主題歌
- オープニングテーマ:電撃戦隊チェンジマン
- エンディングテーマ:NEVER STOP チェンジマン
- 挿入歌:ファイト! チェンジロボ
ピンチはチャンスだ! チェンジマン
WE CAN CHANGE
主題歌を歌っているのは、現在ではアニメソングのプリンスと呼ばれる影山ヒロノブ。
当時、初めてトクサツソングを歌うことになったことに照れまくり、「KAGE」と名前を変えての登場となった。
2年後に『光戦隊マスクマン』で再び登場するが、その時は既に影山ヒロノブ名で出ている。
挿入歌『WE CAN CHANGE』は、36話『見たか! 俺達の力』のラスト、電撃戦隊基地を歩く5人のシーンのBGMや、最終回ラストの宇宙に旅立つ仲間の宇宙人達とチェンジマンが別れの敬礼を交わすシーンで流された印象深い曲だ。
「チェンジマン」などの言葉が入らない曲なので、卒業式などでさりげなく流してみたい曲である。
最終回のEDがいつものものと同じだったにもかかわらず鷹羽は感動した覚えがあるが、今ならこの別れのシーンの『WE CAN CHANGE』でグランドエンディングとなるだろう。
事実、次回作『超新星フラッシュマン』では、5人が地球を離れるシーンにエンディングがかぶって終わっている。
基本ストーリー
ある日、地球守備隊の若き士官達が地獄の訓練を受けていた。
過酷な訓練に嫌気が差して訓練をやめようとした疾風に対して鬼軍曹の発砲しようとしたため、士官達は全員訓練をボイコットする。
その時、空から巨大な卵が落ちてきた。
その中から誕生したヒドラー兵、そして宇宙獣士ガブーが士官達を襲う。
大星団ゴズマが地球を新たなターゲットに選んだのだ。
次々と倒れていく士官達。
生き残った5人が「負けてたまるか!」と闘志を燃やしたとき、地球から不思議な光が放たれ、5人の姿が変わった。
不思議な光の名はアースフォース。
地球が危機に陥ったとき、地球自身が選んだ戦士に与える神秘の力だ。
実は、この地獄の訓練は、アースフォースを浴びる資格を持った心身共に強靱な戦士を育成するためのものだったのだ。
そして、ゴズマという巨大な敵に対し、地球は剣達5人を選んでアースフォースを浴びせた。
伝説獣の力を手にした5人は、電撃戦隊チェンジマンとなり、ゴズマの地球侵略を防ぐため戦うのだ。
メンバー
チェンジドラゴン(レッド):剣飛竜
元地球守備隊航空部隊将校。
伝説獣と頭部のレリーフはドラゴン。
放電技ドラゴンサンダー、突撃技ドラゴンアタック、ドラゴンキックなどの技を使う。
仲間のピンチに、突然ドラゴンキックで割り込んでくるというヒーローの鑑のような戦士だった。
1話の訓練では、疾風に本気で発砲した伊吹軍曹(伊吹長官の仮の姿)に対して怒りを燃やし、訓練をボイコットした。
高校時代は野球部のエースピッチャーで、消える魔球「ドラゴンボール」をひっさげて話題をさらった(ただし、優勝はしていないようだ)。
少々朴念仁で、ナナの気持ちには気付いていないらしい。
チェンジグリフォン(ブラック):疾風翔
元地球守備隊レンジャー部隊将校。
伝説獣と頭部のレリーフはグリフォンで、本来グリフォンとは鷲の頭と羽、ライオンの身体のはずだが、ここではヘビの尾と翼を持ったライオンの姿である。
地割れを起こしてマグマをぶつけるグリフォンマグマギャラクティー、突撃技グリフォンアタックなどの技を持つ。
“地球守備隊に入れば女の子にモテる”と聞いて入隊したナンパ野郎で、訓練で髪が乱れたことから脱走しようとしたという、よく考えると相当とんでもない男。
女子供にはとにかく甘く、カッコつけるために本気で命を張る男でもある。
シーマ、アハメスが化けた人間体に騙されたことがあるため、46話『美しきシーマ!』では、記憶を失ったシーマを最後まで信用しようとしなかった。
チェンジペガサス(ブルー):大空勇馬
元地球守備隊陸上部隊将校。
伝説獣と頭部のレリーフはペガサスで、放電技ペガサス稲妻スパーク、突撃技ペガサスアタックなどの技を持つ。
爆発物のプロであり、野球ボールと感触・重量共にそっくりな爆弾ボールを作ったこともある。
食いしん坊で、退役後はトンカツ屋になるという夢があり、その資金に充てようと、拾った水晶をネコババしたり、ズーネが生み出したダイヤをこっそり拾っていたりした。
電撃戦隊1の音痴であり、電撃戦隊カラオケ大会で大笑いされたり、注射が苦手で看護婦に泣きついたりと、大変に特徴的な弱点を持っている。
また、食欲に対して大変素直で、1話の特訓時にも、朝食の際にこっそりおにぎりを作って持ってきておくような用意周到さと、パトロール中に買い食いする神経を持ち合わせている。
チェンジマーメイド(ホワイト):渚さやか
元地球守備隊作戦部隊将校。
伝説獣と頭部のレリーフはマーメイド、津波を起こすマーメイドビッグウェイブ、突撃技マーメイドアタックなどの技を持つ。
冷静に状況を分析する面と、情緒的に相手に当たる二面性を持っており、狙って使い分けているわけではないのだろうが、結果的にその時々に応じた対処を行っている。
特に他人の色恋沙汰には首を突っ込みたがる癖があるようだ。
チェンジフェニックス(ピンク):翼麻衣
元地球守備隊諜報部隊将校。
伝説獣と頭部のレリーフはフェニックスで、火炎放射フェニックスファイヤーと突撃技フェニックスアタックなどの技を使う。
感情的で直線的な性格。
戦略的なことよりも“今何をしたいか”が行動理念になっているようで、あまり諜報部には向いていないようだ。
前線で戦うチェンジマンになったのは正解だったと言えよう。
伊吹長官
鬼軍曹の真の姿。
地球守備隊日本支部所属電撃戦隊長官。
ゴズマの地球侵略を防ぐため電撃戦隊を組織し、チェンジスーツ、チェンジロボなどを開発させた。
開発の裏には、恐らく伊吹長官の知識が相当生かされているものと思われる。
厳しい反面、戦闘の後にチェンジマンと一緒に風呂に入るようなアットホームな付き合いもできる人。
その正体は、ヒース星人ユイ・イブキであり、ゴズマを倒すために地球にやってきたのだ。
そのため、ワラジーの奏でる『故郷を想う歌』に、こっそり目頭を押さえていたりする。
戦士団
電撃戦隊所属の戦士達で、普段は電撃戦隊基地内で働いている。
かつて剣達同様に地獄の特訓を受けたが、アースフォースを得られなかった者達。
それだけにアースフォースに選ばれたチェンジマンを誇りに思っており、精一杯のバックアップをしている。
電撃戦隊
伊吹長官が作り上げた特殊部隊。
当初は日本支部内に密かに設置された秘密部隊だったが、5話『ペガサス逮捕指令』でジョンソン本部長から認められ、公式部隊となった。
伊吹長官の下、チェンジマン、戦士団、整備班、医療班などから成っている。
基地内には、シャトルベースの格納庫やチェンジロボの整備スペースのほか、居住スペース、大浴場、食堂などがあり、隊員達はほとんどの時間をこの基地で過ごすことになる。
変身システム
剣「レッツチェンジだ!」
疾風・大空「おう!」
さやか・麻衣「OK!」
剣「レッツチェンジ!」
5人「チェンジマン!(1人の時はレッツチェンジ! チェンジドラゴン!など)」
と叫び、チェンジブレスをはめた左腕を高く掲げると、ブレスが輝きチェンジスーツが装着される。
ちなみにこのチェンジブレスは、地獄の特訓に参加していた士官達は全員所持していたもので、これを付けた者がアースフォースを浴びることにより、内蔵されたチェンジスーツが稼働を始めるという仕組みだったようだ。
変身アイテムのほか、通信機や武器としても使えるスグレ物である。
ブレス表面の黒いカバーはターゲットスコープになっており、ブレス脇にせり出した発射口からブレスレーザーというビームを射出する。
ブレスレーザーは小口径なので大した出力はないのだが、それでも宇宙獣士や幹部を少しひるませる程度の威力はあり、不意打ちやちょっとした牽制には結構便利だった。
更に、黒いカバーの下にはもう一段階のパネルがありそれを展開すると通信モニターになっていて、『ウルトラセブン』のビデオシーバーよろしく通信できる。
チェンジマンの装備は、地球製のメカニックがアースフォースの力で動くという一風変わったシステムであり、また、メカニックだけでなく剣達の肉体そのものもアースフォースによって相当強化されているようだ。
そのせいか、チェンジマンの技は武器による攻撃と言うよりアースフォースの力による攻撃と言った方がしっくりくる。
アースフォースをみなぎらせてのアタック技、アースフォースによる特殊能力であるドラゴンサンダーなどの個別技、額のレリーフから伝説獣パワーを撃ち出すパワーシュートなど、単に銃を撃つ、剣で斬るというのを超えた次元になっている。
ところで、このチェンジブレスもアニメウォッチとして発売されており、本編同様、ブレスレーザーの発射形態になる上、レーザーの代わりにミサイルを発射するギミックもついている。
さらに、通信機モードにすると液晶画面があって時計になっているという、本物そっくり(さすがに通信機の画面ではないが)のギミック付き!
実際に撮影でも、アップ以外ではオモチャが使用されていることが多かったという。
これは正に実物大のオモチャであり、黒色半透明のカバーといい、本物テイストに溢れるシロモノだった。
チェンジマン関係のオモチャには出来のいいモノが多いが、これはその筆頭と言える。
名乗り
「チェンジドラゴン!」
「チェンジグリフォン!」
「チェンジペガサス!」
「チェンジマーメイド!」
「チェンジフェニックス!」
「電撃戦隊! チェンジマン!」
というのが正式だが、やはり時間短縮の影響か全員での名乗りはあまり多くない。
普段は、5人揃うといきなり「電撃戦隊! チェンジマン!」と名乗って終わりというパターンだった。
武器
アースフォースによる特殊技や肉弾戦闘を得意とするチェンジマンには個別武装がなく、共通武装として右腰に下げたチェンジソードと左腰に収納されたズーカがあるだけだ。
このことがチェンジソードの印象を強くしている。
チェンジソードは、分離して剣と盾になり、盾を使用しての立体的な戦闘を可能にしている。
また、チェンジマンが発するアースフォースの強弱によっても出力が変わるようで、複数のチェンジソードによる合体技も豊富にある。
銃形態ではマーメイドとフェニックスによるダブルソードオーロラシューティングをはじめ、ペンタフォーメーション(5人で取り囲んで一斉射撃)、電撃ビクトリービーム(5人が空中でVの字になって一斉射撃)、剣形態ではクロスハリケーンソード(盾と剣を合わせ、更に5人の盾を合わせて巨大なブーメランにする)、アースフォース電撃ソード(背後に伝説獣が現れ、そのエネルギーをソードに込めて突き刺す)など、さまざまだ。
そして、個別武器がない分なのか、必殺技も武器となった。
5人のズーカを合体させたパワーバズーカである。
普段左腰のズーカーボックスに縮小収納されているドラゴンズーカ(バズーカ本体)、グリフォンズーカ(砲身先端)、ペガサスズーカ(接合パーツ下)、マーメイドズーカ(照準部)、フェニックスズーカ(接合パーツ上)の5つを取り出して合体させるとパワーバズーカとなる。
それをグリフォン以下4人で支えて、ドラゴンが(やはり縮小されていた)弾丸を取り出して「セット」、マーメイドが照準を合わせて「マーク」、そしてドラゴンの「ファイヤー!」の掛け声でと発射する。
パワーバズーカは、後にハードウォールをうち破るためにパワーアップする。
パワーバズーカを構えた5人の背後に伝説獣が浮かび、そのエネルギーが弾丸に吸収されて輝き、破壊力が段違いになるのだ。
チェンジロボの電撃剣でも破れないハードウォールを破れるということは、一点集中の破壊力はスーパーサンダーボルト以上ということになる。
恐ろしい威力だが、それでもアハメス転じた宇宙獣士メーズには跳ね返されてしまった。
このパワーバズーカは、“必殺技をオモチャに!”というスポンサーからの要求だったと思われる。
その分個人武器をなくして個人用のズーカの合体という方向で落ち着いたのだろう。
オモチャでは、合体時に野球ボール程度のプラスチックボールを発射できるほか、バラバラでもミサイルなどを発射できるようなギミックがついていた。
本編でも、勿論1つずつのズーカが武器になっている。
照準器に過ぎないマーメイドズーカまでミサイルを発射できるのも、5人で遊ぶときのプレイバリューを考えればこそだ。
そして、個人武器がない分、チェンジソードの活躍が目に付く。
デザイン的にも綺麗にまとめられたチェンジソードは、オモチャとしてもよくできていた。
銃の下半分を盾に、銃身部分を剣のグリップにするというアイデアの勝利だ。
さすがに強度などの問題から刀身自体は短いのだが、メッキされた刀身はやはり綺麗で、剣のオモチャはこうでなくてはという気になる。
また、盾と剣を構えたポーズも絵になるようなデザインであり、なかなかのデキだったと言っていいだろう。
移動装備
移動用マシンとしては、おなじみの4輪車チェンジクルーザーのほかに、5人のバイク:オートチェンジャーがあり、5人ともバイクに乗っている初めての戦隊となっている。
ただし、改造を施されたバイクは、道路交通法の関係で撮影場所までの道路を自走することができずトレーラーで運ぶという手間が掛かるため、出番が極端に少ないのは残念だった。
ロボット等
電撃戦隊基地から発進すしたシャトルベースが着陸(挿入歌『ファイト! チェンジロボ』)すると、前部からジェットチェンジャー1(頭部・腰部・大腿部:ドラゴン操縦)が、後部中央の上が開いてヘリチェンジャー2(胸部・腹部・腕部:グリフォン・マーメイド操縦)が、後部脇から中央に寄って合体したランドチェンジャー3(脚部:ペガサス・フェニックス操縦)が前部からそれぞれ発進し、「合体! アースコンバージョン!」でチェンジロボになる。
この一連の流れは、挿入歌『ファイト! チェンジロボ』とリンクしており、歌詞の「いくぞ合体アースコンバージョン」の直後に「合体! アースコンバージョン!」のセリフが入る。
武器は両肩のチェンジバルカンと腹部のチェンジミサイル、そしてチェンジシールドから引き抜く電撃剣である。
シールドに鞘としての役目を持たせることで、毎回シールドの出番があるというのもおいしいシチュエーションだったと思う。
必殺技は「電撃剣・スーパーサンダーボルト」で、剣に電気エネルギーを集めて切り裂く。
バイオロボの2機合体から、再び3機合体に戻ったわけだが、ジェット機、ヘリ、戦車という取り合わせに工夫が見られる。
デザイン的にかなりオモチャオモチャしたシロモノになってしまい、一部では不評だが、合体システム自体のデキはかなり良く、特に戦隊シリーズ唯一のヘリコプターメカ:ヘリチェンジャーのアイデアは秀逸で、ロボの腕をランディングギアにして、胸板と背中を一体化した機体が2つに割れてその空洞の中をジェットチェンジャーが通り抜けて上半身になるというとダイアポロン合体をしている。
また、空母側との商品リンクも素晴らしく、オモチャのシャトルベースの噴射ノズル部分をスイッチ機構にして、収納されたヘリチェンジャーをエレベーターでせり上げ、その後、左右分割されたランドチェンジャーをスライド合体させるという機能を持たせている。
別売である空母と巨大ロボの商品をリンクさせて、両方持っていると2倍楽しめるというストレートな魅力作りは高く評価できる。
空母商品の中では、最もプレイバリューに富んだものになった。
チェンジロボは、当時バンダイが発売していたデフォルメ変形ロボット『ロボチェンマン』シリーズにも登場している。
変形してプルバックゼンマイで走行するこのシリーズには、ウォーカーギャリア、ビルバイン、ガラットシリーズなどがあったが、トクサツ系はチェンジロボだけだった。
チェンジロボの変形は実際と違い陳腐だったが、チェンジマンの人気を裏付ける1つの証拠はなるだろう。
なお、同シリーズにはそのロボットのアイテムを模した簡易ドライバーが付くのだが、チェンジロボではチェンジドラゴンのデフォルメフィギュアで、オマケとしてチェンジマーメイドのフィギュアも付属していた。
敵組織 大星団ゴズマ
首領:星王バズー
常にホログラフィーで現れて指令を下す謎の存在。
失敗した部下には容赦しない冷酷な首領だが、反面滅ぼした星または降伏した星の住人を傘下に加える度量を持つ。
その正体は惑星規模の巨大生命体:ゴズマスターだった。
バズーの絶対的優位の理由はその正体不明という点にあり、ホログラフィーで現れるのもそのためと考えられる。
大幹部:ギルーク司令/ゴーストギルーク/スーパーギルーク/宇宙獣士ギラス
ゴズマ侵略部隊司令として、ゴズマードで幾多の星を滅ぼしてきた。
今回も航行中に地球を発見し、侵略を開始しただけで、地球自体に特に興味があったわけではない。
ギラス星最強の武人であり、ギラス鋼鉄を鍛えたギラス剣を携えてギラス2刀流で戦う。
また、バズーに破れた後行方不明になったアハメスの生死を気に掛けていたり、その生存に喜ぶなど、アハメスに対してそれなりの感情を抱いていたようだ。
最後のチャンスとしてリゲルオーラを浴びる作戦に出るが、アハメスに横取りされ、せめてチェンジマンを倒そうとするもパワーバズーカの前にギラス剣も叩き折られ、バズーの手で宇宙の墓場に送られてしまった。
だが、執念からゴーストギルークとなって短時間ではあるが地球上に実体化することができるようになる。
恐らくは、地球から宇宙の墓場に送られたため、地球上にしか出現できないのだろう。
実体を得るため、シガール星のお菓子をむさぼり食う姿は爆笑ものである。
そして、実体化するために選んだ最後の手段がリゲルオーラだった。
地球にしか出現できないゴーストギルークは、既に1度リゲルオーラを発してしまったナナから、もう1度リゲルオーラを搾り取ろうとする。
宇宙獣士ゴーダを作ってギラス星の黒ミサを行い、リゲルオーラを搾り取ったゴーストギルークは更なる力を得てスーパーギルークとなって実体化した。
ちなみに、黒ミサでの呪文は
セーダー、ラー・オルゲリー
で、逆から読むと「リゲルオーラ出せ」となる。
ブーバを、シーマを宇宙獣士化し、ジャンゲランも宇宙獣士にして利用したスーパーギルークの魔の手は、裏切者の女狐:アハメスをも宇宙獣士化し、それすら破れると自ら宇宙獣士となって戦う。
宇宙獣士ギラスという名、その両手から生えたギラス剣など、どこまでもギラス星を愛していた証。
全てを捨てた悪魔も、故郷ギラス星への愛は捨てていなかったのだ。
大幹部:女王アハメス
かつてゴズマに滅ぼされたアマゾ星の女王。
ギルークのギラス星軍と同盟して戦ったが破れ、落ち延びて再起を図った。
アハメスは、アマゾ星再興という目的のために、自分に求婚してきた宇宙海賊ギガラを利用したり、目立ちたがりのギルークと宇宙獣士ボルタを競わせて地球侵略を進めたりと手段を選ばない。
ついにはギルークに代わって地球遠征軍の司令になるべく、持てる全戦力を結集してリゲルオーラ争奪戦に勝利した。
リゲルオーラを浴びているときの何とも言えないエクスタシーの表情は、リゲルオーラそのもののためよりは、アマゾ星再興に一歩近付いたことへの悦びのせいだったのではないだろうか。
手に入れたスーパーパワーは、強固な透明の壁ハードウォールを作り出す能力、チェンジマンの変身を強制解除するハードアタックの2つだが、真の力を引き出したチェンジマンには通じず、敗北を続け、ゲーター、シーマと裏切者まで出してしまったため、スーパーギルークによって宇宙獣士メーズに変えられてしまう。
執念でメーズから分離したものの、もはやアマゾ星再興の夢は潰え、電撃戦隊基地を破壊し尽くして爆炎に消えてしまった。
なお、アハメスの表情というと、上記のリゲルオーラを浴びる恍惚の顔が有名だが、鷹羽的には38話『幽霊ベースボール』でゴーストギルークを初めて見たときの怯えた表情が可愛らしくて好きだ。
ちなみに演じている黒田福美氏は、番組終了約半年後に、映画『たんぽぽ』に出演してメジャーになった。
幹部:副官ブーバ
地球遠征軍の副官で、シーマとは同等の立場。
元は宇宙海賊で、ゴズマに破れて傘下に入った。
斧にも変形する剣:ブルバドスを使う。
余談になるが、映画『プレデター』のクリーチャーデザインがブーバのデザインをパクったものであることは、デザイナーのスティーヴ・ウォンも認めているそうだ。
宇宙獣士ボルタを見て失神したシーマを受け止め、「お前、そんなに俺のことを…」と勘違いし、その後シーマが「ボルタ様…」と言った途端に「たわけ」と放り出す姿が印象的。
ブーバの人間味は、岡本美登氏の演技によって生きた面も大きい。
「強い者が全て」という信条のブーバには、戦うための理由はなく、単に“自分より強い者に従う”という信念があるだけ。
そのため、ワラジーが奏でる『故郷の星を想う歌』にもただ1人反応しなかった。
スーパーギルークによって宇宙獣士にされそうになったが、かつての相棒ジールに救われ、“何者にも取り込まれない自由な海賊魂”を思い出し、宇宙獣士ダリルとシーマの対消滅作戦からシーマを救うため、チェンジドラゴンと一騎打ちの末破れた。
なお、シーマに放ったブルバドス活人剣は、恐らく衝撃波で相手を仮死状態にするというショック技の応用だったものと思われる。
何しろ、海賊が使う剣法なのだから。
「チェンジマンの好敵手:海賊ブーバ地球に死す。年齢不明、生年月日不明、生まれた星も不明…」
幹部:副官シーマ
美貌と男のような声(飯田道郎:メタルダーなど)のギャップがウリの副官で、地球によく似た星:アマンガ星の王女。
衝撃波を発するステッキ:シーバを愛用している。
宇宙獣士ボルタの大ファンだったが、ボルタが垂れ目であることを知って「タコ!」と見捨ててしまった。
動物を人間型にする宇宙獣士ウーバのミルクで育ったが、元来人間型の宇宙人だったらしい。
やはりアマンガ星再興のためにゴズマの傘下に加わっている。
“愛よりも憎しみ、平和より戦い”を教えられて育ったが、本来は穏やかな性格の持ち主らしい。
46話『美しきシーマ』で記憶喪失になったときの姿こそが彼女の本性だったのだ。
スーパーギルークによって宇宙獣士ズーネにされたが、ワラジーの吹く“故郷の星を想う歌”を聞いて自我を取り戻し、ズーネから分離した。
アマンガ星人は、アマンガエネルギーという特殊なエネルギーを持っており、宇宙獣士ダリルの反アマンガエネルギーと対消滅を起こす。
ゴズマは、かつてこの性質を利用し、ダリルの大群を派遣してアマンガ星を滅ぼしたのだが、アハメスは、同じ方法でシーマごとチェンジマンを倒そうとした。
なお、初戦でシーマとダリルに挟まれたとき、危機を察して脱出したドラゴンは、迷うことなくダリルの方を蹴飛ばして状況を打開している。
この一件でゴズマに絶望したシーマの心を察したブーバの手によって、シーマは仮死状態となって危機を脱し、チェンジマンと共にゴズマと戦うことになる。
ただ、その後は声もシーマ演じる藤枝かな氏自身がやっているのだが、大根役者だったのは惜しかった。
一応書いておくが、『チェンジマン』は、最近リニューアルして人気の日産の某高級車の初代発売よりも先に放送されている。
航海士:ゲーター
ゴズマードの航海士を勤めるナビ星人。
ひょうきんで開けっぴろげな性格で、なぜか大阪弁をしゃべる。
ゴズマードの中では弱い立場であり、時々ギョダーイをいじめて憂さ晴らしをしていたが、24話『ギョダーイの家出』でギョダーイの悲しみに触れて「よしよし、ようやった。もうあんまりいじめんからな」と慰めるなど、人情味溢れる性格をしている。
この辺りは、声優の増岡弘(マスオさん)の熱演もあって、非常に生きたキャラになった。
ナビ星もかなり以前にゴズマの侵略を受けたようだが、攻撃的でない能力のためか、平和な生存を許されている。
もしかしたら、ゲーターのような航海士を多く輩出し、その腕を買われて生かされているのかもしれない。
ゲーターは3年間ナビ星に帰っていないが、27話『ゲーター親子の夢』で妻ゾーリーが地球にやってきた際に何かあったようで、51話『ナナよ! 伝えて!』で娘クックが生まれている。
ナビ星人のゲーター、つまりナビゲーターというネーミングで、更にゲーターから下駄を連想して妻ゾーリー(草履)、息子ワラジー(草鞋)、娘クック(靴? ズック?)というゲーター一家のネーミングに繋がっている。
シリアスな設定が特徴のチェンジマンで、こういうネーミングセンスは非常に光っている。
心ならずも侵略の片棒を担いでいることを息子ワラジーに知られ、ワラジーの吹く“故郷の星を想う歌”をやめさせるために笛を破壊し、心を痛めていたゲーターは、2人目の子供が産まれることを知って苦悩する。
産気づいたゾーリーのいる場所がネオジャンゲランの誕生によって破壊される地区だと知ったゲーターは、遂にゴズマを裏切る決意をする。
自分も殺されるかもしれない状況下で、「ワイは赤ちゃんを抱きたいんや!」と叫びながら、ジャンゲランの卵を破壊するゲーターは、正に父親だった。
このゲーターの行動は、勇気と呼ぶべきものではなく、その場の感情にまかせた蛮勇に過ぎないが、逆に感情の赴くままに行動したということの意味が大きい。
“後先考えない愛”…これがあらゆる打算を超える必死の行動力と奇蹟を生んだのだ。
巨大化要員:ギョダーイ
ギョダーイ星の原住生物で、口の中にある目から巨大化光線を発射することができる。
この光線を浴びると、生物は巨大に、死体は再生されて巨大になる。
死者を生き返らせるほどの力を自分の星でどういう目的で使っていたのかは分からないが、その能力のために乱獲され、現在ゴズマードにいるのが最後の1体らしい。
宇宙獣士が倒されると、専用のゴズマ戦闘機で地球に降り、巨大化光線を発射して帰る。
消化器官が弱いため、1度巨大化光線を発すると暫くへろへろになってしまうのだ。
牛程度の知能を持ち、人語をある程度理解できるため、コミュニケーションにはさほど苦労はしないようだが、自分の意志を相手に伝えるほどの表現力はなく、ホームシックにかかったときには黙って家出してしまった。
この時にチェンジマンと面識を持ったため、チェンジマン側からは「ギョダーイは可哀想な宇宙生物だ」と認識されている。
そのため、「宇宙獣士を巨大化させないようにギョダーイを殺そう!」という発想がなく、最終回で、ナナの「ギョダーイも助けてあげて!」という言葉に、チェンジマンが何も疑問を抱かず、爆発するゴズマードからギョダーイを救い出すという描写に違和感がないのだ。
約1年もの長きに渡ってパワーバズーカの音の直後に巨大化光線を発していたため、“パワーバズーカの音を聞くと、破壊されたものに巨大化光線を浴びせる”という条件反射が身についてしまった。
このため、54話『ギルーク大爆発!』では、その必要もないのにギラスを巨大化させてしまったが、最終回『さらば宇宙の友よ』では、バズーに飲み込まれたチェンジマンは、その習性を利用して、パワーバズーカを撃ってギョダーイにメモリードールを巨大化させてもらい、バズーの体内から脱出している。
怪人:宇宙獣士
ゴズマの侵略行動の尖兵となって働く実働部隊。
この『宇宙獣士』という言葉は、チェンジマン世界ではごく一般的な用語のようで、特段ゴズマが作り出した生物兵器というような意味合いは持っていない。
つまり、ゴズマと戦う大多数の星でも宇宙獣士を擁しており、宇宙獣士対宇宙獣士という構図はあちこちで見られるもののようだ。
では何をもって宇宙獣士なのかというと、これがどうもはっきりしない。
知能の点でも、ギルークやアハメスを上回るバルルカがいるし、ガブーはギルークにタメ口をきいている。
指揮官の下で働く者ばかりでもなく、トーラ星出身のボルタ(トラボルタというネーミングの遊び)のように単独で50もの惑星を征服した者もいる。
ボルタなど、宇宙人と表現しても問題なさそうなキャラだ。
戦力的に見ても、幹部であるブーバやシーマと比べて遜色ない連中が多く、逆に幹部がどうして宇宙獣士と呼ばれないのか不思議なくらいだ。
また、アトランタ星人タローがデモスにされ、シーマがズーネ、アハメスがメーズにされたように、付加能力的に宇宙獣士にされる者もいる。
口が利ける者もいれば利けない者もいるし、どの点をもって宇宙獣士と呼ぶのかは難しい。
そこで最大公約数的解釈をすると
何らかの一芸に秀でており、その特殊能力を主体として作戦を行う生物の総称
というのが相当するのではないだろうか。
例えばボルタは、サングラスの力を借りた超高速戦闘、バルルカは頭脳を生かした弱点分析戦闘、ズーネは爆発するダイヤを生み出す能力といった具合だ。
そして、一芸に秀でているということは同時に“それしか取り柄がない”とも言い換えることができ、その意味で「宇宙獣士ごときに…」という蔑みが生まれる余地がある。
幹部達を見れば、汎用性の高い能力を持っていることが分かる。
つまり、幹部は自分の得意な戦闘分野を持たない代わりに、どんな戦局にも対応できるのだ。
鷹羽はこの解釈が一番納得しやすいものだと考えている。
怪鳥:ジャンゲラン
アハメスが宇宙を流浪している間に手に入れた宇宙の怪鳥。
2つの頭部と2本の翼手、2本の脚、1本の尻尾を持つ。
右の頭(金色1本角)から冷凍ガス、左の頭(銀色2本角)から炎を発し、羽ばたきで嵐を起こす。
ジャンゲランの卵をマグマに投じると、マグマに耐えた1個からは3つ首の怪鳥ネオジャンゲランが誕生する。
バズーによって分離させられ、宇宙獣士ジャン(右半身)とゲラン(左半身)になった。
戦闘員:ヒドラー兵
卵から生まれる狂暴な宇宙生物。
ヘビのような舌を持ち、身体のパイプを切ると消滅する。
生まれた後はあらゆる所に潜んでおり、呼ばれると現れる。
知能が非常に低いため、戦闘機の操縦はできず、ゴズマ戦闘機は操縦席がありながら自動操縦である。
そんなこともあってヒドラー兵は消耗品扱いであり、数が少なくなると卵の状態で輸送されて補給される。
アハメスはバズーの傘下に加わる前に、輸送中のヒドラー兵の卵を奪ったことがあるが、その際ヒドラー兵はアハメスの命に従っていたので、卵に何かすると、その者に従う習性があるのかもしれない。
大星団ゴズマは、星王バズーという巨大な恐怖によって支配される異星人の混成集団である。
構成員は、ある者は自身が生きるため、ある者は故郷の星を人質に取られて、という具合に、それぞれが違う理由でゴズマに参入した。
また、ギョダーイのように本人がよく分からないまま参入させられてしまったというパターンもある。
当初バズー1人だったはずのゴズマは、今や数千数億の星を手中に収めているのだ。
被害者がそのまま加害者に編入されるという、ねずみ講のような組織だ。
そして、それら新勢力の参入によって膨れ上がり続ける組織は、“バズーへの恐怖”という共通項によって団結している。
逆に言えば、バズーに逆らわない限りは割と何でも許される組織であって、アハメスは、ゴズマに参入していない宇宙海賊ギガラを利用して地球侵略を図ったり、ボルタとギルークを競わせて結果的に地球侵略の手柄を独り占めしようとしているが、バズーはそれを許している。
反面、バズーを怒らせると、それまでの手柄など一顧だにされずに処刑の憂き目にあう可能性すらあるのだ。
ここで、バズーの正体について少し考えてみると、一種のスター・イーター、つまり星を食料とする巨大生物だったのではないかと思われる。
ゴズマスター本体に消化器官は確かにあったが、あの程度の容量の消化器官で、あれほど巨大な生命体が活動できるとは思えない。
つまり、知らずに星表面に降りた宇宙生物を食べる食虫植物的な生態だったのが、自己進化してより強大なエネルギー源である星そのものを吸収するようになったのではあるまいか。
ご丁寧に表情まで持っているホログラフィの姿で現れるから、誰もがそれに近い形の本体を持っていると考えてしまう。
機械生命体とも特殊なサイボーグとも考えられるあの姿から、まさかゴズマスターの姿を想像する者はおるまい。
伸縮自在なホログラフィで現れ、ゴズマードより大きく見えたりするときもあるが、それとてハッタリを効かせるために大きく投影しているとしか考えない。
バズーが星を破壊したというのをゴズマスターが破壊して吸収したと仮定すると、現場を見ていない者にとっては、星すらあっさりと破壊する力を持つ宇宙人と見えるだろう。
現場を見ていたような奴は、巻き添えを食らっておだぶつだろうから、ゴズマスターの正体は分からずに済む。
また、よしんば巨大なレーダーなどでゴズマスターを発見できたとしても、それ自身がバズーだとは気付かずに、惑星規模の破壊兵器を持っていると見るかもしれない。
こう見られた場合、一番ありがたいのは、ゴズマスターが星を食ったという状況が、『バズーは目障りな星を破壊衛星で破壊した』くらいにしか感じられないことだ。
バズーを倒そうとする者にとって、その巨大な武器を破壊するのは常套手段ではあるが、ちょっと近付けば、武器のつもりでいる相手がさっさと気付いて先手を打つだろうから、おしまいだ。
部下すらも隙あらば反乱しかねないゴズマという組織の中にあって、考えようによっては最も有効な隠れ蓑だとも言える。
さて、こうしてバズーをスター・イーターだと考えると、ゴズマが全宇宙を征服する理由というものが見えてくる。
バズーにとって星は食料、つまり、バズーの行為は大規模な餌場確保なのだ。
より多くの星の生物を配下にしておけば、その星の出身者がへまをやった時、お仕置き名目で星を食える。
前述のとおり、端から見ていると星を破壊されたとしか思えない。
ついでに“へまをすると自分の星を破壊されてしまう”という付加評価が付くから、恐怖支配に箔も付くし、いいことずくめだ。
単なる食事なのに、だ。
『チェンジマン』のラストでも、あのままゴズマスターが地球を破壊していれば、“とうとうバズーは自らの武器(或いは直属の秘密部隊)で地球を破壊した”と言われて終わるだけだ。
で、バズーは地球を食っていい気分というわけだ。
そう考えると、ゴズマの全宇宙侵略という行為には、大変な意味がある。
通常、世界征服とか全宇宙征服とか言っても、『支配してどうするの?』という突っ込みが入った場合、『お山の大将になっていい気分♪』くらいしか理由が思いつかないのだが、バズーの場合、“自分の食料を確保する”という立派な目的があったことになる。
また、太古の予言者ゼグが、バズーの正体を後世に伝えるためにメモリードールを遺した理由も分かる。
ゴズマスター本体は外的攻撃にはさほど強くないわけで、バズーの正体は絶対に知られてはならないのだ。
巨大化
パワーバズーカによって宇宙獣士が倒されると、ゴズマードから自動操縦のゴズマ戦闘機に乗ってギョダーイが降りてくる。
そして「ギョギョギョギョギョ…ギョダーイ!」の声と共に目から巨大化光線を出し、それを浴びた宇宙獣士は巨大化するのだ。
巨大化システムをキャラクター化してしまった開き直りも凄いが、前述のとおり、そのシステムの一環でしかないはずのギョダーイにあれほどの個性を持たせたことが、本作の成功の一因と言えるだろう。
中盤のパワーアップ
失敗を重ねたギルーク司令は、以前に地球にさらってきていたナナがリゲルオーラを発する時期になっていることを利用し、バズーの許可を得てリゲルオーラを浴びることにする。
リゲルオーラとは、テクノ惑星リゲルの人間が成長期にただ1度放射するエネルギーで、それを浴びればスーパーパワーを身に付けることができるのだ。
ギルーク、アハメス、チェンジマン三つ巴の争奪戦の末、アハメスはリゲルオーラを浴びる。
アハメスのスーパーパワーの前に戦意を失い掛けたチェンジマンの前に、オートチェンジャーを駆る黒ずくめの戦士達が現れた。
彼らはチェンジマンを後目にヒドラー兵と戦い、傷つき倒れていく。
その正体は、普段電撃戦隊基地にいる戦士団だった。
彼らは、チェンジマン同様の特訓をこなしながらもアースフォースに選ばれなかった戦士達だったのだ。
自分達が電撃戦隊の代表であることの自覚を新たにしたチェンジマンは、アハメスの攻撃の中で、アースフォースに与えられた力を完全に引き出した。
完全に目覚めたチェンジマンのパワーバズーカはハードウォールさえ打ち砕く!
こうしてチェンジマンは、真の力を引き出してアハメスのスーパーパワーを超えたのだ。
味方となった宇宙人達
ナナ
天才的な頭脳を持った人間ばかりが住むテクノ惑星リゲルの女の子。
ナナの父にそっくりな地球人熊沢を利用したギョダーイ強化作戦のため、リゲルからこっそり誘拐されてきた。
自動車に轢かれそうになった際に剣飛竜に救われ、それ以来剣に対して淡い恋心を抱いている。
もしかしたら初恋なのかもしれない。
チェンジマンにイヤリングを残して姿を消した後、田村一家に拾われて養われていたが、リゲルオーラを発する時期が近付いたために再びゴズマに追われるようになり、急成長後は田村家を出ていった。
その後、どうやったのか修学院女子高校に入学、女子高生として生活していたが、ゴーストギルークによって再びリゲルオーラを搾り取られ、学校を退学して新聞配達して生活するようになる。
配達中にたまたま出産間際のゾーリーに出会ったことから、ゲーターへの伝言役を務め、以後電撃戦隊基地にいついた。
剣への想いもあって、普通の女の子に憧れながらもゴズマと戦うことを余儀なくされ、バズーを倒した後は、伊吹長官らと共にシャトルベースで宇宙へと旅立つ。
せっかく剣と一緒に生きていける可能性が出たのに、惜しいことをしたもんだが、実は最終回撮影時点では、剣との別れの一悶着があったらしい。
放送時間の関係で、編集段階でカットされてしまったそうな。
どんな別れを迎えたものやら、実に見たいものである。
ゾーリー
ゲーターの奥さん。
3年も帰ってこない夫ゲーターを心配して地球にやってきたが、それをバズーに利用されたことがある。
2度目は、父に会いたくて家を飛び出した息子ワラジーを心配して追ってきた。
ワラジー
ゲーターとゾーリーの息子。
父に会いたい一心で地球へとやって来たが、かつてゲーターから貰った笛が、破壊兵器デロスターを始動させる音波を発するため、戦いに巻き込まれた。
更に、『故郷の星を想う歌』を全宇宙中継してゴズマの構成員の里心を呼び覚まそうというチェンジマンの作戦に協力したため、悪の手先として働く父の姿を見せつけられることになってしまう。
結局、妹の誕生と共に、正義のために戦う父をも得ることになり、実に誇らしげに宇宙へと旅立っていった。
さくら
メルル星人の子孫の1人。
メルル星人は、どんな生物の闘争心(本能ですら!)をも失わせる特殊能力を持っている。
バズーはその能力を恐れ、宇宙征服の第1歩としてまずメルル星を破壊した。
その際、メモリードールによって宇宙各地に脱出したメルル星人が数多くおり、さくらはその子孫の1人だ。
能力が覚醒を始めると、笑顔を見せるだけで人を幸せな気分にし、花を咲かせる力を発揮する。
そして覚醒が進むにつれて、言葉にも効力が現れるようになり、「戦いをやめて」という言葉にヒドラー兵すら戦うことをやめてしまうほどになる。
その背中には白い羽が生え、さながら天使のような姿となる。
バズーは、宇宙各地を探し、覚醒し始めたばかりのメルル星人に宇宙獣士ガウバーを差し向けては殺していた。
ガウバーは、目と耳をふさいでメルル星人のほほえみと言葉をシャットアウトし、体内に引きずり込んで殺す能力を持っている。
だが、メモリードールの力で更なる覚醒を果たしたさくらは、全身から発するオーラにすら効力を持つようになり、ガウバーをも無力化してしまった。
ガウバーを倒した後、さくらはメモリードールと共に宇宙に散らばる仲間を捜す旅に出る。
だが、宇宙に轟くゴズマの侵略を目の当たりにし、バズーを倒さねばならないと決意したさくらは、地球へと帰ってきた。
真実の物語
遙かな昔、バズーが生まれたばかりのころ、予言者ゼグはバズーがいつか宇宙征服に乗り出すことを予知して、バズーと戦う未来の勇者のため、その正体を記したスペースドールを作って宇宙各地に送ったが、ゼグ自身はバズーに殺され、スペースドールの大半もバズーによって破壊された。
その後、バズーは全宇宙侵略の手始めに、あらゆる生物から闘争意欲を失わせるメルル星人を星ごと滅ぼした。
数年前、ゴズマの侵略を受けたギラス星とアマゾ星は、同盟を結んでバズーに対抗するも破れ、ギルークはゴズマに参入、アハメスは行方不明となった。
ギルークは、ゴズマードを与えられてゴズマのために侵略を続け、アハメスはバズーに対抗する戦力を蓄えるべく、ジャンゲランや、三獣士を筆頭とする強力な宇宙獣士を数体配下に加えたが、それでも圧倒的なゴズマの力の前には敵わないと判断し、アマゾ星を取り戻すためには、ゴズマに参入し、手柄を立ててアマゾ星を返してもらうしかないと決意した。
一方、数十年前(?)、ゴズマによって滅ぼされたヒース星の生き残りユイ・イブキは、宇宙をさまよいながらゴズマに対抗する方法を模索し続け、ついに星自体が自らの危機に発する力=アースフォースを利用するしかないと考えた。
そこで、アースフォースを秘めていると思われる地球にやってきて伊吹と名乗り、地球守備隊に入隊して組織の基礎作りを始める。
アースフォースを浴びた戦士のための強化スーツ(チェンジスーツ)やチェンジロボを設計し、アースフォースに選ばれるだけの戦士を捜し求めて若き地球守備隊員達に特訓を施し、電撃戦隊は完成に近付き、あとはアースフォースの発現を待つだけとなった。
そんな中、ゴズマが地球に襲来し、遂にアースフォースが迸る。
伊吹は、若き戦士達を従えてゴズマに挑む。
ラストへの流れ
宇宙海賊時代の仲間ジールとの再会で、ブーバはゴズマの副官に甘んじている自分の境遇に疑問を持ち始める。
一方、チェンジマンは、記憶を失ったシーマの姿を見たことで、侵略者達も本来はゴズマの被害者なのだということを知り、なんとか助けたいと思っていた。
そんな中、ゲーターがゴズマを裏切り、チェンジマンはそれを保護するようになる。
ゲーターの裏切りに驚きを隠せないシーマは、アハメスが自分を宇宙獣士ダリルと共に自爆させる作戦を実行に移したことにショックを受け、ブーバの命懸けの芝居によってゴズマを脱走した。
裏切者を2人も出した失態からバズーに見放され、宇宙獣士メーズにされたアハメスもまた、執念でメーズから分離したものの、アマゾ星再興の希望を失って電撃戦隊基地と共に滅ぶ。
そして、ゴーストギルーク変じた宇宙獣士ギラスをも倒したチェンジマン達は、ゴズマードのコンピュータから、驚くべき事態を知った。
ゴズマードからの誘導電波によって、巨大な星が地球に近付いていたのだ。
さくらと合流したシャトルベースは、ハレー彗星の影に隠れてやってくる星:ゴズマスターへと辿り着く。
ゴズマスター自体がバズーであったことを知ったチェンジマンは、チェンジロボでゴズマスターに突入して遂にバズーを倒した。
そして、伊吹長官やシーマ、ナナ、ゲーター一家、ギョダーイ、さくら達は、ゴズマに荒らされた星々の復旧のため、シャトルベースに乗って旅立つ。
傾向と対策
『チェンジマン』では、前作『バイオマン』での教訓を元に、世界観とイベントを大事にした物語が展開する。
チェンジマンは、サンバルカン以来の職業戦隊であり、地球守備隊の内部組織である「電撃戦隊」という部隊に属する軍人でありながら、全く軍人らしさがない。
地球を守ることにそれなりの自覚を持ってはいるし、伊吹長官という司令官もいるにはいるが、やはり軍人らしくない。
これは、チェンジマンの企画意図が“型破りなヒーロー”だったことによる。
そして、この意図はアースフォースという地球自身が選んだ戦士に与えられる力という設定によって支えられている。
宇宙からの侵略者という未曾有の危機に際し、地球はバイタリティ溢れる型破りで自由奔放な人間を戦士として選んだのだ。
地球を守る使命を帯びた職業軍人でありながら、自らの正義感に従って敵に対峙するというチェンジマンの特性はここから生まれている。
そして、その不屈の精神故に、アハメスのスーパーパワーに破れた後も立ち上がり、アースフォースが与えた真の力に目覚めたのだ。
チェンジマンの特徴の1つである世界観について見てみよう。
まず、ゴズマという巨大な敵を描くために、地球を襲っている敵自身がゴズマに侵略された星の人間であることを初期に説明している。
6話『狙われた女子高生』では、かつてギルークとアハメスがバズーを倒すために使った宇宙獣士マーゾが登場し、ギルークが実はゴズマの被害者であったことを説明している。
また、7話『悲しき宇宙獣士!』では、同じくゴズマに滅ぼされたアトランタ星人のタローが宇宙獣士デモスとなって襲ってくる。
こうしてゴズマの恐怖を描くと共に、11話『SOSココとキキ』や26話『麻衣20歳の初恋』では、現在ゴズマに侵略されている最中の星を描くことで、地球を襲っているのは遠征軍の1つに過ぎないという宇宙規模組織のスケールを描いている。
スーパー戦隊シリーズには、『デンジマン』のベーダーや『フラッシュマン』のメス、『ファイブマン』のゾーン、『オーレンジャー』のバラノイヤなど宇宙規模のスケールを持った組織も多いが、いずれも滅ぼした星の数はともかく、組織の規模は大したものではない。
ゴズマはスーパー戦隊シリーズきっての巨大組織であり、それ故に1度たがが外れると瓦解しかねない危険性を持った組織でもある。
『チェンジマン』では、正にそういった弱点を突いて勝利しているのであり、物語の流れが実に納得できるものになっているのだ。
次に、イベントについて見てみよう。
前述のとおり、『チェンジマン』では、ゴズマの被害に遭った(遭っている)宇宙人が多数登場している。
これらの中には、ココやキキ、アイラのように2度と登場しない者もいるが、ナナやさくらのようにその後何度も登場している者も多い。
特にナナの数度にわたる再登場は重要だ。
ナナというキャラクターは、自分も知らないうちによその星に連れられてきて、リゲルオーラという体質的な理由から散々追い回されることになる。
ナナ自身は、侵略された星の人間ではないし、地球に助けを求めてきたわけでもない。
帰る手段がないから帰らないだけで、好きこのんで地球にいたわけでもない。
本当に巻き込まれただけの宇宙人なのだ。
そして、ゴズマにとって、ナナは利用価値のある人間であり、ナナの都合にお構いなしで攻めてくる。
一方、チェンジマンがナナを守るのは、それが“可哀想な女の子”だからであり、決して“リゲルオーラを浴びられては大変だからナナを守る”のではないし、“ゴズマと共に戦う仲間”だからでもない。
ナナが仲間になったのは、本当に終盤の51話のことだ。
チェンジマンは、ただ“全宇宙の生物が、自由に幸せに生きられるように”戦っているのだ。
『悲しき宇宙獣士!』以来、チェンジマンは地球だけを守る戦士ではなくなっている、
その視野には、常にゴズマの脅威にさらされている星々が映っているのだ。
また、ゴズマード側でも、かつてギルークとアハメスが使ったマーゾの絡みや、アマゾ星再興のためにギルークに見切りを付けていくアハメスの姿が少しずつ描かれている。
『チェンジマン』は、1話完結でありながら、途中で少しずつ出てきた設定をつなぎ合わせ、1つの壮大なドラマに仕立て上げてしまったのだ。
もう1つ、『チェンジマン』成功の最大の理由は、役者によってキャラクターが立っていたことだと思う。
チェンジマンの5人は、性格や行動パターンがはっきりしており、安心して見ていられる。
この5人は、1人ずつでも個性が強いのに、5人揃っても破綻を来さない。
それどころか掛け合いという形でより個性が際立って面白い。
個性の強い5人のチームという形をしっかりと維持しているのだ。
面白いのが42話『セーラー服のナナ』冒頭の剣達男3人組のパトロール風景だ。
学園祭で賑わう修学院女子高校の前を通りがかった(疾風がそう仕組んだんだろう)3人。
疾風が、「こんな時じゃないと中に入れないんだって!」と剣を説得するが、剣は「パトロールの途中だぞ」とにべもない。
しばらく2人で押し問答した後で、ふと大空がいないのに気付いた2人が回りを見ると、すでに大空は中に入っておでんを頬張っていた…。
この後ナナと再会することになるのだが、この冒頭のやりとりで“真面目な剣、一緒にサボったというエクスキューズを得ようとする疾風、さっさと1人で屋台に向かう大空”という行動パターンの違いが端的に表れている。
こういった性格描写は、セリフがほとんど聞き取れない各エピソードのラストシーンなどでもよく見られる。
例えば35話『地球よ! 助けて!』では、本編中さんざん「アースフォース! アースフォース!」と叫びながら走り回っていた大空に対し、ほかの4人が「アースフォース」と言ってはやし立てている。
また、37話『消えたドラゴン!』では、死んだフリをしてみんなに心配掛けた剣を、4人が抱え上げて河原に放り投げている。
こういった友達チックな付き合い方をしているチェンジマンには、それぞれの間に壁がないため、チームワークの良さに納得できる。
ほかにも25話『歌え! 大きな声で』での電撃戦隊親善カラオケ大会のようなアットホームなイベントもあり、仲間と言うより友人感覚に近いチェンジマン5人の付き合い方が、彼らの個性を立たせているのだ。
もちろん、役者がある程度演技上手であるからこそなのは言うまでもない。
また、敵側のキャラも上手く立っている。
ギルークやアハメスなど、素面のキャラが多いことも1つだが、ゲーターとギョダーイのような着ぐるみキャラも、上手い声優を使い、コミカルなキャラに仕立てることで違和感を少なくしている。
まさかゲーターがラストであんなにおいしいキャラになると誰が予想できただろうか?
宇宙獣士ですら、ボルタ、ゾノスなど個性的なキャラがいる。
また、シーマ変じたズーネは、『故郷の星を想う歌』を聞いてシーマの自我が目覚めると顔が女性的になり、シーマが分離した後は周囲にいたヒドラー兵を吸収してヒドラー兵の顔になるという変化を見せ、しかもその後は喋らないという描写をされている。
アハメス変じたメーズも、アハメス分離後はパワーが激減して口もきかなくなる(掛け声だけはアハメスと同じ声で入るのだが)。
このように、キャラクターの設定と本編中での使い方がとても巧いのだ。
ブーバも顔があまり出ていないが、演じる岡本美登氏の声と目の演技だけでキャラが立っていた。
「おっのれ〜!」と怒り、「俺は骨の髄まで宇宙海賊よぉ!」と叫ぶ演技、時々見せるコミカルな演技と、なかなか幅がある。
そのせいか、岡本氏はこの後『ライブマン』までの3作品でもレギュラーとなっている。
そういえば、次回作のレギュラー役者が作品に登場するようになったのもこの頃からで、45話『虹色の少女アイラ』では、次回作『フラッシュマン』でイエローフラッシュ:サラを演じる中村容子氏がアイラ、レー・ワンダを演じる広瀬匠氏が地球守備隊兵士の役でそれぞれ出演している。
『チェンジマン』放映当時は、ゴジラ復活(ゴジラ1984)直後で、トクサツのムーブメントが大きかったこともあり、トクサツ系の特番などもいくつかあったが、収録会場にヒドラー兵が乱入してライブショーが始まるなどの演出も見られた。
また、劇場版が2つあるのも、放映延長されて話数が55話もあるのも、専門のムックが3冊もあったのもこの『チェンジマン』だけということからも、当時の盛り上がり具合が分かろうというものだ。
鷹羽は、スーパー戦隊の中で『チェンジマン』が一番好きだ。