G3-X・ピンク 第7話『G3-Xピンク・改造電気人間との戦い』
激しく回転する赤色灯。
高らかに響くサイレン音。
誘導ポイント『O・M』へ向かうGトレーラー。
誘いに乗ってストロンガーが後を追う。
Gトレーラー・OPルーム
目にも鮮やかなピンクのカラーリングのG3-XPを装着する澄子。
外見はG3-Xとほぼ同じだが、左腕のG-COM(G3-XP専用情報端末) が小型化され、 G3-XP専用の武器であるミサイル・ダーツが発射できるガントレットを新たに装備。
また、右脚にはGM-01の改良型『GM-01改』を携行している。
◇GM-01改◇
■小沢澄子が提示した要求性能■
●精度…50mにおけるアベレージ・ポイント・オブ・インパクトは狙い点より5.08cm(2インチ)以上ずれない事。
●全てのパーツは7,200発の長時間射撃でネジが緩まない事。
●あらゆる状況に対応する為、海水に対する防錆性能、砂、ドロに対する抵抗力の強化。
●外部、マガジンは反射しないダーク・カラーとする。
これらの要求を受け、トライアル・テスト用として20丁を用意。
10丁で35,000発の精度テストを行い、6丁はそれぞれ8,000〜10,000発の耐久テストを行った。
その結果、採用されたのが『GM-01改』である。
なお、女性装着タイプであるG3-XPが使用するGM-01改のトリガー・ガードは小型のものに改良されるなど、操作性にも配慮が成されている。
そしてGM-01の改良に伴い、特殊弾もパワーアップ。
その射撃時の強烈な反動に耐えられるように姿勢制御ユニットも強化されたG3-XP…
尾室「オート・フイット機能、作動します」
シューーッ!
小柄な澄子の身体に合わせ、間接部分等が収縮していく。
SDサイズ……
口に出しては、いけない言葉。
大柄な氷川が装着するG3-Xを見なれている所為か、悪いとは思いつつも心の中で呟く尾室。
「誘導ポイント『O・M』にまもなく到着します」
Gトレーラー運転手からの連絡を受け、モニター画面を凝視。緊張感が最高潮に達する三人。
桜井「あの廃墟が…」
尾室「『O・M』…」
澄子「そう。ここなら被害は出にくいわ」
仮面を被り、G3-XPの装着を終えた澄子が答える。
サイレン音が鳴り止み、停車するGトレーラー。
『O・M』…『OBAKE・MANSION』…。
Gトレーラーが停車したのは、付近の住民から『お化けマンション』と呼ばれる六階建ての廃墟の前庭であった。
100メートル程の距離を置いてカブトローも停車している。
澄子「行くわよ!」
張り詰めた緊張の中、OPルームに響く澄子の声。
尾室「小沢さん…運転、大丈夫ですか?」
小沢さんがバイクを運転している所を見た事が無い……
不安を隠せない尾室。
澄子「任せなさい!運転、大好きなんだから!」
自信ありげに言い切る澄子。
やっぱり心配……
だが、その言葉は口には出せず…オペレーター席に座り直す尾室。
尾室「G3-Xピンク!戦闘オペレーション開始!」
後方ハッチが開き、昇降装置から…
桜井「ガードチェイサー! 発進!」
ブロロロロォォーーーー!!
ガードチェイサーを操り、カブトロー目掛けて疾走するG3-Xピンク!
ブオオオォォーーーッ!!
同時にカブトローも発進!
ストロンガー「カブトロージャンプ!!」
ブオオオォォーーーン!!
己のバイクテクニックを見せつける為、そしてG3-Xピンクに対する威嚇の為にカブトローを大跳躍させるストロンガー!
ガードチェイサーの遙か頭上を飛び越えて着地! 素早くUターンをして、再びガードチェイサーに突っ込むカブトロー!
G3-Xピンクもガードチェイサーを鋭くUターンさせる!
が、突っ込まずに急停止! GM-01改を構え、突入してくるカブトローに狙いを定める。
ストロンガー「!!」
ドウッ!ドウッ!ドウッ!!
火を吹く、GM-01改の銃口!
前輪に被弾!カブトローから放り出され、地面を転がるストロンガーだが…
ストロンガー「エレクトロファイヤー!!」
素早く起きあがり、地面に右手を突き立て!電気火走り攻撃!!
ガードチェイサー目掛けて、地面から火花と土煙が吹き上がる!
澄子「!」
ストロンガーの一瞬の早業に虚を突かれるG3-Xピンク。
バンッ!!
電流火花の直撃を受け、前輪がパンク!
が…澄子、少しも慌てず…
「目には目を…という事?…中々、やるわね!」
仮面下で余裕の笑みを浮かべる。
シューーッ!
ガードチェイサーのスーパーラジアルタイヤ【マグナBTR】の修復機能が作動。
瞬時にプロテクト剤が噴射、亀裂が埋められ修復されていく。
澄子「行くわよ!」
GM-01改を右脚の簡易ホルスターに納め、ガードチェイサーを再発進。
体当り攻撃を敢行するG3-Xピンク!
ストロンガー「トウッ!」
ジャンプ一番! 突っ込むガードチェイサーをかわし、G3-Xピンクの右肩口に『簡易型電キック』を放つ!
キックによる打撃と高圧電流の衝撃で吹っ飛ぶG3-Xピンク!
澄子「クッ!」
ダメージを負うも、闘志いささかも衰えずGM-01改を構えるG3-Xピンク!
ストロンガーも攻撃の手を緩めず、右手をかざし!
ストロンガー「電気マグネット!」
澄子「!」
グリップ部分に強力な電磁石が仕込まれ、G3-Xピンクの右手に強固にホールドされているGM-01改が、ストロンガーのかざした腕に吸い寄せられようとしている!
…いや、GM-01改だけで無くG3-XPの身体ごと引き寄せられようとしている!
踏ん張るのが精一杯でGM-01改を放つ事が出来ず、焦る澄子……
その時!……
ズギューーーーンッ!!
銃声が響き、ストロンガーの腹部に撃ちこまれる弾丸!
ストロンガー「グアッ!?」
澄子「!」
銃声が聞こえた方向を見る二人。
敷地面積五千平方メートルある土地に、工事途中で放棄された分譲マンション。
その屋上からライフルを構え、佇んでいる男が一人。
「フッ…やはり、私の力が必要な様ですね」
銀の仮面に胸には桜の代紋…V-1システム・北條 透。
※『お化けマンション』
東京都町田市にも『お化けマンション』と呼ばれた有名な廃屋があり、
幾多のTV・映画の特撮・アクション作品に使用されていた。
『仮面ライダー』初登場は第5話『怪人かまきり男』。
その20年後の平成3年5月に取り壊しになっている。