主題歌
- オープニングテーマ:超電子バイオマン
- エンディングテーマ:バイオミック・ソルジャー
EDでのバイオロボを洗車(洗ロボ?)している5人が楽しい。
あのアットホームな感覚がバイオマンを象徴しているのかもしれない。
また、32話『ギアの大改造作戦』から34話『見よ!! バイオの力』までは、EDのギア側のカットが、改造されるサイゴーンのシーンに変えられているという芸細ぶり。
基本ストーリー
ある日、テクノトピアを襲うメイスンとメッサージュウ。
新帝国ギアの地球侵略が開始されたのだ。
宇宙で一番美しい星:地球を守るため500年前から眠っていたバイオロボとピーボは危機を感知して目覚め、バイオ粒子を強く持つ人間5人を探し出してバイオマンに任命する。
ただ1人拒否したミカだったが、ピーボが地球にやってきた理由、自分達がバイオマンに選ばれたわけを知って戦うことを決意した。
こうして、新帝国ギアとバイオマンの戦いの幕が上がった。
更に、ドクターマンがバイオ星の爆発によって降り注いだ反バイオ粒子を集めて作り上げたバイオキラーガンによってイエローフォー:ミカが死亡、残された郷達4人はジュンを仲間に加え、ギアに挑む。
メンバー
レッドワン:郷 史朗
超電子頭脳には超電子レーダーを内蔵。
バイオソード(長剣タイプ)を炎で包むファイヤーソード(本当に燃えてる)が得意技。
犬や猫などの動物と会話ができ、犬猫連絡員を使って情報を入手する。
元スペースシャトルパイロット。
父伸一朗の爆発に背を向けて耐える姿は結構燃える。
グリーンツー:高杉真吾
透視能力を使ってメカクローンの変装を見抜いたりする超電子スコープを内蔵。
エネルギーを実体化させたグリーンブーメラン、風を起こすハリケーンソードが得意技。
元カーレーサーで、高校時代は野球部所属。
特訓に耐えかねて野球部を逃げ出したという過去を持つ。
ブルースリー:南原竜太
どんな小さな音も聞き取る超電子イヤーを内蔵。
剣に電気を宿して切るエレキソードが得意技。
え〜と、あと何書こう…。
イエローフォー(初代):小泉ミカ
超電子ホログラフィー内蔵。
サンダーソードが得意技。
元カメラマンで、バイオマンに選ばれた際、ただ1人それを拒否した。
2話で仲間になったが、10話『さよならイエロー』で、バイオキラーガンから仲間を庇って死亡。
イエローフォー(2代目):矢吹ジュン
バイオロボが戦士を選んだとき、日本にいなかったためにバイオ粒子反応が感知されなかった。
帰国した際に見出され、ミカに代わってイエローフォーとなる。
アーチェリーの選手であり、サンダーソードのほかバイオアローを武器とする。
ピンクファイブ:桂木ひかる
バリアを装備。
レーザーソードが得意技。
フルート奏者で、ギアによる電波撹乱の際にフルートによる音波で仲間を救ったこともある。
ピーボ
バイオロボ開発時の研究助手ロボットで、500年前にバイオ星が隕石の衝突で爆発した際にバイオドラゴンで脱出し、宇宙で一番美しい星地球を護るためにやってきた。
臆病で役立たずなサポートロボットで、活躍したのは、柴田博士の通信を逆探知してネオグラードを発見したことくらい。
実はバイオロボのパーツの1つであり、ピーボが合体することでバイオロボは最大の力を発揮できる。
柴田博士
ドクターマンに対抗するために良心回路を開発していた謎の科学者。
実は、郷の父伸一朗であり、自らもメカ人間(サイボーグ)化していたためにバイオ粒子反応はない。
50話『突撃ネオグラード』で、閉じ込められたバイオマンを脱出させるために自爆して死んだ。
蔭山秀一(かげやましゅういち)
ドクターマン蔭山秀夫の息子。
探し求めていた父が悪魔の科学者であることを知り、ミキとの出会いもあって、柴田博士の助手として父を改心させるべく良心回路の研究を手伝う。
メカ人間ミキ
不死身のネオメカジャイガンサタンメガスの再生エネルギー発生装置を兼ねたメカ人間。
本来は雑踏の中からこっそり再生エネルギーを送るのが使命だったが、巨大なエネルギーワープ現象から、あっさりバイオマンに見抜かれて攻撃された。
傷ついているところを柴田博士に発見され、良心回路を埋め込まれて改心したが、エネルギーワープ装置は取り外せなかったようだ。
その後、ミキをメカ人間とは知らない秀一と出会い、憧れるようになったが、自分の意志に関係なくサタンメガスを再生し続けるという自己矛盾を抱え、サタンメガスに体当たりして自爆した。
ミキが自爆した後の数秒間だけ、サタンメガスの顔が少女のものとなり、作動不能に陥っている。
ちなみに、この“天使と悪魔の顔を持ったサタンメガス”というネタは、デザイナー・出渕裕としても相当気に入っていたらしく、氏の初の作品展『マスカレード』では、顔の左右半分ずつが天使と悪魔に別れたサタンメガスのオブジェが出展されている。
変身システム
右手にはめたテクノブレスを頭上から胸の前に降ろし「バイオマン!(単独の時はレッドワン!など)」と叫ぶとスーツが装着される。
変身シーンのBGMには、挿入歌『Blue Togetherness』のイントロ部分が使用されている。
スーツ自体のバイオ粒子エネルギーと、装着者のバイオ粒子エネルギーを合わせて超パワーを発揮する。
超電子頭脳は、バイオ粒子を利用したシステムであり、バイオ粒子エネルギーが減ったり、彗星Xが干渉すると停止してしまう。
バイオマンは、500年前にバイオロボがバイオ粒子を浴びせた人間の子孫であり、最もバイオ粒子を強く持つ子孫を探して組織されたのだ。
そのため、郷達5人は、身体的能力がバイオ粒子によって強化されており、気合いを込めればメカクローンを素手で粉砕するほどのパワーを発揮できる。
一方で、郷達の生命力自体もバイオ粒子によって支えられており、バイオ粒子エネルギーを全て失うと、生命活動そのものが停止、つまり死んでしまう。
これはバイオ粒子エネルギーが血のようなものだと考えると分かりやすい。
多少の出血なら回復できるが、出血多量になると死んでしまうというわけだ。
なお、郷伸一朗は、メカ人間となった際に身体を作り替えているため、バイオ粒子に依存しない生命活動を行っている、というか生命活動そのものを行っていないかもしれない。
少々歯切れが悪くなるのは、“メカ人間”と言ってもサイボーグなのか完全なロボットなのか分からないためだ。
バイオマンでは、この辺が非常に曖昧である。
このテクノブレスは、通信機としても使うため、普段は腕時計のように見たときに「BIOMAN」の文字が見えるのだが、変身シーンでは上下逆転しているのにやはり「BIOMAN」の文字が読める。
要するに変身シーンの時だけブレスを上下逆に装着しているわけだ。
この矛盾は、『ライブマン』のツインブレス右手でも起きている。
また、テクノブレスはデチョンパから独立してアニメウォッチとして発売されたが、サイズ、デザイン共に撮影用に遜色がないため、シーンによってはベルトだけ変えてオモチャを使用している。
なお、戦隊シリーズのマスクには、通常はアクション用とアップ用の2種類が存在する。
アップ用では、前後分割されたマスクの留め具ピンが目立たないよう内側についており、はめにくいのだ。
バイオマンでは、この上に更に超アップ用として電飾を仕込んだマスクが存在する。
バイオロボを操縦しているシーンなどに使われているのがそれだ。
ところで、マスクのゴーグルが意外と薄い色なのをご存じだろうか?
実は、色の薄いサングラス程度の色でしかないのだ。
サングラスをかけている人の目が前からは見えないのに、かけている本人は前がよく見えるのと同様、光の反射などの関係で外からは色が濃く見えるのだ。
これは、マスクが密閉されていて中から光が出ないために、鏡面効果(夜、室内から窓を見ると外が見えるよりも自分が写って見える)が生じているためだ。
つまり、中に光が入り込むと、内側が透けて見える…。
バイオマンのゴーグル部分は、ゴーグル上端部に着用者の目が、ゴーグル下端部には鼻がくるデザインになっている。
要するに、着用者は自分の正面下側しか見えない。
で、バイオマンの主題歌EP(シングルレコード!)のジャケット写真は、バイオマン5人が肩を組んでいる図をあおり気味に撮ったものだったのだが、角度の関係でゴーグルの内側が見えている。
つまり…ゴーグルの中には鼻が透けて見えているのだ!
はっきり言って笑えるので、持っている人はちょっと見てみるといい。
名乗り
「ワン」
「ツー」
「スリー」
「フォー」
「ファイブ」
「超! 電子! バイオマン!」
時間短縮の影響か、基本的にクルッとその場で回るだけのシンプルな名乗りになっている。
武器
共通武器は、バイオソード。
ダイナロッドの変形システムを受け継ぐ短剣→銃システムであり、銃モードのグリップを閉じた状態で収納されており、ボタンを押してグリップを開いて抜けば銃モード、そのまま抜いて刃を出せば短剣モードになる。
これが変形するという設定で、全く違う形の長剣モードもあり、ファイヤーソードなどの特殊技は、全て長剣モードで行われる。
また、当時放映中の単体シリーズ『宇宙刑事シャイダー』で使っていた青いレーザーブレード(色つきの蛍光灯ソード)をバイオマンでも1回だけ使ったことがあり、夜の街に5色の蛍光灯ソードを構えたバイオマンは綺麗だった。
初期の必殺技はバイオエレクトロンで、これは技と言うよりも“5つの超電子頭脳の力を結集して繰り出す強力な技”の総称であり
- ミラクルレーザー:バイオソード長剣を5本合わせて放射するエネルギーウェーブ
- バイオエレクトロビーム:バイオソード銃タイプで一点集中攻撃
- ミラクルボンバー:バイオソード短剣タイプで同時にエネルギー放射
- ペンタビーム:バイオソード長剣で同時に電ショック。
5獣士1体につき1人が攻撃し、それぞれに伸びていく5色の煙が綺麗 - バイオスーパーエレクトロン:超電子頭脳からエネルギーを照射
- バイオリボルバー:5人で取り囲んで一斉にキック
- サーカスループ:5人で同時に頭上からキック
- バイオビッグアロー:巨大化したバイオアローを5人で構えて撃つ
など数種類の技を使い分けていたが、特段能力差があるわけでもなく、特徴付けに失敗していたようだ。
その反省もあってか後期はスーパーエレクトロンという1種類の技を使い続けるようになる。
スーパーエレクトロンは、バイオエレクトロンの効かない新ジューノイドに対抗するために生み出した新必殺技で、特訓でより強力になった5人のバイオ粒子エネルギーを一点に集中してエネルギーの玉を作り、それをジューノイドにぶつけて弾き飛ばすという技だ。
ただし、バイオエレクトロンにせよスーパーエレクトロンにせよ、ジューノイドは吹っ飛んでいくだけで破壊されるわけではないので、視覚的に強そうに見えないという欠点があった。
ロボット
バイオベースに格納されたバイオドラゴンが発進、空中で空母形態に変形すると、バイオジェット1号(レッド・ピンク搭乗、上半身)と2号(グリーン・ブルー・イエロー搭乗、下半身)が発進し、「合体! ハイパークロス!」で巨大ロボバイオロボになる。
時間短縮の影響で、時々バイオロボのまま飛んでくることも多いが、バイオベースには、バイオロボのままで格納できるスペースがあるので、とりあえず矛盾しない。
バイオドラゴン発進からバイオロボ合体までのシーンには、挿入歌『バイオロボの歌』が中間を省略する形で使われ、「♪今お前は正義の荒野に踏み出す」と流れ終わった所から戦闘シーンが始まる。
バイオロボの必殺技は、スーパーメーザーという剣を利用した多種の技を使い分けるという方法をとっており、
- コンセントレーション
- ストレートフラッシュ
- コメットカッター
- ブレイクアタック
- グレートアタック
- チェンソーカッター
- ピンホールスティング
- ダッシングビーム
- シャドウカッター
- 十文字斬り
- 逆転十文字斬り
など数多い。
これもネオメカジャイガンの登場に伴い、『スーパーメーザー・バイオ粒子斬り』に統一された。
この技は、上空に飛び上がり、「スーパーメーザーエネルギーチャージ!」でスーパーメーザーにバイオ粒子エネルギーを限界まで照射し、回転しながら降りてきてそのエネルギーをもって敵を叩き斬るというもので、通常はピンク色の光に包まれるが、ピーボ合体により金色に光る。
「限界まで」というのは、本当にチャージ中にバイオロボのボディで爆発が起こるのだ。
『これ以上やってると本当に爆発しちゃうよ』というところまでエネルギーをチャージしているわけだ。
ジャンプしてからバイオ粒子斬りに至る流れのBGMには、『バイオロボの歌』のラストの楽器部分が使用されている。
必殺技の準備に30秒もかかるロボットは滅多にいない。
なお、バイオロボは自分の意志を持っている珍しいロボットなのだが、終盤でピーボを呼び寄せて合体した以外に自律的な行動をとってないのは残念だった。
パワーアップ
バイオ星のメカニックを混乱させる彗星Xが地球に接近する。
それを知ったドクターマンは、5獣士を総動員してバイオマンをおびき出す。
そして、彗星Xの接近に備えて超電子頭脳を切ったバイオマンを5獣士もろともごとネオメカジャイガン・メタルメガスの銃撃が襲う。
ドクターマンは、「この攻撃から生き延びてこそ強化される資格がある」と言い、ジューノイドにも容赦のない攻撃を浴びせた。
メッサージュウとアクアイガーが大破、サイゴーンとメッツラーも深手を負い、一番軽傷だったジュウオウともども郷士郎と戦うが、谷底に転落し、サイゴーン・メッツラーだけがネオグラードに生還して強化を受けることになる。
ジュウオウは、この時破壊され、モンスターが破片を拾い集めて強化を受けさせた。
強化されたジューノイドにはバイオエレクトロンは通用せず、またネオメカジャイガンにもスーパーメーザーが効かない。
バイオマンは、より強くバイオ粒子エネルギーを生み出せるよう特訓を開始、スーパーエレクトロンを完成させ、同時にスーパーメーザーにバイオ粒子エネルギーを放射して斬るバイオ粒子斬りを開発した。
敵組織 新帝国ギア
首領:ドクターマン
本名:蔭山秀夫。
実験で自らの頭脳を強化した結果、白髪化してしまったもので、年齢は40代程度。
その頭脳で自分をメカ人間化し、自分にかしづくメカ人間の帝国を作った。
後に自分の心の弱さを克服するため、身体のほとんど全てを機械化した。
シルバとバルジオンを研究してバルジオンを遙かに上回る性能のキングメガスを作り出す辺り、本当に優秀な科学者であるらしい。
最終回、自ら乗り込んだキングメガスがバイオロボに破れた瞬間、地球破壊爆弾のスイッチが入った。
ドクターマンは傷ついた身体でネオグラードに戻り、最期の時を待つ。
「自分の息子まで忘れてしまったのか!?」という秀一の言葉にも、「…知らんな」と無反応だったが、ドクターマンの死後、爆弾の停止スイッチが現れた。
あれが、ドクターマンに残っていた人の心だったのか、機械の誤作動だったのか、知る術はない。
大幹部:ビッグスリー
メイスン
ビッグスリーの筆頭で、頭脳優秀。
世界の王たるべき造物主ドクターマンが、メカによって支配されるべき人間であったことの矛盾に悩み、反乱を起こしたことがある。
後に改造されて右手にメイスンバルカン、メイスンミサイルを装備した。
ファラ
ビッグスリー中最も残忍な女性型幹部。
1人だけ護衛:ファラキャットを連れており、そのファラキャットを「私の可愛い子猫ちゃん」などと怪しげな呼び方をして物議を醸した。
後に強化されて口からファラ・ビームストームを吐くようになる。
モンスター
怪力を誇るが単細胞。
好んでジュウオウを使い、弟分としている。
レッドワンに倒されたジュウオウの破片を拾い集めて強化改造を願い出たほどの部下思い。
その最期は、破壊されたジュウオウの首を抱えてバイオロボに突進しながら爆発、というものだった。
幹部:ファラキャット
ファラの護衛的立場のメカ人間。
ただし、変装能力があるわけでもなく、飛び道具もなく、ジューノイドより強いわけでもないので、あまり活躍の場がない。
更に、ギアの大改造では、ファラキャットだけが改造の対象になっていないため、護衛すべきファラの方が攻撃力を持ってしまい、ますます存在意義を失ってしまった。
極論すれば、素面のイエローフォー、つまり小泉ミカと絡むことに存在意義があったとも言える。
このため、変身前のバイオマンと戦う以外には、イニシアチブが取れず、必然的に出番は少ない。
ファラを守って死ぬことも能わず、最終回はバイオマン5人の侵攻を止めようと挑み破れた。
この時、バイオマンが5人がかりで戦ったことについて、「卑怯だ、せめて女戦士だけで倒すべきだった」という意見もあるが、要するに、あの時点で既にメカクローンに毛が生えた程度の存在価値しかなく、1対1で戦うほどの敵ではなかったのだ。
一蹴されて終わってもおかしくなかったところを、頑張って抵抗した方だと思う。
怪人:ジューノイド5獣士
ビッグスリーの指揮の下、破壊活動を行う戦闘用メカ人間。
獣(ジュー)型ロボット(ノイド)という意味の造語。
ビッグスリー3人に対して5体いるため、ジュウオウ以外は特に専属ということはない。
度重なる敗北に業を煮やしたドクターマンにより、バイオマンごとメタルメガスの攻撃を受け、メッサージュウとアクアイガーが大破、サイゴーンとメッツラーも深手を負い、一番軽傷だったジュウオウがレッドワンを引きつけている間に、2体は撤退、強化を受けることになる。
ジュウオウは、この時レッドワンに破壊されたらしく、後にモンスターが破片を拾い集めた。
メッサージュウ
マッハで飛び回る唯一の飛行ジューノイド。
目からビームを放つ。
声は『トム&ジェリー』のトム役:八代駿(やしろ・しゅん)氏。
2003年6月25日逝去。
サイゴーン
3つの顔を持つ超能力ジューノイド。
サイゴーン駆動念力、火炎放射など、顔ごとに特殊能力(回転スリーフェイス)を持つ。
ジュウオウ
モンスターを「オヤビン」と呼んで慕うパワー戦タイプ。
最も口数の多いジューノイドで、さりげにジューノイドの音頭取りでもある。
劇場版や31話『新型!? メガス出現』などで、ジュウオウから始まるジューノイド5獣士の名乗り「我ら、ジューノイド! 5獣士!」が見られる。
アクアイガー
半魚人型のジューノイド。
必然的に水辺の戦いが中心となるため、出番が少なかった。
シャボン爆弾は綺麗だったけど、それだけ。
むしろ整理されたのは当然と言えよう。
メッツラー
一つ目で、分身・幻影など撹乱系の技を得意とする。
『宇宙鉄人キョーダイン』のデスフラッシュにそっくりという話も。
メカのくせに心臓があり、特殊能力を使うとき、心臓の活動が活発になる。
ネーミングの由来が“目が面(つら)だから”だということを知っていると、顔を見るだけで笑える。
怪人:ジューノイド3獣士
ドクターマンによって強化改造された新ジューノイド。
人数をビッグスリーに合わせ、それぞれに専属となった。
サイゴーン
メイスン専属。
体色が金色から銀色に変わり、デザインもメカメカしくなった。
サイゴーンホラーキネシス、サイゴーンフレアー、サイゴーンデスビームなど、特殊能力もパワーアップした。
メカメカしくなったのは、子供が怖がるからだったという噂あり。
メッツラー
ファラ専属。
やはりメカっぽくなった。
腕を伸ばすメッツラー・アームストレッチが得意技。
ジュウオウ
相変わらずモンスター専属。
胸にバリバリロケットを装備し、遠距離戦にも強くなった。
戦闘員:メカクローン
人間に化けたり、メラージュ戦闘機を操縦するくらいの知能を持つメカ人間。
工場で大量生産されているようだ。
ツヤのある黒一色のボディに肩と手首の銀の装甲・銀色のマスクと、シンプル・イズ・ベストなトクサツならではのデザイン。
これをアニメでやると激しくマヌケになる。
壊れてもまだ動き続けるなど、なかなかしぶとい。
『サンバルカン』のマシンマンの流れを組んでおり、マスクを外すと金属骨格むき出しの顔がある。
大幹部:プリンス
ドクターマンこと蔭山秀夫の一人息子:秀一の姿をかたどったメカ人間。
登場当初は、ドクターマンの息子(人間)という雰囲気で、自力で開発したメカジャイガンを連れて現れた。
次回予告によると、「頭脳はメイスン以上、冷酷さはファラをも凍らせ、怪力モンスターもねじ伏せる」とのことで、実際画面中でもモンスターを軽くひねっている。
っていうか、この時点でメカ人間だろう、どう見ても。
なまじ人間に近くしすぎたために、南原の「お前にも母親がいるだろう」という言葉に混乱して破れた。
結局のところ、プリンスはドクターマンが“自分の跡取り”として生み出した存在であり、この失敗からドクターマンは更に自己改造を重ね、跡取りなどいらないほどにメカ人間化を進めた。
新帝国ギアは、南極大陸に基地ネオグラードを構えるメカ人間の帝国であり、スーパー戦隊史上初の地球人による組織である。
また、2001年現在、シリーズ唯一の(明確な)日本人首領を持つ組織でもある。
『メカの、メカによる、メカのための新帝国ギア』が売り文句だが、その頂点に立つのが人間であるドクターマンという構造的矛盾を持っている。
要するに、ドクターマンがお山の大将になるために作られた組織と言えよう。
ドクターマンがバイオマン打倒に燃えるのは、自分以上の科学者はこの世に存在しないという自負を証明するためとも言え、だからこそ自ら乗り込んだキングメガスが破れた後、地球を吹き飛ばそうとしたのだ。
ビッグスリーからメカクローンまで「フォア・ザ・マン!(ドクターマンのために!)」の合い言葉の下、ドクターマンに忠誠を尽くす。
これは、ドクターマンが絶対的造物主であるが故なのだが、ドクターマンが人間だと知ったメイスンらは前記の構造的矛盾に悩み、ドクターマン暗殺を企てるも失敗、記憶を消されてしまった。
巨大化
巨大化はせず、最初から巨大ロボットメカジャイガン、ネオメカジャイガンがネオグラードから送り込まれる。
この設定により、バトルフィーバー以来の“等身大戦闘と巨大ロボ戦闘が同時進行”ということが可能になった。
メカジャイガン
○○カンスというネーミングで、カブトガニなどの生物を(ミイラもいたが)モデルにした巨大ロボット。
ネオメカジャイガン
○○メガスというネーミングで、メタル・サタン・ラガーなど、攻撃的なイメージを持つものをモデルにした巨大ロボット。
より戦闘力を上げるためにビッグスリーが乗り込んで操縦する。
でも、モンスターが操縦しても強そうな気はしないなぁ。
第三勢力
バイオハンターシルバ
反バイオ同盟によって作られたロボット。
バイオ粒子を持つものは、生物非生物を問わず破壊するのが使命。
「バイオ粒子反応あり。破壊!」と叫ぶと同時に、バイオキラーガンより遙かに強力な反バイオ粒子銃バイバスターを撃ちまくる。
バイオ粒子・反バイオ粒子反応センサーを内蔵してはいるが、基本的に数十メートルレベルの近距離でしか作用しないようだ。
元々目の前にいるものが破壊対象かどうかを判別するための機能なのだろう。
バイオマンと遭遇し、そのあまりに強力なバイオ粒子エネルギーとバイオロボのパワーに対抗するため、バルジオンを探し求めている。
ちなみに、反バイオ粒子エネルギーは、バイオ粒子エネルギーを相殺する働きがあるものの、それ自体エネルギーでもあるので、バイオ粒子を持たない物体に対しては普通の破壊エネルギーとして作用する。
そのどう見てもハカイダー丸出しなデザインが話題となったが、登場が37話と比較的早めだった割にはバルジオンの登場が48話と遅いため、バイオマンとギアの戦いにちょっかいをかけては「くう〜、バルジオンさえあれば…」と捨てぜりふを残して消えていくおちゃめさんに成り下がってしまった。
バルジオン
反バイオ同盟によって作られた巨大ロボでシルバの愛機。
剣と盾を装備しているものの、基本的に胸の反バイオ粒子砲しか使わない。
バイオロボを追い詰めたが、ピーボが合体してパワーアップしたバイオロボのバイオ粒子エネルギー放射に破れた。
バイオ粒子センサーの有効範囲は、せいぜい数十キロと思われる。
真実の物語
500年前、バイオ星ではバイオ平和連合が新エネルギーバイオ粒子を完成させ、そのエネルギーを利用したメカニックを作り始めた。
そしてバイオ平和連合に武力攻撃の脅威を感じた科学者達は、結集して反バイオ同盟を作り、バイオハンターシルバとバルジオンを作り上げた。
シルバとバルジオンの圧倒的な破壊力に大打撃を受けたバイオ平和連合だったが、隕石の衝突によりバイオ星自体が爆発してしまったため、完成したばかりのバイオロボとピーボだけがバイオ星を脱出して地球に到着、その場にいた地球人にバイオ粒子エネルギーを浴びせバイオベースを建造して眠りについた。
一方、シルバとバルジオンもバイオ星から脱出することに成功し、バイオ粒子反応を求めて宇宙をさまようことになった。
一方、数年前、蔭山秀夫は、急激な老化と引き替えに脳細胞活性化実験に成功し、自らを改造してドクターマンと名乗り、南極に基地を構えて世界征服の準備を始めた。
それを知った郷伸一朗は、ドクターマンを倒すため、自らもメカ人間化して柴田博士を名乗り、ドクターマンを改心させるべく良心回路の研究を始めた。
やがて準備が整ったドクターマンは侵略作戦を開始、目覚めたバイオロボによって集められたバイオマンがこれに挑むことになる。
そして、 地球にやってきたシルバは、大気圏突入のショックでバルジオンから放り出され、バイオマンを発見する。
バイオマンは既にスーパーエレクトロンの特訓でバイオ粒子エネルギーをパワーアップしており、シルバのバイバスターでもさほど深刻なダメージは受けなくなっていた。
シルバは、バイオマンとバイオロボを倒すため、バルジオンを探し続けることになり、またギアもバイオマン打倒の決め手としてバルジオンを探すことになる。
ラストへの流れ
父秀夫を改心させたい秀一は、良心回路に希望を見出し、柴田博士の助手となる。
だが、良心回路は、反バイオ粒子の影響を受けると機能しなくなるという欠点があった。
そして、遂に現れたバルジオンはモンスターとジュウオウの命がけの活躍でギアのものとなり、柴田とシルバも捕らえられた。
シルバ脱走のどさくさに脱獄した柴田は、郷に通信を送り、自分が父郷伸一朗であることを告げる。
メッツラー、ファラを倒したバイオマンは、その通信電波を逆探知して遂にネオグラードの位置を割り出して急襲する。
サイゴーン、メイスンを倒し、宿敵シルバとバルジオンをも倒してバイオベースに戻ったバイオマンだったが、ドクターマンがバルジオンを研究して作り上げたキングメガスのバイオ粒子センサーでバイオベースが発見され、地底ミサイルで基地を破壊されてしまった。
更に襲い掛かるキングメガスをかろうじて倒したバイオマンだったが、脱出したドクターマンは地球破壊爆弾のスイッチを入れてしまう。
秀一の必死の叫びも届かないまま、ドクターマンは死んだ。
だが、その時、なぜか爆弾の緊急停止スイッチが現れ、地球爆破は回避された。
ピーボとバイオロボは、バイオドラゴンで“地球同様、科学が進みすぎて滅亡の危機にある星を救うため”に旅立ち、バイオマンの5人は歴史に名をとどめることもなく、いずこかへ去っていった。
傾向と対策
バイオマンは、戦隊史上屈指の意欲作である。
ゴーグルファイブで失敗した“等身大怪人と巨大怪人を別物にする”というコンセプトを継承し、レギュラーの怪人と毎回倒される巨大怪人という構図を作ることで、怪人の着ぐるみの問題を解消した。
また、女戦士を2人に増やし、必殺技も1つではなく毎回のように新しい技を開発するというシステムが取られた。
結局この試みは、“必殺技の印象が薄くなる”という弊害を招いたため、敵の強化に合わせて通常どおり1つの必殺技にするという形で落ち着く。
また、ジューノイド5獣士も、1体1体の個性が際立たず、サイゴーンやメッツラーといったデザイン・造形とも優れたキャラは「怖い」と嫌われ、怖くないアクアイガーなどは目立たないという二律背反な結果となった。
キャラが立っていたのがお茶目なジュウオウだけというのは、悲しいものがある。
この問題は、ビッグスリーに合わせて3体に減らしたジューノイドを、強化と称してデザインをメカっぽくすることでクリアしている。
ただ、やはり最初のサイゴーンのデザインを生かせなかったのは勿体なかった。
一方、正義側であるバイオマンの基本コンセプトは、“桃太郎・金太郎やかぐや姫の子孫が変身して戦う”というものであり、これが変化して、バイオ粒子を浴びた人間の子孫という形になったのだが、昔地球に来た異星の超科学、電子頭脳内蔵のマスクと、デンジマンを彷彿とさせる正義側と、機械帝国というサンバルカンを思わせる悪側の設定により、どこかで見たような設定の焼き直しになってしまったことも目新しさを削ぐことになった。
ちなみにタイトルが『超電子』ときてなぜ『バイオ』なのかというと、この当時、バイオケミカル技術の進歩が一世を風靡していたからだ。
最先端の科学=バイオだった時期なのだ。
そういや、「バイオ」なんて洗剤もこの頃だったような…。
さて、『バイオマン』を番組の構成から見ると、“何がやりたかったのかはっきりしない”というのが大きな欠点となっている。
次々と新機軸を打ち出し、それぞれが魅力的な題材だったにもかかわらず、どれ1つとして完結させられなかったシリーズ構成力のなさがこの悲劇を生んでいるのだ。
タンパク合成で作られた新頭脳ブレイン、ドクターマンの息子プリンス、レギュラー怪人ジューノイド5獣士、蔭山秀一、良心回路、柴田博士こと郷伸一朗、バイオハンターシルバなど、1つずつでも十分にシリーズを通して盛り上げられるだけの素材だった。
特にプリンスの存在は、バイオマンにとってのドクターマン=『狂気の科学者』と、ギアにとってのドクターマン=『唯一絶対の造物主』という齟齬を顕在化させるきっかけだった。
つまり、ギアのビッグスリーにとって人間は支配すべき愚かな存在であり、ドクターマンは造物主という神にも等しい存在だった。
これは、メカ人間にとって、自分達を作ったのが人間だなどという考えはついぞ生まれず、ドクターマンを絶対的な神として崇拝していたのに対し、バイオマンはメカを作ったのは人間だというスタンスで見ているという齟齬があるのだ。
だからこそ、モンスター以上の怪力を持ったプリンスが現れた時、ギアではドクターマンの息子として素直に認識されたのに対し、バイオマンは人間のはずだと考えた。
つまり、ビッグスリーは、プリンスをドクターマンが意を注いだ特別なメカ人間として考えたのだ。
この齟齬をもっと上手に生かせれば、プリンスはキャラが立ったはずなのだ。
プリンス自身が自分がメカ人間であることを知らなかったということが、問題をとんちんかんなものにしてしまった。
「バイオマンさえ倒せるなら、お前達(ビッグスリー)などどうなろうと知ったことか!」と言い捨てるプリンスを最高幹部として1クールくらい引っ張り、蔭山秀一の登場と共に問題を顕在化させれば、前半の台風の目になれただろうに。
プリンスの失敗からドクターマンは自らを再改造し、更にビッグスリーがドクターマン暗殺を企てる元になっているのだが、それならば逆にその問題を一旦沈めておいて後で再点火すれば良かったのだ。
ビッグスリーから、ドクターマンが人間であるという記憶を消しておしまいでは意味がない。
もう1度教えれば済むだけの話だ。
これは“メカこそ最高”というギアの屋台骨が揺らぐほどの大問題なのだ。
たった1回の反乱で、しかも全てはドクターマンの手の平の上というのがもったいなさすぎる。
同様に、シルバの存在も生かしきれていなかった。
圧倒的に強力なライバルとして、たまに絡ませるだけにしておけばいいものを、なまじ毎週登場させたために弱い印象を与えてしまった。
これらは、1年という長丁場に対してのビジョンが存在していないことの表れだ。
最終回では、バイオロボとピーボが地球にやってきた目的がとうとう綺麗に忘れ去られてしまった。
なんと宇宙で一番美しい星地球を護るためにやってきたはずのピーボ達は、地球同様、科学が進みすぎて滅亡の危機にある星を救うために宇宙に旅立ってしまう。
これは、ダイデンジンを失ったデンジマンと違い、戦う力を残しているバイオマンが戦いを辞めるために戦力をなくす必要があったからだろうが、設定を覆すのはまずいだろう。
ところで、バイオマンではスーパー戦隊シリーズ最後のメンバー交代劇が起きている。
これは狙ったものではなく、裏事情によるものであるため、ビジョン云々とは無関係なのだが、番組にとって致命的な事件となっているので触れないわけにはいかないだろう。
初代イエローフォー:小泉ミカの死は、突然訪れた。
バイオキラーガンというスーパーマンにとってのクリプトナイトのような存在による死。
その最期は、イエローフォーのスーツのまま土葬されるという異様なものだった。
この事件の真相は遂に明かされなかった。
男と逃げたとか女と逃げたとか言われているが、どこに問い合わせても分からなかったらしい。
鷹羽は以前、東映系のアクションチームにヘルプとして入っていたことがあり、その時に先輩に聞いてみたことがある。
結局、詳しい内情は聞けなかったのだが、教えてもらえたところでは、小泉ミカ役の矢島由起が個人的な理由から撮影に穴を開けたために降ろされたということらしい。
どうやらギャラだけでは食べていけないため、おミズ系の店でアルバイトをしていたらしい。
それで起きられなかったのか、男ができたのか、いずれにしても撮影に穴を開けてスタッフを怒らせてしまったようだ。
確かに撮影に穴を開けるということは、制作スケジュールを狂わせる大問題だから、説得力がある。
別のルートで流れている話では、JACはこの侘びとして13話『ジュンよ』に真田広之を出演させたという。
そして、2代目イエローフォーとなった矢吹ジュンは、当然ミカのキャラクターとかけ離れた存在にせざるを得ず、ジュンの特徴を飛び降り系にしたため、生身の戦闘用ライバルとして存在したファラキャットは出番を失い、ミカが起こしたであろうチーム内の不協和音も生まれずに終わった。
これもまた『バイオマン』にとって大きな痛手となった。
『バイオマン』では、南原竜太役の大須賀昭人、小泉ミカ役の矢島由起、矢吹ジュン役の田中澄子の3氏がJACの人間であり、矢島氏はこの降板の後、JACを除名されたらしい。
なお、ファラキャット役の大島ゆかりは、その後『スケバン刑事U』1話にちょい役で出た後、海外に出て、アクションスターとしてかなりの人気を得ている。
さて、最後にバイオマン最大の徒花:良心回路について少し触れておこう。
この番組においてメカ人間という概念は非常に曖昧だが、一応はロボットと考えていいだろう。
郷伸一朗や秀一は、ドクターマンに良心回路を取り付けることで改心させようとした。
ということは、ドクターマンの脳はほとんど機械に置き換わっているか、良心回路は脳にすら影響を及ぼすような能力を持っているということになる。
だが、良心回路によって人工的に良心を植え付けるというのは、洗脳と言わないだろうか?
道を誤った人間を洗脳して真人間にしたとして、どんな意味があるだろう。
それは真人間ではなく、操り人形だ。
『キカイダー01』で、ビジンダーは01:イチローに良心回路を付けられている。
だが、ビジンダーの場合は、優しいマリと悪魔のようなビジンダーという2面性があり、良心回路はビジンダーに変身後もマリの優しさを残すという方向で作用しているように感じられる。
これが、例えばハカイダーに良心回路を付けてしまったらどうだろう?
もはやそれはハカイダーとしてのアイデンティティを失ってしまうのではないだろうか。
メカ人間ミキのように、アイデンティティが確立されないうちに良心回路を付けられ、それからが物語になるのならともかく、既にキャラが確立してしまっているドクターマンに良心回路を付けても意味をなさない。
第一、ミキの件にしても、秀一はミキをメカ人間と知らないままに接しているのであり、柴田博士は秀一の心を弄んだことになる。
実は柴田博士=郷伸一朗の存在こそこの番組のガンなのだ。
元々ドクターマンとバイオマンの戦いは人間対メカ人間の戦いであり、ドクターマンを倒す、もしくはドクターマンを改心させるという結末しかない。
バイオマンは前者を、秀一と伸一朗は後者を目指しているわけだが、伸一朗はこの時点で既にバイオマンと目的を異にする第3勢力になってしまっている。
特に自分が史朗=レッドワンの父だと名乗らないことで、バイオマンと共に戦うことを拒否しているのだ。
本来なら、この時点でバイオベースに身を隠し、協力して良心回路の開発に当たろうとするのが筋だ。
そうしないのは、妻子を捨てたという後ろめたさもあってのことだろうが、バイオマンと共闘することを拒んだとしか言いようがない。
そして、良心回路によって強制的に改心させるという方法論を採っている点で、息子として父の心に訴えようとする秀一とも路線が違う。
秀一はあまり頭が良くないために、ミキのピュアな心に触れて良心回路を過大評価しているようだし、また、前線には決して出てこないドクターマンを説得するのが難しい状況もあって伸一朗の助手となったわけだが、彼にとっては、“良心回路を付ける=父が説得に応じやすくなる”程度の認識しかなかったようにも見える。
伸一朗が、メカ人間の研究のためにメカ人間を作ることをせず、自分の身体を機械化したという点については、メカ人間にも命を見出し、それを弄ばなかったと言えるかもしれないが、じゃあ良心回路の実験はどうするつもりだったの? という疑問が残る。
まさか、最初からギアのメカ人間を捕らえて実験台にするつもりだったわけではあるまい。
そして、良心回路の勝利は何を意味するのか。
ミキは人間と見分けがつかないほどの存在に昇華した。
秀一と一緒にファーストフード店に入る姿は、田舎から出てきたばかりの純朴な少女といった印象を受ける。
ということは、良心回路を付ければ、メカ人間も人間と同様に心を持つことができるということだ。
つまり伸一朗は、世界征服などということを企まないならメカ人間も人間社会で生きていけるというスタンスに立っているのだ。
この考え方は、前記の“メカ人間にも命がある”という考えに立脚したもので、伸一朗の信念として存在しているものと言えるだろう。
そして、バイオマン14話『新頭脳ブレイン!』では、ブレインとひかるの心の交流を描いているから、それがイコールバイオマンとの意見の相違ということにはならない。
だが、1つ忘れてはならないことがある。
それは、“結局、それらは相手が白紙の状態でこそ意味がある”ということだ。
既に確固とした野望を持っているドクターマンにとって、押しつけられた良心に何の意味があるというのか。
それは、ドクターマンの個性というものを無視した洗脳に過ぎない。
よしんばこれで彼が改心したとしよう。
何らかの原因で良心回路が故障もしくは外れてしまったら、元の木阿弥だ。
白紙だったところに様々な経験をしたメカ人間だったなら、良心回路なしでもそれまでの経験に基づいてまともな行動を取るかもしれない。
だが、良心回路によって抑圧されてきた野望を解放されたドクターマンは、再びギアを生み出すだろう。
伸一朗が目指しているものは、その程度の薄っぺらな効果でしかないのだ。
ドクターマンは、自身を超える科学力の前に破れたとき、そんな世界を滅ぼすために地球破壊爆弾を作り上げた。
これは自らが敗死したときの事後措置として存在する以上、途中で停止してもらっては困るシロモノだ。
そして、己のメカに絶対の自信を持っている彼が、誤作動時のための保険として停止装置を作るとも考えにくい。
では、最終回、ドクターマンの死と共に現れた爆弾の停止装置は何だったのか?
あの爆弾の存在意義から考えると、ドクターマンが地球を爆破する必要性がなくなる場合を想定していたと考えるしかない。
では、ドクターマンにとって、それはどういう場合だろう。
それは、自分を無条件に認めてくれる人間が現れることではないだろうか。
元々ドクターマンが自らの科学力を絶対視してギアを作り上げた理由は、恐らく自分の価値を認めてくれる存在が欲しかったからだと思う。
『世界最高の科学者は誰か。私だ』と誇るドクターマンは、その高度な科学力をもって誰もが認める存在であろうとした。
だが、部下を全て失い、自分もまた敗れたとき、それでも自分に価値を見出してくれる者がいたなら、ドクターマンはその目的を果たすことができる。
“死ぬ前に息子と呼んでほしい”という秀一の願いは、全てを失ったはずのドクターマンにまだ“父親”としての存在価値が残っていることを教えた。
「…知らんな」とうそぶきながらも、ドクターマンは悦びを見出していたのではないだろうか。
だからこそ、停止装置を遺した。
それが、プリンスというメカ人間まで作ったほどの息子への愛だったとすれば、ドクターマン=蔭山秀夫の僅かに残った心だったと考えられるのだ。
もしそうなら、バイオマンはギアを滅ぼしたもののドクターマンには勝てなかったが、バイオマン側の人間である秀一はドクターマンに、ひいては冷たいメカに勝利したということになるのだ。
力ではなく、心で。
それは、ギアを討ち滅ぼすのではなく、ドクターマンに人の心を取り戻させて戦いを終わらせるということだ。
そしてその時、正確で合理的な機械の王国に君臨しつつも心の矛盾を抱え続けた人間蔭山秀夫の物語も完成したはずだ。
だが、結局それらについては深く追求されることなく終わってしまった。
それは、シルバとバルジオンを中心に据えようとしてしまったせいだ。
バイオと反バイオ、言い換えれば力対力の戦いを重視して最終回まで進めながら、最後の最後でいきなり心と心の戦いにシフトしてしまった一貫性のなさが原因なのだ。
結局、この問題は、繋げば繋がる物語の要素を各所に散りばめながら、結局その場しのぎの盛り上げに終始したシリーズ構成力のなさに起因している。
この弱点は、続く『電撃戦隊チェンジマン』で克服されることになる。
人間と機械の共存という重いテーマに1つの答えを持たせることすらできたはずの『超電子バイオマン』という番組は、こうして舌足らずなまま終わってしまった。
“偉大なる失敗作”…鷹羽は『バイオマン』をそう呼んでいる。