2.生き生きとしたキャラクター達


 この作品では、ライダーを演じた役者達が、特撮系の雑誌のみならず多くの一般誌にも取り上げられ、イケメンヒーローブームを生んだ。
 正確には、先鞭を付けたのは2000年放送の『クウガ』や『未来戦隊タイムレンジャー』だったようだが、この『龍騎』では、出てくるライダーが揃いも揃って美形ばかりで、その裾野を大きく広げたと思う。

 だが彼らが顔だけだったかというと、そうではなかったのが、この番組の幸運なところだろう。

 彼らは皆それなりに演技達者であり、蓮にしても北岡にしても、確個としたキャラクターを構築していた。
 東條の粘着質ぶりは、“役者の地ではないか”という話が出るほどに堂に入っていたし、浅倉の気怠げでかつギラギラしたバトルマニアぶりも、『超光戦士シャンゼリオン』での萩野氏を知っている人間からすれば別人のようで、氏の演技の幅の広さを感じさせてくれたし、わずか4話という短い登場となった佐野も、その最期の悲痛な叫びのリアルさで大きく同情を集めた。
 また、演技面では一歩も二歩も譲る須藤の場合、逆にその変さ加減が味となってコアなファンがついたようだ。
 劇場版の美穂もなかなかいい味を出していた。
 

 そして、特筆すべきは、主役:城戸真司を演じた須賀貴匡氏の演技達者さだ。

 当初、おちゃらけたいい加減な人間の役しかできないのかと思っていたら、劇場版ではダークで自己の確立を渇望するリュウガを演じ分け、そして番組終盤では、自分が何をなすべきか思い悩む真司の姿を見事に演じてみせた。
 特にリュウガ(鏡の向こうの真司)を見た衝撃は大きく、鷹羽はこれ以後、真司を見るときの目が変わってしまったくらいだ。

 そして、各役者達は、各々にあてがわれたキャラクターを演じきり、“このキャラといえばこの役者以外考えられない”レベルまで自分の物にしていたと言えるだろう。
 先にも挙げたとおり、浅倉役:萩野氏も、東條役:高槻純氏も、以前他のヒーロー物で主演した経験を持つ役者だが、そのときの役どころと全く違うキャラクターを与えられ、きっちり演じている。
 『龍騎』を見た後で『ウルトラマンネオス』を見ると、あまりのギャップに笑ってしまうことだろう。


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