G3-X・ピンク
第15話『小沢澄子・激闘再び…』
アント・ロード【フォルミカ・ペデス】による襲撃事件後、響子に接近した理沙だったが…
襲撃の記憶に振り回され、「夫と娘を助けられなかった」と自分を責める『罪責感情』に悩み続ける響子。
「生きる気力がない」という抑うつ状態の響子を八王子駐屯地内の医療施設でメンタルケアを施し回復を待つ事に…。
数日後…加原紗綾香と本木レイを発見する理沙。
紗綾香は、城北大学教授・美杉義彦の息子・太一を予知能力で事故から救った事が縁で、美杉家で暮らしていた美杉家には、紗綾香と同じような境遇の高校生・風谷真魚、記憶喪失の青年・津上翔一も居候している。
その夜、予知で見た場所でレイと再会する紗綾香。
そこへ現れた理沙は研究所へ帰る事を勧めるが…。
紗綾香「もう私、研究所で暮らすのは嫌なんです。普通の生活がしたいんです」
研究所へ戻る事を拒む紗綾香とレイ。
理沙「馬鹿ねぇ…身寄りも無い、貴方達に普通の暮らしなんて無理なの。貴方達は私の傍に居れば良いのよ」
紗綾香の言葉に耳を貸さず、研究所に連れ戻そうとする理沙。
真魚「紗綾香ちゃん!」
その時、紗綾香を探しに来た真魚が現れる。
理沙は、真魚が偶然はめていたブレスレットから高レベルの超能力者である事を知り、三人の拉致を画策する。
しかし、真魚と共に紗綾香を探しに来ていた翔一の妨害にあい、紗綾香とレイの確保に失敗。
風谷真魚、一人の確保に留まってしまう。
八王子駐屯地内のコントロールセンターで、真魚の予知能力が紗綾香以上である事を知り、G4システムのAI機能に組み込み、最強のG4を完成させる理沙。
が、真魚の強力な予知能力に感応したアントロードの集団によって駐屯地は壊滅状態。
理沙もアントロードに襲われて落命寸前の所を響子に助けられる。
夫と娘を惨殺した『フォルミカ・ペデス』を目の当たりにし、覚醒する響子。
だが、それは『正義の心』からでは無く『復讐心』からであった。
響子をG4システムのAI機能に組み込む理沙。
アンノウンと戦うという目的で共闘する二人…。
だが、AI機能に組み込まれた響子には意識は無く、理沙の意思しかG4にはないのだが…。
お化けマンション
澄子「まだ分からないの?!G4システムは、装着員やAI機能に組み込まれた人の命を削るシステムよ!」
理沙「……」
澄子「早急にAI機能に組み込まれた人を開放しなさい!…それに…あなたも…離脱しないと危険なのよ!」
理沙「この前の戦いでは、G4システムの有用性を示す事が出来ませんでした」
澄子の言葉には耳を貸さずに、喋り続ける理沙。
理沙「しかし、今回は違います…G4システムこそ、『最強』のシステムである事を…」
澄子「『最強』では無く、『最悪』のシステムよ!人を犠牲にするシステムなのよ!」
理沙「このシステムによって、大勢の人が助かるのですよ」
澄子「だからと言って、犠牲を払う事は、許される事では無いわ!」
理沙「例えば、10人の生命と1人の生命…どちらかだけを救えるとしたら、どちらを選びますか?」
冷静な口調で尋ねる理沙。
澄子「全員の…11人の命を守るわ!」
即答する澄子。
理沙「それでは答えになっていません…結論は二つしか無い…」
澄子「違うわ!」
理沙の言葉を遮る澄子。
澄子「どんな事情があろうと!」
理沙「………」
澄子「どんな人間であろうと!」
理沙「………」
澄子「犠牲になって良い理屈は無いわ!」
理沙「ふっ…」
微かに笑う理沙。
理沙「やはり、あなたとは話し合っても無駄なようですね」
お化けマンション
理沙「やはり、あなたとは話し合っても無駄なようですね」
澄子「!」
理沙「今…この場で、あなたとの決着をつけさせてもらいます」
澄子「決着というより…私はG4計画を阻止する為に闘うわ!」
理沙「阻止する? …ふっ…万に一つも、あなたに勝ち目は無いのですよ。G4システムとG3システム…。
どちらが優れているのか、設計者のあなたが一番良く分かっている筈なのに…」
澄子「やってみなくては、分からないわよ。私も…あなたも同じ人間よ。違うかしら?」
理沙「何を言っているのですか? これは、装着システム同士の戦いですよ」
澄子「そうかしら?この戦いは人間同士の戦いでもあるのよ!」
理沙「!」
澄子「あなたが実用化させたG4は人間を『パーツ』とみなしたシステム…」
理沙「………」
澄子「私が設計したG3は、人間が使う『道具』としてのシステム…」
理沙「………」
澄子「フォルムは似ているものの、設計思想が違う…」
理沙「………」
澄子の言葉にも、眉ひとつ動かさない理沙
澄子「これは、人の心が生み出した戦いなのよ!」
理沙「そんな事を語ってどうなるというのですか? …もう沢山です」
澄子「深海!」
理沙「沢山! …だと言った筈です」
一瞬だが、珍しく声を荒げる理沙。
澄子「!」
互いに目を逸らす事無く、しばしの時が流れるが…。
澄子「行くわよ!」
決意を込めた声で静寂を破る澄子。
ニヤリと微笑む理沙。
仮面を被る澄子。
同じく仮面を被る理沙。
澄子、G4の装着完了を視認。
理沙「プレディクション開始!」
黒のGトレーラー
≪G4 SYSTEM MISSION START≫
「目標! 敵、G3-X・ピンク・小沢澄子! 距離30!」
「安全装置開放! …起動用意!」
「ESP信号伝導率77%!」
システムの起動音が響き渡り、人の動きが慌ただしくなるコントロール室。
お化けマンション
攻撃態勢をとらずに仁王立ちのG4。
澄子(攻撃を予知される以上、迂闊には動けない…)
「北條君! 動ける? まだ仕事が残っているわよ!」
GM-01改(自動小銃)を構えたまま、G4から視線を外さず、V-1システムに連絡を取る澄子。
北條 「臨戦態勢は整えていますよ」
ビクトリー・チェイサーにまたがるV-1システム。
北條 「先程は不覚にも、軽い脳震盪を起こしてしまいましたが…」
澄子「あのGトレーラーは、只の後方支援車じゃ無いわ…。
恐らく、あの中にAI機能に取り込まれた人がいる筈よ!救出を…」
北條 「いちいち、指図を受けなくても分かっていますよ」
ブオオオオォォ−−!!
爆音をあげて、ビクトリー・チェイサーを発進させるV-1システム。