G3-X・ピンク  第14話 『的場響子・悲劇再び…』
 響子と呼ばれたその女性…的場響子

 「地球にあって地球に無い怪魔界」にあるクライシス帝国の侵略によって、両親を惨殺された過去を持っている。
 当時、中学生だった響子は両親の復讐を誓い、クライシス帝国と戦う為、超能力を願い、特訓の末に水を招来する力を体得。
 『仮面ライダーブラックRX(南 光太郎)』と共に戦い、クライシス帝国打倒を果たしたのだった。


 時は流れ…城南大学助教授の水野政義と結婚。
 優しい夫と、五才になる娘『めぐみ』との穏やかな生活に身を置く毎日であった。


 そう…あの日までは…。


 その日…いつもは多忙な夫が、娘の誕生日という事で休暇を取り、久し振りに三人で遊園地に行った帰り道の出来事だった。
 楽しかった今日の出来事を振り返りながら歩いている三人…。

 その三人を監視している一台の車…。
 深海理沙と配下の岡元と郷原が乗っている。
「水野響子…旧姓、的場響子。かつてクライシス帝国と戦っていた戦士の面影はどこにも無いわね…」
 娘と互いに笑い合っている響子を、後部座席から見つめている理沙。
「しかし、超能力開発研究所が壊滅した今、G4システムに組みこむESPレベルの高い人間は彼女しかいないと思われます」
 響子から視線を外さず、運転席の岡元が答える。


響子「! ……」
 異形の影が眼前に迫るビジョンを見る響子。
 突然、立ち止まる響子に振り返り…
めぐみ「ママ。どうかしたの?」
政義「何か、忘れ物でもしたのか?」
 声をかける二人。
響子「この先に何かが…」
 怯えるような声で返答する響子。
政義「?」
 前方を見渡し、異常の有無を確認する…
政義「別に何も無いぞ…今日は遅くなったから、早く帰らないと…」
 響子を促す政義…


「所で、加原紗綾香と本木レイの行方は、まだ掴めないの?」
 フォルミカ・ペデスの集団攻撃により、超能力開発研究所が壊滅した際に、唯一脱出に成功した二人の行方を尋ねる理沙。
「都内にいる事は間違いないのですが…」
 助手席の郷原が、歯切れの悪い答えを返す…
「!」
 郷原に叱責の言葉を投げかけようとした理沙が、思わず息を飲んだ!
 突然! 響子達の前方に異様な人影が現れた!

 いや…人では無い…

 アント・ロード(フォルミカ・ペデス)!


逃げろ!
 突然現れた異形の存在に身の危険を感じた政義は、妻と娘を守ろうと、咄嗟にフォルミカ・ペデスに組みつく!
 響子達を救う為、飛び出そうとする岡元と郷原。
理沙「待ちなさい!」
 二人を制する理沙。
理沙「彼女の能力を知るチャンスだわ!」


 蟻酸を吐くフォルミカ・ペデス!
政義 「!」
「あなた!」
 絶叫する響子…一瞬の出来事だった。
 響子の目前で息絶える政義。
 振り返り、響子とめぐみに迫るフォルミカ・ペデス!

「この子だけでも守らなきゃ…」
 右手をかざす響子。
 閃光を放つ右手!
 響子の周辺の大地に亀裂が走る!
 その割れ目から、フォルミカ・ペデスに向かって放出される水!
グワッ!
 吹き飛ぶフォルミカ・ペデス!
 その隙にめぐみを抱え、逃げようとする響子。
 その背後から、もう一体のフォルミカ・ペデスが響子を突き飛ばす!
 響子の腕から転がり落ちるめぐみ!

響子「めぐみ! …!
 絶叫する響子…その声が暗闇に吸い込まれて行く…

 暗闇…

 暗闇に蠢く影…更に現れたフォルミカ・ペデス…数えて、四体。

 めぐみに襲いかかるフォルミカ・ペデスの群れ!
 その黒い体色と暗闇でめぐみの体が掻き消されていく……
響子「やめて!!
 右手に力を集中し、『水の力』を開放する響子。
 鉄砲水がフォルミカ・ペデスを薙ぎ払う!


 ……静寂……


 響子の瞳には、身動き一つしないで横たわっている『めぐみ』の姿が映し出されている…
響子「めぐみ………」
 崩れ落ち、気を失う響子。

 その響子を見つめている理沙…


 アント・ロードを蹴散らした安堵感よりも、愛する夫と娘を失った悲しみで放心状態の響子…




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