電子戦隊デンジマン

昭和55年2月2日〜昭和56年1月31日 全51話

主題歌

 ちなみにOPは、間奏部分の(デンジマン、デンジマン…)が3回繰り返されているだけの違い。
 音源系も『ああ…』の方しかないところをみると、OPの尺の関係でさっさと変えられちゃったのかもしれない。

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基本ストーリー

 超異次元から、ベーダー一族が地球侵略にやってきた。
 それを察知したデンジランドのメインコンピュータは、デンジ犬アイシーを目覚めさせ、デンジマンとなる5人の若者を選び出してデンジリングを与え、デンジマンを結成する。

 そして、デンジマンは、後楽園グループで働きながらベーダーの魔の手と戦うのだ。

▼ 「真実の物語」は…

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メンバー

デンジレッド:赤城一平

 デンジメカは円形で胸のラインは1本。
 空手を教えている。

デンジブルー:青梅大五郎

 デンジメカは6角形で胸のラインは2本。
 元サーカスの団員で、現在はヨガを教えている。
 あんパンが好きで、ロッカーの中には食べきれないほどのあんパンが入っている。

デンジイエロー:黄山 純

 デンジメカは台形で胸のラインは3本。
 料理を教えている。

デンジグリーン:緑川達也

 デンジメカは3角形で胸のラインは5本。
 ボクシングを教えている。

デンジピンク:桃井あきら

 デンジメカはV字形で胸のラインは4本。
 テニスと水泳、ピアノを教えている。
 デンジ星人の子孫らしい。

デンジ犬アイシー

 デンジランドの主にしてデンジマンのオブザーバー。
 最終回、ダイデンジンの回路の一部となって戦い、焼き切れて死んでしまった。

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変身システム

 右手の薬指に付けたデンジリングを前にかざして「デンジスパーク!」と叫ぶと、リング内に収納されたスーツが装着される。
 頭部のデンジメカには、デンジストーンと呼ばれるパワーストーンがはまっており、エネルギー源となっているらしい。
 5人のデンジメカには、レッドの透視、ピンクの画像再生等、それぞれ固有の能力があるほか、デンジシャワーという共通の能力もある。
 ベーダーの毒等に犯された物・人にデンジシャワーを浴びせると、毒の効果を消すことができる。
 デンジリングは相当硬いらしく、ヘドラー将軍でも壊せなかった。

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名乗り

 「デンジレッド」

 「デンジブルー」

 「デンジイエロー」

 「デンジグリーン」

 「デンジピンク」

 「見よ! 電子戦隊デンジマン」

 スーパー戦隊の名乗りポーズの歴史は、デンジマンから始まる。
 ただし、よく見ると、実は動きとセリフが合っていない。
 ポーズが3段階あるのに名乗りが2段階のため、名乗りのメリハリと動きのメリハリのタイミングがずれているのだ。
 とはいえ、デンジメカのアップから始めて、名乗りを見せ場として持ってきたことは、以後の作品に大きな影響を与えた。

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武器

 共通武装であるデンジスティックは、普段は肥後守のように折り畳んで右腰のホルスターに入っている。
 個人武器はなく、全員が共通の武装で、拳を金属化して殴るデンジパンチが主体。
 必殺武器は、デンジスティックを合体させて敵に飛ばすデンジブーメラン

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移動装備

 デンジマンの移動用マシンとしては、レッド用のサイドカー:デンジマシーンと、ほかの4人用のデンジバギー

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ロボット

 デンジファイターが変形するダイデンジン
 デンジファイターは、飛行要塞デンジタイガーから発進する。
 大抵はダイデンジンに変形後に乗り込む。

 武器は電送方式で送られるデンジボール、ダイデンジンブーメラン等。
 必殺技は『デンジ剣・電子満月斬り
 
 秘密基地デンジランドへは、後楽園の地下から秘密通路を使って行ける。

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敵組織 ベーダー一族

首領:ヘドリアン女王

 妖魔力を操る。気まぐれでワガママで、喜怒哀楽が激しい。
 基本的に一族の者を皆可愛がっている。
 美しいものが嫌いというのは、多分「鏡よ鏡よ鏡さん…」の世界だと思う。

 なお演じた曽我町子氏は、シリーズ29作目「魔法戦隊マジレンジャー」のマジエル役で出演後、2006年5月7日膵臓癌で急逝された。

幹部:ヘドラー将軍

 女王に忠実な武人。
 女王のワガママを誠心誠意叶えようとする。
 また、女王の御身第一であり、危険が迫ったとなれば、女王の不興を買うのも厭わず、撤退を進言したりもする。
 この辺りが、保身を第一にしている連中との違いだ。

幹部:ミラー

 女王の鏡になる。普段はスパイ的な活動をしている。

幹部:ケラー

 女王の盾になる。普段はミラーと一緒にスパイ活動をしている。

怪人:ベーダー怪物

 ○○ラーというネーミングで、卵から生まれる。
 左右非対称で、ベルトの数字は登場話数−1となっている。

戦闘員:ダストラー

 ベーダーの下っ端だが、やはり一族。
 マスクが取れるところを見ると、その下には人間のような顔があるのかもしれない。

 ベーダー一族は、超異次元に存在するベーダー城に住み、色々な惑星を滅ぼしてきた。
 基本的には、女王がやりたいと思ったことを一族の総力で叶える集団であり、それ以外の思想は持っていない。
 敬愛する女王の希望を叶えるためにのみ存在しているようなものだ。
 ヘドリアン女王以外の構成員の名前が全員「ラー」で終わっているところからも、その統一感が窺える。
 サンバルカンで登場する行動隊長アマゾンキラーも、やはり「ラー」で終わるのだ。
 俗に、ベーダーは美しいものを嫌い、醜いものを好むと言われているが、鷹羽は、単に女王が自分より美しいものが許せないだけなのではないかと思っている。
 そして、女王が「汚したい」と言うから、みんなで一所懸命汚しているのだろう。
 もし、女王が「みんなで盆踊り大会をやりたい」とか言い出したら、彼らはきっと太鼓や提灯を用意して、和気藹々と踊るだろう。
 
 実は、鷹羽が柏木悠里女王陛下に初めて会った時に、彼女から「美しいものを嫌いなベーダーに、美しい“忠誠”があるのはどうしてでしょう?」という質問を受けており、それに対しての鷹羽の答えがこれだった。

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巨大化

 ベーダー怪物は、自分の細胞配列を自由に組み替えて大きさを変えるので、いつでも巨大化、等身大化ができる。
 大抵は、デンジブーメランを食らった後で巨大化するが、時々、ダイデンジンとの戦いが不利になった段階で等身大に戻り、デンジブーメランでトドメを刺されていた。

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真実の物語

 3000年前、デンジ星は突然のベーダーの侵攻を受けた。巧妙に潜伏していたベーダー怪物ウミツラーの水質汚染に気付いたデンジ星人が、対抗策として巨大ロボ:ダイデンジンを完成させた時には、もはや手遅れで、一部のデンジ星人は巨大宇宙船デンジランドやグレートクイーン号でデンジ星を離れた。
 ところが、デンジランドにもウミツラーの細胞が付着しており、それらとの戦いで船内のデンジ星人は全滅、睡眠状態だったロボット犬アイシーだけが残り、デンジランドは地球に到達した。

 一方、グレートクイーン号に乗っていた者達は、行き着いた星をベーダーに破壊され、放浪の果てに地球に到着したが、乗っていたデンジ姫は、部下達を地球に残し、僅かな護衛と共に宇宙のパトロールの旅に出た。
 こうして、地球にはデンジ星人の血を引く人間が存在するようになる。
 
 そして、仇敵ベーダーの地球侵攻を察知したデンジランドのメインコンピュータは、今度こそ星を守るために、デンジマンを結成して対抗するのだ。

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ラストへの流れ

 ある時からベーダー城に居着いた宇宙のならず者バンリキ魔王は、反乱を起こしてベーダー城を乗っ取ってしまった。
 このため、ヘドリアン女王のカリスマによって統べられていたベーダーの組織は混乱し、女王は忠臣を次々と失っていく。
 ダイデンジンもまたバンリキ魔王とバンリキモンスに破れてしまう。

 アイシーが応急修理したダイデンジンで、デンジマンはようやくバンリキ魔王とモンスを倒すが、実はダイデンジンの破壊されたメイン回路の代わりをアイシーが務めていたため、アイシーは死んでしまった。
 手駒を全て失ったヘドリアン女王は、敗北を認めて眠りに就くことを宣言し、勝利したものの、ダイデンジンとアイシーを失ったデンジマンはそれぞれの生活に戻った。

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傾向と対策

 前作バトルフィーバーJが好評だったため、5人のヒーロー集団という部分を強調し、5色の強化服と微妙に違う顔のマークというゴレンジャーの要素を取り入れて練り上げた、シリーズ第2作。
 基本的な作劇は、バトルフィーバーとほぼ同じだった印象が強い。
 前作でそのキャラがウケた大葉氏は、今回もブルー:青梅大五郎役で登場し、やはり変身後も演じている。
 どう見ても同じ役者だと分かるのに、不思議と違和感なく青梅として溶け込めたのは、大葉氏の人柄だろうか。
 世間的には「あんパン」を強調しているせいだと言われるが、少なくとも鷹羽には「あんパン」の印象はない。
 名前にそれぞれの変身後の色を取り入れ、着ている服もその色という分かりやすいフォーマットは、その後もしばらく受け継がれることになる。
 頭部のデンジメカという説得力もかなりのもので、メカが光ると、なんとなく何でもできそうな気がしたものだ。
 ベーダーの作戦を見ていると、この頃の戦隊物はコメディ色が強いということを再確認できる。
 鷹羽の印象で最も強いのは、28話『呪いの館の密殺者』のナゾラーだ。
 デンジマンに首輪を掛け、クイズを出す。
 クイズに正解すると首輪が取れるが、不正解だと締まるのだ。
 ほかのメンバーが次々と正解し、最後に残ったデンジブルーへの質問は「馬と豚がケンカした。勝ったのはどっち?」というもの。
 「トンカツ(豚勝つ)で豚!」と答えたブルーに、「ハズレ。トンカツ食って美味かった(馬勝った)」と答えて勝ち誇るナゾラー。
 こんな戦いを大真面目にやってるんだから、コメディ色が強いのが分かろうってものだ。
 ただ、1本筋が通っていたので、コメディにはなりきっていなかったわけだ。
 この辺のバランス感覚は大事だね。
 
 なお、上記のとおり、デンジ星人の子孫の一部が地球に移り住んでおり、デンジ星人の血を引く者が今でも生きている。
 アイシーがデンジマンの5人を選んだ基準は不明だが、もしかすると彼らはデンジ星人の血を引いているのかもしれない。
 少なくとも桃井あきらは、デンジ星人の子孫とみて間違いない
 映画版で、デンジ星人の血を引く少女の超能力に向けて放たれたヘドリアン女王の妖魔力テレパシーに感応しているからだ。
 あきらがそうであるということは、ほかの4人もそうである可能性が強いが、敢えて「〜かもしれない」というナレーションで示唆するに留めている。
 
 で、このデンジマンから、“番組終盤での敵側の内紛”という定番が始まる。
 ベーダーの居候だったバンリキ魔王の反乱だ。
 ただし、これはあくまでベーダー側が混乱して弱体化しただけで、デンジマン側には何もドラマがなかった。
 この終盤のドラマが結実するのは、5年後のチェンジマンでのことになる。
 ただ、敵側のドラマだけの盛り上がりでも、東映トクサツの終盤が盛り上がるというのは結構珍しいことであり、デンジマンのラストは評価すべきだろう。

 ちなみに、鷹羽は、用事で最終回を見られず、大変悔しい思いをした。

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