『仮面ライダー龍騎』
第41話 インペラー
2002/11/17 放映


(Story)
 ゼール達の群と戦ったライダー達は、時間切れで引き上げていく。
 その姿を遠くから見つめるインペラーの姿があった。
 
 現実世界に戻った香川は、妻に連絡を取ってその無事を確認し、そんな姿を見て
  先生も、やっぱり家族が大事なんですね
と言う東條に
  当然でしょう
  英雄であるということは、人の命に鈍感になるということではありません

と答える。
 そこに蓮が現れ、香川が妻子を見捨てたことに怒りを露わにするが、東條は
  先生は、多くのものを救うために自分の大切なものを犠牲にできる人なんだよ
  英雄だからね

と答え、
  大切なものがあるなら、どんな犠牲を払ってもそいつを守ればいい
と言う蓮と平行線を辿るだけだった。
 蓮と真司は、優衣を守るために交代で側にいることにする。
 
 一方、東條と戦うため、その居場所を聞こうと北岡の事務所を訪れた浅倉は、お礼参りに来たと思っている北岡に対し、「お前は後回しだ」と、東條の居場所を教えるよう迫る。
 本当に東條の居場所を知らない北岡は、恐らく真司なら知っているだろうと告げ、浅倉に求められるままOREジャーナルの場所を教えた。
 ガラスの中の怪物の話で盛り上がっている編集部にやってきた浅倉は、真司を連れ出すが、ライダー同士の戦いをさせたくない真司は、浅倉に東條のことを教えない。
 聞き出すのを諦めた浅倉は、
  奴は俺の獲物だ
と去っていった。
 そして北岡は、鏡の中の怪物の写真を手に事務所を訪ねてきた令子にしらを切り、令子を乗せて清明院大学の401研究室へと向かう。
 そこでの取材も断られた令子を口説いていた北岡だったが、デストワイルダーが令子を襲ったことから、変身し、タイガと戦うことになる。

 ファイナルベント“エンドオブワールド”を発動した直後、フリーズベントでギガマグナの動きを止められたゾルダは、逆にタイガのファイナルベント“クリスタルブレイク”に掛かってしまう。
 トドメの一撃を食らう寸前、それを救ったのは、2人の戦いを見付けてミラーワールドにやってきたナイトだった。
 蓮は北岡を病院に運び、意識を取り戻した北岡にその病状を知ったことを告げた上で、「ライダーの世界に同情はない」と言う。
 なぜ助けたのかと尋ねる北岡に、蓮は
  お前に貸しを作っておくのも悪くないと思ってな
  でかい貸しだ。いずれ返してもらうぞ

と答える。
 北岡は、そんな蓮に「嫌な奴だ」と返した。
 
 そのころ香川は、令子を襲った東條を責めていた。
 東條が自分の力を楽しんでいるのではないかと不安を感じる香川は、仲間が欲しいと洩らす。
 
 そんなとき、花鶏に「仮面ライダーインペラー:佐野満」と名乗る男が乗り込んできた。
 佐野は、先の戦いでライダーにいくつかの派閥があることを知り、自分の力を高く買ってくれる方に売り込もうとしていた。
 「あんな奴が信用できるか」と蓮に追い返された佐野は、今度は香川達の方に売り込みに行く。
 ちょうどモンスターの気配を感じた佐野は、自分の力を見せるため、変身してミラーワールドへ。
 そこでは、既に龍騎サバイブと2体のシアゴーストが戦っていた。
 龍騎サバイブのシュートベント“メテオバレット”で1体は倒されたが、もう1体は逃げようとする。
 それを蹴り飛ばして登場したインペラーは、「コイツは俺に任せてよ、先輩」と、ファイナルベント“ドライブディバイダー”であっさりシアゴーストを倒し
  どうです? 俺強いでしょ?
  お買い得ですよ、ね、先輩達?

と、龍騎サバイブと、様子を見に来たゼロ、タイガそれぞれに売り込む。
 そして、サバイブ化を解いて呆れている龍騎の背後から、デストクローを振りかぶったタイガが迫る…!


(傾向と対策)
 かなり妙な人:佐野満登場。
 どうして彼がライダーに選ばれたのかは謎だが、こんな傭兵みたいなライダーというのも面白い。
 前回大量のゼールを送って大乱闘を演じさせたのは、各ライダーの主な能力と、それぞれの正体を探るためだったらしい。
 派閥があるったって、佐野はオーディンの存在を知らないだろうから、真司&蓮と、香川&東條という図式があるだけで、北岡・浅倉は無党派層だし、こんなのを派閥と言っていいものか悩むところだ。
 それぞれが変身を解き、どこへ帰っていくかを調べるためにあんな真似ができるのは、使えるモンスターが大量にいるが故だろうなぁ。
 あれが全部契約モンスターだとしたら、餌やりが大変だ。

 どうでもいいが、次回予告のアレはなんとかならないものかな〜。
 いみじくも蓮が言っていた「あんな奴が信用できるか」を、見事にやってくれちゃっているわけだけど、あれじゃあ、真司が雇ったのに香川側に寝返るのが丸見えじゃない。
 そんなもの、今から見せてどーすんのよ!?
 
 で、いよいよ危ない人度合いが増している東條は、どうやら「英雄」を言い訳にして、力に酔っているらしい。
 何しろ、自分自身は失う物がないらしいので、他人に犠牲を強いるだけの行動はやり放題だ。
 それに対して香川が「私はときどき不安になるんですよ」と言ったり、「君が仲村君を手に掛けてしまったのは痛いですねぇ」などと当てこすってみたりするのは、やはり相当持て余しているということだろう。
 ちなみに、東條に「必要な犠牲は君の命だ」と言ってみたい衝動に駆られている人は、全国にシザースのファンと同等数いると思うが、どうだろうか。
 
 さて、他人の家で栄養補給する男:浅倉だが、やはり東條にかなり苛ついているようで、あれだけコケにされた北岡のことを棚上げして東條を追い始めた。
 もし聞きに行った相手が蓮だったら、或いは北岡が東條の居場所を知っていれば、あっさりと教えてくれただろうに、やはり真司では教えるはずもない。
 浅倉が、真司を締め上げてでも聞き出そうとしなかったのは、
  俺も東條には頭に来てるけど、お前の力を借りようとは思わない
という言葉から、『自分の獲物だから渡さない』というニュアンスを感じたからだろうと思う。
 だから
  奴は俺の獲物だ。お前にはやらん
という受け答えになるわけだ。
 対する北岡の「最近新人が多い」という意見は、ゼロもライダーだと思っているからの発言で、ゼロが士郎に敵対する人間だと知るのがいつになるか楽しみだ。
 それにしても、どちらかというと不意打ちが得意なタイガとゾルダが正面切って戦うなんてなんかマヌケだなぁ。
 もし、ゾルダがギガキャノンを使っていたらタイガはどうしようもないわけで、そういう辺りに、制作者側の意図が見え隠れしてちょっとつまらない。
 エンドオブワールドは、この前の王蛇のときといい、不発率が高い。
 クリスタルブレイクも、今回、ゾルダはギガバイザーで自力脱出できそうな雰囲気(もちろん、ナイトが助けに入ってなければ、技が不発でもトドメ刺されてただろうが)だったわけだし、ライダーを殺したことがない必殺技ばかりなのはどうにかならないものだろうか。
 考えてみれば、テレビ本編でライダーを殺した必殺技って、ガイとライアを殺したベノクラッシュだけなんだよな〜。
 そういや、ゾルダがデストワイルダーに引きずられてるとき、凍り付いてるはずのマグナギガが消えちゃったのってミスだよね。

 で、北岡を思わず助けちゃった蓮に対する北岡の「嫌な奴だ」という言葉は、北岡としては感謝の意味も込めてのものだったと思う。
 というのは、蓮がゾルダに貸しを作ること自体には、全く意味がないからだ。
 せっかくライダーが1人減るところを、わざわざ邪魔することによって蓮が利益を得ることはない。
 どうせなら、ゾルダが倒された直後に駆け付けて、カードをいくつも使ってしまったタイガを倒せばいいのだから。
 そういうことが分かった上で、「いつか借りを返せ」と言ってしまう蓮の甘さ(優しさ)に対しての「嫌な奴」なのだ。
 
 さて、初めてモンスターに襲われることになった令子は、ちゃんとデストワイルダーを見たのだろうか?
 見ていなければそれまでだけど、見ていれば、令子と北岡に何らかの進展が期待できるかも。
 少なくとも、北岡が令子からつきまとわれることになるのは間違いない。
 それにしても、ゾルダが帰ってきた場所は多分変身したあの場所だろうから、そのとき令子がいなかったのも気になる。
 なんか、その辺結構いい加減にやってるよな〜。
 
 ところで、今回登場したモンスターは、劇場版で大発生したシアゴーストだったわけだが、何か意味あっての流用だろうか。
 劇場版との繋がりを信じている人にとっては、「ほら見ろ!」と言いたくなるような話だけど、今回はやられてもレイドラグーンに脱皮しなかったし、若干設定が違うようだ。
 単にスーツ作る予算がないから、とか?
 
 さて、今回の見所は“わざわざ左手でカードを抜くインペラー”だろう。
 右脚にガゼルバイザーがあるからといって、左手でカードを抜く必要はない。
 というより、逆に、左手だとバイザーに入れにくいわけで、画面上もかなり苦労しているのが見て取れる。
 右手で抜いて右膝に入れる、ではどうしてダメだったのだろう?


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