コラム 柏木悠里の徒然ビュー

[:オタクなあなたの為のお片付け講座
▲ドクター博士

ハナモゲラミミズ星人(以降、星人):「博士〜、ヒーロー帰っちゃったね」
ドクター博士(以降、博士):「ううむ、やはりヒーローにもあの県庁舎のデザインは我慢できなかったようだな」
星人:「でも心配だから一応キャッタンは回収しとく。戻れキャッタン!」
博士:「!! キャッタンはカプセル怪獣だったのか?」
星人:「知らなかったの?」
博士:「じゃあ後2〜3体別の怪獣もいるんじゃな?」
星人:「ううん、キャッタンだけ」
博士:「…カプセル怪獣なのに??」
星人:「ハナモゲラミミズ星の憲法で、怪獣は一人一体しか持っちゃいけないの」
博士:「何ィ〜っ! ではキャッタンがやられたらどうするのかね!」
星人:「故郷に帰って、新しい怪獣を買わないと。怪獣所持免許の書き換えもしないといけないし…。あっ、その前にキャッタンの死亡届を提出しなきゃ。そうだ、他惑星で死んだ怪獣の死亡診断書はマイクロドット(マイクロフィルムのもっと小さいやつ)に残さないともらえないから…」
博士:「…めんどうじゃなぁ」

▲ハナモゲラミミズ星人

星人:「で、最後にキャッタンを怪獣墓場へ連れて行くとして…新しい怪獣を連れて帰ってくるのに、1年はかかるかな」


 しばし、“ゴールデン・ニッポニア”内に静寂が訪れた…。


博士:「とにかく、夏場は侵略行為は危険じゃから、地道に資金稼ぎをするのじゃ」
星人:「ふうん、何するの」
博士:「困っている人を科学の力で助け、礼金をもらうのじゃ!」
星人:「そうかぁ。これも世界征服の為なんだね」


 ピシーン!←要塞のセンサーが作動した音。
 困っている人発見!
 …“ゴールデン・ニッポニアマルチモニター”に映像を映します…


星人:「あっ、眼鏡をかけた男の人が困っているよ」
博士:「よしっ! 早速そこへホログラフィー転送じゃ!」


八畳一間の自分の部屋で困っている、推定年齢25歳の眼鏡の人(以下、眼鏡の人):「う〜ん、どれを片付けようかな〜?」


 ぴしゅん!←八畳一間に突然、ドクター博士(美化120%バージョン)のホログラフィーが!


眼鏡の人:「うわっ! 誰ですかあなたは! 人の部屋に勝手に入り込んで!」
博士(のホログラフィー):「私はドクター博士。それに安心しろ。これはホログラフィーだ」
眼鏡の人:「何だ、ホログラフィーか。で、何の用なんですか?」
博士:「うむ。このホログラフィーを見れば解る通り、私は素晴らしい科学力を持っておる。この科学力を生かす為に、困っている人を格安で助けてやろうと思っておる」
眼鏡の人:「それはありがたいけど…。僕の悩みは、この部屋をどうやって片付けようかって事だから、あんまり科学の出番は無いかもね」
博士:「いやいや。我が科学力を持ってすれば、片付けなどお茶の子さいさい。30秒で済むぞ」
眼鏡の人:「いや〜、それがそうはいかなくてさ〜。実は今度彼女が初めてこの部屋に遊びに来るんだけど」
博士:「微笑ましいのぉ」
眼鏡の人:「…頭痛のタネさ。だって、見てくれよ、この部屋」


星人(のホログラフィー):「わあすごい。パソコンが3台に、連装型CD-Rに、ゲーム専用機が8台超合金魂シリーズ全部メイド服に猫耳の等身大フィギュアもある〜
眼鏡の人:「うわっ! 何だこいつは!」
星人:「いいから、何を困ってるのか言ってみなよ〜」
眼鏡の人:「うん。実はその彼女は会社の同僚で、趣味はテニスなんだ…。こんなオタク満載の部屋を見せたら、ソッコーでふられてしまうかも…」
星人:「『こみパ』みたいな状況だね〜」
博士:「…来て半年のくせに、変な事に詳しいのぉ。しかしそれなら、キレイサッパリ片づけてしまえば良いではないか」
眼鏡の人:「う〜、そんな事をしたら生きていけないよ! その為にも、少しづつ僕の趣味を理解してもらいたいんだ」
星人:「ああ、だから“どれを片付けようかな?”って悩んでたワケ?」
博士:「ほっほっほっ、お安いご用じゃ。私に任せたまえ! 費用は3万円でどうじゃ」
眼鏡の人:「ええっ! 助けてくれるんですか! じゃあ、お支払いします!」
博士:「では君は2時間程この部屋を出て行くがよい」
眼鏡の人:「はいっ! ありがとうございます! こ、これでソフ○ップの行列に間に合うな…。ウォ〜! 待ってろ、初回限定版!!


 どひゅん!←眼鏡の人があわてて飛び出して行った音。




博士:「…あんな奴なら、会社の同僚なんかじゃなくて、コミケで会った娘の方が良いんじゃないかのー」
星人:「博士ー。何であの人はこんな怪しい話に平気で飛びつくのー?」
博士:「ん? それは単純じゃ。彼は私が科学と侵略にかける情熱と同じくらい、“限定”GETに燃えているのだよ」
星人:「ふーん。地球人って解らないなー」


 ガタコン♪ ガタコン♪(その頃、眼鏡の人は秋葉原に向かって総武線に乗っていました)


博士:「まずは物質遠隔移動装置作動!」


 キュイン。←機動音。
 

博士:「これでこの要塞内からでも彼の家の物が動かせるようになった」
星人:「…これで県庁舎を移動させれば良かったのに」
博士:「残念ながらこの機械で動かせるのは112.195sまでじゃ」
星人:「中途半端な数字だなぁ」
博士:「さて、当然まず等身大フィギュアから片づけねばならん
星人:「何でなの、博士?」
博士:「うむ。これに至っては、例え本人がどう考えていようと、ダッ○ワイフを持っているのと同等にしか見てもらえん。普通の女の子どころか、オタクの女の子だとしても許しがたいであろう」
星人:「ダッ○ワイフってなぁに?」

博士:「これは滅多に開けられない天袋に押し込んで…む? 天袋が無いではないか。和室に押し入れの部屋のくせに。こういう中途半端な所が許せんな。私が日本を抜本改革した暁には…」
星人:「地球用語辞典、“ダッ○ワイフ”。『主に男性が使用する。実用品の一つだが、使用している事を知られると、周囲から白い眼で見られる』」
博士:「仕方がない。押入の上段、布団の中に押し込もう。あんな奴の事だ。彼女が来たからといっても、布団を使うような事はあるまい
星人:「地球用語辞典、“白い眼”。『通常地球人の眼は白目部分と色目部分で構成されているが、あまりにも顰蹙な行動や、サイテーな行動をとっている自分以外の人物を見る時は全て白くなる』」
博士:「次はパソコンじゃが、このあやしー連装型CD-Rだけは取り外して、と。3台の内訳は…VAIOに自作マシンにサーバー用ワークステーションか。これもVAIO以外は押入行き、と」
星人:「地球用語辞典、“サイテーな行動”。『主に女性の使う言葉。世間的に最悪と思われる男性に使用する。また、自分にとって気に入らない行動をとった相手にも多様される』」
博士:「やかましい! 後で説明してやるから、その辞典をあてにしないよーに!」


 星人を黙らせた後、博士は黙々と作業を続けた。
 ゲーム専用機はプレステ2以外、ソフトも全てしまい込み、超合金魂も『マジンガーZ』のみ残して片付けた
 その分、押入はすごい事になっているが、気にしてはいけない。


星人:「博士〜、どうしてプレステ2とVAIOと『マジンガーZ』だけ残すの〜?」
博士:「プレステ2とVAIOは持っていてもそんなにオタクっぽくないからじゃ。『マジンガーZ』はいわば“踏み絵”じゃな」
星人:「“踏み絵”〜?」
博士:「そうじゃ。この程度のシロモノを見て、『うわー、こんなの持ってるなんてオタクじゃん!』などと言い出すようなら、3秒で別れた方が本人達の為じゃ」
星人:「なるほど〜」


 「は〜いい! 良く切れる包丁!!」(その頃、眼鏡の人は秋葉原デパート横を通過していました)


星人:「わあ、ずいぶん片付いて…無いね
博士:「うむ。『カー○キャプターさくら』のフィギュアや、チョコエッグの中身やら、ガチャポンの中身やらが、ぐちゃぐちゃに散らかっておるからの」
星人:「机の上も滅茶苦茶だね」
博士:「人によっては、いまだに“男性の部屋は散らかっているモノ”と思っている女性もいるじゃろーからある程度は許されるかもしれんが…」
星人:「何が問題なの、博士?」
博士:「うむ。『カー○キャプターさくら』グッズじゃ。オタクな女の子で、彼女も『カー○キャプターさくら』に夢中ー(はぁと)ならオッケーじゃが、それ以外の女の子にとってこれは“ロリコン+アニメおたく+コスプレマニア”という、救いようが無い人間の象徴に映るであろう」
星人:「わあ、救いようがないね」
博士:「…“白い眼”が解らんのに、これの意味は通じるのか…?????」


 理不尽な思いをしつつも、博士は『カー○キャプターさくら』グッズのみを丁寧により分け、部屋に落ちていたみかん箱にしまい込んだ。
 次にチョコエッグの中身を、比較的出やすい物のみを残し、それを机の上のVAIOに乗せ、それ以外の物を同じ箱に片付けた。
 だがしかし、ガチャポンを整理し始めた博士は、ふと機械を動かす手を止めた。


星人:「どうしたの、博士」
博士:「う〜む。この“名作劇場”シリーズはどうしようかのー」
星人:「何で悩んでいるの?」
博士:「意外とこういうのは“こみゅにけぇしょん”に役立つかもしれんから、一部は飾っておこうと思うのだが、彼女が何歳かが重要な“きーぽいんと”なのじゃよ」
星人:「博士は英語が苦手なんだね」
博士:「しかし、彼女が何歳か…という事がワカランと意味がないのぉ」

星人:「もう! さっきからみみずん(注:自分の事らしい)の事無視して! 博士は“こみゅにけぇしょん”も苦手なんだな…ブツブツ」


 おもむろに博士は携帯電話を取り出した。
 ぴぴぴ。
 
 時を越〜えろ♪ 空をか〜けろ♪ この星のためー♪(着メロの音)


うっかり書泉グランデに寄り道してしまった眼鏡の人:「はい、今、忙しいんだけど」
博士:「ドクター博士じゃが…。彼女、年齢はいくつかね?」
眼鏡の人:「え? それ、片付けに必要なんですか?」
博士:「うむ。ディスプレイセンスの見せ所として必要じゃ」
眼鏡の人:「ええっと、21歳の筈です
博士:「むむ。それでは“名作劇場”の“ミニヴィネットシリーズ”はしまった方がよいか」
眼鏡の人:「…あっ、そういえば彼女、名作劇場の『赤毛のアン』が好きだったよーな事言ってました!」
博士:「そうか。ところで彼女は兄弟姉妹はおるかな?」
眼鏡の人:「いいえ。一人っ子ですか?」
博士:「…ありがとう、では」

 ピッ!
 博士は携帯を切ると、深いため息をついた。

博士:「…昭和54年放映の『赤毛のアン』が好きだった21歳はちと無理があるだろうに…」
星人:「ビデオか再放送で観たんじゃないの?」
博士:「いいかね? あの手の番組をビデオで観るきっかけはたいがいは“親から観せられて”じゃよ。後はせいぜい兄姉が好きだったから知ってる…とか。明らかに騙されておるな」
星人:「会社の同僚にサバを読むなんて、すごい女性だね〜」
博士:「本人は『えぇ〜? アタシぃ、21歳(はぁと)』くらいの冗談のつもりだったのかもしれん。それを真に受けているとか」
星人:「それは、“宇宙人的にもオ〜ルOK♪”とはいかないなぁ」
博士:「まあ、きっと“限定品GET魂”以外の部分は弱そうじゃからな〜」
星人:「それで良く彼女ができたね〜」


博士&星人:「「彼女と思ってるのは自分だけだったりしてー?」」


 八畳一間の部屋に、異常な緊張と静寂が訪れた。


星人:「いやあ、この“ミニヴィネットシリーズ”の『赤毛のアン』はすごい出来がいいねー」
博士:「(…こやつ、来て半年のくせに、ジオラマの出来を云々言っておる…)」 

 類は友を呼ぶ。
 朱に交われば紅くなる。

博士:「ん? 今何か言ったかね?」
星人:「? 出来がいいって」
博士:「そっちじゃないんじゃが…。まあよい。さっさと次を片付けよう」

 博士はミニヴィネットシリーズの『赤毛のアン』を意外な程のセンスの良さで机の上に並べた。
 その後、部屋をざっと見渡すと、博士は満足げに頷いた。


博士:「どうじゃ! この“ちょっとだけ昔のおもちゃにノスタルジーを感じてるけど、それ以外は普通”の人の部屋っぽさは!」
星人:「うん、なかなかの物だね。あんなに散らかっていたのに、そんな雰囲気になってるよ。でもこの人、ビデオにはきちんとラベルを貼って整頓してるんだね。変なの」
博士:「人間誰しも、懲りたい所というのが…あっ!!!!!
星人:「どうしたの博士?」

 博士はビデオに貼ってあるタイトルラベルを見て凍り付いた。
 『戦隊ヒロインコレクション』『下級生』、『遺作』、『ファミ通やり込み大賞応募用』etc…
 
博士:「ええい! この自動ラベル張り替え機で…は間に合わんから、比較的まともなタイトルを手前に持ってきて、後ろに駄目な物を入れよう」
星人:「あ、奥の方に『世界の車窓から』っていうのがたくさん入ってるよ」
博士:「むー。それはそれで電車ヲタクと思われそうじゃが、背に腹は変えらん」

 博士は素晴らしい手際で手前にあったビデオテープと『世界の車窓から』を入れ替えた。
 また、一部明らかに実写のアダルトビデオと思われる物を取り出し、ぐちゃんぐちゃんの押入下段に乱雑に投げ入れた。

星人:「この人、『ブルセラ白書28・特濃バイブロワイヤル』なんていうのにもラベルシール貼ってるよ。几帳面だな〜」
博士:「アホなだけじゃ」
星人:「ところでどうしてこんなに乱雑に突っ込むの?」
博士:「それはじゃな。こうして手前にエロビデオを突っ込んでおくと、“オトコだからしょーがないじゃん。彼女が来るって言うんで、とりあえず片付けました”感が出るじゃろう」
星人:「ふ〜ん」
博士:「特にエロビデオを整頓してしまっているなんてのは、サイテーと思われる確率が高い。テキトーに突っ込んだ感が重要じゃ。さらに彼女がうっかり押入を開けたとしても、最初に目に留まるのはこのビデオで、奥のあやしいアイテムではないはずじゃ」
星人:「じゃあ、これはカモフラージュも兼ねたテクニックなんだ〜」
博士:「第一、アニメはどんなんでもオタクだから駄目じゃが、アダルトビデオくらいはまあ仕方ないか〜と思ってくれる女性は多い」
星人:「へ〜んなの」
博士:「まー、『今までは一人だったから仕方ないけど、私という彼女がいるんだからこれはいらないわね』というセリフが出たら、逆らわずにその場で捨てに行く方が安全じゃが」
星人:「もったいないねぇ」
博士:「このセリフを言うタイプの女性はプライドが高い上に、独占欲も強い。自分以外の女で抜くなんて、彼女にとっては浮気しているのと同じなのだよ」
星人:「でも実際の浮気とは違うんでしょ? ハナモゲラミミズ星の常識では多夫多妻制だけど、5人以上は結婚しちゃいけないから浮気なんだよ。こんなに少ないと、映像とかで妄想しないと辛いとみみずんは思うの」
博士:「移住したいってヤツがいそうじゃが…とりあえず、地球星日本国では、同時に2人以上で浮気なのじゃ」
星人:「うわあ、クォーク単位だね
博士:「はっ! そういえば、『下級生』等のエロアニメビデオがあったのに、エロゲーのパッケージが見当たらんのは…」

 博士の視線はある1点で止まった!

博士:「そこかーーーーーーっ!」

 そう、それは一見、美しく整理整頓された、ガラスの扉付き本棚だった。
 全ての本がきちんと高さ別・出版社別に並べられ、コミックスにはきれいにアニ○イトのビニールのカバーが掛かっている。
 だが、じっくり見てみれば、コミックスのタイトルは『トライガン』『ちょびっつ』『ときめきパーティー至上主義〜『ときパ』18禁アンソロジー〜』、『絶対奴隷主義(はぁと)メイド陵辱アンソロジー』
 その上の段にこれまた綺麗に並べられたエロゲーのパッケージ。
 下段には大量の同人誌らしい薄い本

博士:「うぬう、これも仕方がない。ガラスの内側から布を貼って中身が見えないようにして、この扉は開かないように鍵を付けてしまおう


 何という博士の絶妙な科学力!
 あっという間に本棚には鍵が取り付けられた。


博士:「よし! もう抜かりはないであろう」
星人:「ね〜博士。何で鍵までかけるの?」
博士:「良い質問じゃ。まず第一に、ダビングされたテープと違って、フルパッケージのエロゲーには内容が書かれておるし、本も簡単に中身が読める。『何コレ?』などと手に取られたらおしまいじゃ
星人:「色々難しいんだ」
博士:「その通り。そして第二に、意外と本棚は見られているのだよ。まあ、全く本なんて読まない…という人間以外は、“その人がどういう本を読むか”に興味を持つ物じゃ」
星人:「じゃあ、ここの人は変態だと思われてしまうかもしれないんだね」


 おいでよまぶしいまにあの世界♪ はぁとのスピードフルにして♪(その頃眼鏡の人はやっとソフ○ップにたどり着きました)



星人:「ところで今回のこの仕事は、この『地球侵略件日本抜本改革計画スケジュール』にデータ保存しておいた方が良いかな?」
博士:「うむうむ。これも着実な計画の第一歩という物…ん? データ保存?
星人:「どーしたの?」
博士:「肝心な事を忘れておったわ!


 博士はあわててVAIOを起動し、インターネットエクスプローラーを開いて、お気に入りフォルダの中身をチェックした。
 


博士:「…やはり『特選ロリ画像無料スペシャル』なんていうのが入っておる!!」

 
 博士は勝手にそれを削除し、その後きちんと「ごみ箱を空にする」コマンドを使用して完全に抹消した。


星人:「あ〜あ、勝手に消しちゃっていいの?」
博士:「ここまで来ると一つくらいは嫌がらせしたいわい! 万一彼女が『あたし、ネット興味あるの。見せて〜』なんて言い始めたらどーする?」
星人:「え? でもそんな初心者ならお気に入りフォルダなんか開けないんじゃない?」
博士:「甘い、甘いぞ、みみずん。そのセリフは初心者らしく言っておきながら、実はプロで、どんなサイトを見ているか好奇心でのぞき見したい時の常套句!!」
星人:「地球人ってホントーに謎にみちみちているな〜。それにしてもこの人、地球用語“サイテー”な人っぽいね」
博士:「まあそう言うでない。これでも汗まみれのTシャツがそこかしこに散乱していないだけマシじゃ」
星人:「ええええええええええっ!
博士:「概してこういうタイプの人間は、服にかける金を持ち合わせておらん。だから持っている洋服そのものは少ないから、片付けるのは楽なハズなのじゃが…」
星人:「実際、洋服のたぐいはあの小さいプラケースに全部入ってるみたいだもんね」
博士:「が、しかし。今回の彼は痩せていたから良かったが、デブだといかん。しょっちゅうTシャツを着替える上に、洗濯しないし片付けないのだ」
星人:「がああああああああああああああんっ!!!!!!!!!!!
博士:「恐ろしい事じゃが、これが今の日本国の現実なのじゃ。私が日本抜本改革を唱えるのも当然であろう」
星人:「うん! 博士、もっとがんばろう」


 こうして二人は結束を新たにしたのだった…。


博士:「さて、とにかくこのお疲れ坊主に片付いた事を伝えてやろう」


 博士が携帯を取り出した頃…


 「整理券そこまでです〜! すみませぇんー!」
 無情にもソフ○ップで並んでいた眼鏡の人の手前で、整理券が無くなってしまいました。
 しかし、彼はめげる事無く、メッセ○ンオーに向かっておりました…。 


 ピキィン!
 …熱センサー反応。誰かモニタリングしている部屋に入ってきます…


博士:「むっ。帰ってきたのか?」
星人:「違うよ。小さな女の子だよ」
博士:「ど、どうやって入ったんじゃ? 鍵の掛け忘れか?」


小さな女の子:「お兄ちゃん、いないの〜?」


博士:「知り合いのようじゃが…」

星人:「へぇ。小さい子と遊んであげるなんて、けっこういい人なんだ」


女の子:「もう〜。今日も気持ち良い事してくれるって言ってたのに!


星人:「あの子暑いのかなー? 服を脱ぎ始めたよ」
博士:「…絶句(杜甫)」


女の子:「もう、このまま待っててびっくりさせちゃうんだから!」


星人:「博士〜、あの子片付けなくていいの〜」
博士:「仕方がない、これは放置じゃ」
星人:「それじゃ最初の約束と違うよ」
博士:「無限に広がる大宇宙…


 博士のボイスキーで、“ゴールデン・ニッポニア”は地球を離脱し、月の裏側を目指し始めた。
 博士も星人も、何もかも忘れてしまいたかったのである。
 まあ、そんな事をしなくても、次回には何もかも忘れているだろうが。 



 ※心に棚を作って書いてみました…が、片付け方部分は本当にこう片付ければそれなりにふられる確率は下がると思います(柏木悠里)

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