G3-X・ピンク  13話『深海理沙・G4計画再び…』
 V3のマシン・ハリケーンが眼前に迫った瞬間、意識を失った北條。
 だが、突如、現れた漆黒のヘリの爆音、爆風で意識が回復。
北條「クッ…」
 V3の攻撃で全身にまだ痺れが残っているものの、気力で立ち上がる。

 その視線の先には、白い鎧をまとった女戦士の姿が……

北條「あれは? …G4…」
 G4の仮面を小脇に抱え、悠然と澄子を見据える理沙。
 澄子も仮面を外し、厳しい表情で理沙を見つめる。

 両者、久しぶりの邂逅……

澄子「あなたと又、会えるとはね…でも、ひょっとしたら…とは思っていたけど」
理沙「小沢澄子の直感ですか?」
澄子「アンノウンとの八王子駐屯地での戦いの後、警察の検分が始まる前に陸自の特務部隊が出動…」
 理沙の言葉に反応せず、淡々と話し出す澄子。
理沙「………」
澄子「G4を回収すると同時に、予知能力者とリンクする装置等、G4システムに関する装置もアンノウンの仕業に見せかけて完全に破壊し、証拠を隠滅…」
理沙「………」
 説明口調の澄子の言葉を、表情一つ変えずに聞いている理沙。
澄子「G4計画の首謀者である、貴方は消息不明の扱いに…」
 無表情の理沙を見据え、澄子は淡々と続ける
澄子「特務部隊の偽装工作は、あなたが死亡したのでG4計画を断念せざるを得ず、封印する為なのか…」
理沙「………」
澄子「G4計画推進の際に犯した罪から逃れる為、そして計画を続行する為に身を隠したのか…どちらかだとは思っていたわ」
理沙「ふっ……」
 薄く笑う理沙。
澄子「あの状況で、よく助かったわね?」
理沙「あの時、私は新たなる力を手に入れました」
澄子「?」


 あの時…

 軍隊蟻に似た超越生命体・フォルミカ・ペデスの急襲に壊滅状態になる作戦司令室。
 一人、生き残った理沙に襲いかかるフォルミカ・ペデスの群れ!
 悲鳴を上げるも、救出にくる者はいない…
 鋭い牙を突き立てられようとした瞬間!
理沙「?」
 動きを止め、振りかえるフォルミカ・ペデスの群れ。

 …その視線の先にいる一人の女性。
 女性の左腕のブレスレットが、暗闇の中に赤々と光っている。

理沙「貴方は!」
 標的を、理沙からブレスレットの女性に切り替え、突進!
 一斉に蟻酸を浴びせるフォルミカ・ペデス!
 瞬間! 右手をかざす女性。
 その指先が光を帯びる!
「!!!」
 蟻酸が逆流し、フォルミカ・ペデスの群れに降り注ぐ!
理沙「!」
 理沙の眼前に、動かなくなったフォルミカ・ペデスの群れが!

ブレスレットの女性「私、決心しました…貴方と共に戦います」

理沙「その言葉を待っていました」
 命が助かった安堵感と、新たなる力を得た歓喜とが交錯する理沙。
 その時、理沙の背後からG4システム装着員・水城史朗の苦悶の声が聞こえてきた!
理沙「!」
 モニター画面から水城装着のG4が、もがき苦しむ姿が映し出されている。
理沙「そんな! …馬鹿な…」


「水城さん!」
 駆け寄るG3-X!
 いや…G4との戦いの最中、G3-Xの仮面を外した氷川誠が駆け寄る。
水城「グアァ…」
 氷川をすかすG4。
氷川「危険です!」
 なおもG4に食らいつく氷川だが、弾き飛ばされる。
氷川「離脱して下さい! 水城さん!」
 叫ぶ度に食らいつき、突き飛ばされる氷川。
氷川「水城さん!」
 執拗に食い下がる氷川を最後の力…右のパンチで殴り飛ばすG4!
 吹っ飛ぶ氷川。
水城「はぁっ…はぁっ……」
 よろよろと力無く前進し、左の拳を握り締めるG4。


水城「ぐあぁ! ……

 が! ついに魂が抜けた様に崩れ落ちる。


氷川 「水城さん…」


 …水城史朗の死…

 静寂が流れる…


氷川 「!」
 静寂を切り裂く不気味な金属音と共に立ちあがろうとするG4!


氷川「もういい…もういいだろう!!」


 絶叫し、GM-01のトリガーを引く氷川。
 被弾し、再び崩れ落ちるG4。


…G4システム停止…


 モニター画面を凝視…凍りついた表情の理沙。
 しかし、その表情も一瞬であった。
 ブレスレットの女性に振り向いた理沙は、普段の冷静な顔になっていた。
理沙 「私と共闘するのが、恐くなりましたか?」
ブレスレットの女性 「いいえ…恐怖感などありません…もう何も失うものは無いから…」
 その言葉に満足そうな笑みを浮かべる理沙。
 『水城の死』も『G4計画の破綻』も、もはや理沙の脳裏には無かった。


理沙 「これより、G4システムを更に強化する新たなプロジェクトにとりかかります。
 新しいG4システム…それは、あなたの『分身』でもあるのですよ…響子さん



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