『仮面ライダー龍騎』
第43話 英雄は戦う
2002/12/1 放映


(Story)
 なぜかモンスターを操る力を発揮し、インペラー達を撃退した優衣は、様子がおかしくなったまま佇み、龍騎の呼び掛けにも応えない。
 それどころか、モンスター達は優衣を揺さぶって声を掛けている龍騎に矛先を向けてきた。
 ようやくミラーワールドを脱出した真司は花鶏に戻るが、やはり優衣は帰っていなかい。
 真司と蓮は、手分けしてミラーワールドを捜索することにした。
 
 一方、香川という契約相手を失った佐野に対し、東條は
  僕は英雄になるんだ。自分だけの力でライダーの戦いに勝ち残って
  君はいらない

と言うが、逆に佐野に
  どうでもいいけど、お宅、眼が死んでるよ
と言われてしまった。
 
 優衣捜索から一旦戻った真司は、花鶏で待っていた佐野に再契約を持ちかけられるが、裏切って優衣を襲った佐野に対する真司の怒りは強く、有無を言わさず殴り飛ばす。
 困った佐野は、新たな契約相手を捜すことにして北岡の事務所に行ったものの、けんもほろろに断られ、仕方なく王蛇への紹介状を書いてもらった。
 
 その夜、ようやく東條を見付け出した浅倉は、東條に勝負を挑む。
 余裕で勝負を受けたタイガだったが、ストライクベント“デストクロー”を弾き飛ばされ、呼び出したデストワイルダーは王蛇のメタルゲラスに阻まれ、ファイナルベント“ベノクラッシュ”をフリーズベントで止めたものの、ファイナルベント“ハイドベノン”を発動されてしまう。
 なんとか直撃は避けたものの、大きなダメージを負ったタイガは、もはや王蛇に為す術もない。
 王蛇にいたぶられ
  どうした? 英雄だろ、お前?
  なんだ、逃げるのか?
  もっと俺を楽しませろ!

と吹っ飛ばされてほうほうの体で現実世界に逃げ出した東條は、川に飛び込んで浅倉の追撃から逃れることができた。
 東條は「今日は調子が悪かったかな」と呟く。
 そして、2人の戦いを物陰から見ていた佐野は、さっそく浅倉に取り入ろうと北岡からの紹介状を見せるが、そこには大きく「まぬけ」と書いてあるだけだった。
 浅倉に睨まれた佐野もまた逃げていった。
 
 翌日、清明院大学にやってきた北岡は、東條に戦いを挑む。
 東條の
  やっぱりあなたは英雄になれないって思って
  怒ってるんでしょ? この間の女の人を襲ったから
  くだらないなぁ

という言葉に、北岡は薄く笑って
  令子さんのことは関係ないよ
  これは俺自身の問題だからさ
  ま、いずれにせよ俺は英雄になりたいなんて思ってないしな

と返す。
 ゾルダと対タイガは、互角に戦いを進めるが、一瞬の隙を突いたゾルダのシュートベント“ギガランチャー”がタイガに狙いを付けていた。
 ゾルダは、「よせ」と怯えるタイガを
  なんだ命乞いか? 英雄なんだろ、お前?
と嘲笑う。
 だが、発射の前に「昨日の続きだ」と王蛇が乱入してきた。
 ゾルダは、タイガを一方的に打ちのめす王蛇ごとファイナルベント“エンドオブワールド”を放つ。
 かろうじて直撃を避けた王蛇とタイガはボロボロになって現実世界に戻り、悠々と戻ってきた北岡の前から、東條は逃げ去っていく。
 残った浅倉は、「奴は所詮小者だ」と北岡に戦いを挑もうとするが、ダメージが大きく崩れ落ちてしまった。
 見逃してもらった形で逃げ延びた東條もまた、力尽きて倒れてしまう。
 
 そのころ、ミラーワールドで合流した龍騎とナイトに、主を失ったサイコローグが襲い掛かり、ナイトのファイナルベント“飛翔斬”で倒されていた。
 
 翌日、意識を取り戻した東條は、佐野の部屋にいた。
 「当然見返りは期待してるけどね」「あんた、1人じゃ何もできないみたいだからさ」と言う佐野に父の死の知らせが入るが、佐野は奇妙なほど平然としていた。
 
 そして、龍騎達が由比を捜し続ける中、ミラーワールドのどこか山の中にいる優衣の元に士郎が現れ、優衣を守るかのように取り巻いているモンスター達を一睨みでたじろがせ、
  ここはお前のいるべきところではない
と話しかけていた。


(傾向と対策)
 タイガ大活躍編。
 こういうときに全く絡まない龍騎とナイトは可哀想かもしれない。
 どうやら切り札とも言うべきフリーズベントは1枚しかないらしく、王蛇のファイナルベント二段構えに対応しきれなかったようだ。
 この辺り、実は王蛇の契約モンスターが3体いることを知らないというタイガならではのうろたえようなのだが、知っていたとしても対処のしようはあるまい。
 なにしろ、ファイナルベントを3つ立て続けに使えるというほとんど反則なライダーなんだから。
 ただし、王蛇は多分フリーズベントを食らうことを前提にベノクラッシュを仕掛けたわけではないだろう。
 あの高さ・幅に制限のあるバトルフィールドでは、どのファイナルベントを使っても同様に決まるだろうが、倒すつもりでベノクラッシュを使ったのに封じられたから、次なる手としてハイドベノンを使ったのだ。
 この辺は、ケンカ慣れしている浅倉らしいところだ。
 で、後先考えずに力一杯ぶっ飛ばしすぎて逃げられる辺りも浅倉らしい。
 なお、この戦いは、変身からずっと大変燃えるものだったが、変身した直後のシーン(現実世界)と戦い始める瞬間(ミラーワールド)とで両者の位置が入れ替わっているというミスがある。
 これは、東條側のカーブミラーの下にあるスイッチか何かの位置で確認できるのだが、ミラーワールドに入ったときに当然左右対称になるので、タイガと王蛇の位置は変身前のそれと逆になっていなければならないのだ。
 恐らく、理屈ではそうでも感覚的に違和感を覚える視聴者がいそうだとの考えでわざとそうしたのだろう。
 むしろ気が付かない人の方が多そうだし。
 
 タイガの第2戦は、接近戦でデストクローを使わなかったのが敗因で、ゾルダに蹴り飛ばされるという珍しい方法で距離を取られ、途端にモンスターを使わない飛び道具で狙われるというゾルダのペースに巻き込まれた。
 王蛇の乱入がなければ、ギガランチャー数発でタイガは塵になっていただろう。
 今回のゾルダの決意はかなり固かったようだし。
 ただ、相変わらず詰めの甘いゾルダは、折角用意したギガランチャーではなくエンドオブワールドを使ってしまった。
 どうせなら、ギガキャノンとマグナギガでの同時攻撃で少なくともタイガだけでも潰しておくべきだったろう。
 
 それにしても、屋台でラーメン食べてたり(浅倉ったらスープを啜ってるし)、カフカの『変身』読んでたりと、これまでとイメージが違う東條がいっぱいの話だった。
 なんと言っても、誰も聞いてないのに「今日は調子が悪かったかな」と負け惜しみを言っている辺りが微妙に変で良かった。
 
 で、意外なところで面倒見が良かった佐野は、東條に「眼が死んでる」とか「1人じゃ何もできないみたいだ」などと忠告してやっている。
 金の亡者と見せて、どうやら実はボンボンだったらしい。
 大方父親とケンカして勘当されてたけど、父の死によって遺産と地位が舞い込んでくるという展開なんだろう。
 ただの金の亡者ではない、と。
 しかし、それにしては人間が軽そうだなぁ。
 浅倉に「テレビに出てませんでした?」ってのは大笑いだった。
 そりゃあ出てるよねぇ。「犯人の浅倉威は…」って。
 
 ところで、前回は襲われなかったのに冒頭で龍騎が襲われた理由について考えてみよう。
 モンスター達は、恐らく優衣に徒なす者を攻撃しているものと思われる。
 つまり、前回は龍騎は敵ではなかったが、今回は優衣の方を揺すっているから敵と判断されたわけだ。
 1体だけ優衣の前に残ったギガゼールがナイス。
 で、モンスターにとって守るべきは優衣であって、士郎は優衣に下手に近付くと攻撃対象になるらしい。
 ただ、士郎もまたモンスターに影響力のある存在だから、手出しできないでいる、と。
 
 めでたく野良モンスター化したサイコローグもノーマルの龍騎&ナイトに倒されてめでたしめでたしだったし、メタルゲラスとデストワイルダーという2大重量級モンスターの戦いやら、久々のハイドベノンやら、モンスターににらみを利かせる士郎やら、普段なかなか見られないものが目白押しで、なかなか見所の多い話だったなぁ。
 
 しかし、どうして花鶏に怪しい外国人の旅行者が団体で来てるんだろう?
 やる気のなさそうな添乗員と、言葉の壁に翻弄される沙奈子が笑えた。
 でも、沙奈子の場合、「こんな店、もうやめだい!」なんてキレてる暇があったら、無断外泊した年頃の娘を心配した方がいいんじゃないだろうか…。
 
 さて、今回の見所は“ミラーワールドで飲まず食わずの優衣”だろう。
 少なくとも一晩、恐らく二晩はミラーワールドに滞在しているはずなのだが、その間の食事等はどうなってるの?


PS 今回からインペラー&登場できないズがジャンクションに登場した。
   まさか、これで「テレビ本編にも登場した」とか言い張るんじゃないでしょうね!?


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