『仮面ライダー龍騎』
第47話 戦いの決意
2002/12/29 放映


(Story)
 ライダーとして戦うことを決断した龍騎サバイブとナイトサバイブの戦いは続く。
 だが、ナイトサバイブを弾き飛ばした龍騎サバイブは、これまで死んでいったライダー達の姿が頭にちらつき、ファイナルベントのカードを装填することができなかった。
 龍騎サバイブは、トドメを刺せない自分にショックを受けて
  決めたのに…優衣ちゃんのために戦うって決めたのに…
  結局、俺、迷ってるのか…

とサバイブ化を解く。
 そんな龍騎の姿にかつての自分の姿を重ね合わせるナイト。

 そこに、シアゴーストの群がやってきた。
 分解を始めた龍騎を現実世界に帰そうとするナイトは、ヤケになりかけている龍騎を連れて逃げ回り、シアゴースト達がうずくまって動かなくなった隙に脱出した。

 現実世界に戻った真司は、自分がトドメを刺せなかったことに悩み、蓮の慰めにも
  余裕ないんだよ! 優衣ちゃんの誕生日まで
  これじゃ何もしないのと同じだ

と苦しみ
  考えるから駄目なんだよ…何も考えなければ…
と呟いて花鶏へと帰っていった。
 花鶏に戻った真司の異様に明るい様子に、優衣は真司が自分のために思い悩んでいるのだと気付いていた。


 一方、車の爆発で受けた傷の治療を終えた吾郎は、北岡から車の爆発の仕掛けは吾郎がやったものではないかと追求される。
 否定しつつも謝る吾郎に、北岡は自分が頼りないせいだと言い、吾郎の
  先生が浅倉に負けるなんて思ってません
  ただ、黙って見ているしかできない自分が…

という言葉に
  できなくていいんだって
  なんかもう、ほんと、できなくていいよ

と感慨深げに呟いた。
 
 そして、主を失ったデストワイルダーは、手当たり次第に人を襲っていた。

 翌日、真司は北岡の事務所を訪ねて戦うよう求めるが、そんな真司の様子に違和感を感じた北岡は
  悪いけど遠慮しとくよ
  そういう気分になれないっていうか
  それとお前、何があった知らないけど見てられないよ
  そういうの、ウザイっていうか

と相手にされない。
 
 優衣は沙奈子に再び旧神崎邸の写真を見せて問い詰めた。
 ようやく重い口を開いた沙奈子は、優衣と士郎が幼い頃家に閉じ込められているような生活を送っていたことを語る。
 優衣は、蓮と共に神埼邸を訪れ、家族旅行で描いた海の絵を見ながら、自分の印象にうっすらと残る家族像と沙奈子から聞いた話とのギャップに戸惑う。
 そして、2人は、以前タイムベントで修復された兄と妹の絵を発見した。
 優衣の記憶によれば、この絵は、優衣と士郎がいつまでも一緒にいられるようにとの願いを込めて2人で描いたものだった。
 そこで蓮はふと写真を見付けた。
 それは、優衣が描いた海の絵と全く同じ構図だった。
 “家族旅行なのに家族が描かれていない”海の絵に疑問を抱く蓮。
 そのとき、北岡から「この前の借りを返そうと思って」真司がやばい状態だと連絡が入った。
 慌てて真司を探した2人は、必死に浅倉を探している真司を発見した。
 真司は
  なんでだよ、俺がやめろと言ったときにはやめないくせに、俺が戦おうとすると誰も戦わないんだよ!
と苛立ちをぶつける。
 そして、デストワイルダーの気配を感じた2人は、変身してミラーワールドへ。
 龍騎サバイブのファイナルベント“ドラゴンファイヤーストーム”で倒し、再び龍騎サバイブとナイトサバイブの戦いになった。
 互いのシュートベントでサバイブ化が解けた2人だったが、立ち上がれないナイトに対し龍騎が近付いていく。
 優衣は、その様子を見つめながら、「あたし、消えたっていい。だから…」と止めるが、龍騎は「決めたんだ」とソードベントのカードを装填する。
 「迷わない、何も考えない」と呪文のように呟きながらドラグソードを振り上げた龍騎だったが、優衣の
  真司君、あたし、そんな風に真司君に助けてもらっても嬉しくない!
という言葉に、ソードを落としてしまった。

 現実世界に戻った真司は、
  同じかよ…どうやっても俺は結局…
  優衣ちゃん、ごめん
  俺は…俺は一体どうしたら…?

と思い悩む。
 
 一方、アメリカでの情報収集を終えて帰国した令子は、花鶏で大久保に結果報告をしていた。
 神崎士郎のアメリカでの死亡診断書のコピーを取りだした令子に、沙奈子は
  困るのよ、こんなもの優衣に見られたら
  出てって!

とえらい剣幕で怒鳴りつける。
 
 その頃、生きていた浅倉はどこかを目指して走り、北岡は事務所で倒れ、士郎は兄妹の絵を見つめながら「タイムリミットだ」と立ち上がっていた。
 そして、うずくまっていたシアゴースト達は、一斉にレイドラグーンに脱皮していた。



(傾向と対策)
 鷹羽、ちょっと真司を見直した。
 やはり、あいつはああやって堂々巡りするキャラなんだなぁ♪

 演出的には、今更蓮の悩みをなぞっているだけなのでイマイチ感慨が湧かないんだけど、「バンバン戦うから!」と笑う顔の痛々しさが非常によかった。
 そういう辺り、演じる須賀氏はやはり巧いと思う。
 一応断っておくが、“キャラクターとしての評価”“シナリオ・演出としての評価”“役者としての評価”は、全部違うものなのでお間違いなきよう。

  同じ行動について評価するにしても、『キャラクター城戸真司が優柔不断だという評価』と『演出上、真司が今回のようにうだうだ悩むのは説得力があるが、以前蓮がやっているから少々くどい』『空元気の真司を演じた役者須賀貴匡は演技が巧い』という3つは、相反するものではないのだ。
 
 ただし、蓮が以前同じようにトドメを刺せないことに悩んだという前振りがあることは、ある意味真司の行動を蓮が見守る動機になるので、「くどい」という面はどうしようもないにせよ、全くの無駄というわけでもない。

 もう1つ、「そんな風に真司君に助けてもらっても嬉しくない!」という優衣の叫びは、意識を失っている恵里にはない反応であり、誰かを殺してでも助けようとしている当の優衣に「助けないで」と言われてしまった場合、真司には『人を殺してまで助けても優衣は喜ばない』という真司のこれまでの意識の延長にある答えが得られるわけで、戦わないことにエクスキューズができる。
 こちらの方がむしろ正論なわけで、蓮の『恵里がどう思おうと助けたい』という強い意志との対比は是非やってもらいたいところだ。
 
 で、優衣の失われた過去には何が隠されているのだろう。
 どういう経緯で両親から軟禁されていたのか、その理由が説明される可能性は低いとしても、家の中で優衣と士郎が何をやっていたかについては触れられるだろう。
 例の船の絵については、外に出られない優衣が写真を書き写して海に行ったつもりになっていたというオチだと思われる。
 そんな中でモンスターをの絵を描くようになって、それがミラーワールドという異世界で実体化したのかも。
 それが爆発に関して直接・間接の原因になっている可能性は高いと思う。
 両親に対する優衣の不満を代弁した何かが何らかのエネルギーを持って爆発した、とかね。

 いや、まぁ、もしかしたら、士郎が「あの火事はなぁ、俺が火を着けたんだよ」とか言い出すのかもしれないが。

 そういえば、沙奈子はどうやらアメリカでの士郎の死を知った上で、優衣に内緒にしているんだろう。
 言えば優衣がショックを受けるから、というのが答えなのだろう。
 士郎がデッキを持って優衣を訪ねてきたときにはヒマラヤにいたようだから、会っていないはずだ。
 もし会ってたら、腰抜かしただろうな〜。
 
 士郎が言った「タイムリミット」というのは、多分優衣の誕生日までの残り日数の問題だろう。
 優衣の誕生日は1月ということしか語られていないが、次回予告を見ていると、いきなり「あと3日」とか言っている。
 ちなみに、今回冒頭の日付は前回の東條の新聞記事から12月23日と分かり、当然その翌日だから、士郎が「タイムリミットだ」と言った時点でまだ12月24日ということになる。
 つまり、北岡の事務所でみんながケーキを囲んでいたのは、吾郎の怪我が対したことなかった祝いと真っ昼間のクリスマスパーティーなのだ。
 今の段階で「あと3日」って言ったら12月中になってしまうので、次回との間に数日のラグを置くか、もしくは開き直って12月24日の翌日が1月5日くらいになるのかもしれない。
 この辺は、気にせずにいられないが突つくとドツボなのでこのくらいにしておこう。
 
 さて、話を令子の集めてきた資料の方に移そう。
 モンスターの話も載っていたと言いながら、神埼士郎(診断書は高見士郎名義)の死亡診断書の方が重要だと言っているところを見ると、大した研究資料は集められなかったのかもしれない。
 いや、死んだ人間がのうのうと日本の大学に入学しているのは確かにとんでもないのだが、もしモンスターが優衣や士郎の絵から実体化したものなら、その方がとんでもないことだろう。
 ということは、令子は実態を把握できていないか、さもなければ研究資料そのものが大したレベルでないものしか手に入れられなかったのだろう。
 そもそも士郎が研究を完成させたのは、アメリカでの死亡(命日は2001年4月15日)から4か月も後のことなのだから。
 ちなみに、士郎の誕生日は1977年(昭和52年)9月29日だから、生きててもまだ25歳…。
 あのおっさん、昭和50年代の生まれだったのか…そういや、まだ10代の優衣の兄貴なんだっけ。


 さて、不死身の男浅倉は、あれだけの炎の中からほとんど無傷で生還してしまった。
 浅倉が目指す先はどこだろう?
 再び北岡の事務所か、それとも真司・蓮のところか?
 一斉にレイドラグーンに脱皮を始めたシアゴースト達は、タイムリミットとどういう関係なのか?
 あれだけいたギガゼール達はどこになりを潜めたのか?
 未だ登場しない3人のライダーについてはどう誤魔化すつもりなのか?
 謎は尽きない。

 
 さて、今回の見所は“なにげに「おめでとう」と言って乾杯している北岡事務所組”だろう。
 吾郎の怪我は、前日突然北岡を追っていった後で、北岡の運転で帰ってきたときについていたものだ。
 どういう事件に巻き込まれて怪我をしたにせよ、快気祝いというには怪我をした翌日でしかないし治っていない。
 怪我をした理由も不明確だから、「おめでとう」とかいうレベルじゃなかろう。
 第一、普通クリスマスと一緒にそういう祝いはやるもんじゃないだろう。
 かといって、クリスマスだけで「おめでとう」は言わないよな〜。
 じゃ、何がめでたいの?


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