-XPはありったけの火力をネブラ達に注ぎ込んだ。
ドオオォーン! ドオオォーン!! ドオオォ――ン!!!
火炎に包まれ、次々と落下していくネブラ達。
澄子(全く、キリが無いわね…でも、彼らがいて助かったわ)
イナゴ・ロードと戦っている仮面ライダーを見やるG3-XP。
華麗なる剣技で敵を切り払っていくXライダー、豪快な電撃技を叩きこむストロンガー、様々なバリエーションを持つキック技を駆使するV3……。
澄子(霧も徐々に晴れてきたし、戦況は良くなってきた。…この隙に救出を)
響子が捕らわれているであろう、G4の戦闘指揮車を視認。
駆け出すG3-XP。
澄子(そういえば…1号、2号の姿が見当たらないけど…何処へ消えたのかしら?)
走りながら、ふと…疑問に思う澄子。
シュカッ!!
腕を振り下ろし、腕部に備わる鋭利なヒレでネブラを切り裂くアマゾン!
ネブラ「グシュルルルル――ッ!」
ドウオウオォ―――ン!!!
断末魔と、肉体が破壊された爆発音が轟く!
ネブラの破片が降り注ぐ中…藤兵衛の元へ着地。
藤兵衛「アマゾン…俺を助けてくれたのか…」
アマゾン「オヤジサン! 『ガガノ腕輪』ヲ持ッテ来テクダサイ!」
破片から藤兵衛を庇いながら、アマゾンは言った。
藤兵衛「『ガガの腕輪』を?!」
意外なその言葉に思わず、聞き返す藤兵衛。
全能の支配者『ゼロ大帝』との最終決戦の際、『ガガの腕輪』と『ギギの腕輪』を一つに合わせ、古代インカの超エネルギーを解放させて『ゼロ大帝』を葬り、「平和が甦った今…この力はいらない!」
…と言って藤兵衛に預けた『ガガの腕輪』。
藤兵衛(再び、『ガガの腕輪』と『ギギの腕輪』を合わそうというのか?!)
アマゾン「オヤジサン! 早ク!」
藤兵衛を強い口調で促し、浮遊しているロウクスタ・ネブラの群れに突っ込んで行く、アマゾンライダー!
アマゾン「大切! …」
唸る右腕! 前方のネブラに必殺の技を繰り出そうとするアマゾン。
しかし、背後から別のネブラに右腕を掴まれ…
アマゾン「ケケ―――ッ!」
左腕でそのネブラに攻撃を加えようとするも、更なるネブラに左腕も掴まれ、動きを止められるアマゾン。
2体のネブラに両腕を掴まれたまま、落下!
「アマゾン!」
絶叫する藤兵衛。
激しい衝撃音と共に地面に叩き付けられるアマゾン。
両腕を掴んだまま離さない2体のネブラ。
身動きできないアマゾンに、ネブラの群れが上空から襲いかかる!
アマゾンライダー絶体絶命の危機!
その時…
アマゾンの左腕を抑えつけていたネブラの手が『ギギの腕輪』に微かに触れた。
カッ!!
突如! 眩い光を帯び、高熱を発するアマゾンライダーの身体!
『ギギの腕輪』の自己防衛能力が発動し、アマゾンライダーの身体に神秘の力がみなぎっていく。
「ギュシュユ――!」
その高熱に、アマゾンを抑えつけていた2体のネブラが発火! アマゾンから飛び退き、のた打ち回る。
アマゾン「ケケケ! ケ――ッ!」
身体の自由を取り戻し、瞬時に起き上がるアマゾン。
ジャガーのように地を蹴って!
上空に跳び上がり、ネブラ達の群れに踊り込む!
藤兵衛「アマゾン!」
跳躍するアマゾンの背中を見送りながら、叫ぶ藤兵衛。
アマゾン「大! 切! ダ――ン!」
腕部・脚部のヒレカッターを高速振動させて、アマゾンライダーが『暗闇の雲』を突き破っていく…。
藤兵衛(直ぐに戻るからな! アマゾン!)
危機を回避し、反撃に移ったアマゾンを見届けると、『ガガの腕輪』の保管場所【立花レーシングクラブ】に戻る為、全力疾走する藤兵衛。
藤兵衛(しかし、ここから俺の家まで、かなりの距離がある。刑事さんにヘリを呼び戻してもらおうか…)
河野に連絡をつけてもらおうと、倉庫に引き返そうとするが…。
藤兵衛「あっ!」
不意に声をあげる藤兵衛。
倉庫南側40メートル程の距離に一台のオフロードバイクが倒れているのを発見。
幸いな事にバイクの周辺にはネブラ達の姿が見えない。
千載一遇のチャンス! とばかりに近寄り、倒れたバイクを立て直してみれば…。
藤兵衛(ライダーマンのマシンじゃないか! …結城。少しの間だけ借りるぞ。…直ぐに返すからな)
心の中でライダーマン【結城丈二】に手を合わせる藤兵衛。
【ライダーマンマシン】
結城丈二が自ら製作したマシン。
戦闘専用装備、変形機能等の特殊能力は持っていないが、125馬力の出力を持つ小型の原子力パワーユニットを内臓している。
改造人間では無いライダーマンが肉体的に耐えられ、操縦技術を十分に発揮できるように最大速度は250キロに抑えられている。
藤兵衛(アマゾン! 待ってろよ…)
藤兵衛の気合が込められたキックでエンジンが回り出す。