8.揃わない13人


 『龍騎』では、番組当初から、13人の仮面ライダーが戦い合い、最後に残った1人は何でも願いが叶うと言われてきた。
 ところが、テレビ本編に登場したライダーは全部で10人しかいない

 例えば王蛇辺りにひっそり殺されていたなどと考えるのは、ライダー全員が顔見知りという番組中の描写からして無理がある。
 少なくとも、存在がほのめかされることすらないというのは、やはりいなかったと言うしかないだろう。

 6話『謎のライダー』で、シザースの死後、蓮自身が「カードデッキは全部で13。倒すべきライダーはあと11人。お前(真司)を入れてな」と言っているし、27話『13号ライダー』でオーディン自身が「13人目の私」と言っているのだから、これは動かしようのない前提だ。
 にもかかわらず、ライダーは10人しか登場していない。
 そのせいか、オーディンはいつのまにか「13人目」とは言わなくなってしまった。
 ライダーが全員揃わなくても結果が得られるならば、何もわざわざライダーを増やす必要などないはずだ。
 第一、オーディンは最初から存在しているわけで、どう考えても王蛇をスカウトする前から「13人目」として登場するつもりで出番待ちしていたのが明らかだ。
 つまり、士郎は、なんだかんだ言って9〜12人目をスカウトしていないと考えるしかない。

 ここで疑問を感じるのは、どうして士郎は一遍に12人スカウトしていないのかだ。
 王蛇は途中でライダーになったことが明確だし、タイガやインペラーは番組中で「新人」として扱われている。
 つまり、物語開始当初に揃っていたライダーは、多くても7人しかいなかったということだ。
 デッキの数だけライダーを揃えなくてもいいのなら、士郎はデッキを渡す相手を2〜3人に限定して、そいつらだけに殺し合わせればいい。
 1月19日という期限の切られた戦いなのだから、決着が早く着いた方がいいだろう。
 何人以上のライダーが必要という話ならば、最低限のデッキを用意すればいいのであって、余裕を持たせて13個も作る必要はないのだ。
 しかも、13人揃っていないのに、確かに新しい命は得られた。
 ますます意味がないではないか。


 テレビ朝日の公式HPにある『13人のライダー』のコーナーには、13個の円が用意されており、テレビ本編に新しいライダーが登場するたびにライダーの顔が入り、その正体が分かった時点で素顔が表示されるようになっていた。
 だが、劇場版のネタバレ防止の見地からだったのか、それともテレビ朝日HPの担当者が「そのうちテレビ本編にも出るだろうから、そのときに入れよう」と思っていたのかは定かではないが、ともかく、3つの円が、番組が終わった今も写真が入らないままになっている。

 余談だが、この13個の円の中心部にある「The Final Door」と書かれた円に関する説明は、鷹羽が知る限り、東映の『龍騎』公式HPから行ける劇場版の宣伝ページにある「仮面ライダーリュウガが“最後の扉”を開いた」という一文しかない。
 放送局側で作っているHPということもあり、初期設定や企画段階での設定をそのまま使ってしまったのかもしれないが、結局劇場版にしてもテレビ本編にしても、「これが“最後の扉”だ」というものは出てこない。

 ともかく、公式ページのライダー紹介が13人揃わないままになっているという間抜けな状況は、一体どうして生まれたのか。
 メインの3人以外の10人を1年間50話で登場させるとすると、1人に割ける話数は単純計算で5話ということになる。
 これはインペラーが登場していた話数(4話)と同等だから、必死に登場・退場を繰り返したとしても、キャラクターを立たせることは不可能ではなかったはずだ。
 もちろんライダーの描写だけに話を使うわけにはいかないだろうが、それにしたって、雑魚ライダー同士で潰しあったっていいし、逆に新登場のライダー同士で潰しあわせてトドメを刺すシーンだけ写せば、新ライダーの強さ・残虐性を見せつつライダーを1人退場済みにできる。
 それができなかったのは、未登場のライダーを単なる雑魚として登場させるわけにはいかない制作者側の事情があった。

 言うまでもなく、『EPISODE FINAL』『13RIDERS』の存在だ。
 

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