G3-X・ピンク 第20話『ストロンガー・天が呼ぶ! 地が呼ぶ!…』
Gトレーラーから降りて、TRCSに駆け寄る一条。
「?」
TRCSの横に赤いミニバイクが停めてある…
一条(先程までは、駐車されていなかった筈…)
辺りを見回すが、持ち主は見当たらない。
(??)
一条。 軽く首を捻るが、Gトレーラーが動き出すのを視認し、TRCSを急発進させる。
Gトレーラー・OPルーム
G3-Xの装着準備にとりかかっている榎田と笹山。
榎田「GM-01も改良されたし…特殊弾もパワーアップされているわ。
その反動に耐えられるように姿勢制御ユニットも強化。あとは…」
厳しい表情だが、口元に僅かに微笑を浮かべ…
「頼んだわよ!」
手に持った仮面を装着する榎田。
その表情に…良い具合に緊張感がほぐれる氷川。
(この人ならG3-Xを上手くサポートしてくれる)
そう確信し、ガードチェイサーへ向かう為、一歩踏み出そうとした瞬間…
(あっ……)
心の中で小さく呟く氷川。
(榎田さんとは、また違う感覚だけど…小沢さんもそうだった……)
装着準備の時に微笑みを見せる事は無かったが、澄子に装着してもらう事で、何時も安心感を覚えていた事に気付く氷川。
(小沢さん……)
澄子の顔を思い浮かべながら、ガードチェイサーへ…
G3-Xの出動態勢は整った。
お化けマンション
澄子「ハァッ!」
G4の攻撃をかわすG3-XP。
避けた水流波がマンションの壁を直撃!
落ちて行く、細かなコンクリートの破片と大量の水。
茂「ぐッ……うっ……」
土砂降りの雨のように降り注がれた水を被り、意識を回復する城茂。
だが、顔から下は瓦礫に埋もれたままの状態である。
茂「『電気エネルギー』を使い果たしちまったようだな…身動きがとれねぇ…」
唇を噛む茂。
その眼前で繰り広げられているG3-XPとG4の戦い。
茂「アイツは……」
視界にG4を捉えた瞬間…刃物のような鋭い輝きを瞳に放つ茂。
激走するGトレーラー1号車
G3-Xに、ガードアクセラーを手渡す笹山。
ガードチェイサーにまたがり、始動キーであるガードアクセラーを右ハンドル部に差し込むG3-X。
榎田。鮮やかな手つきで、キーボード操作をする。
後部扉が開き、電動ローラーが回転して、発進用タラップが展開!
「1・5・2・4! G3システム! 戦闘オペレーション開始!」
やや緊張した声の榎田。
「ガードチェイサー。離脱します」
レバーを操作する笹山の声も緊張している。
エア・コンプレッサーが駆動し、後ろに押し出されるガードチェイサー!
タラップを降りきり、緊急走行!
併走しているTRCS2001…一条が厳しい表情でサムズアップ。
G3-Xもサムズアップを返し、ガードチェイサーを急加速させる。
「次は一条君の出番ね!」
榎田からの通信に頷く一条。
お化けマンション
茂「クッ!」
埋没状態から脱出を試みる茂だが…G3-XP、V3との激闘で『電気エネルギー』は底をつき、身体が動かない。
「クソッ!」
苛立ちの言葉を吐く茂。
(何とかしなければ…!)
忌々しげに瓦礫を見つめた茂の表情が一瞬、止まる。
『水』が地中に浸透している。
茂「!」
満身の力を込め、両腕をクロスさせる茂。
「逃げ回っているだけでは勝ち目はありませんよ」
挑発的な言葉を発する理沙。
その言葉に唇を噛み締め、耐える澄子。
(何とか、接近戦に持ちこまないと……)
先程からチャンスを窺っているのだが、G4の間合いでの戦いを強いられ、反撃が出来ないG3-XP。
理沙「貴方が無口になると、面白味が無くなります」
勝ち誇ったように嘲笑う理沙。
その時……
「エネルギー! チャージ!!」
ドオオオオオォオオーーーーン!!!
雄叫びと共に爆発が起こり、激しい土埃が上がる!!
理沙「!」
澄子「!?」
爆発音の方向を見る二人。
♪〜〜〜 ♪〜〜〜 ♪〜〜〜〜♪
爆発の余韻が収まりつつある中。
口笛が聞こえてくる……
澄子(誰?!)
……噴煙で、その姿を確認する事が出来ない。
新たな敵なのか? …緊張感が更に高まる澄子。
そして……
煙が徐々に晴れ…
口笛が鳴り止み…
一人の男が姿を現す…
「ヨォッ! 美味い水を、ありがとよ!」
G4に声を掛けるその男…
理沙「城茂…正気に戻ったようね」
G4の水流波攻撃の『水』が、地中に浸透。
その『水』を電気エネルギーに変換し、埋没状態から脱出した城茂とG4が対峙する。
茂「テメェ…昨日といい、今日といい…一体、何を企んでやがる!」
『昨日』……
白骨岬
早朝。
海が一望できる小高い丘に墓が立っている。
【岬 ユリ子之墓】の前に佇む茂。
岬 ユリ子…当時、17歳の少女であったユリ子は謎の秘密結社『ブラックサタン』に捕らえられ、電波人間の改造手術を施されてしまったが、脳改造を受ける寸前にストロンガーに救出され、基地から脱出。
以後は『電波人間・タックル』としてストロンガーと共に闘い、ブラックサタンを壊滅させる事に成功する。
だが…別れは突然、やって来た。
ブラックサタン壊滅後に現れた新組織『デルザー軍団』の改造魔人・ドクターケイトと交戦中に解毒不能の『毒』を浴びてしまったのだ。
死期を悟ったユリ子は、ドクターケイトに捨て身の必殺技『ウルトラサイクロン』を放って相討ちになり、短い生涯を終えたのであった。
茂「ヨォッ! …来たぜ」
手に持っていた白いユリの花を供え、茂が語りかけた時だった。
突如、爆音を上げて、一台のヘリが低空飛行で近付いてきた!
「!?」
茂の頭上に近付いた時、その身体を機外へ投げ出した人が!
「!」
驚く茂だが、目の前で着地したその姿に更に驚愕する!
茂(仮面ライダー? …)
仮面ライダー的な外観のその姿…
“戦闘用強化外骨格及び強化外筋”・『G4』。
白骨岬
城茂とG4……
見つめ合ったまま、動かぬ両者。
「彼女の命日は明日ではないのですか?」
茂に問い掛けるG4。
その声…
茂(! 女なのか……)
しかも20代と思われる女性の声…
外見とのギャップに戸惑いながら、G4を凝視する茂。
瞬間!
G4の両目が激しく点滅した!
茂に降り注がれる光……
ワインレッドからグリーン。そしてイエロー、ブルー…と、色を変えながら不規則に点滅をしている。
茂(何だ? …この光は? ……まさか? ………)
気が付いた時は遅かった…光に自我を奪われていく茂……
『今日』……
お化けマンション
茂「昨日、仕掛けてきた…あの点滅は、俺を催眠状態に陥れるように計算された点滅のようだったな」
理沙「………」
茂「その術中に、まんまとはまったワケだが…」
理沙「………」
茂「もう一度、聞く。…テメェ! 一体、何を企んでやがる!」
理沙「ふっ……」
茂の問いには答えず、不敵に微笑む理沙。
澄子(来る!)
その一瞬の『間』にG4の行動を予測したG3-XPがG4に突進する。
理沙「もう一度、眠ってもらいましょうか…」
G4の視覚部分が怪しく光る!
そして、顔を茂に向けたまま、右手をG3-XPの方向にかざして水流波攻撃!
理沙「邪魔はさせません」
避けた大地から噴出した水がG3-XPの動きを止める。
澄子「城茂…」
不安げに茂を見やる【G3-XP】小沢澄子。
澄子「!」
その目にはG4に背を向けた茂の姿が…
茂「一瞬でも光を浴びたらヤバかったぜ! ……二度と同じ手は食わん!」
両手の黒手袋を外し…
茂「変…身!」
コイル状の両手を擦り合わせ…
「ストロンガ―――ッ!!!」
雄叫びを上げる茂!
コイルアームがスパーク!
発電!!
ベルト(エレクトラー)が光り輝き、颯爽と現れたのは…
「天が呼ぶ! …地が呼ぶ! …人が呼ぶ! …悪を倒せと俺を呼ぶ!
俺は正義の戦士! 仮面ライダーストロンガー!!」
怒りを込めた緑の眼でG4を睨みつけるストロンガー。
ストロンガー「貴様の企みを暴いてやる! 行くぞ!」
理沙「フっ……残念ながら、貴方の相手は私ではありません」
ストロンガー「何?!」
上空を見上げるG4…
理沙「天が呼んでいますよ」
理沙の言葉を受け、上空に注意を向けるストロンガーとG3-XP。
ストロンガー「!」
上空に『黒い雲』が蠢いている!
澄子「! …アンノウンの群れ!」