G3-X・ピンク 第9話『TRCS2001・起動』
関東医大病院

 病院内の駐車場へ向かう一条と氷川。
氷川「小沢さん一人で7人ライダーと戦うなんて無茶です!」
一条「いや、もう一人…V-1システムも出動している」
氷川「V-1システム…北條さんも闘いに?」
一条「そうだ」
氷川(それでも不利な状況での戦いに変わりは無い…)
 焦燥感が募る氷川。
 その時…
「一条さん!」
 突然、呼び止められる一条。
一条「!」
 長身の若い男が黒覆面車の前に佇んでいる。
一条「久し振りだな」
 男に歩み寄って行く一条。
 誰? …という表情の氷川が後に続く。
 男の前で立ち止まり、氷川に向き直る一条。
一条「須藤刑事だ。ここから先は彼にも協力してもらう」
一条に紹介され、頭を軽く下げる須藤。
須藤「須藤です。一条さんとは合同捜査本部で一緒でした」
 「合同捜査本部」とは『警視庁未確認生命体関連事件合同捜査本部』の事である。
 未確認生命体事件が広域指定され、本庁にその捜査本部が設置された時に須藤も本庁に配属されていた。

氷川「氷川です」
氷川も軽く頭を下げる。
一条「現場に行く前に、先ず我々は合流ポイントに向かう」
氷川「合流ポイント?!」
一条「そうだ。Gトレーラーとの合流ポイントだ。先導は俺がする」
 厳しい表情を残して、走り去る一条。
 その先には一台のバイクが停まっている…
氷川「あれは…TRCS2001!」


 ◇TRCS2001◇

 …トライアルチェイサー2001年型の略称。

 全長/240cm・全高/125cm
 警視庁が開発した都市用の特殊白バイ。
 階段や凹凸の激しい岩場を昇り降りする優れた登坂機能と、直線道路での超スピードを併せ持っている。
 最高時速は300キロでTRCS2000と変わらないが、BTCS2000と同型のエンジン・プレストによって最高速度300キロまで短時間で加速させる事が可能になっている。
 また、BTCS2000に採用されていた、高速からの急停車を可能にするエアブレーキも車体後部に装備。
 緊急時に後部から小型パラシュートを展開して、急減速を行なう機能も受け継がれている。
 最新の機能では、赤外線速度センサーがレーザー測定式速度センサーに変更。
 追尾車両を確実に捉え、速度計測を行なう装置だが、逃走する怪人の走行速度を計測する事も可能である。
 前部カウルには桜の代紋がつき、緊急車輛であることを示すパトライトも装備。
 緊急時にはカウルを左右に展開してパトライトを点灯させ、サイレンと併用する事により、パトカー等と同様に進路の確保を行なう。
 車体は銀と黒を基調としたカラーリングの『ポリスヘッド』仕様。
 他に車体の色を変えるマトリクス機能によって、全体を黒一色で統一した『ブラックヘッド』のタイプもある。

「行くぞ!」
ス ロットルを吹かし、二人を促す一条。
須藤「乗ってください」
一条に頷き、助手席のドアを開け氷川に声を掛ける須藤雅史。


お化けマンション

 屋上の片隅でライフルを構えているV-1システム・北條。
 1号、2号、V3、ライダーマン、X、アマゾンが乗った6台のライダーマシーンが射程距離に入ってくるのを待っている。
北條(……! …来た!)

 ズギューーーン!!

 空気を切り裂く音と共に、先頭を走っていたXライダーに特殊ガス弾が命中!

 ズギューーーン!! ズギューーーーン!!!

 なおもライダー達に放たれる特殊ガス弾!

 煙に包まれ、マシーンから放り出される2号とアマゾン!

 ブオオォォォ! ヴオォォーーー! ブオォーーーン!

 マシーンを蛇行して、特殊ガス弾の弾雨をかいくぐる1号、V3、ライダーマン。
 G3-X・ピンク、すかさずGM-01改を構え、トップを走るライダーマンマシーンの前輪を狙い撃つ!

 バンッ!!

 前輪に正確に命中!
 バイクから吹っ飛ばされるライダーマン!
 後続の1号、V3が、吹っ飛ぶライダーマンとマシーンを避ける為に減速する…
 その隙を逃さず、特殊ガス弾を1号に撃ちこむV-1システム!
1号「グッ!!」
 沸き上がる白煙に苦しむ1号ライダー!

「流石! 北條さん! 射撃に関しては警視庁でもトップクラスのことはありますね!」
 OPルームで興奮する尾室。

「そう。射撃と嫌味に関してはトップクラスね」
 戦闘態勢を整える為、ガードチェイサーに向かって走る澄子が混ぜっ返す。

「何を言っているのですか。私は全てにおいてトップクラスですよ」
 最後の標的であるV3に狙いを定め、引き金を引こうとする北條が仮面下に余裕の笑みを浮かべて反論する。

澄子「ハイハイ!手を休めている場合じゃないでしょう!」
北條「私に隙はありませんよ。…!」
 V3を照準に捉える北條。

 ズギューーーン!!

 火を吹くライフル!
 被弾するV3!

 手応えを感じ…
北條「ざっと、こんなもの…」
 余裕の言葉を言いかけた北條の耳に…

ヴオオォーーーン!!

 凄まじい爆音が!
北條「何!?」
 前部に装備されたブースターロケットと二段式ウィングで空中飛行する『ハリケーン』!!
 屋上のV-1システム目掛けて突進!!
 得意げな表情が一転して、強張る北條。
北條「馬鹿な…確かに命中した筈なのに…」

 …確かに特殊ガス弾は命中したが…
 V3・26の秘密の一つである【特殊強化筋肉】(特殊合成繊維の筋肉)が、特殊ガス弾を弾き返していたのである。


 慌てて、ライフルを構え直すV-1システム。

 ブオオォーーーン!!


 それよりも早く、体当り攻撃を敢行するハリケーン!

V3「ハリケーンラストダッシュ!!」

V-1システム「グァッ!!


 今までに体感した事のない衝撃を受けて、大きく吹っ飛ぶV-1システム・北條 透!!



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