主題歌
- オープニングテーマ:超獣戦隊ライブマン
- エンディングテーマ:あしたに生きるぜ!
- 挿入歌:ダッシュ! ライブロボ
ライブボクサーの歌
美しきドリーマー
スパーク! 海へ
『ライブマン』にもアバンタイトルが入る。
「友よ! 君たちはなぜ、悪魔に魂を売ったのか!?」というアバンタイトルは、正義と悪の主立ったキャラが友人同士というスーパー戦隊史上初(今のところ唯一)の設定を端的に表している。
正義側と悪側の3人が対峙した映像が中心から割れて離れていく映像もまた、テーマをよく表している。
また、主題歌は、戦隊シリーズ初の主役ボーカルになっているが、これは、スーパー戦隊10周年記念作品ということで、特に力を入れた作品だからだろう。
OPのラストで岬めぐみがイルカから渡されるボールは、4話くらいから渡された後で地球の映像にすり替わるが、これもまた“地球を守る戦い”を象徴させたものと言えるだろう。
嶋大輔は、挿入歌の『美しきドリーマー』も歌っているが、本編に流れたのは1回限りだったと思う。
また、岬めぐみ役の森恵もアイドル歌手だったため、挿入歌として『スパーク!海へ』を歌っており、こちらは番組中でアイドルを目指している少女の作った歌として登場し、ブッチーの催眠子守歌を破った。
番組のロゴは、当初は隼・ライオン・イルカの頭部の下に文字があるというレリーフ風のもので、岩を削ったような感じだったが、5人になったのを機に普通のものに変更された。
基本ストーリー
国連科学省直轄のアカデミア島には、世界中の天才を集めた大学:科学アカデミアがあり、そこでの学生の研究成果は、巨大宇宙衛星スペースアカデミア号として、卒業式当日に発射される予定になっていた。
ある夜、船外活動用強化服の研究をしていた天宮勇介達の前に、謎の宇宙船が着陸し、月形剣史、仙田ルイ、尾村豪が乗り込もうとする。
呼び止めようとした勇介達に、剣史のビームガンが火を吹き、勇介達を庇った矢野卓二と相川麻理は射殺されてしまった。
驚く勇介達を後目に、剣史達は宇宙へと消えた。
それから2年が経った。
科学アカデミアの卒業式の日、遂に発射されたスペースアカデミア号を謎の戦闘機群(ボフラー戦闘機)が襲い、撃墜してしまった。
ボフラー戦闘機はそのまま全島を爆撃していく。
着陸したボフラー戦闘機から降り立ったのは、剣史達だった。
武装頭脳軍ボルトを名乗るかつての友の前に立ちはだかる勇介達。
勇介達は、この日が来ることを予想して、船外活動用強化服の強化改良を重ねていたのだ。
同時に開発していたジェットファルコン、ランドライオン、アクアドルフィンでボルトに立ち向かう勇介達は、星博士が密かに3機のメカに組み込んでいた合体システムによってライブロボを完成させ、巨大化した頭脳獣バラバラヅノーを倒した。
勇介達は、星博士が遺してくれた海底移動基地グラントータスやアシスタントロボット・コロンの助けを借りてボルトに戦いを挑む。
メンバー
レッドファルコン:天宮勇介(あまみや・ゆうすけ)
モチーフは隼で、個人武器はファルコンソード→ファルコンセーバー。
スポーツ万能で天才、しかも適度に抜けたところがあって気さくという、絵に描いたような好人物。
超難関だったであろう科学アカデミアにも合格したが、世界中の天才が集まった中では劣等生になってしまい、丈と最下位争いをしていた。
また、入学直後に知り合った月形剣史と親友になったが、いつのころからか相手にされなくなった。
卓二と麻理が殺された夜、いつか剣史達が襲ってくることを予想し、スペースアカデミアの開発研究を度外視して、強化服の戦闘用改良や巨大メカの開発に全力を注いでいた。
イカリヅノーとの戦いで、怒りや憎しみでなく夢を守るために戦うという意識変革を持った。
勇介がライブマンのリーダーたりえているのは、性格的なバランスの良さと裏表のない性格故だろう。
イエローライオン:大原 丈(おおはら・じょう)
モチーフはライオンで、個人武器はライオンパンチ→ライオンバズーカ。
ライオンパンチは、右手に装着してパンチ力をアップさせるためのもので、口の部分から火炎(ライオンファイヤー)を吐くこともできる。
直情型で熱血漢、おまけに惚れっぽく、そのため、『ライブマン』で女性が絡むと丈が主役になる。
ただし、番組の性格からか、まともな人間の女性はほとんど登場しておらず、未来から来た少女未来(みく・現代では6才くらい)はまだましで、レイ(ツインヅノー)、ハナコ(バトルロボS1)など、結構とんでもない相手とばかり絡んでいる。
科学アカデミアに入学してまもなくのころ、子犬を救おうと海に飛び込んで溺れた尾村豪を助けたことから、豪と親友になった。
この時の犬は、その後丈が飼っていたようで、OPで丈の足下にいる子犬がそれだが、どうやらその後、アカデミア島空爆のときに死んでしまったらしい。
イカリヅノーとの戦いで、正義を貫く勇気で戦うという信念を持った。
バトルヅノーとの戦いで傷ついたおりに豪に手当されたが、勝ち目のない戦いに行こうとするのを止めようとする豪に
- お前はやっぱり頭が良すぎるんだな
- 全てが見えすぎてる
- だから敵わないと思っちまうんだ
- 心配すんなって
- 俺はいつだって根性だけで戦ってきた
- そしていつも切り抜けてきたんだ!
と言って飛び出して行く。
ブルードルフィン:岬めぐみ
モチーフはイルカで、個人武器はドルフィンアロー。
冷静沈着なくせに、かなり無茶なことも平気でやるタイプ。
勇介と丈の特訓と称して、迷路に放り込んで時限爆弾を仕掛け、“早く脱出路を見付けないと爆発する”などという恐ろしいことをやったかと思えば、帯電して磁気を帯びた勇介を救うため、自分の身体で電流を受けて勇介の磁気を和らげるという無茶をやっている。
初期は自転車でパトロールしていたが、途中から自転車を見かけなくなった。
科学アカデミア時代、女子寮で仙田ルイと同室だった。
また、成績も剣史達3人に次ぐレベルであり、勇介や丈を馬鹿呼ばわりすることがある。
イカリヅノーとの戦いで、愛のために戦うという信念を持った。
恐獣変身に失敗して記憶を失ったケンプを真人間にしようとしたり、ボルトに狙われたブッチーを庇い、追い詰めた少年王ビアスを説得するなど、敵を説得する努力を怠らない。
ちなみに、ケンプの時は、腕時計の「3:50」という表示のせいで、ケンプが幹部の中で最低の「350点」を取った屈辱を思い出して記憶を取り戻してしまったのだが、このとき、めぐみがブレスを外して腕時計をしていたのは有名。
んでもって、記憶を取り戻したケンプが走りながら裸になって海に飛び込んだのも有名。
ブラックバイソン:矢野鉄也
モチーフはバイソンで、個人武器はバイソンロッド。
ロッドとは名ばかりのツインブレードである。
矢野卓二の弟で、ボルト登場後は相川純一と共に、国連のドロテ博士の下、バイソンライナーとライブボクサーの操縦訓練を受けていたようだ。
ケンプとマゼンダを兄の仇と恨んでおり、それ故に暴走することも多い。
威勢はいいが実力が伴わないタイプ。
鉄ちゃんロボなるロボットを作ったと言いながら、その実は自分が着込んだ着ぐるみだったりした。
グリーンサイ:相川純一
モチーフはサイで、個人武器はサイカッター。
相川麻理の弟で、ボルト登場後は、鉄也と共にサイファイヤーとライブボクサーの操縦訓練を受けており、そのころから鉄也を「鉄ちゃん」と呼んで兄貴分としている。
自分1人では何もできないタイプで、何かというと「ライブマンはどうなっちまうんだ!」と騒ぐ。
ただし、ギルードヅノーと戦ったときは、自分1人で最後まで戦い抜いた。
これが『ターボレンジャー』以降なら、グリーンサイ1人でトドメを刺していただろう。
ベガヅノーに寄生生物ベガベビーの卵を植え付けられ恐怖するも、卵が孵って腹の中で動いた途端、「産んでやる!」と未婚の母(!)になる覚悟を決めてしまい、『こんにちは赤ちゃん』まで歌ったというエピソードがあるが、考えようによっては
- 強姦→妊娠→胎児が動く→未婚の母
とも言えるものすごい話だった。
被害者がめぐみだったら放送できなくなってしまう。
博士:星博士
科学アカデミアの中心人物。
剣史達の失踪事件以降、剣史達と戦う準備を始めた勇介達の心を酌み、ジェットファルコンなどの巨大メカを科学アカデミアの設備で建造する許可を出したり、それらのメカにこっそり合体システムを組み込んだり、運搬メカ:マシンバッファローや移動基地グラントータス、アシスタントロボ:コロンなどを作り上げていた。
ボルトの空爆で重傷を負い、勇介達にグラントータスの在処を教え、自らは生き残った妊婦を助けるために奔走して息絶えた。
『真実の物語』のコーナーで詳しく述べるが、実は博士がやったことはそれだけではなく、博士の存在なしにライブマンの勝利はあり得なかったのだ。
演じたのは、伴“キカイダー・イナズマン・火忍キャプター7・バトルコサック(2代目)”直弥で、『巨獣特捜ジャスピオン』でゲスト出演して以来のトクサツ登場だった(はず)。
アシスタントロボット:コロン
星博士がライブマンの補助用に開発したアンドロイド。
チタンとセラミックの複合素材で作られており、結構頑丈である。
また、人間のような感情も持っており、勇介に惚れている。
ライブマンの戦いの意味を理解しており、自らの身体をバイソンライナーの回路の代わりにして死にそうになったこともある。
語尾に「〜コロン」と付けて喋るのがくせ。
敵にまで「私、コロン。よろしくね」と挨拶する律儀者である。
変身システム
勇介達が2年間にわたって改良してきた戦闘用強化服で、両手に付けたツインブレスを合わせて「ライブマン!」(1人のときは「レッドファルコン!」など)と叫んで装着する。
装着時にエネルギーを放出するのを利用して、光球状態で移動することもある。
宇宙刑事シリーズでの蒸着等の光球を考えてもらえばいい。
どうやら一種のバリアフィールドらしく、戦闘時には光球になって敵に体当たりするスパークリングアタックという技がある。
また、周囲の音は集音マイクで拾っており、マイクを切ると外部の音が全く聞こえなくなる。
スーツのデザインは、下半身が白地にパーソナルカラーのブーツ、上半身をパーソナルカラーと白で分けるという形になっており、ベルトのバックル部分もパーソナルカラーとなっている。
『サンバルカン』の流れを組む動物モチーフで、マスクがモチーフの動物の顔を元にデザインされているわけだが、『サンバルカン』よりもデザイン的に洗練されている。
モチーフを『サンバルカン』と違う生物にしている分、鷲をレッドに持ってこれなかったわけだが、リーダーでないのにライオンというイエローライオンや、戦士に似つかわしくないイルカをモチーフに使ったブルードルフィンなど、かなりの冒険もしている。
ドルフィンについては、逆に初の女性ブルーとして違和感なくなじませている。
ドルフィンの場合、白い足に白いスカートという珍しい組み合わせで下半身を白に統一し、3人並んだときに違和感を与えないようにしているが、頭部を丸めに作ってイヤリングをつけ、女性らしさを強調している。
ちなみに、胸に動物のマークというコンセプトは、卓二達が着ていた試作品から受け継いだもので、試作品の胸にも犬とつばめの顔が描いてあった。
変身後は動物名で呼び合うが、「ファルコン」「ドルフィン」「バイソン」はいいとして、「ライオン」、「サイ」と呼ぶのはなんか変だった。
特にサイは、今ならグリーンライノスとか呼ばれているだろう。
変身アイテムであるツインブレスは、スーパー戦隊初の“両手にはめる”ブレスで、左側(レフトブレス)が通信機能を持っているほかはどういう機能分割なのか分からない。
ライトブレスには、それぞれのスーツの胸のマークと同じものがついており、この部分を正面に向けて上に左のブレスを合わせることで変身する。
ライトブレスの動物マークは、変身時に手首を起こした状態でマークが見えるのが正しいのだが、『バイオマン』のテクノブレス同様、シーンによって向きが逆になっていることもある。
これも商品化されており、劇中でもほぼそのまま(オモチャの半透明カバーが完全に透明になっている)使用されている。
このツインブレス、レフトブレスは全員共通だが、ライトブレスはそれぞれの動物マークが入るので、1人ずつ違う外見になる。
変身ブレスが商品化されるようになったのは『ゴーグルV』からだが、『ゴーグル』ではブレスにそれぞれの数字が入っていたので、商品化されたのはゴーグルレッド用のブレスだけという形になっている。
『ダイナマン』も模様がパーソナルカラー仕様だったのだが、商品は赤のみだった。
これだと、ゴーグルブラックやダイナピンクのファンは買ってくれないかもしれない。
そこで『バイオマン』以降は、その問題をクリアするために全員共通のブレスをするようになっていたのだが、4年ぶりに5人が違うデザインのブレスを付けることになった。
ツインブレスのオモチャでは、これを“ライトブレスのマークの部分をパネルにして取り替える”というギミックでクリアした。
つまり、ライトブレスに差し込むパネルをどれにするかによって、イエローライオンのブレスにもブルードルフィンのブレスにもできるのだ。
これは巧いやり方だった。
また、大きいお友達が買うことを予測して、ブレスのベルトも長めに作ってあり、普通の体格の大人なら十分に付けられるようになっている。
ちなみに途中から登場のブラックバイソンとグリーンサイのパネルは、『バンダイお客様相談センター』で、2枚セット200円(送料サービス)で通信販売しており、アフターサービスも忘れない。
ただし、このことを知っている人は少なかったため、持っている人はそれほど多くない…っていうか、今でもツインブレスを持っている人自体少ないのかもしれないが。
ちなみに、ライトブレスは5枚のパネルを(ギリギリではあるが)全部収納できるようにできている。
やるなぁ、バンダイ。
このオモチャは、レフトブレスに磁石スイッチ、ライトブレスに磁石をそれぞれ仕込み、両者が接近するとスイッチが入るように作られている。
しかし、番組中のポーズと違い、ライトブレスを腕時計を見るときのような向きにして構えないとスイッチが入らない。
当然、マークは番組中のポーズとは逆向きだ。
これだと、ポーズを取ったとき、正面から見てもライトブレスのマークは見えなくなってしまう。
番組中と違うポーズにしてしまった理由は、変身ポーズにある。
この変身ポーズは、左の手首の下に右の手首を持ってくるポーズであり、正面から見れば左右のブレスが合わさっているわけだが、横から見ると、レフトブレスの下にあるのは右の手首だ。
つまり、実際にレフトブレスに触れるのは、ライトブレスのベルト部分なのだ。
これでは磁石を仕込めない。
そのため、ライトブレスを上向きに合わせるようにしたのだが、そうすると今度はマークの向きを逆にしないと付けている子供が違和感を感じるので、時計のように見たときに手前に磁石が来るようにしてある。
ついでにミサイル発射機能も持たせてみた。
ライトブレスの角に付いている赤い部分は、ミサイルの発射ボタンだ。
そのため、パッケージにはテレビと違うポーズを取っている勇介が写っている。
もっとも、『バイオマン』同様、本編中でも勇介達のライトブレスは変身ポーズの時以外は時計のような向きでつけていることも多かったのだが。
そういうわけで、大変面白いギミックを持ちながら“番組どおりの変身ポーズにこだわると遊べない”という致命的な欠点を持ってしまったわけだ。
これを解消する方法が1つある。
ライトブレスにはミサイル収納用の弾帯がついているのだが、ここにピップエレキバンの磁石がぴったり入る。
エレキバンの磁石を10個くらい突っ込んでおくと、番組どおりの変身ポーズを取ったときにスイッチが入るのだ。
磁石には極性があるので、突っ込む前によく確かめること(だから、持ってる人なんかいないっつーに)。
このブレスを使った変身ポーズは、鷹羽のイベント芸の1つだった。
名乗り
『レッドファルコン!』
(『ブラックバイソン!』)
(『グリーンサイ!』)
『イエローライオン!』
『ブルードルフィン!』
『超獣戦隊ライブマン!』
というのが基本だが、実は5人揃っての名乗りは、30話『今ここに5人の戦士が』でしかやっていない。
3人のころも2〜3回しかやっていない。
やはり時間短縮の影響が響いているのだろうが、大抵はその回の主役が1人で名乗りを挙げて戦い、途中でほかのメンバーが加わって『超獣戦隊ライブマン!』とやって終わりだった。
武器
共通武器は右腰のライブラスター。
握りの部分に盾の付いた剣に変形する。
さりげにそれぞれの自分の動物マークが付いている。
ファルコンが二刀流を使わないことや、個人武器を多用するアクションの関係で、銃モードの印象の方が強い。
3人同時発射するトリプルライブラスターという合体技があるほか、ファルコンは、ホルスターから抜かずに撃つということを何度かやっている。
ライブマンのホルスターは銃口がふさがれないタイプのため、転んだ状態から、前方の敵にホルスターの中のライブラスターを撃つことができるのだ。
ガッシュとの最終決戦でも、起死回生の一撃は、この抜かず撃ちだった。
このほか、ブレスを操作して、変身しないままライブラスターだけを取り出すこともできる。
個人武器として、ファルコンソード(後にファルコンセーバー)、ライオンパンチ(後にライオンバズーカ)、ドルフィンアロー、バイソンロッド、サイカッターがあるほか、ライオンは、ジェットスケボーを武器としても使用する。
どうやら特殊合金でできているらしく、ジェットスケボーで体当たりするスケボーアタックは、頭脳獣にもかなりのダメージを与える。
ちなみに、『魔動王グランゾート』で主人公の大地が乗っているのも同じようなスケボーだが、こっちの方が1年早い。
また、ファルコンセイバー、ライオンバズーカ、ドルフィンアローを合体させるとトリプルバズーカになるが、これは実際にできる個人武器合体必殺武器の元祖でもある。
なお、トリプルバズーカが登場した時点ではまだ3人だったため、5人になった後のトリプルバズーカ発射のシーンでは、バイソンとサイが所在なげになっている。
必殺武器はバイモーションバスター。
3人(5人)のマスクの動物の目が光ると、そこから発せられたエネルギーが実体化し、本体がピストン運動して高めたエネルギーを発射する。
ライブマンの装備の中で、動物のデザインを取り入れていない唯一のものだ。
ツインブレスですらライトブレスには動物マークが入っている。
「グラントータスから電送されてくる」という解説の載っている本もあるが、バイモーションバスターは勇介達が作り上げた装備であり、グラントータスからの電送システムはないはずだ。
当初は3人で抱え上げていたが、5人になった後は腰溜めに構えるようになったが、ピストン運動のシーンはバンクを使用しているため、抱え上げている状態になっており、バイソンとサイが消える。
撮り直せばよかったのに…。
移動装備
モトマシーン
モトファルコン、モトライオン、モトドルフィンの3台で、ライブマンの陸上での足となる。
それぞれ動物の顔を模したカウルになっている。
設定ではカウルの口の中にはミサイルやバルカン砲が入っていることになっているが、4話『オブラー悪魔変身』での夜間パトロールのシーンでは、カウルの口の中にはヘッドライトがあった。
ライブクーガー
卓二が遺した設計図から作り上げたクルーザーがエンジンヅノーに奪われてしまったため、勇介が卓二の設計を更に改良して作り上げたマシン。
当初はコロンが乗ったり3人の誰かが乗ったりしていたが、5人になった後はバイソンとサイの乗り物になった。
ロボット
ライブロボ
ファルコンの「マシンバッファロー!」の声に、海底移動基地グラントータスが浮上し、マシンバッファローが発進する。
マシンバッファローから発進するジェットファルコン(ファルコン搭乗:頭部・腹部・大腿部)、ランドライオン(ライオン搭乗:胸部・両腕)、アクアドルフィン(ドルフィン搭乗:下腿部)が「合体! ライブディメンジョン!」で合体してライブロボになる。
勇介達3人が開発・建造中のメカに、星博士がこっそり合体機構を盛り込んでいたため、当の勇介達自身も合体できることは知らなかった。
胸にライオンの顔が付いていることから、“トクサツ界のダルタニアス”と 呼ばれている。
武器は両肩のダブルカノンと超獣剣。
必殺技は超獣剣にエネルギーを集中させて斬る「超獣剣・スーパーライブクラッシュ」だが、巨大ロボ:ギガボルトに受け止められ(普段は横斬りなのにこの時だけ縦斬りだった)、剣を折られてしまった。
その後、超獣剣の出力を上げることに成功し、新必殺技「ストロングクラッシュダウン」を完成させた。
パワーアップはスーパーライブロボ完成後のため、新必殺技は2回しか登場しない。
なお、超獣剣はパワーアップ前は銀色、アップ後は金色に光る。
合体前の3体のメカの戦闘シーンはバンク用に頑張って作られており、特に4足走行のランドライオンは特筆モノで、滑らかに動く脚のギミックは凄いの一言。
ライブボクサー
バイソンライナー(バイソン搭乗:頭部、胴体部、両腕)とサイファイヤー(サイ搭乗:両足)が「合体! ボクサーディメンジョン!」で合体する巨大ロボ。
特にこれといった武装はなく、ピストンパンチという連打が得意。
必殺技は両拳にエネルギーを集中させて殴るミラクルビッグブロー。
その時々に応じて操縦席の数が変わるという特性を持っている。
バイソンライナーとサイファイヤーは、マシンバッファローには搭載されておらず、バイソンとサイが呼ぶと自力で走行してくる。
スーパーライブロボ
ケンプが操るギガボルトに破れたライブロボの前に現れた巨大メカ:バイソンライナーは、ライブマンの危機を救ったが、サイファイヤーの到着が遅れたため、ギガボルトにA1回路を破壊されて動かなくなってしまった。
ライブマンは鉄也・純一と協力し、コロンをA1回路の代わりにしてライブボクサーに合体、ギガボルトをはねのけて取り敢えずライブロボを回収した。
勇介達は、国連のドロテ博士からA1回路の補給を受け、更にアカデミア島のスーパーコンピュータで2台のロボを解析して合体システムを発見した。
勇介は、鉄也と純一にツインブレスを与え、5人のライブマンとしてボルトに立ち向かう。
ライブロボとライブボクサーが「合体! スーパーライブディメンジョン!」で合体する超巨大ロボ。
ライブロボを本体に、バイソンライナーを両足首、サイファイヤーを両下腕に装着、サイの頭部を右肩、バイソンを左肩に付け、ヘッドギアとボトムアーマーを付けるという合体になる。
必殺技はスーパービッグバーストで、バイソンライナーとサイファイヤーのツノからライオンの顔にエネルギーを集中させ、ライオンの口から火球を打ち出す。
スーパー戦隊初の2大ロボ合体だった。
『バトルフィーバーJ』のバトルシャークから続いた空母メカは、このマシンバッファローで一旦終了となり、『ギンガマン』のギガバイタスまで登場しない。
ギガバイタスにしても増加メカ用の空母でしかないため、メインロボ用の空母はこれで終了となってしまった。
単なるメカの運び屋でしかなく、時間制限の激しい(正味約17分)戦隊シリーズでは活躍できないという実状がそうさせてしまったのだろう。
超巨大ロボの登場により、ロボ戦の描写はこれまでと若干変わってきた。
通常は、ライブロボもしくはライブボクサーで苦戦した後、もう1体を呼んでスーパーライブロボになってトドメということになるのだが、それではライブロボとライブボクサーが活躍できない。
ライブロボは、それまでずっと活躍してきたからいいが、ライブボクサーは登場がスーパーライブロボの登場の1週前でしかないため、このままでは活躍した印象がなくなってしまう。
そのため、2号ロボと超巨大ロボの両方を活躍させることが命題となったが、『ライブマン』では、ときとしてライブボクサーのまま、或いはライブロボのままでトドメを刺すという形で解決された。
これは、実はロボ戦で使える時間に応じてトドメを刺すメカを変えるという方式になっていて、一応両方用意しておいて、編集段階で尺に合わせてトドメをどっちが刺すか決めていたのだそうだ。
この1号・2号ロボと超巨大ロボを万遍なく活躍させるという命題は、これ以後のロボットが増え続けていくスーパー戦隊シリーズにおいて、常に大きな壁となっている。
敵組織 武装頭脳軍ボルト
首領:大教授ビアス
ケンプ達をスカウトし、様々な研究をさせている謎の男。
独力で成層圏にヅノーベースを打ち上げ、ガードノイド・ガッシュを作り上げた天才で、ケンプ達に地球の最先端を超えた研究施設と知識を与えた。
たまにお茶目なセリフを言うことがあり、「今日は地球はお盆だ」は笑った。
弟子達を慈しむ姿は、怪しげですらある。
特にケンプに対する目のかけ方は、当時の同人誌界を席巻した。
その後、『勇者司令ダグオン』で、ビアス役中田穣治氏がブレイブ星人、ケンプ役広田匠氏がライアンを演じたことから、『ダグオン』のCDドラマ内で『ライブマン』ネタのコントをやったらしい。
ギガ計画の完成を機に、ケンプ達に点数を付け始めるが、その真意は、1000点頭脳を12個集めて地球を支配することだった。
新たな1000点頭脳候補である剣史とルイを見付けてスカウトし、様々なライバルを与えて切磋琢磨させていたのだ。
実は相当な老人であり、既に集めた11個の1000点頭脳から生体エネルギーを吸収して若さを保っており、定期的に生体エネルギーを補給しないと老人に戻ってしまう。
かつてその情景を豪に見られたが、どうせ豪は使い捨てにするからと放置していた。
どうやら日本の大学を卒業しているらしい白黒写真がある。
幹部:Dr.ケンプ(月形剣史)
科学アカデミアで常にトップクラスの成績を収めていた天才で、最高の科学を極めようと、ビアスのスカウトに応じてボルトに参入した。
そして、ビアスの科学力に心酔し、ビアスの最高の弟子であろうとしている。
ギガ計画に当たり、それぞれに与えられたテーマを研究する中で、ケンプは担当した「特殊合金の開発」に新合金ギガゾメタルで応え、見事完成一番乗りを果たしている。
大変にプライドが高いが、突発事態に弱いため、自ら墓穴を掘ったり、隙を突かれうろたえて破れることが多い。
非常に珍しいβZOマイナス型の血液を持つ。
遺伝子操作によって生物を人工進化させ、あらゆる病気に負けない遺伝子治療方法を確立するのが夢だった。
その意欲は、ある少女の願いを受けて“絶対に枯れないバラ”ケンジローズとなって結実する。
このバラは、養分を与え続ける限り枯れることなく咲き誇る性質を持っていたらしい。
ケンプの両手首に付いているバラは、これを更に品種改良したもので、眠り薬の花粉を持ち、投げつけると爆発するという恐ろしい力を持っている。
通常時のケンプは、このバラと背中のスプリットカッター、そしてギガゾメタル製の剣を武器にしている。
剣史はボルト参入後、Dr.ケンプと名を変え、自らの身体も遺伝子操作によって強化しており、戦闘時には異生物:美獣ケンプに変身する。
美獣ケンプの武器は、ビューティフルアイ、ビューティフルレインボー、胸の目からのビームで、通常時同様ギガゾメタルの剣も使用する。
だが、続々と登場するライバル達の戦闘力の高さに劣等感を感じ、美獣強化を図るも失敗、更にレッドファルコンに叩きのめされたことから、“強さと美しさの両立”という至上命題を捨て、ひたすら戦闘力を追い求めた恐獣ケンプへと強化した。
恐獣ケンプは、高熱火炎デーモンフレア、触手デーモンテンタクルなどの強力な技を持つ。
マゼンダ亡き後、身体を張った芝居でライブマンを倒して1000点頭脳をビアスに献上、残った身体は頭脳獣恐獣ヅノーにしてしまった。
脳だけになった後もビアスを助けたが、めぐみがビアスにかけた言葉を聞いて「人生をやり直したい」と後悔の念を持つに至り、ビアスから離反して自爆してしまった。
剣史を狂わせたものは何だったのだろうか。
剣史は、勇介とは科学アカデミア入学以来の親友であり、1年生の9月には、「5年後に絶対にここで会おう」と約束していたほど仲が良かった。
勇介の成績は入学以来ずっとビリ争いというレベルなのに、少なくとも半年は勇介と親交を保っていたのだ。
元々剣史は、大変にプライドが高いながらもそれなりに気さくな面と優しい面を持っており、『病気の母のために枯れないバラを』という新聞の投書を見てケンジローズを開発している。
勇介との友情にもそういった面が反映されていることは間違いなく、剣史が損得勘定だけで動いているわけではないこともはっきりしている。
だが、1話の段階では、勇介は剣史を相変わらず親友と思っているのに、剣史は勇介を見下していて鼻にもかけない。
これはどういうことだろう。
思うに、剣史は勇介と付き合っている間に成績が落ちたことがあったのではないだろうか。
プライドの高い剣史は、それが劣等生である勇介と付き合っているからだと責任転嫁し、それ故必要以上に勇介を見下すようになったのだろう。
また、ビアスに自分の脳を渡してしまったのも、先に1000点頭脳になったマゼンダが脳をビアスに渡すことを拒んだことから、“ここで逃げ出したらマゼンダに負けたことになる”こと、更に“今1000点頭脳になっても、マゼンダに後れを取ったという事実は変わらない”ことからくる対抗意識からのことだったのではないだろうか。
「真のビアス様の弟子ならば、喜んで脳を捧げるはずだ」というケンプの言葉は、そんなケンプの意地が言わせたものだと思えるのだ。
だからこそ、ビアスに語りかけるめぐみの言葉に反応し、ビアスから離反したのだ。
ケンプは、正にプライドが服を着て歩いている男だった。
幹部:Dr.マゼンダ(仙田ルイ)
科学アカデミアトップ3の1人で、めぐみとはルームメイトだったが、あまり仲は良くなかった。
ケンプ同様、ビアス門下に入り、Dr.マゼンダと名を変えた。
ムチとビームガンになるグラムロッドを武器にする。
サイバネティクス工学が専門でクールビューティをウリにしており、永遠の美を得るために自らの身体を改造し、戦闘時にはサイボーグマゼンダになる。
サイボーグマゼンダの武器は、右手人差指のフィンガーガン、右肘のエルボーガン、左手の平から出るパームガン。
後にケンプの恐獣変身に対抗して更に自己改造し、脳以外ほとんど機械のマシーンマゼンダになった。
マシーンマゼンダの武器は、右手の指全てが銃口となったファイブフィンガーガン、右下腕から出るバトルチェーン、両肘から出るようになったエルボーガンダブルヒット、左手の平から出るパームバズーカ、右膝から撃つニーミサイル、背中から発射するトッパーミサイルと、サイボーグマゼンダの武装を大幅に強化したものになっている。
豪の言葉から、ビアスが自分の脳を狙っていることを知り、いつでも脳を機械化できるように準備して出撃し、案の定1000点頭脳を狙ってやってきたガッシュに追い詰められて遂に脳まで機械化してロボマゼンダになり、ビアスの怒りを買って処刑されてしまった。
ルイもまたプライドに狂ってしまった人間だ。
クールビューティであろうとし続け、全ての男を相手にせずに来たが、一方で女性らしい自己顕示欲も存在し、言い寄ってくる男を袖にして優越感に浸り、学生時代から愛用していた自作の香水をサイボーグになった後も使い続けている。
この自己矛盾こそがルイの特徴であり、自らをサイボーグ化するに当たって愛する心の遺伝子を抽出して保管していたのも、そういった自分の人間らしさを捨てられなかったせいだ。
ビアスの糾弾に、「(愛する心の遺伝子は)頭脳獣を作るためにとっておいた」と言い訳したが、そもそもライブマンという敵の存在を知らないときに抽出した遺伝子なのだから、理屈は破綻している。
ビアスはそんなことは承知の上で、1000点頭脳の候補者たるマゼンダに愛する心を捨てさせているだけなのだが。
また、マゼンダが、その遺伝子から作った自らの分身であるツインヅノーの人間体に「冷(レイ)」という名を付けたことや、丈と楽しそうに接する冷に嫉妬したり、ツインヅノーが倒されたときに辛そうな顔をしていたのも、彼女の自己矛盾の表れだ。
死の直前にようやく手に入れた素直さを、もう少し早く手に入れていれば、悲劇は防げたのかもしれない。
幹部:Dr.オブラー(尾村 豪)
科学アカデミアトップ3の1人で、剣史達より一歩遅くビアスのテストを受け、見事合格して一緒にビアス門下に参入した。
丈のところで書いたとおり、溺れかけている子犬を救おうとして自分も溺れ、それを丈が助けたことから2人の交友が始まったわけだが、この件が豪のコンプレックスに拍車を掛けることになる。
元々自分の身体が貧弱であることにコンプレックスを持っていた豪は、人間を超越した肉体を手に入れようと、ウイルスヅノーを使って作った特殊なウイルスの力で肉体を変化させて獣人オブラーになり、人間の姿を残しているケンプやマゼンダを中途半端と嘲笑った。
スーパー戦隊シリーズでも珍しい知能派の獣人幹部だ。
強靱な肉体と、傷を受けても瞬く間に直してしまう治癒能力、口からビームを出す能力を持ち、火を吹く斧が武器で、戦闘能力は初期3幹部中最強を誇る。
しかし、新規参入したDr.アシュラがオブラー以上に強靱な肉体と戦闘力を持っていたため、オブラーの自信は揺らぐことになる。
だがオブラーは、実はケンプ達の競争相手として補欠合格させられただけに過ぎず、ビアスは最初から使い捨てにするつもりだった。
豪は元々秀才タイプであり、母1人子1人の中、母の期待に応えようと必死に頑張ってきていたのだ。
オブラーが自らの分身として生み出したベンキョウヅノーは、豪の「遊びたい」という潜在意識を受け継いだために遊び始めてしまう。
そして、ベンキョウヅノーを生み出したことで、オブラーのウイルスの効力も薄れ、豪の姿に戻ってしまった。
ギルドスの剣のエネルギーを利用してかろうじてオブラーの姿に戻れたものの、ケンプ達がオブラーの身体からもう1つの分身オブラーヅノーを作り出したため、ボロボロになっていく。
完全に力を使い果たしたオブラーは、母の「もう競争しなくていいのよ」という言葉で豪の姿に戻ったものの、精神がすり切れ記憶を失っていた。
後に豪は記憶を取り戻し、かつてヅノーベースで見た“脳に囲まれたビアス”の秘密を探り始める。
そして、ここ数十年の間に世界中から天才が何人も消えていることを知り、ビアスの目的が天才の脳であることに気付いた。
毒島嵐の死を目の当たりにし、マゼンダにビアスの秘密を教えながらも結局救えなかった豪は、その後、恐らくルイや剣史を弔って生きていくのだろう。
余談だが、豪はマゼンダを救おうとガッシュガンの弾丸を5発ほど喰らっているのだが、ライブマンの強化スーツにすら大ダメージを与えるガッシュガンを生身であれほど喰らってピンピンしている豪こそ、最も強い肉体を持つ男ではあるまいか。
幹部:Dr.アシュラ(毒島 嵐{ぶすじま・あらし})
指を使わないと足し算もできないというコンプレックスを持つ男で、腕力で成り上がろうとネオマフィアという組織を作ったが、ヒヒヅノーを腕力で従えてしまったことから運命が狂った。
ビアスによってその天才性を見出され、肉体改造を受けて新幹部Dr.アシュラとなってボルトに参入したのだ。
ブーメランにもなる短剣カットアッシャーが武器。
更に自己改造により、サイバー分身を身に付け、3人衆シュラーを生み出す。
シュラーは、アシュラを簡略化したような姿で、髪の色が赤・青・紫の3人の分身だ。
シュラー達は、あまり長い言葉は話さず、「ぶっ殺してやるぜ」「やるぜ」のように、アシュラの喋った言葉の最後だけ繰り返す。
分身だけに息はピッタリで、アクロバティックなコンビネーション攻撃を行う。
このコンビネーション攻撃を継承したのが、次回作『ターボレンジャー』のコンビネーションアタックだ。
アシュラは、天才になったものの、やはり気さくでひょうきんなところのある男で、ボルトの中では一番人間くさい存在だった。
これは、演じている岡本美登氏のキャラクター性による部分も大きいが、脚本でもある程度狙っているものと思われる。
当初は4幹部中最強の戦闘力を誇ったが、ギルドスの参入、ケンプ・マゼンダの強化改造によって、最大のウリだった戦闘力が特徴でなくなっていく。
ブッチーの死に
さらばだブッチー。後は我々真の天才が…
などと言っていたが、その翌週には、アシュラも真の天才ではなかったことが分かる。
結局アシュラもケンプとマゼンダのための当て馬に過ぎず、切り捨てられる形になったが、アシュラが一発逆転を狙ってあちこちのコンピュータをハックしまくったときに、ヅノーベースのメインコンピュータにアクセスしてビアスの目的を覗いてしまったため、ビアスの報復攻撃を受け、命は助かったものの、元の毒島嵐に戻ってしまった。
実は、天才になったのもビアスの改造の結果でしかなく、嵐は再び指を使わないと足し算もできない状態に戻っていた。
そして嵐は、バトルヅノーに苦戦するライブマンを見て、ボルトに落とし前をつけるべく、ダイナマイトを身体に巻いてバトルヅノーに特攻し、共に果てた。
その時、豪との間に
- 嵐「豪、4たす8はいくつだ?」
- 豪「12だけど、なぜそんなことを?」
- 嵐「(うなずいて)答えが知りたかったんだ
これで思い残すことはなくなったぜ
豪よ、俺達、妙な人生だったな」
という会話がある。
思えば、嵐が初登場したときも、アシュラから嵐に戻ったときも、嵐は「4たす8」ばかり計算していた。
最後の最後まで2桁になる足し算にこだわった嵐は、やはり一貫したキャラだった。
そして、ここにはボルトに参入しつつもビアスに利用されただけだった嵐と豪の2人が、違う道を選んでいくという対比がある。
豪は、この時に丈を止められなかったこと、嵐を死なせてしまったことへの後悔から、マゼンダを救うべく命を懸けることになるのだ。
幹部:ギルドス
宇宙に轟く大教授ビアスの名を慕い、弟子入りするべくギルド星からやってきた宇宙の天才。
不滅の生命力を持つギルド星人で、ガッシュの力を借りずに頭脳獣を作ることができる。
ケンプ以上に傲慢で、アシュラに匹敵する戦闘力を持つが、なぜか1人で作戦行動することは少なく、行動するときは大抵ブッチーと一緒に動く。
バランスの取れた能力を持っていて、墓穴を掘るような失敗をしない分、影の薄い存在になってしまった感も強い。
ケンプ達に点数で負けていることに憤り
- 大教授ビアスなんて言ったって、所詮は地球人じゃないか!
俺は宇宙の天才、不滅の生命力を持つギルド星人だ!
と自らの身体から作り出した頭脳獣ギルードヅノーと共にグリーンサイと戦う。
破壊されたギルードヅノーは、ギルドスの生命エネルギーを浴びせることで何度でも復活し、ギルドスの生命力は尽きることはないから、やがてライブマンが疲れて自滅するという作戦だった。
しかし、何度目かの再生エネルギー放射によって、ギルドスの身体からメカがはみ出し始めた。
実はギルドスはビアスがケンプ達の競争相手として作ったロボットだったのだ。
オーバーロードしたギルドスは、自分の身体に何が起こったのか分からないまま爆発してしまった。
幹部:ブッチー
ギルドス同様、ビアスを慕ってやってきたヂブチ星人で、「〜だす」というしゃべり方をする。
どこがどう天才なのか分からないが、ギルドスと気が合うらしく、よく一緒に行動している。
自称「アーティスト」であり、歌が得意(でも下手)。
脚からローラースケートを出して高速移動でき、初登場時は、「パラダイス銀河」(の替え歌)を歌っていた。
(ようこそ、地獄へ おだぶつ地獄〜♪)
得意技は目ん玉リボルバー。
気さくと言うよりもマヌケと形容した方がいいような性格の持ち主だが、その分ギルドスよりも目立ってはいた。
ギルドスの最期を見て、自分もロボットであり、ケンプ達の競争相手としてだけ作り出された存在だということを知ったブッチーは、ヤケになって無差別破壊を始める。
だが、その心は悲しみで溢れており、めぐみの説得でボルトを裏切ろうとしたために、ビアスに操られたボウソウヅノーに破壊されてしまった。
護衛:ガードノイド・ガッシュ
ビアスが以前から側に置いていた護衛用ロボット。
ビアスに絶対の忠誠を誓っており、幹部相手にタメ口をきき、ビアスに刃向かう者は幹部といえども容赦しない。
戦闘能力の高さは凄まじく、マシーンマゼンダが全力で抵抗しても逃げ切ることすらできなかったほど。
その装甲強度も凄まじく、ガッシュにダメージを与えたのは、最終回のファルコンを除けば、バトルロボS1の自爆で左腕が吹き飛んだだけだった。
普段はヅノーベースのメインルームで階段に腰掛け、ガッシュガンを磨いている。
左腕からカオスファントムエネルギーを放出して頭脳獣を作ることと、倒された頭脳獣をギガファントムで巨大化させるのが主な仕事。
右目のビデオ・アイで情報を収集・分析する。
また、腰の後ろには剣も装備しており、接近戦をすることもできる。
最終決戦では、レッドファルコンと一騎打ちし、ファルコンの起死回生の一撃を受けて右腕を破壊された後、瀕死のビアスをヅノーベースに運び、誘爆していくヅノーベースの爆発に飲まれ、バラバラになった。
「ビアス様。ガードノイド・ガッシュ、必ずビアス様をお守りしますぞ」
怪人:頭脳獣
○○ヅノーというネーミングで、幹部がガッシュの力を借りて作り出す人工生命体。
全ての物が持っているある種の雰囲気(カオス)の中に、求める能力をプログラムした頭脳核を置き、ガッシュのカオスファントムエネルギーを照射することで生み出される。
戦闘用だけでなく、豪のウイルス実験のためのウイルスヅノー、美獣強化のためのゴアヅノーなど特定の目的で生み出される頭脳獣もある。
破壊されると、なぜか歯車や基盤などが転がっており、『人造人間キカイダー(トクサツ版)』のようだと言われていた。
戦闘員:ジンマー
誰が開発したのかは分からないが、モヒカン・細目のロボット兵。
短剣・ロープ・銃の3役をこなす万能武器を持っている。
バラバラになっても動き続けるしつこい敵で、ちぎれた腕も襲い掛かってくる。
マゼンダが改良して人間に化ける機能を持ったタイプはダミーマンと呼ばれる。
ブラックマグマのダークQ、ギアのメカクローンの流れを組むロボット戦闘員だが、それらに比べると活躍の場は少なかった。
武装頭脳軍ボルトは、結局のところ、ビアスという1人の天才が世界を手中に収めるための手段として作り出したものだ。
大教授ビアスは、1000点頭脳を12個集めることによって生み出されるギガブレインウェーブによって世界を支配することを目指し、既に11個集めていたが、老化が進み、11個の1000点頭脳から生体エネルギーを受けて定期的に若返り続けなくては生きられないほどの身体になっていた。
そして、最後の1個として、科学アカデミアで学ぶ月形剣史・仙田ルイに目を付けてボルトに勧誘し、どちらか一方を1000点頭脳に導こうとする。
その際、尾村豪が2人への対抗心からアクセスを求めていることを知り、剣史らのライバル役としてスカウトすることを決める。
そして、突然現れたライブマンという敵を、ケンプ達にとっての良き試練と考え、自ら手を下して排除することはせずにケンプ達に頭脳獣で戦わせた。
その途中、新たなライバルとして毒島嵐:アシュラを加えるが、ライバル役としてオブラー・アシュラだけでは役不足と考えてギルドス・ブッチーというロボットを作って宇宙の天才として戦列に加えた。
ビアスが求めたものはなんだったのか?
元々ビアスが追い求めていたのは、“真の天才になること”だった。
少年王ビアスになった際、「これからもっともっと勉強する」と言っていたことから考えると、その目的は飽くなき向上心だったのかもしれない。
独力でヅノーベースを打ち上げ、宇宙で暮らせるほどのテクノロジーを持ちながら、更に上を目指していたのだ。
自分のための研究でしかないとも言えるが、それ自体は非難されるべきこととも言い切れない。使い方が問題なのだが。
ギガブレインウェーブによる世界支配は、研究に没頭するために自分のための実験材料や資金を得るための手段に過ぎなかったのかもしれない。
それとも、結局は支配欲や自己顕示欲の塊に過ぎなかったのだろうか。
巨大化
倒された頭脳獣は、ガッシュのギガファントムで巨大化するが、その後は特殊能力が弱くなる傾向があるようだ。
これは大量のカオスファントムエネルギーで薄めてしまっているからではないかと思う。
また、ギガファントムによる巨大化は、頭脳核の能力を使用したシステムらしく、恐竜であるゴンを巨大化させる際には頭脳核を何らかの形で使用する旨のセリフがあった。
真実の物語
剣史達3人が卓二と麻理を殺して消えた後、勇介らから事情を聞いた星博士は、状況を国連に報告すると共に卓二らの死を実験中の事故として処理し、勇介達に箝口令を敷いた。
そして博士は、勇介達が剣史達と戦うために強化服・巨大メカの制作をする資金や施設の提供をしつつ、それらをライブロボに合体させるシステムを組み込み、同時にグラントータス・マシンバッファロー・コロンを設計・製造し、更にはライブボクサーとなるバイソンライナー・サイファイヤーを設計しつつスーパーライブロボへの合体機構をも盛り込んでいる。
ライブボクサーについては、いつの段階でかは不明だが国連に制作が依頼され、アカデミア島では行われていなかった。
スーパーライブロボへの合体がアカデミア島のコンピュータで解析できたのはそのためだ。
そして、アカデミア島がボルトによって壊滅させられた際、星博士は勇介達にグラントータスとライブロボへの合体システムを与えて死亡し、博士死亡の連絡を受けた国連では、ボルトの恐怖による暴動等を恐れて情報統制を行い、“アカデミア島は突然の海底火山の爆発によって全滅”として発表された。
(32話『ケンプ、血とバラの謎』に登場したまいは、そのニュースしか知らなかったため、勇介が生きていたことに驚いている)
勇介達は、グラントータスを住処として、コロンに与えられていた情報、つまりライブロボ関連の情報だけをもってボルトと戦い始め、国連では、完成したバイソンライナー・サイファイヤーのパイロットとして矢野鉄也・相川純一が選ばれ、操縦訓練を受け始める。
かくて、ギガボルトに破れたライブロボの前にバイソンライナーが現れる…。
ラストへの流れ
ギルドス・ブッチーが死に、毒島嵐が死んだ後、アクムヅノーを使って1000点頭脳になったマゼンダだったが、ビアスに脳を渡すことを拒んで脳まで機械化してしまったため処刑された。
1人残ったケンプは、ヅノーベースから逃亡し、ボフラー戦闘機の攻撃を受ける。
「ケンプの命も大切な命であることに変わりない」と助けたライブマンだったが、それはケンプの芝居だった。
デーモンテンタクルで5人を捕らえ、電撃で攻撃を掛けてライブマンを追い詰めたケンプは、遂に1000点頭脳になった。
脳をガッシュに預け、自らの身体を恐獣ヅノーへと変貌させたケンプの触手から脱出に成功した勇介は、ガッシュが乗ってきた宇宙船に乗り込み、ヅノーベースへの侵入を果たす。
そして、12個の1000点頭脳を揃えたビアスは、ギガブレインウェーブを発生させて地球上の全人類を奴隷化することに成功した。
地上でただ1人抵抗するコロンを、丈達4人が破壊しようとする。
そのとき、ファルコンによって1000点頭脳のケースが破壊され、ギガブレインウェーブは消えた。
老人に戻ったビアスは、残っていたケンプの脳のエネルギーで若返って少年王ビアスとなり、デンシヅノーを作り出してファルコンを捕らえるも、ヅノーベースは4人のライブマンが乗ったスーパーライブロボの体当たりを受けて地球に落下した。
そして、ビアスを追い詰めためぐみの「子供に戻った今ならやり直せる」という説得に、ケンプの脳が「俺もやり直したい」と反応したため、ビアスは再び老人に。
ライオン以下4人がデンシヅノーと戦う中、ヅノーベースに避難しようとするビアスの前にファルコンが現れ、ガッシュと一騎打ちになる。
苦戦の末ガッシュを倒した(と思った)ファルコンは、デンシヅノーに苦戦する4人の元へと戻り、デンシヅノーを倒した。
死んではいなかったガッシュはデンシヅノーを巨大化させ、ビアスを守ってヅノーベースに戻り、再び衛星軌道に戻るためメインエンジンを点火するが、既に破壊が進んでいたヅノーベースはそのショックで爆発し始める。
そして、爆発音が響く中
- ビアス「何だこれは?」
- ガッシュ「花火です。ビアス様の地球征服を祝う花火です」
- ビアス「そうか…。素晴らしい…
(脳裏に響く「ビアス様〜!」の大合唱を聞いて)
ガッシュ、聞こえるか? この声が」 - ガッシュ「はい。全人類がビアス様を讃えております。ビバ・ビアス!」
幻聴の中、爆発に飲み込まれる2人。
そして、巨大デンシヅノーを倒した5人の目の前に、ガッシュの頭部が落ちてきて、落下のショックでボルト幹部達の戦いの記録映像を映写し始める。
その映像を見ながら
- 丈「この星がどうして美しいのか
それは、全ての命が助け合い、譲り合いながら生きているからだ」 - 勇介「みんなと一緒に生きる素晴らしさを分かっていれば、この星を征服しようなんて考えはしなかっただろうに」
とつぶやき、5人は戦いの地を後にした。
『海賊戦隊ゴーカイジャー』での展開
30話『友の魂だけでも』
シド・バミックをバリゾーグに改造した科学者ザイエンがギガントホースにやってきたことから、ワルズ・ギルはバリゾーグ量産計画を思いつく。
ナビィのお宝ナビゲーションに従ってイエローライオンを探しに行ったジョーは、素体狩りするザイエンと遭遇し、イエローライオン:大原丈と出会う。
ザイエンが落としていった端末のデータを丈が分析した結果、一旦改造されたらもう救う方法はないことが分かった…。
“敵になったかつての友”という共通点から、ジョーと丈が絡む展開。
丈は、科学アカデミア(日本校?)の教授として働いているようだ。
バリゾーグをシドに戻すことは不可能という事実をジョーに突きつけたことで、せめて魂だけは救いたいという方向にシフトしていくきっかけとなった。
『ライブマン』でも名言を色々残している熱い男:丈だけあって、今回も
「大事な仲間だったんだろ? だったら、人間でなくなろうが、敵になろうが、救えるもんなら救ってやりてぇ、悩んで当たり前だろう! あがいて当たり前だろう!」
「昔の話だ。人間を捨てて、地球征服を目論んだ同級生がいた。結局、俺達はあいつらを救ってやることができなかった」
「あいつらの魂だけでも救ってやりたいから」
と、熱いセリフ目白押しとなっている。
ただし、逆に丈だったからこその問題が発生してしまった。
丈は、『ライブマン』で唯一かつての友を救えた男だったはず。
Dr.オブラー:尾村豪を人間に戻し、心を取り戻させ、マゼンダ:仙田ルイを救おうと身体を張るほどにまで立ち直らせたのだ。
確かにライブマンは、マゼンダやケンプを救うことはできなかった。
だが、丈に限れば、友を救ったのだ。
魂だけどころか人間に戻して悪行を悔い改めるほどに救ってやったのだ。
それをまるで救えなかったかのようにしているのは、とても残念だった。
あと、『ライブマン』OPアバンタイトルのオマージュとして、学生達が蝶を放すシーンがある。
何かのデータ取りに使っていた蝶を逃がしてやるところのようだが、手の平から2匹の蝶が飛び立っていく姿は、感無量だった。
傾向と対策
この『ライブマン』 は、スーパー戦隊10周年記念作品(当然バトルフィーバーから数える)として、大々的に企画された自信作だった。
10周年マークが作られたり、嶋大輔(横浜銀蝿の弟分)や森恵(現役アイドル)など、ネームバリューのある役者を起用しており、嶋に主題歌を歌わせたのもそういった展開の1つだった。
また、『フラッシュマン』以来続いていた2台目のロボットを、1台めのロボットと合体させて超巨大ロボになるという展開も初めてであり、しかもそれぞれのメカを搭乗者と同じ生物モチーフとしている点でも戦隊史上初となっている。
当時無名だった西村和彦は、番組終了後アリナミンDのCM(ファイト!一発!)でメジャーになり、その後トレンディードラマの常連になった。
これは、『超力戦隊オーレンジャー』の玉緒(現:さとう玉緒)と並んで戦隊シリーズが生んだメジャー役者の筆頭と言える。
『ライブマン』は、スーパー戦隊シリーズの中ではあまり評価が高くないらしい。
確かにアクション面や頭脳獣のデザインなどはさほどの特徴がなく、目を引く素材は少ないのかもしれないが、ドラマ的に見れば歴代トップクラスと言えると思う。
敵味方共にキャラクターがしっかりしている(鉄也と純一については後述)し、敵味方一体となったラストの盛り上がりは、『チェンジマン』並に凄い。
何よりも、勇介・丈・めぐみの一貫した方針が1年間きっちりと描写されており、“正義の青春と野望の青春”をテーマに、どこかで道を誤ってしまった剣史達3人と、それと対決する勇介達3人の対決を描くことを主軸とし、友人を殺された勇介達が主犯格たる剣史すら許して救おうとするドラマを描いて成功に終わった。
『ライブマン』 の特徴はいくつかあるが、“敵も味方も地球人で、純粋に地球の科学で戦う”という非常に珍しい(戦隊シリーズでは今のところ唯一)構成であり、敵が人間ばかりなこともあって、ライブマンは頭脳獣以外は1人も殺していないというのが挙げられる。
オブラーは豪に戻っての戦線離脱だし、ギルドスは自滅、ブッチー・マゼンダはビアスが処刑、嵐・ケンプは自爆、ビアスとガッシュはヅノーベース内で勝手に爆死という具合で、ライブマンが直接手を下した敵は1人もいないのだ。
実際、ビアスを追い詰めためぐみは、殺すことができずに反撃を受けている。
“たとえ敵であっても救える限りは救う”というライブマンの信念は、これほどまでに徹底されている。
また、幹部の退場劇として見ると、オブラーの退場だけで3話を費やしており、豪の生い立ちなどから丁寧に描いた良編となっている。
敵幹部と正義の戦士が元友人同士であるということが、悪側のドラマと正義側のドラマを直結させる原動力になっており、敵味方どちらにも偏らず一体となったラストへの盛り上がりのボルテージは戦隊史上最大だと思う。
惜しむらくは、剣史と勇介の関係の変遷がはっきり描かれていないために、剣史の性格がイマイチ明確になっていないことだろうか。
“プライドの高さ故に素直になれない不器用な男”なのだろうが、それをもう少し丁寧に描いてくれたら、ラストのビアスへの反逆がもっと良くなったと思う。
年間の構成として見た場合、鉄也と純一のキャラクターが立っていないのが最大の問題だが、これを“哲学のはっきりした勇介達3人とそうでないポット出の2人”として見ると、実に好対照だ。
はっきり言ってしまうといない方がいい2人なのだが…。
ライブマンは、肉食動物である初期3人と草食動物である後発2人という形になっている。
放送当時、鷹羽はこの統一性のなさを大変に嫌い、「せめてブラックペンギンとグリーンモグラ〜」と嘆いていた。
だが、10年以上経った現在、少し考えが変わってきた。
肉食動物は、殺すことが生きることと直結している。
勇介達3人が肉食動物をそのモチーフとして選んだのは、“命を守るために他の命を奪うことを辞さない”という決意の表れなのではないだろうか。
戦うということは、他の命を奪うことだ。
しかし、人々の命を守るには、敵は殺さなければならない。
勇介は戦いの中で何度もケンプと対峙し、殺そうとしている。
戦場では、かつての友を殺すことすら厭わない。
そういった枷を自分にはめることを自ら選んだ者、それがライブマンなのだ。
14話『ナベ男勇介の叫び』で、勇介達が“誰にも感謝されずとも、我が身を賭けて戦う道を選んだ”ことが語られているが、それは、“他者の命を奪うことになっても、守りたい者を守る”という決意に繋がっているのではないだろうか。
反面、後発の2人は、兄・姉の敵討ちが戦う動機となっている。
草食動物の場合、他者の死を伴うのはメスを争っての場合がほとんどであり、殺すということへの決意がないのではないだろうか。
そう考えたとき、敵すらも救おうとする勇介達とケンプへの憎しみで戦っている鉄也達の違いが浮き彫りになるようで、なんとなく納得できてしまった。
勿論、制作者側がそんなことを考えていたわけではなかろうが、鷹羽的には納得のできる答えとなったのだ。
さて、『ライブマン』のもう1つの特徴である巨大ロボ2台の合体による超巨大ロボとメンバー増加について見てみよう。
歴代戦隊で、メンバー交代でなく、増員になったのは『ライブマン』が初めてだ。
ライブマンが当初3人でその後5人になったのはどうしてだろう?
ライブマンのロゴ(動物レリーフ版)を見ると、当初ライブマンが3人の戦隊として企画されたであろうことははっきりしている。
そして、3人のネーミングとモチーフを考えると、天宮→ファルコン、大原→ライオン、岬→ドルフィンと、名字とモチーフが一致している。
それに反して、後発組は、矢野→バイソンはいいとしても、相川→サイというのは、納得できない。
これは、やはり卓二と麻理の弟をメンバーに加えるのが最初からの予定ではなかったことの表れだと思う。
また、5話『暴走エンジン怪獣』で卓二のもう1人の弟武志が登場するが、その際“兄がもう1人いる”ことが触れられていないことも傍証となるだろう。
『サンバルカン』以来2つ目の3人戦隊として始まった『ライブマン』は、敵幹部3人と正義側3人がそれぞれ因縁を持って対峙していたが、そればかりでは単調になるため、新幹部アシュラや用心棒ガッシュなどが前面に出ることでワンパターン化を防いでいるうちに、オブラーと丈、マゼンダとめぐみの因縁に触れにくくなってしまった。
そこで、メインの勇介とケンプについてだけライバル関係を強く残し、あとの2つは切り捨ててしまったのだろう。
オブラーを途中降板させたのは、恐らくそういった部分の影響のためだろう。
この当時“着ぐるみ幹部は、着ぐるみがへたってくるために途中で消える”という話があったが、オブラーについては、そっくりなオブラーヅノーがわざわざ新調されており、着ぐるみが駄目になったなどという理由はあり得ないのだ。
そして、これ以降マゼンダとめぐみが絡む話がないこともそれを示している。
恐らく、物語に幅を持たせるためなどの理由で、2人増員が決まり、折角だから卓二と麻理の弟にして2台目ロボを持ってくるという形にしたのだろう。
初めにスーパーライブロボのデザインありきで作られているから、ツノのある動物がモチーフとして選ばれたというのが真相だろう。
ところで、2大ロボ合体というのも、実は最初からの予定かどうか分からなかったりする。
というのは、DX超合金超獣合体ライブロボには、増加アーマー固定用のパーツが存在していないからだ。
肩に載るバイソンとサイの頭も、ドルフィンのつま先を覆うバイソンランナーのボディも固定用のパーツがなく、外側からのはめ込み固定になっているのもそのためだろう。
ライブロボの話題が出たのでついでに触れるが、ライブロボの超合金には、後発のライブボクサーとセットになったスーパーライブロボのパッケージもある。
このバージョンで買うと、合体説明ビデオが封入されていた。
もう1つ、ライブマンの特徴として、商品ラインナップが豊富というのがある。
ライブラスターには通常のオモチャのほかに水鉄砲バージョンがあったし、なりきりグッズのヘルメットは初期3人全てが発売されていた。
食玩でも、アクアドルフィンが金属製のライブロボ合体セットがあったが、これもその後発売のライブボクサーと合体できた。
残念ながらボクサーの方は完全にプラスチック製だったので、銃身バランスが非常に悪かったのだが…。
アクシデント
放映期間を見てもらえば分かるとおり、『ライブマン』の放映は昭和から平成に跨っている。
つまり、昭和天皇の病状に社会が多大な関心を持っていた時期だ。
10/8放送の32話『ケンプ、血とバラの謎』で、ゴアヅノーが倒され、ガッシュが「ギガファントム!」とやって巨大化している最中に突然「番組の途中ですが…」と臨時ニュースが入った。
そして、このニュースが終了し、アナウンサーが「では、番組の続きをお楽しみください」と言って画面が切り替わると、勇介達5人と『つづく』の文字が一瞬出て終わってしまった。
その間、何があったのかは分からない。
とりあえず、巨大化したゴアヅノーは、強化されたばかりの超獣剣でストロングクラッシュダウンをくらって倒され、ケンプの美獣強化は失敗に終わっていたはずだ。
この話は、東京では数日後に再度放送されているのだが、新潟その他の地方では再放送されず終いだったと聞く。
つまり、この話をちゃんと見られたのは、東京近辺に住んでいる人と、放送が遅れている一部地方の人だけだったりするのだ。
鷹羽がテレビ局に電話をかけて抗議したのは、後にも先にもこのときだけだった。
あのラストシーンには、ケンプがまいを殺せなかったことについて、本人が悩むなり、ビアスに突っ込まれるなりの展開があったはずなんだ〜〜っ!!
再放送しろ〜〜っ!!
その後、知り合いがビデオを持っているというので借りる約束をしたのだが、その少し後に相手が引っ越したまま音信不通になってしまい、今もって借りていない。
鷹羽が戦隊シリーズを全話ビデオで撮ったのは『ライブマン』が初めてなのだが、こういう事情でコンプリートしたのは『ジェットマン』が初めてとなっている。
え? 間に入った2つ? 全話は撮ってないの。
見たいよ〜。。。。。。。。。。
アクシデント・その後
上記のとおり、鷹羽は、32話『ケンプ、血とバラの謎』のゴアヅノー巨大化後の物語を探し求めていたのだが、平成17年5月30日に至り、ようやく見ることができた。
言わずとしれたスカパー!東映チャンネルでの『ライブマン』の放送なのだが、実際お目に掛かるまで実に16年半掛かってしまったわけだ。
鷹羽が欲しがり始めてから入手するまでの期間としては、ポピニカ「ホバーパイルダー」の20年に次ぐ長さになっている。
見ることができなかった部分の物語は、ケンプが「ゴアヅノーなしでも必ず美獣を強化してみせる!」と決意表明したことと、憧れていた剣史の正体を思い知らされたまいの心の傷が癒える日が来るようライブマンが願うというシーンだった。
まいとの因縁があっただけに、ケンプの反応が意外と平板に感じられた。
ケンプはこの後、結局美獣を強化することはできず、勇介とのタイマン(実は頭脳獣つき)での敗北を経て、戦闘能力のみを追い求めて凶獣変身することになるわけだ。
手に入れるまで長く掛かった割には、ホバーパイルダー入手ほどのカタルシスを得られず残念ではあったが、これで気がかりが1つ減ったと考えれば、やはり東映チャンネル様々だと思う。