G3-X・ピンク 第22話『G3-Xピンク・野獣との戦い』
「フシュゥゥル―――!!」
G3-XPに蹴りを見舞うべく、一体のネブラが急降下!
ガガガガガガガガガガッ!!!!
GX-05を連射し、ネブラを撃ち落そうとするG3-XPだが…
澄子「!」
ネブラの蹴り足が炎を纏い、特殊鉄甲弾を弾き返していく!
澄子「ハッ!」
炎を纏った蹴り足がG3-XPの仮面を捉えようとした瞬間、身を伏せて蹴りを回避!
直前までG3-XPが立っていた場所にネブラの火柱キックが突き刺さる!
炎が! 煙が! 土砂が! 舞い上がる!
澄子(危なかった…)
素早く身を起こし、トリガー(引き金)に指をかけるG3-XP。
澄子(あのキックが放たれる前に仕留めないと…)
だが、炎と噴煙が視界を遮り、ネブラを視認する事が出来ない。
焦る気持ちを抑え、敵の位置を探る澄子。
澄子「!」
突如、殺気を感じ、振り向くG3-XP。
炎と噴煙の中からネブラが出現した事を視認する。
一旦は治まっていた炎が再び、ネブラの右足を包み込んでいる…
僅かに身を沈めるネブラ。
澄子(くる!)
火柱キックが来る前にケリをつけようと、トリガーを引こうとするG3-XP。
その時!
「大切断!!」
雄叫びが響き渡り、ネブラの身体から血飛沫が飛んだ!
横一文字に、ぶった切られた身体が爆発四散する!
澄子「!」
その爆煙から一人の男が現れ、此方に歩いて来る。
澄子「アマゾンライダー…」
ストロンガー「電タッチ!!」
両腕に噛みついている二体のネブラの腹に手を当てるストロンガー。
手の平で触った物体を加熱する電気攻撃!
腹部が破裂し、仰け反り倒れるネブラ!
一瞬の内に二体を撃破!
間一髪!
身体の自由が戻り、火柱キックの直撃を避けるストロンガー!
その肩口をかすめて、火柱キックが通過!
地中深く、突き刺さるネブラの右足!
ドオオオオオ―――ン!!
ストロンガー「ヤバかったぜ!」
大地を揺らさんばかりの衝撃に脅威を覚えるストロンガー。
ストロンガー「!」
火柱キックをかわされたものの、素早く立ち直ったネブラが身構えている。
その右足からは再び、炎が発生している。
ストロンガー(キックにはキックで…)
火柱キックに対抗すべく、電キックを見舞おうと構えるストロンガー。
その時!
「ライドルホイップ!!」
力強い声と共に、X字に切り裂かれるネブラの身体!
肉体が四散し、爆発が巻き起こる。
ストロンガー「!」
炎と噴煙の中に一人の男が立っているのが見える…
ストロンガー「Xライダー!」
「シュアウウウウ!!」
ストロンガーの危機を救ったXライダーに無数のイナゴ・ロードが上空から襲いかかる。
Xライダー「トウッ!」
イナゴ・ロードの急襲にも怯む事無く、ライドルホイップを駆使するXライダー。
長さ1メートル程の細身の刀身だが、一突きで岩石も貫く鋭い剣がイナゴ・ロードを切り払っていく!
ストロンガー「エレクトロサンダー!!」
右手を天に向かってかざし、超高圧電流を空中に発射!
雄叫び上げて、ストロンガーが雷雲を呼びこむ。
ストロンガー「面倒だ! まとめて料理してやるゼ!」
雷雲が光り、一拍おいて雷鳴が轟く!
浮遊しているイナゴ・ロードの群れに炸裂する落雷攻撃!
断末魔の叫びと爆発が幾重にも、こだまする。
澄子(正気に戻った?)
G3-XPがGX-05を構えたまま、凝視している。
アマゾン「………」
窮地を救ってくれたアマゾンライダーが、ゆっくりとした足どりで此方に向かって来る。
澄子「………」
アマゾンと、上空に飛翔しているイナゴ・ロードの双方を警戒するG3-XP。
「ウワアァオ―――ッ!!」
突如、歩みを止めたアマゾンが、身体を大きく震わせて吠える!
その雄叫びに【G3-XP】小沢澄子は全身を緊張させた。
「ウワアァオォ―――ッ!!」
身を屈めて、もう一度叫ぶアマゾン。
澄子「!」
次の瞬間! 高速の動きで宙を飛び、G3-XPに襲いかかって来た!
「大! 切断!」
右腕のヒレカッターが頭部に振り下ろされる!
瞬間! 防衛本能が働き、トリガーを引くG3-XP。
アマゾン「ワアァオー!」
驚異的な反射神経!
空中で身体を捻り、咄嗟に弾雨をかわすアマゾンライダー!
着地後、素早く体勢を立て直し、地を這う稲妻の如く、低姿勢でジグザグに走ってくる!
ダダダ!ダダダ!ダダダ!ダダダ!
G3-XPがGX-05を連射するが、それがアマゾンを捉える事は無かった。
ダダダ! ダダッ……
澄子(弾切れ! ……)
アマゾン「ケケケ! ケ――ッ!」
G3-XPの10メートル手前からジャンプ!
風切り裂いて…
コンドルのように、一直線!
全弾を撃ち尽くしたG3-XPにアマゾンの右手の爪が振り下ろされる!
澄子「クッ!」
GX-05を地面に放りだし、後方に飛び退くG3-XP。
アマゾン「ケケ――ッ!」
モンキーアタックを間一髪でかわされるも、アマゾンは手を休めなかった。
両手の鋭利な爪を交互に突き上げての連続攻撃!
澄子「コノッ!」
ギリギリの間合いで、攻撃をかわし続けるG3-XPが一瞬の隙を突いて攻勢に転じる!
ドコォッ!!
鋭い爪を掻い潜り、アマゾンの腹に右の拳を放つ!
G3-Xに比べて軽量、小型のピンクだが、パンチ力は約1.5tの破壊力を持っている。
そのパンチ力に大きく吹っ飛び、荒れた大地に叩きつけられるアマゾン。
アマゾン「ウワゥウ――!」
叫びと共に起き上がったアマゾンが、眼力鋭くG3-XPを見据える。
その赤い強暴な瞳に再び、全身を緊張させる澄子。
…その時!
澄子「!?…」
どこからか、立ちこめてくる煙りが視界を遮っていく…
お化けマンションから少し離れた場所にある小さな建物…
その建物の窓から、外の様子を覗っている二人の男。
ヘリから降り、ようやく現場が視認できる位置まで辿り着いた立花藤兵衛と河野刑事である。
がらんとした部屋の中、緊張した表情で戦況を見つめている。
パラパラパラ…
外で爆発が起こる度、二人の肩に屑が落ちてくる。
お化けマンション同様、古い建物である。…壁はひび割れ、扉は錆び付き、真っ赤になっている。
片隅には埃まみれの木箱や正体不明のガラクタが無造作に積み上げられていて、部屋というよりは倉庫と言った感じだ。
天井に大量の大型ライトがぶら下がっている所を見ると、元は映画かテレビのスタジオだったのであろう。
床には小さな発電機が一つ転がっている。
藤兵衛「もう少し、近付きたいのだが…」
異形の影と炎が交錯する中を戦っている仮面ライダー達を見つめながら、藤兵衛が問い掛ける。
河野「ライダー達の戦いだけでは無く、アンノウンまでもが現れ、更に状況が悪化した今。これ以上、近付く事は危険です」
藤兵衛「……」
静かだが、確かな口調で藤兵衛を制す河野。
藤兵衛「あっ!」
短い沈黙の後、藤兵衛が小さく叫んだ。
その視線の先には雄叫びを上げて攻撃を仕掛けているアマゾンと、ガトリング銃で迎撃しているG3-XPの姿が…
藤兵衛(どういう事なんだ?アマゾンは何故、警察の…G3と戦っているんだ?)
「ワアァオー!」
ダダダ! ダダダ! ダダダ! ダダダ!
叫び声と射撃音が交錯する中、信じられない…といった表情の藤兵衛。
ダダダ! ダダッ……
突如、銃声が途絶え…
河野「あっ!」
今度は河野が小さく叫ぶ。
弾丸が尽きたG3-XPにアマゾンが鋭利な爪を振りかざし、急降下する!
澄子「ハッ!」
後方に跳躍し、辛うじて攻撃を回避するG3-XPだが…
アマゾン「ケケ――ッ!」
尚も追撃の手を休めないアマゾンに劣勢状態を抜け出せない。
二人の激しい攻防を藤兵衛と河野が無言で見つめる。
ドゴオッ!!
起死回生!
一瞬の隙を突いたG3-XPのパンチが炸裂!
藤兵衛「ああっ!」
河野「オオッ!」
大きく宙を舞うアマゾン。
その光景に藤兵衛は思わず扉に向かった。
「立花さん! 外に出るのは危険です!」
河野の制止する言葉を背に、扉を押し開く藤兵衛。
藤兵衛(戦いを止めなければ)
建物を飛び出し、アマゾンの元へ…
が! ……
何時の間にか、霧状のガスが辺りに立ちこめている。
これではアマゾンもG3-XPの姿も視認する事が出来ない。
「アマゾン…」
視界を奪われ、立ち止まる藤兵衛。
その背後から…
「ファウウウゥゥ…」
藤兵衛「…… !?」
野生動物のような唸り声が聞こえて来る……