コラム 柏木悠里の徒然ビュー
U:こんなところに犯罪が!
いきなりぶっそうなサブタイトルですこと。
でも、本当に私のそばに犯罪者がいた! って話じゃありませんのよ。
期待された方は、ごめんあそばせ。
ああら、奥様、そこでこのページを閉じちゃあ、ダメでしてよ。
え? 『自分ちのそばの、おとなしそうなオタク少年が実は通り魔だった!』
とか、『芸能人の不倫・・・泥沼の略奪愛! 私と彼との赤裸々野外SEX体験大告白!!』(←途中で番組変わってないか?)とかにしか興味がないとおっしゃられるの?
じゃあしかたありませんわね。
さっさとQ2ダイヤルへ行って下さいませ。
さて、ここからが本題。
前回の貴婦人口調? が好評だったので、またそれでいこうと思いここまではそうしましたが、ここからは少し固い文章に変えさせていただきます。
読みづらくなるかもしれませんが、どうしてもまじめに訴えたい事があるからなので、ご了承下さい。
このところ、十代の犯罪者が増えていますね。
報道されていなかっただけで、昔から数はあまり変わっていないと言う説もありますが、内容はひどくなっている気がしませんか?
ちょうど、私のイトコが十代。だいたい同じ世代です。
おかげで、ちょっとした嫌な話を見聞きしております。
この世代のお子ちゃま方って、特撮禁止例を出されていた子達ですよね。
あ、今あなた、ニヤリとしましたね?
それくらい知ってるって? そう、改めて言うまでもなく、かの有名な連続幼女誘拐殺人犯Mが、特撮マニアであった事がそもそもの発端です。
あの事件に、世間は過剰反応しました。
犯人一人だけが異常であった・・・というごく当たり前の事を置き去りにしたのです。
その結果、こんなコトまでおこったのはご存知ですか?
私のイトコが、ちょうど特撮ヒーローに熱中できるハズの幼稚園年長だったころ、当の幼稚園から『特撮系番組は乱暴で野蛮だから、見せないようにお願いします』と親に通達が来ていました(マジ)。
このイトコは東京在住ですけど、どうやら全国規模であったことのようです。
M事件の影響とはいえ、見た事も無いくせに、勝手に“乱暴で野蛮”ですよ?
こちらも勝手に見た事が無い・・・と断言しておりますが、実は・・・うー、あんまり言いたくないのだが、私はちょっとした若さゆえの過ちで、幼稚園へ教生として行った事があり、その際子供達がしている特撮番組の話が理解できている先生は自分以外皆無だったとゆー経験をしてるんで・・・。見て勉強すればいいのに。
第一、百歩ゆずって乱暴なシーンは見せたくないとゆーにしても、見せる、見せないは各ご家庭ごとに決めることではないでしょうか?
実際、過剰反応とはいえ親御さん達が心配のあまり・・・ならまだ解りますからね。
ところが、上から命令ですよ?
あきれてものも言えません。
それに、ヒーロー番組のような“正義のための戦い&誰かを守るための戦い(ヒーロー側)は許されても、自分勝手な戦い(敵側)は許されない。
だからヒーローは強いし、必ず勝つのだ”とゆーモラルと、理想的なルールに満ち溢れた世界の物語があるのは、すごく素晴らしいことだと思いませんか?
このルールがある限り、“世間には悪い人もいるんだ。弱い物イジメもあるんだ。でも、それってカッコ悪い”という、道徳的(この言い方やだなあ・・・でも他に思いつかない・・・)教訓が身につく番組なのに。
わざわざ子供が嫌がる教育ビデオなんか見せなくても、せっかく、子供が飛びつくモノに“それ”が含まれているのに、もったいない話です。
ましてや“子供が嫌がる教育ビデオ”系の中には、親の受けしか考えないで作っている、悪人不在のモノも多数存在します。
世の中には、悪人がいっぱいいるのが当たり前です。
自分の子供に悪人になって欲しくないからといって、目隠しすればいいという物ではありません。
何しろ、ポルノ雑誌を持っているだけで死刑になる某国での性犯罪率は世界一高い(儒教の国なのにねぇ・・・)そうですからね。
隠せばいいってモンじゃないです。
“世の中には悪人がいる。だから気をつけなければならないし、そうなってはいけない”と教えないと、無意味じゃないでしょうか?
ほら、特撮ヒーロー物って、それには最適でしょ?
子供とは本来残酷なモノで、平気で蟻を虫メガネで焼き殺したりします。
“純真で無邪気”というのは、“無知でやりたいことを好き勝手にやる”子供を、無理矢理カワイイと思うための言葉のすり替えじゃないかなあ。
だって結局、見ず知らずの女性の耳を切り落とすのも、蟻を焼き殺す事の延長線上にある事でしょう。
それがカッコ悪くて、自分勝手な、許されないただの乱暴だという事を、子供のころに教えてもらっていないから平気でやれるんですね、きっと。
大きくなってから、親がとくとくと説教したって、硬化しかかっている脳に今さら無駄です。
第一、親の言う事なんて聞きませんやね。
脳は硬化してるかもしれないけど、精神は赤ちゃんなんだから。
私は、今の十代の無主義な残酷さは、ちょうど、まだヒーローを信じられる年ごろに見る機会を取り上げられてしまったからだ、と真剣に考えています。
それだけのせいだ、何てコトはさすがに言いませんし、他にも様々な要因はあるでしょうが、一因ではないかと思います。
親がしっかりと教育をしていれば話は別ですが、こういった事を教えるのは、なかなかできないでしょう。
特に大人になってしまうと、“残酷でないのが当たり前”(ただし、建前)になってしまうため、つい忘れてしまう、もしくは無い事にしたいという気持ちが大きすぎて、無意識のうちに教える事をさけてしまうのでは?
昔なら、身近な大人の背中を見て覚えれば良かったのかもしれない事を、教えてくれる存在が、今では特撮ヒーロー番組位しか無くなっているのに、それを禁止するとは、愚策中の愚策でしたね。
まるで世の中には、いい人しかいないかのような、まさに子供だましのキレイごとしか与えられなかった子達は“世の中って、こんなんじゃないんだ”とわかった時、錯乱しちゃったのかもしれませんからね。
ところで、この世代にはゲーム好きの子が多い、としょっちゅう報道されますよね。
逆に、今時ゲームをやった事が無い子がどれ位いるのかって言いたくなりますけどね。
「じゃあRPGの主人公とかだって、同じ様なルールでがんばってるんだから、それでもいいのでは?
そこからは同じような教訓は学べないの?」と言う意見もあるかと思います。
確かに一見、同じ様に見えますね。
でも RPGの主人公達は、我々と違う異次元世界みたいなところでがんばっている方が多いでしょう。
俺がいる、君がいる、太陽が呼んでる・・・な地球に住んでいる設定のゲームは、あまりないのでは?
たまにあっても、荒廃しきってて、同じ地球とは思えなかったりしませんか?
この段階で、いくら主人公に同調していても、日常的感覚は持てないのでは?
それに、ゲームの主人公は“自分から見て、頼りがいのありそうなお兄さん、お姉さん”ではないことも多いでしょう?
そう、特撮番組がモラルに満ち溢れた世界なのは、“大人が、そのルールに従って動く”事が重要なのです。
子供は、大人のする事を見て育つのですから。
同じ理由で、アニメも、最近はちょっと役立たずな気がしますね。
昔は、アニメでも同じような心の琴線に触れるような物があったと思いますが、今のアニメは全っ然子供向けじゃないもの。
どうか、お母様、お父様、「特撮ヒーロー番組なんて乱暴で、見せたくない、きっと悪影響がある」なんて思わないで下さい。
事実、ヒーローを信じられる年頃に、それを無理に取り上げられた子達の乱れ様を見れば、いかにそれが大失敗であったか、わかっていただけると信じています。
今の自分が“正義は必ず勝つ!”なんてことが、いわゆる“優しいなぐさめ”と知る年になっても、心のどこかでそうあってほしいと願うのは、小さいころからヒーロー達を見てきたからだと、つくづくそう思います。
(柏木悠里)