超新星フラッシュマン

昭和61年3月1日〜62年2月21日 全50話

主題歌

 『フラッシュマン』は、OPの前に「ある日、地球から5人の子供が宇宙の果てにさらわれた。そして20年後…」というアバンタイトルが入る。
 これによって、宇宙の孤児であるフラッシュマンの立場というものを毎回再認識させるようにしている。
 OPはクラッシュクラッシュ…とかフラッシュフラッシュ…とか連続する上、結構息継ぎが難しいので、カラオケ等では歌いにくい。
 時々勘違いしている人がいるらしいので念のために書いておくと、「クラッシュ…危険の意味なんてフラッシュ…忘れたのさクラッシュ…何かを言う前にフラッシュ…ぶつかるのさ」という具合に、先に「クラッシュ」、後から「フラッシュ」という形で一組になったのを繰り返している。
 『孤独の宇宙から Oh 今こそ帰ってきたぞ鋼の魂』という歌詞が、彼らの境遇をよく表している。
 OPのルーのポーズは、当初蹴った直後で止まり顔が妙な感じに映っていたため、途中から撮り直しバージョンが流されている。

 EDの方はちょっと軽い感じがするため、あまり趣味ではない。
 何よりも、「咄嗟のときにファイティングポーズ一発で決める俺達さ」とか言われても、一発で決まらないようなポーズ取られてもなぁ…という感じがする。
 歌詞から入る鷹羽には、ちょっとなじめない歌だった(とか言いつつ歌うのだが)。

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基本ストーリー

 20年前のある日、地球にやってきた宇宙実験帝国メスのエイリアンハンターが5人の乳幼児をさらっていった。
 ところが、そのハンターが乗っていた宇宙船は遭難してしまった。
 たまたまフラッシュ星人によって発見された5人の子供は、フラッシュ星系の5つの星でバラバラに育てられた。

 ある日、メスが地球に向かっていることを知ったジンは、4人の仲間をフラッシュ星へ呼び出し、宇宙船ラウンドベースを盗み出して地球へと向かう。
 だが、実はラウンドベースは元々彼らのためにフラッシュ星人達が作っておいたものだった。
 フラッシュ星人は、いつか地球を狙うであろうメスと戦えるようにジン達5人を鍛えていたのだ。

 地球へ降り立ったフラッシュマンは、メスと戦いつつ自分の家族を捜すのだ。

▼ 「真実の物語」は…

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メンバー

レッドフラッシュ:ジン

 フラッシュ星で育てられた。
 剣や格闘技術を鍛えられており、戦闘能力は5人の中で群を抜く。
 プリズムエネルギーを剣の形に結晶させたプリズム聖剣を使う。
 誘拐された当時3才で、唯1人、当時の記憶を持っている。

 演じた垂水藤太氏は、『特警ウインスペクター』でウインスペクター本部を乗っ取るなどの活躍をしている。

グリーンフラッシュ:ダイ

 グリーンスターで育てられ、筋力、特に腕力に優れ、拳技を得意とする。
 変身前もナックルガードをはめて戦う。
 プリズムエネルギーを両手に結晶させたプリズムカイザーが武器。

ブルーフラッシュ:ブン

 ブルースターで育てられ、垂直な壁もすいすい登る特殊能力を持つ。
 全身をプリズムエネルギーで包み込むプリズムボールが武器。
 変身前、変身後を通してスターダーツという手裏剣を使う。
 5人の中では一番お子様で、14話『恋!? ブンとスケ番』では、通行料と称してカツアゲしようとするスケバンに、「すいません、フラッシュ星から来たばかりの田舎者なもんで」と訳の分からない謝り方をしている。
 これで納得した連中もなかなかの神経の持ち主ではあるが。

イエローフラッシュ:サラ

 極寒のイエロースターで育てられた。
 プリズムエネルギーを結晶させたプリズムバトンが武器で、必殺技はマッハブリザード。
 変身前は、ビー玉型の炸裂弾:ショッキングビーズを使う。
 5人の中でただ1人、実の両親を見付け出し、フラッシュ星に帰れば恋人ミランがいるという、結構幸せ者。

ピンクフラッシュ:ルー

 ピンクスターで育てられ、重力を遮断してジャンプする特殊能力を持つ。
 両足にプリズムエネルギーを結晶させたプリズムブーツが武器。
 変身前はハート型の手裏剣:ショッキングハートを使う。

アシスタントロボット:マグ

 ラウンドベースを警備していたロボット。
 実は、フラッシュ星人がジン達のために作っておいたアシスタントロボット。
 フラッシュマンのための宇宙食を作ったり、スーツのメンテナンスをしたりするのが役目だがあまり役には立たず、28話『壮絶! 炎のガルス』以降、フラッシュマンのパワーが謎の低下を見せた際には原因を突き止められなかった。

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変身システム

 左手首にはめた通信機兼用のプリズムフラッシュを構えて「プリズムフラッシュ!(単独時はレッドフラッシュ!)」と叫ぶと、プリズムスーツが装着され、更に「シャットゴーグル!」の掛け声でゴーグルが降りて機能が作動する。

 スーツのエネルギーは、頭部のプリズムがフラッシュ星系からのパワーを受けて変換している。
 そのため、フラッシュ星系が惑星直列を起こすことでパワー相殺を起こすと、スーツもエネルギーを失うこととなる。
 32話『すきすきマグすき』で、マグが頭部のプリズムを再結晶した結果、変換効率が上がりパワーアップを果たした。
 また、プリズムフラッシュには「フラッシュ!」の掛け声で瞬間的に強烈な光を発する機能があり、その光には、破壊光線としての機能もあるらしい。

 オモチャのプリズムフラッシュでは、カメラのフラッシュと同じような仕組みで発光するギミックを搭載し、代わりに時計としての機能を廃した。
 これでキャラウオッチという商品化形態に終わりを告げ、変身アイテムの商品化という形に移ったことになる。
 ただ、フラッシュ機能を搭載した結果、瞬間的に大電力を必要とすることになり、これまでのボタン電池では賄えなくなって単3電池1本を使用することとなり、電池ボックスのブンだけ大型化してしまった。

 この商品は撮影用には使用されていないが、モックアップ(木型)から複製されたものが撮影で使用されている。

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名乗り

 「レッドフラッシュ!」

 「グリーンフラッシュ!」

 「ブルーフラッシュ!」

 「イエローフラッシュ!」

 「ピンクフラッシュ!」

 「超新星! フラッシュマン!」

 これもまた、放送時間の関係か、全員分のフルの名乗りはそう何回もなかったように思う。

 確か27話『ダイ友情のパンチ』の時だったと思うが、イエローとピンクがポーズの時にそっぽを向いてしまったことがある。
 この時は、自分達を置いてけぼりにして美味しいものを食べに行った男性陣に怒ってのことだったと記憶しているが、「プイッ」と反対方向を向いてしまった2人が妙に可愛かった。
(編注:この場面は、『ガオレンジャーVSスーパー戦隊』内で、ダイジェスト映像として収録されています)

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武器

 共通武器は、右腰に付けたプリズムシューター
 ホルスターから抜いてハンドガンタイプ、銃床にホルスターを合体させてショットガンタイプの2タイプの銃になる。
 また、ハンドガンタイプの銃身を起こして刀身を伸ばすと、剣タイプになり、ホルスターを開くと盾になる。

 『チェンジマン』のチェンジソードのギミックを引き継いだものだが、ホルスターもパーツの1つとして展開させることでバリエーションを広げ、また、グリップを剣の柄にしたことで、銃身部分の長さを刀身の長さにすることができて全長も少し長めに設定できた。
 ただ、ホルスターをマジックテープによる取り外し式にしたために、ベルトへのホルスターの固定力が弱く、イマイチ遊べなかった。
 これ以降の銃シリーズは、長さを稼ぐために刀身部分を伸縮させるのが主流になり、刀身をメッキできなくなってしまった。
 今のところ、戦隊シリーズ最後のメッキ剣になっている。

 個人武装としては、上記のプリズム聖剣等の武器が挙げられる。
 特にプリズム聖剣の美しさは特筆もので、向こう側が透けて見える赤い剣というこれまでにない武器だった。
 このプリズム聖剣は、当然ながら銃からの変形ではないため、剣と銃の同時使用ということが可能になった。
 ただし、ほかの4人の武器はというと、両手を強化したプリズムカイザーや手持ち武器のプリズムバトンはいいのだが、両足を硬化させ、結果として歩くことすらままならなくなるプリズムブーツ、全身を覆う都合上、合成でしか戦えないプリズムボールなど、少々使いにくい武器も登場してしまった。
 当然商品化されていないが、プリズム聖剣があったら絶対買った。

 必殺武器はローリングバルカンで、5人それぞれが持っているレッドバル(本体)にグリーンバルブルーバルイエローバルピンクバルが合体して完成する。
 これもまた『チェンジマン』のパワーバズーカを継承したもので、商品化を前提に企画されたことは間違いない。
 レッドバルの銃身を取り囲んで4つのバルの銃身か並び、回転しながら5色のビームを打ち出すという形で、映像的には大変綺麗なのだが、プロップのあまりの巨大さに役者が支えきれず、支柱が付いている
 発射シーンでグリーンフラッシュの後ろを見ると、棒が生えているのがよく分かる。

 オモチャの方では、後ろのレバーを回すと銃身がカシャカシャ回るというギミックが付いていた。
 CMでは、玄田哲章の重々しい声で「全長○○センチ、正しくフラッシュマンのローリングバルカンだ!」などと言っていたが、ランボーなみのマッチョな兄ちゃんが商品を持っていたため、本物の巨大感は微塵も感じられなかった。

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移動装備

 移動手段としては、5人がフラッシュ星系で乗っていたバイク:フラッシュホークが使われている。
 シンプルなデザインながら、綺麗な丸みを持っており、フラッシュスピードという高速モードがあり、5色の光に包まれて走る。

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ロボット

 基地ラウンドベースから発進したスターコンドルから発進するタンクコマンド(頭部・胴体部:レッド操縦)・ジェットデルタ(右腕・右脚:グリーン・イエロー操縦)・ジェットシーカー(左腕、左足:ブルー・ピンク操縦)が「合体! フラッシュクロス!」で合体し、フラッシュキングになる。

 ジェットシーカーのレドーム部分がキングシールドになっており、合体したときからシールドを装備している(戦闘時にはどこかに行ってしまうが)という説得力のある合体をする。
 合体すると、操縦席はフラッシュキングの頭部に移動し、5人が揃った状態になる。
 戦隊シリーズのロボットの操縦席が1つになったのはここから。

 フラッシュキング本体には剣は装備されておらず、スターコンドルに搭載されているコズモソードを使う。

でジャンプし、落ちてくるコズモソードを掴み、回転しながら急降下して切り裂くスーパーコズモフラッシュが必殺技。
 15話『巨大ロボ破れたり』で破壊されたが、20話『復活! 巨大ロボ』で無事修理が完了した。
 フラッシュキングが破壊されたことで、初の2台目ロボが登場することになる。

 遙か昔、フラッシュ星の英雄タイタンが宇宙を旅するために使っていた巨大トレーラー:フラッシュタイタンの前部が「フラッシュターン! タイタンボーイ!」で中型ロボタイタンボーイに変形する。
 タイタンボーイの武器はタイヤを転がすラジアルボンバーと、刃の生えたタイヤを手裏剣にして使うラジアルカッター、両肩のボーイキャノン。
 軽快さを表現しようとちょこまか動くため、かなり違和感がある。
 また、転がしただけのタイヤにつまずいて転ぶ獣戦士も相当マヌケに見える。

 タイタンボーイで勝てない相手(全部そうだが)には、更に巨大合体して立ち向かう。
 「フラッシュターン! グレートタイタン!」の掛け声でコンテナ部分が変形し、タイタンボーイが背部から収納されることで、超巨大ロボグレートタイタンが完成する。
 グレートタイタンは、巨大獣戦士より更に2回りほど大きく、胸から発射するタイタンノバが必殺技。

 巨大な分、迫力はあるが、まともに動かないため、やはり違和感があった。

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その他の人々

育ての親:フラッシュ星人

 事故を起こしたエイリアンハンターの宇宙船からジン達を救い出し、いつか地球がメスに襲われたときに守れるだけの力を与えようと育てた宇宙人。
 ジン達が地球に戻ることに反対していた割には、ラウンドベースはメスと戦うための装備として開発されている辺り、若干の矛盾を感じる。
 そう考えると、実は反フラッシュ現象のことを知っていたのではないかと考えられるのだ。
 フラッシュ星系で育った人間は、フラッシュ星以外の場所に長く留まると、身体が拒絶反応を示すようになる。
 戦う力を与えるためとはいえ、フラッシュ星人はジン達に、故郷の星で生きられない身体を与えてしまったわけだ。
 これをクリアしないうちは地球に行かせるわけにはいかないというのが、フラッシュ星人の本心だったのではないだろうか。
 遺伝子治療によって、能力を残しつつ地球に適合できる身体を作る…その後、地球に行かせたかったのだと思う。

誰かの家族:時村博士一家

 20年前、何者かに息子をさらわれ、記憶を失ってしまった夫婦。
 夫は、そのことをうっすらと覚えており、真実と我が子の消息を知りたいがためにタイムマシンを研究してきた博士。
 マグが発見できなかったフラッシュマンパワーダウンの原因を究明できた閃きの人。
 さらわれたのが「赤ん坊」であったため、当時3才だったジンを除くダイ、ブンのどちらの家族だと思われてきたが、終盤になって奥さんが「娘だったような気がする」と言い出したため、一気に事態が紛糾してしまった。
 実際はサラの家族だった。

伝説の英雄:タイタン

 数百年前、フラッシュタイタンに乗って宇宙を旅していたフラッシュ星の英雄。
 たまたまやってきた地球でレー・バラキを助けたが、反フラッシュ現象を起こして倒れた。
 いまわの際にバラキに伝言を残し、フラッシュタイタンと共に封印した。
 完全に透明なプリズム聖剣を使う。

伝言番:レー・バラキ

 英雄タイタンの心に触れてメスを裏切った男。
 反フラッシュ現象に倒れたタイタンから、「いつか地球でメスと戦うフラッシュ星の若者に反フラッシュ現象のことを伝える」という使命を帯びてフラッシュタイタンの中で人工冬眠していたが、思わせぶりなことばかりで、結局真実を伝えられなかった。
 もっとも、伝えたからと言って、フラッシュマンの戦いには全く影響しなかったのだが。

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敵組織 改造実験帝国メス

首領:大帝ラー・デウス

 メスの支配者にして究極の生命体を目指す者。
 代々の大博士に生命改造実験をさせて、その最高の技術をもって自分の身体を改造させてきた。
 そのためか、本体は遺伝子液の集合体に過ぎなかった。
 途中からは時々マスクが割れて中から人間の目のようなものが覗いていたが、結局は身体などというものはなかったようだ。

大幹部:大博士リー・ケフレン

 メスで生命改造実験を続ける大博士。
 遺伝子シンセサイザーを使って遺伝子合成(バイオブレンド)を行い、新たな生命を生み出す自称『命の芸術家』。
 半ばマッドサイエンティストであり、デウスを裏切って獣戦士に改造したり、自分を殺しに来たフラッシュマンに「地球にいられるようにしてやろう」と言って命乞いをしたりしている。
 自分の研究が全てであり、研究を続けるためには何でもする男だった。
 実は地球人で、数百年前に先代の大博士によって改造されたのだった。

幹部:レー・ワンダ

 深海魚のような5種類の宇宙生物から作り出された人工生命体。
 50年に1度、身体を構成する5つの生物のバイオリズムが一致するため、超パワーを発揮できる。
 その特性を利用して、同じ生命体から作られた獣戦士ザ・ギルギスと共にフラッシュマンに挑むが、時間切れでバイオリズムがずれてパワーダウンしてしまい、レッドフラッシュに片翼を斬られた。
 そのため、レッドフラッシュを深く恨んでいる。
 自分を美しいと思っていたが、自分の元になった生物が全て醜いことを知ってしまったため、イマイチ自分自身に誇りを持てなくなり、リー・ケフレンによって生み出されたということを誇るようになった。
 また、超パワーで作り出した剣:キラーセイバーは残ったため、それを武器としている。

 29話『妖獣士ワンダーラ』で強化改造を受けて新たな能力妖獣変化を身に付けた。
 ワンダーラに変化すると、キラーセイバーも妖獣剣にパワーアップし、タイムストップ3秒殺しという技を使えるようになる。
 これは、3秒間だけ敵の時間を止め、動かない敵を攻撃できるというかなり卑怯な技である。
 47話『ワンダ! 死の絶叫』で、永遠にタイムストップをかけられるようになったが、時村博士のタイムマシン試運転の影響で能力を失ってしまい、レッドフラッシュに破れた。

幹部:レー・ネフェル

 猫に近い生物を元にしていると思われる女幹部。
 後に強化改造を受けて妖獣士ネフェルーラになり、異空間に敵を閉じ込めるようになった。
 最初のネフェルーラは、口を閉じた猫のようで、ちっとも怖くなかったため、着ぐるみを改修されて口を開いた化け猫的なイメージのものになった。

 と書いていると、もの凄くキャラが薄いことに気付いた。
 書くことがない。
 冷酷さはあるが、それをウリにするほどではなく、特徴らしき特徴を持っていない。
 ワンダがレッドフラッシュに対して持っているようなこだわりすらないため、どのキャラとも絡める代わり、どのキャラともあまり突っ込んだ関係にならない。
 ライバルキャラ的存在にならなかったのは失敗だったかもしれない。

 ただし、キャラクターとしては薄いが、デザイン・役者面から人気は高い。
 ネフェルがキャラ的に弱いのに印象が強いのは、役者による部分が大きいようだ。
 また、デザイン的にも“しなやかな肉食獣”といったイメージを巧く具現化しており、デザイン画・着ぐるみの両方が綺麗な印象を受けるという希有なキャラと言える。
 これは、例えばアハメスのデザイン画(いかにも女狐)を見ても実物の色っぽさを全く感じられないことと好対照だ。
 “服を着ている”という印象よりも“異生物の裸”であるというデザインコンセプトが生きたのだろう。
 ちなみに、デザイナーの出渕氏も相当気に入っていたらしく、自分の作品のキャラデザとして流用している。

 演じているのは、ダイナピンク立花レイを演じた萩原佐代子(当時さよ子)氏。
 “この作品が縁でジン役の垂水藤太氏と結婚した”という話が、本作終了後数年くらい経った頃から一部で有名だったが、どうやら一般人と結婚したというのが真相らしい。

幹部:レー・ガルス

 口を利けない幹部。
 ワンダやネフェルと並ぶと獣戦士にしか見えない。
 自分ではしゃべれないため、1話での幹部自己紹介の際もネフェルが紹介してやっていた。
 エネルギーフラワーの力で高熱を身にまとい、プリズム聖剣を燃やしてしまったが、ローリングバルカンを3発喰らって死んだ。

護衛:ウルク

 2体いる護衛の黒い方。
 オオカミっぽい印象の戦士。
 キルトが改造されたデウス獣戦士ザ・キルトスをかばって死んだ。

護衛:キルト

 2体いる護衛の白い方。
 猫っぽい印象の戦士。
 デウス獣戦士ザ・キルトスに改造された。

怪人:獣戦士

 ザ・○○○○と4文字の名前が特徴。
 数種類の生物の遺伝子を遺伝子シンセサイザーでバイオブレンドして作られる生命改造実験の成果達。
 元になる遺伝子は、地球産の生物だったり他惑星産の生物だったりするが、ジンの細胞を利用したこともあり、かなり節操のない実験を行っている。
 人工心臓がセットされて初めて命が吹き込まれるため、身体のどこかに人工心臓が見えている。
 また、知性は持っているようだが、言葉を話すことはできない。
 もっとも、獣戦士にペラペラ喋られてしまったら、幹部のくせにしゃべれないガルスの立場がないだろうが…。

怪人:デウス獣戦士

 名前のパターンは同じ(ザ・デウスーラのみ5文字)。
 度重なる敗北に業を煮やしたラー・デウスが、フラッシュマンを倒すために自らの身体からデウス遺伝子を絞り出し、ケフレンがそれを混ぜてより強い獣戦士を作るようになった…のだが、あまり強いという気がしない。
 キルトを改造したりガルダンを改造したりしていたが、それでも勝てないため、遂にはワンダやネフェルの細胞まで使うようになってしまい、最後にはラー・デウス自身まで獣戦士にしてしまった。

戦闘員:ゾロー

 赤い改造生命体で、左胸に人工心臓がセットされている。
 “ぞろぞろ出てくるからゾロー”というネーミングセンスが楽しい。
 昆虫的な顔をしているが、地球に来る前からいたことから、どこかの星の昆虫型生物を利用しているのだろう。

エネルギー生命体:クラーゲン

 メスが地球に来て最初に作り上げた改造生命体で、クラゲを主原料にしている。
 クラゲの身体がほとんど水分で構成されているように、エネルギーを身体の主成分としており、エネルギーを失うと小さくひからびて飛ぶこともできなくなる。
 小さくなった後は、自力で飛行もできず、地面を這いずって幹部の肩に乗って帰る。
 這いずるシーンはラジコンを使っているらしいが、商品化したら売れたかも。
 ラボーに帰ると、培養液のようなところに浸かってエネルギーを吸収し、巨大な姿に戻ることになる。
 カウラーの初登場時、その気配に怯えてラボーを脱走、駆けずり回った挙げ句お漏らしをしてしまった。

 メスは、改造実験基地ラボーに乗って宇宙を旅しつつ、めぼしい星に居着いて改造実験を続けるという漂泊の組織だ。
 宇宙のあちこちに爪痕を残してはいるが、実験の成果を見たいがために現住生物を殺したりするだけで、宇宙征服等には興味ないらしい。
 結局のところ、大帝ラー・デウスが究極の生命体になるためのデータ集めをしているに過ぎず、ある程度以上の成果を挙げた時点でデウスの遺伝子改造を行う。
 恐らくその時点で大博士の使命は終わり、次の大博士に世代交代しているものと思われ、用のなくなった大博士は口封じのために殺されるなどしているのだろう。
 そして、その大博士に仕えた幹部達も処分され、新たな大博士の元、1から研究をやり直しているのだ。
 つまるところデウスに付き合わされている形であり、ケフレンが裏切ったからと言って非難はできないような気がする。

 ところで、「メス」という名前は手術に使うアレからきており、基地であるラボーもラボラトリー(実験室)からきている。
 また、デウスがラー、ケフレンがリー、ワンダ達がレーと、ラ行になっており、これがすなわち力関係を端的に表している。

雇われ幹部:サー・カウラー

 メスの依頼により生命改造実験に使う宇宙生物を調達するエイリアンハンターのボス。
 メスの内部では、ケフレンの下、ワンダらの上に位置する。
 ムチにもスティックにもなる武器を持つ。
 配下のホウ、ハグ、ボウ、ケラオのエイリアンハンター4人衆を連れてやってきた。
 フラッシュマン達の両親全員を知っていたようだが、結局はサラが時村夫妻の子供であることしか教えなかった。
 大帝ラー・デウスを倒して実力を示そうとしたが、貫禄はケフレンには敵わなかったようだ。

 渋い中年の魅力大爆発なキャラで、男女問わず人気は高い。
 唯一見せたコミカルな面として、26話『宇宙カボチャ料理』での「クラーゲーン…っくしょん!」は有名。
 このデザインも、出渕作品に流用されている。

腹心:ボー・ガルダン

 カウラーの腹心でガルドロッドの使い手。
 カウラーを補佐して戦ったが、ネフェルに捕らわれ、デウス獣戦士ザ・ガルデスにされてしまった。

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巨大化

 獣戦士が倒されると、その時出陣していた幹部(ガルスの時のみウルクかキルト)が「クラーゲーン!」と叫び、飛んできたクラーゲンが目から巨大化光線を発射して巨大化させる。
 これによってエネルギーを使い果たしたクラーゲンは、幹部の肩に乗ってラボーに帰り、エネルギー浴槽に浸かってエネルギーチャージを受けて再び巨大になるのだ。

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ラストへの流れ

 カウラーは、ケフレンの謀略で勝利目前にして破れ、更に配下のエイリアンハンター達を獣戦士ザ・ギータンに食われたことから、腹心のボー・ガルダンを呼び寄せてメスから離反した。
 そしてデウスは、生命改造実験よりフラッシュマン抹殺が優先と考え、自らのデウス遺伝子をケフレンに与えてデウス獣戦士を作らせる。

 そのころ、フラッシュマンは、地球環境への不適応を起こす反フラッシュ現象に悩まされ始めた。
 徐々にひどくなっていく症状は、ひとたび発作が起こると、太陽光にめまいを起こし、水も飲めず呼吸すらできなくなる。
 コンピュータの計算では、地球を離れない限り、あと20日で5人は死んでしまうことが分かった。
 それまでに、せめてメスを倒さなければと焦る5人。

 そんな苦しい戦いの中、メスの内紛も佳境を迎えていた。
 カウラーは、時村博士を誘拐して遺伝子シンセサイザーを作らせ、デウスの遺伝子に攻撃を仕掛けたのだ。
 対するメスは、ガルダンを捕らえてデウス獣戦士ザ・ガルデスにしてしまった。
 カウラーは、ガルダンを元に戻すため、サラをさらって負傷した自分の代わりに遺伝子シンセサイザーを弾かせようとする。
 交換条件として両親の居所を教えると言われ、遺伝子シンセサイザーを奏でるサラ。
 そして、レッドフラッシュとの一騎討ちに破れたカウラーは、サラに時村夫妻が両親であることを教え、ラボーに特攻して死んだ。

 一方、カウラーの言葉から、自分が改造された地球人でしかなかったことを知ったケフレンは、自棄を起こしてデウスをデウス獣戦士ザ・デウスーラにしてしまった。
 執念でラー・デウスに戻ったデウスーラも、フラッシュマンに破れてしまった。
 ケフレンは、デウスの死体とクラーゲンから、最強のデウス獣戦士ザ・デーモスを作り上げた。

 フラッシュマンが地球にいられるのはあと1日。
 フラッシュマンは、ボロボロの身体にむち打ってデーモスと戦う。
 エネルギーを吸収するデーモスに対し、エネルギーの限りタイタンノバを連射して倒したフラッシュマンは、ラボーに突入する。
 ネフェルを倒してケフレンと対峙したフラッシュマンに、ケフレンは「遺伝子シンセサイザーで、ずっと地球にいられるようにしてやろう」と誘う。
 だが、サラは「命を弄んできた遺伝子シンセサイザーの力は借りない!」と破壊し、ラボーもケフレンと共に砕け散った。

 サラが自分達の娘であることを知った時村親子が駆け付けた時には、時間切れでフラッシュ星に帰るスターコンドルの姿しか見えなかった。

 フラッシュマン達は、いつの日か必ず地球に戻ることを誓ってその身体を休めるのだった。

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傾向と対策

 ゴレンジャーから数えると戦隊シリーズ(スーパー戦隊ではない)10作目に当たることや、『チェンジマン』でかなりのムーブメントを得たこともあって、スタッフがこの作品に込めた意気込みは大きい。

 デザイン面からも、マスクの中の目がのぞけるシャットゴーグルというシステムによって、変身前と変身後の一体感を出そうとしたり、プリズム聖剣やプリズムバトンに代表される半透明の武器など、意欲が見て取れる。
 アイキャッチがイラストでなくなったのもこの『フラッシュマン』からだ。
 内容的にも、連続ドラマとして盛り上がった『チェンジマン』を引き継いで、最初から大河ドラマとしてストーリーが作られている。
 「ある日、地球から5人の子供が宇宙の果てにさらわれた。そして20年後…」というシリーズ初のアバンタイトルが全てを語っている。
 フラッシュマン5人の、自分達をさらったメスへの復讐心、記憶も残っていない両親への思慕、初めて降り立った母なる星への想いなどを縦糸に、メスとの戦いを横糸にして物語が進む。
 そして、時村一家という、子供をさらわれた側を登場させることで、時村が誰の親なのかという疑問や子供をさらわれ探し求める親の側の気持ち、ほかの4人の両親もそのうち見付かるかもしれないという希望を同時に描いた。

 ところが。
 ちょうどこの昭和61年(1986年)という年に放映されていたメインスポンサーが同じ『機動戦士ガンダムZZ』、『時空戦士スピルバン』も、“行方不明の肉親を探し求める物語”だったのだ。

 『ZZ』では主人公ジュドーの妹リィナが敵にさらわれたことがジュドーの戦う目的を作っているし、『スピルバン』では、少女仮面ヘルバイラに改造された姉ヘレンを探すということが縦糸となっている。
 スポンサーである某B社は、これがかなりお気に召さなかった。
 『宇宙刑事シャリバン』(昭和58年放送)のころに言われたことだが、「シャリバンは自分の星のことばっかりに一所懸命だ」というのがある。
 これは、シャリバンの終盤がイガ星再興というシャリバンの悲願のための戦いのように見えることを指して言われた言葉だ。
 つまり、“ヒーローが自分の事情で戦うことに対する違和感”というのが問題になったのだ。
 まぁ、1つくらいならB社もそんなに目くじらを立てなかったのだろうが、3つも重なったのはまずかった。

 結局B社から『主人公の戦う動機を肉親探しにしてはならん』との厳命がくだってしまい、『ZZ』では、リィナが死んでしまい(実は生きていてラストで再会を果たすのだが)、『スピルバン』では、ヘレンを元の身体に戻して仲間(ヘレンレディ)にしてしまった。
 こんな中、既に時村一家が登場していたフラッシュマンは、最も影響を受けずにすむ形になった。
 時村夫婦を頻繁に登場させながらも“時村夫婦が誰の親か”という部分についてはあまり深く触れず、科学者としての面を見せることでフラッシュマンを支える形になっている。

 だが、もしこの横やりがなければ、ジン達5人はもっと親探しに精を出せたかもしれない。

 例えば、20話『復活! 巨大ロボ』登場した少女スミレは、ダイの妹かもしれないと目されていたのだが、37話『幽霊の初恋』で、結局無関係だったことが明らかになった。
 妹かもしれないと期待させておいての肩すかしに随分物議を醸したのだが、もしかしたらそれもこのお達しの影響だったのかもしれない。
 結論から言えば、ラスト辺りでは反フラッシュ現象がストーリーのメインになったため、親探しどころではなくなり、時村夫婦がサラの両親だと分かっただけで、ほかの4人は手掛かりすら掴めずに終わった。

 ところで、この反フラッシュ現象というのは、この手の番組では非常に珍しい“リアルタイムで流れていく時間”を取り入れたものだ。
 46話『たった20日の命!!』で、フラッシュマンが地球にいられる時間はあと20日、つまり最終回の前後編までの3週間分の時間しかなかった。
 残り時間20日、つまりフラッシュマン達は最終回までのリアルタイムの中で生きていたのだ。
 クリスマスやお盆、正月などの時期ネタ以外でこういった時間の経過を見せるのは珍しい。
 ただし、週1話の番組でこれをやるのは非常に難しく、次の話になると7日経っているという妙な状態になってしまった。
 これを説明するためには、“フラッシュマンは、戦いが終わる毎に1週間寝込んでいた”と考えるしかない。
 まぁ実際、彼らがラウンドベースの中で寝込んでいるシーンから始まるような印象が強いのだが。
 この辺りの時間配分は結構とんでもなくて、最終回が始まった時点で残り時間が10時間もあるため、フラッシュキングを呼び出すと2時間経過、フラッシュキングが破壊されて2時間経過、フラッシュタイタンを呼び出して2時間経過、タイタンノバを撃ち尽くして2時間経過、ラボーに突入するまでに1時間半かかり、突入したときには残り時間が30分ほどということになっていた。
 今なら、最終回前の段階であと1日という状態にして、前後編だっただろう。
 リアルタイムとの時間のズレを気にしなければ、ここまで違和感のある時間経過は起きなかったはずだ。

 ちなみに、フラッシュマン達は残り時間ギリギリまで戦っていたため、サラを時村一家と会わせることなくフラッシュ星に帰ることになったのだが、よく考えてみると、そのせいで後片付けされないまま残された瓦礫の山が残っている。
 破壊されたフラッシュキング、エネルギーを使い果たしたグレートタイタン、ラボーの残骸、飛べないために置き去りにしたラウンドベース…。
 持って帰ったのは、スターコンドルだけというお粗末さ
 今でも、最後の戦場には残骸達が転がっているのだろう。

 結局『フラッシュマン』は、巧く転がせる要素を多く持ちながら、それを生かし切れていなかった感がある。
 シャットゴーグルも、戦闘中には決して開くことはない(開くのは変身が解けるとき)ため、変身シーンでの演出の1つにしかならず、変身前と変身後の一体感を出すには至らなかった。
 そして何より、彼らが一番大切な目的を果たすことなく地球を去らざるを得なかったという無力感が、勝利というカタルシスを打ち砕いてしまったことも有終の美を飾れなかった要因と思える。
 寂寥感のあるEDにも勿論いいところはあるのだが、結局フラッシュマンは、反フラッシュ現象という運命に逆らえなかったのだから。

 なお、27話『ダイ友情のパンチ』で、レッドマスク・タケルを演じる海津亮介がリュウ役で登場している。

 ところで、ものすごくどうでもいいことなのだけど、仕事の関係でトイレ用機器のカタログを見ていたら、「flashman」という商品を見付けてしまった。
 フラッシュバルブ(トイレの水を流す装置)の一種で、男性小用の便器に取り付ける、赤外線で人が離れると自動的に水が流れるやつだった。

 便器のカタログを見てニヤニヤ笑っている鷹羽は、きっと同僚から不審に思われたに違いない。

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