科学戦隊ダイナマン

昭和58年2月5日〜59年1月28日 全51話

主題歌

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基本ストーリー

 夢野発明センターに集められた若き科学者5人は、途中で謎の怪物に襲われる。
 それが地上侵略を狙うジャシンカ帝国だと知らされた5人は、夢野博士が作ったダイナスーツを身につけて、ダイナマンとしてジャシンカと戦うことになった。

▼ 「真実の物語」は…

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メンバー

ダイナレッド:弾 北斗

 頭部のレリーフはTDR、個人武器はダイナ剣。
 無公害エンジンを開発し、ワールドオートレースで優勝するのが夢。
 孤児であり、39話『抱け! 有尾人の卵』では、子供から母を奪ったレーザーホークに怒りを燃やした。

ダイナブラック:星川 竜

 頭部のレリーフはUDB、個人武器はクロスブーメランとバトルテクター。
 忍者の子孫で、ブラック影分身などトリッキーな戦い方を得意とする。
 43話『島! 君は青い稲妻』では、自分の分身の術でも追いつけないロケットタイガーに勝つため、最も身軽な島に新たな技を身に付けさせるべく特訓を施した。

ダイナブルー:島 洋介

 頭部のレリーフはVDB、個人武器はブルーフリスビーとサーフジェット、アタックボード。
 5人の中で一番身軽(忍者より身軽ってどういうこと?)で、星川の特訓により、空中三段飛びを身に付けた。

ダイナイエロー:南郷耕作

 頭部のレリーフはWDY、個人武器はチェーンクラッシャー。
 ラーメン好きで、5秒ラーメン製造機を発明した。

ダイナピンク:立花レイ

 頭部のレリーフはXDPで、個人武器はフラワーサーベル。
 必殺のバラ・フィナーレは、5人の爆発技の中でも最大規模の爆発力を持つ。
 動物と話せるようになるのが夢だが、猫は苦手。
 割と男性的というか、女性的な部分を出さないキャラで、レッドに「いくぞ!」と言われたときに、ほかの3人と一緒に「オー!」とか答えるタイプ。

夢野久太郎総司令

 ジャシンカと戦うためにダイナスーツやダイナロボを開発した天才科学者で、普段は夢野発明センターの所長として5人と共にいる。
 最終回では、5人が閉じ込められた千年洞窟を破壊するために、ダイジュピターで出撃する。

 ダイナマンは、ジャシンカの出現を予期して装備を作り上げた夢野博士が集めた戦士で、普段は夢の発明センターに集う若き発明家として過ごしている。
 発明センターからは秘密基地ダイナステーションへの通路が走り、事件が起こればダイナマン達は出撃する。
 ゼノビアによって発明センターがダイナステーションと繋がっていることを突き止められ、やむなく発明センターは閉鎖された。

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変身システム

 右手のダイナブレスを胸に引いて「ダイナマン!」と叫ぶと、ダイナスーツが装着される。
 ダイナブレスは5人共通での形状だが、中央部のラインの色がそれぞれの色になっている。
 ゴーグルブレス同様、デチョンパとして商品化された。

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名乗り

 崖の上に向かって5色の光が降りてきて爆発し、その爆炎の中から現れた5人が名乗る。

 「ダイナレッド!」(ドカーン)

 「ダイナブラック!」(ドカーン)

 「ダイナブルー!」(ドカーン)

 「ダイナイエロー!」(ドカーン)

 「ダイナピンク!」(ドカーン)

 「爆発! 科学戦隊ダイナマン!」

 (ドカーン)

 (ドッカーン!)

 (チュドーン!!)

という具合に、とにかく爆発する。

 このせいもあって、一部ではダイナマンは火薬戦隊だとも言われている。
 実は、名乗りシーンは毎回バンクだったりする。

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武器

 共通武器はダイナロッド
 銃形状から剣に変化する武器の第1号。
 これが後のバイオソードレンジャースティックマクシミリアンタイプ3へと続いていく。

 必殺技は、5人が光の玉になって合体し、敵に体当たりするスーパーダイナマイトだが、メカシンカには通用しなかったため、特訓の末、5人が合体して巨大な火の玉になって体当たりするニュースーパーダイナマイトを編み出した。
 このニュースーパーダイナマイトは、本当に火の玉が敵に突っ込んでいくというとんでもない映像で問答無用の迫力を生んでおり、スーパー戦隊シリーズ最強の必殺技との呼び声が高い。

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移動装備

 レッドが載るバイク:ダイナファルコンと、ほかの4人用の4WD:ダイナマシーン

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ロボット

 秘密基地ダイナステーションから発進するダイジュピターから、レッドが乗るダイナマッハ(頭部)、ブラック・ブルーが乗るダイナモビル(胸・腹部・両腕)、イエローピンクが乗るダイナギャリー(腰部・両足)が発進し、「合体! グランドスラム」でダイナロボになる。
 武器はビートハンマー、ダイナブーメラン、ダイナシールドなど。

 必殺技は、「ダイナミックジャンプ!」で上空に飛び上がり、科学剣に稲妻を受けて落下して叩き斬る「科学剣・稲妻重力落とし」。
 上空から超進化獣などを見下ろしている描写として、この当時ロケ地として多用されていた寄居の崖上にダイナロボを立たせ、ダイナロボの頭部と崖下にいる超進化獣を写して距離感を出している。

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敵組織 ジャシンカ帝国

首領:帝王アトン

 9本尻尾を持つ帝王。
 強大な力を持つが、ゼノビアの言葉にそそのかされて忠臣カー将軍を失うなど、案外小人物である。

大幹部:カー将軍

 7本尻尾を持つジャシンカの軍神。
 尻尾の数から言えば、メギドやキメラよりも立場が上なのだが、王子・王女である2人を常に立てる人格者でもある。
 ゼノビアとダークナイトの計略にかかり、単身ダイナマンと戦って破れて死んだ。
 ニュースーパーダイナマイトを食らって傷つきながらも、コンピュータードラゴンを巨大化させるべくグランギズモに戻ってビッグバンビームを発射した姿には、鬼気迫るものがあった。
 自らが死んだ時のために、出陣前に最後のメカシンカ:ファイアスフィンクスを誕生させるためのプログラムを組んでいった、正に忠臣というべき人物。

大幹部:女将軍ゼノビア

 7本尻尾を持つジャシンカの女将軍。
 かつて謀反を企てて破れ、千年洞窟に閉じ込められていた。
 作戦に失敗したメギドを千年洞窟に閉じ込めたり、ダークナイトと組んでジャシンカを乗っ取ろうとしたりする野心家。
 しかし、10本尻尾になった途端、白骨化して死んでしまった。

幹部:メギド王子

 帝王アトンの息子で、5本尻尾の王子。
 1話でレッドに尻尾を1本切り落とされ、レッドを倒すまでは再生しないと誓ったが、その後も負け続け、遂にゼノビアに残る4本を切られた挙げ句、千年洞窟に閉じ込められた。
 だが、そこで見付けた古文書から、10本尻尾になった者は死ぬことを知り、尻尾の数に頼るのではなく、己を鍛えて強くならねばならないと悟った。
 ダークナイトとなってゼノビアに復讐を果たしたメギドは、アトンを倒し、帝王の座を譲られてキメラを娶り、新生ジャシンカ帝国を築くもダイナマンに破れた。

幹部:王女キメラ

 メギドの従妹で4本尻尾の王女。
 メギドとは常にケンカしていたが、『ケンカするほど仲がいい』という感じで、最期はメギドの妻として共に討ち死にした。

進化獣

 ○○シンカというネーミングで、カー将軍の発明したプログレッサーにより人工進化した生命体。
 タイプとしてはショッカー怪人型で、動物の能力を持っている。

メカシンカ

 進化獣ではダイナマンに勝てないため、カー将軍がプログレッサーを改良して生み出した。
 金属原子と生物の遺伝子を合成・増殖して生み出される。
 デストロン怪人型の道具と生物の合成怪人で、ミサイルザリガニ、レーザーホークなどのネーミングになっている。

戦闘員:シッポ兵

 1本尻尾の下級有尾人。
 死ぬと尻尾だけ残して消える。
 下級ではあるが知能は人間並みで、スパイとして地上に送り込まれたまま人間として暮らしている者もいる。
 メギドの親衛隊キールとギーラ、ゼノビアの側用人ビルギスなど、選ばれた優秀な者は、それなりの扱いを受けるようだ。

 ジャシンカ帝国は、有史以前に地球に落下した隕石に付着していたタンパク質が地底で進化を遂げた有尾人の帝国である。
 有尾人は卵生で、尻尾の数に比例して能力が強く、地位も高いものとなる。
 その究極が10本尻尾であり、アトンは、有尾人を10本尻尾にできるレトロ遺伝子の存在を知ってからは、地上征服よりそちらを優先させている。
 彼らは、巨大な空中要塞グランギズモの中に住み、罪人は千年洞窟と呼ばれる洞窟に幽閉する。
 この千年洞窟からは、あのゼノビアさえ簡単には脱出できなかった。
 脱出に成功したメギドは、よほど力を付けたのだろう。

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第三勢力

ダークナイト

 千年洞窟から脱出したメギドが扮した闇の戦士。
 額の宝石の力で数々の超能力を使い、ジャシンカにもダイナマンにも敵対する。
 ゼノビアと組んでカー将軍を葬り、レトロ遺伝子を手に入れた後、ゼノビアが10本尻尾になって死ぬ姿をあざ笑い、遂にはアトンすら倒した。

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巨大化

 進化獣は、生命の危機に瀕すると、一気に細胞増殖して巨大化(ビッグバンプログレス)する。
 巨大化した進化獣は超進化獣と呼ばれる(というか、自分で名乗る)。

 メカシンカは、メカが加わっているために自力で巨大化はできず、カー将軍によるビッグバンビームによって巨大化し、超メカシンカとなる。
 地割れを起こして破壊された破片を地底に 引き込み、グランギズモからのビッグバンビームを浴びせて復活・巨大化させた後、再び起こした地割れから地上へと戻す。
 このビッグバンビームの発射やプログレッサーの作動には、カー将軍の声紋が必要であり、よってカー将軍の死後に誕生(遺言ビデオとして生み出された)したファイアスフィンクスは巨大化できなかった。

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真実の物語

 レトロ遺伝子を発明した遠山博士は、ジャシンカに狙われて身を隠した。
 数年後、夢野久太郎と名を変えた博士は、来たるべきジャシンカの地上侵攻を防ぐため、ダイナマンを組織する。
 戦いが続く中、ジャシンカは夢野博士がレトロ遺伝子を作ったことを知って…。

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ラストへの流れ

 ゼノビアに尻尾を切られ、千年洞窟に閉じ込められたメギドは脱出に成功し、ダークナイトとしてジャシンカ・ダイナマン双方の前に現れた。
 ダークナイトの暗躍によってカー将軍は死に、夢野博士を誘拐したゼノビアはレトロ遺伝子によって念願の10本尻尾になる。
 と、突然苦しみだしたゼノビアは、白骨化して死んでしまった。
 ジャシンカは、生まれつき以上の数の尻尾を持つと死んでしまうのだ。

 10本尻尾を追い求めるアトンをあざ笑うダークナイトは、アトンすら倒してしまった。
 レッドに正体を暴かれたダークナイト=メギドは、父に対し、尻尾に頼らず自力で強くなることが大切なのに、10本尻尾を追い求めたから破れたのだと語る。
 アトンは、自分を倒すほどに強くなった息子の姿に喜び、帝王剣と王位を譲った。

 新帝王となったメギドによって、千年洞窟に閉じ込められたダイナマン。
 夢野博士は、ダイジュピターで千年洞窟の扉を破壊してダイナマンを救出し、最終決戦となった。

 帝王剣を振るいダイナマンを圧倒していたメギドだが、レッドのダイナ剣マッハアローに傷つき、グランギズモで戦いを挑む。
 その中には、逃げ延びるよりメギドと共に戦い抜くことを選んだキメラの姿もあった。
 稲妻重力落としがグランギズモを両断し、メギドはキメラと共に最期を遂げた。

 平和を取り戻したダイナマン達は、再び発明センターへと戻っていく。
 自らの夢を追い求めるために。

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傾向と対策

 戦隊といえば爆発という印象は、ダイナマンの印象の強さを物語っている。
 トクサツから離れかけた鷹羽を引っ張り戻したのもこの作品だった。

 ダークナイトの正体がメギドであることなど誰が見ても分かるが、それでもダークナイトは綺麗なデザインだったし、飯田道郎による声もはまっていた。
 ダークナイトに限らず、出渕裕デザインによる悪役は、どれも美しい。

 夢を追う戦士というスタンスで始まったダイナマンだったが、最終的にはジャシンカ側のドラマだけで話が進むようになる。
 地上征服という野望から、夢の10本尻尾という憧れに向かい始めたジャシンカに対して、ダイナマンの側に確固とした“戦う理由”が希薄なのが原因だ。
 ジャシンカの夢である10本尻尾には、直接平和を脅かす因子は含まれていない。
 一応、夢野博士は、10本尻尾になったアトンがその超能力で地上征服をするだろうと言ってはいるが、逆にアトンの側では、地上征服の偉業を成し遂げることで10本尻尾になれると思っていたというセリフがある。
 つまり、アトンにしてみれば、地上征服など10本尻尾になるための手段でしかなく、既に10本尻尾になる方法が分かった以上、地上征服などどうでもいいという可能性さえある。
 だから、ダイナマンがジャシンカと戦うのは、悪い言い方をすれば“これまでも戦ってきたから”という惰性に過ぎないのだ。

 ここで夢野博士の存在が大きくなっている。

 ダイナマンがジャシンカの10本尻尾を阻止せんと戦うのは、それが仲間である夢野博士の身の危険に繋がっているからだ。
 レトロ遺伝子の発明者である夢野博士は、ジャシンカの夢にとって必要なファクターであり、しかも用が済めば殺されてしまう可能性が高い。
 ダイナマンが10本尻尾を阻止するのは、夢野博士を守るためなのだ。

 だが、新帝王となったメギドが既に10本尻尾の妄執から逃れた存在となったことで、話は振り出しに戻る。
 メギドの目的はジャシンカによる地上征服という原点に立ち返り、ダイナマンは地上の人々を守るためにジャシンカの野望に立ち向かうのだ。

 この意味で、最終話『明日をかけた戦い』は、夢の戦士ダイナマン対野望の帝国ジャシンカという構図に戻るのだが、しかし、番組としては、いつの間にか問題がすり替わっていたのが元に戻ってしまった格好となって、なんだか話の流れから置いていかれてしまった感が強い。
 レトロ遺伝子騒動はウヤムヤのうちに収束し、その途端千年洞窟に閉じ込められ、脱出したら即最終決戦という忙しい展開のせいで“ダイナマンは何のために戦うのか”という再確認ができずに終わってしまったのだ。
 ジャシンカ側のドラマが“メギドの成長”という流れに沿ったものであったが故に、ダイナマン側が少々呆けてしまったのは惜しかった。
 せめて、ラストナレーションで、「夢野博士は町の発明おじさんに戻った」と言っているのが救いだろうか。
 ゼノビアに発見されたことから「発明の旅に出る」と言って閉鎖された発明センターは、ジャシンカの滅亡によって安全な場所に戻り、夢野博士は(そして恐らく5人も)発明センターで発明三昧な日々を送れることになったのだ。

 『ダイナマン』は、企画段階では野球戦隊であり、スーツのデザインもユニフォームを元にしている。
 この作品からスーツの材質が光沢を持った布地になり、マフラーもなくなったが、この点に関しては拒否反応を示す人が多かったようだ。
 また、9話あたりから、番組枠が25分(本編17分)となってしまったが、その理由はニュースの時間枠の関係らしい。

 また、今回はブラック:春田純一、ブルー:卯木浩二というJACメンバーが2人になっており、両者とも変身後を演じるなど、JACメンバーからのスター育成の意気を感じる。
 この後、春田氏は『巨獣特捜ジャスピオン』でマッドギャラン人間体を演じた後、NHKの朝ドラ『ひまわり』にセミレギュラーで出演するなど、一般の俳優として活躍している。

 なお、デザイナーの出渕氏はジャシンカのデザインや設定が相当気に入っていたようで、自身のデザイン画集を出した際、「神聖ジャシンカ帝国を築いた帝王メギドと王妃キメラは地上侵攻を断念し、地底に有尾人の王国を築くことにした」という意味の文章が付加されている。

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