翌日、浅倉と接見した森本弁護士は、浅倉が拘束衣で固められていることに驚き、「人権侵害だ」と騒ぎ出す。
若干拘束をゆるめられた浅倉は、自分の私物を取り戻して見せたら裁判中大人しくしていると言って、次回の接見時に私物を目の前に持ってくることを約束させた。
接見を終えた森本は、浅倉の私物を係員から見せてもらう。
北岡が私物を近づけるなと言っていたことを聞き、「こんなガラクタ見せても構わない」と笑う。
一方、森本弁護士の経歴を吾郎に調べさせた北岡は、森本が大した能力のない弁護士であるが故にやばいと感じていた。
森本は、デッキを携え、再び浅倉に接見しようとしていた。
そのころ真司は、ヒントを掴むために旧神埼邸に行ってみることにし、成り行きで東條も同行することになった。
道を間違えた真司は、偶然令子にぶつかってしまう。
そのとき、真司と東條はモンスターの気配を感じ、同時に駆け出す。
残された令子は、真司が持っていた写真が士郎の家であることに気付き、真司もまた士郎を追っているらしいことに驚く。
一方、401号研究室では、香川がミラーワールドのモンスターと対峙していた。
モンスターがどこかへ去った直後、蓮が研究室に現れ、優衣を狙うのをやめるよう警告する。
蓮は、香川の「彼女一人の命で多くの人が助かるとしても?」という言葉に、間髪入れずに「ああ」と答え、香川を鼻白ませる。
戦おうとデッキを取り出した蓮に対し、「犠牲は少ない方がいいんですがねぇ」とデッキを取り出そうとした香川だったが、そこに香川の妻子がやってきたため、戦いには至らなかった。
妻子が帰った後、2人の前ではマイホームパパになっていた香川に対し、蓮はどうして優衣を狙えるのかと問い掛ける。
香川は蓮に、ミラーワールドの存在を知った経緯を説明し始めた。
士郎が落としたファイルを拾って中を読んだ香川は、その時は中身を全く理解できなかったものの、その内容を全て暗記しており、後に士郎の研究内容を解明したのだ。
そして、士郎の間違った計画を止めるためには優衣を殺すしかないと結論した。
互いに変身し、戦うナイトとオルタナティブ・ゼロ。
ナイト優勢に進む戦いの中、オルタナティブは優衣のことは諦めろと言う。
香川が何らかの手を打っていると気付いた蓮は、香川を倒して優衣のところに行くべく猛攻を開始するが、攻撃パターンを記憶されてしまったナイトは、今度は劣勢になってしまった。
そして、花鶏にいる優衣の前に、先程研究室にいたモンスター(サイコローグ)が現れ、逃げる優衣をどこまでも追っていく。
優衣を救うのを優先することにしたナイトはサバイブ化し、ブラストベント“ダークトルネード”でオルタナティブの気勢を削いで現実世界に戻り、優衣を探してバイクを走らせる。
サイコローグに追いつかれた優衣が気付くと、そこはミラーワールドだった。
襲い来るサイコローグが何者かの攻撃で炎に包まれ、それを見た優衣は、幼い頃の自分がモンスターの絵を描いている姿をかいま見る。
そして、なぜか優衣を守るようにガルドストームが現れ、サイコローグに挑みかかった。
そしてそのころ、オメガゼール、マガゼールに苦戦していた龍騎とタイガは、それぞれファイナルベント“ドラゴンファイヤーストーム”と“クリスタルブレイク”で撃破していた。
サバイブ化を解いた龍騎に突如タイガが襲い掛かる。
タイガは、状況を飲み込めない龍騎に
君も仲村君と同じだから
1つを犠牲にする勇気を持たない人間にライダーはやってほしくないかな
仮面ライダーはやっぱり英雄じゃないと
神埼君も、僕の考えが気に入ってデッキをくれたんだ
気に入らないライダーは倒せばいいって
仲村君のために泣いたのは本当じゃないかな。残念だったし
城戸君のためにも泣くかもね
と攻撃を続ける。
やがて龍騎は、「お前、全然分かんねぇよ」と倒れてしまった。
そんな龍騎達を遠巻きに、ゼールタイプのモンスターの集団が跳び回っていた。
その中の1匹が島田に襲い掛かる…。
(傾向と対策)
タイガの初変身。
まさか右手でデッキを差し込むとは思わなかった。
それにしても、東條の行動理念は分からない。
一種のヒロイズムなんだろうか?
どちらかというと悪役的な立場のくせに、『仮面ライダーは英雄でなければ』という皮肉としか言いようのない発言をする辺りがひねくれている。
彼が士郎からデッキを貰ったライダーであるということは分かったのだが、どうしてその彼が香川といっしょに動いているのだろう?
まさか「英雄」という言葉に踊らされているわけでもあるまい。
彼が香川にとって獅子身中の虫になるのではないかという懸念もあるわけだが、香川の方がまたどうして正規のライダーを身内に抱え込んだものやら。
最後の望みを持たない愉快犯的ライダーだからなのかな?
さて、どうやら鷹羽の読みどおり接見交通権を使って浅倉に会うつもりだったらしい北岡だけど、既にほかの弁護人がついてしまったために脆くも令子の野望は潰えてしまった。
この段階で浅倉が起訴されているとは思いにくいから、浅倉の弁護人になった森本弁護士は、私選弁護人だろう。
簡単に言うと、裁判のために必要で裁判所から斡旋されるのではなく、本人が名指しで指名したということだ。
前回の裁判での北岡も、浅倉が『無罪にする弁護士』として雇っていたようだから、今回も浅倉が北岡以外を弁護人にするべく指名した可能性が高い。
少なくとも、北岡以外が弁護人なら、デッキを持ってこさせることができるかもしれないからだ。実際そうしているようだし。
さてこの森本氏、北岡曰く「俺が100としたらこいつは1だね」という凡人らしい。
それがどうして「やばい」のかといえば、恐らく“事件の難しさをよく分かりもしないで浅倉の言葉に踊らされる可能性が高い”からだろう。
森本の論文のタイトルを見ると、どうやら彼は民事訴訟が専門らしい。
民事訴訟と刑事訴訟ではかなりやり方が違っている。
民事では一般に訴訟での目的金額(例えば損害賠償金)の1割が弁護士報酬となるらしい。
つまり、より高い賠償金を勝ち取れば、実入りも大きくなる。
また、民事訴訟というのは、全部が全部そうではないにせよ“互いに権利を主張して相手を言い負かした方の勝ち”という側面があり、「言った者勝ち」であるため、被告・原告共に攻撃的な証拠集めをする。
また、民事訴訟では、自分が悪いと自覚して裁判を起こす人間は少ないわけだから、相手の腹の内を聞いた上で弁護のためのネタ集めをする形になり、相手との信頼関係が重要になる。
これに対し、刑事裁判では、弁護人が真犯人を捕まえない限り「犯人じゃない」と自分から言い出すことはできないから、検察側の証拠に対し、その信用性を打ち消すことで「犯人じゃない」ことを立証しなければならない。
つまり、信用性を崩すための証拠や反論、或いは罪を認めた上でより軽くするための情状証拠というものをもって対するという反撃的な証拠固めをしなければならないのだ。
そして、被告人の方では、弁護士にも「自分がやった」と認めないことも多いだろうから、被告人の言うことを頭から信じて弁護活動をすれば、それが嘘だったときにフォローがきかなくなるから、弁護人がまず被告人の言葉の真偽を見極めなければならない。
北岡は、その上で敢えて黒を白に言いくるめるわけだから、真偽を見抜く目は一流のはずだ。
一方、森本は民事訴訟の感覚で、最初に「人権侵害だ!」と権利の主張から始めている。
浅倉がどうしてああいう拘束をされているのか、どういう人間であるのかを考えないまま、まず浅倉のご機嫌取りから始めてしまったため、言うがままにデッキを持っていってしまうのだ。
もっとも、あのデッキがそんなとんでもない物だと知っているのは関係者だけだから、大抵の弁護士は浅倉に踊らされるだろう。
上で『北岡以外を弁護人にするべく指名した』と書いたのは、そういうことだ。
浅倉としては、北岡でなければ誰でもいいのだ。
で、最近仕事をサボリ気味の真司が旧神崎邸の写真を持っていたことで、令子は真司も士郎を追っているらしいことに気付いた。
あの写真を見てすぐに旧神崎邸と気付いたということは、令子もまた神崎邸の場所などを調べ上げたということで、あそこにいたのは、これから神崎邸に行くつもりだったからという可能性が高い。
これで真司が元気になったら、令子からの追求が始まるのだろうか。
さて、優衣の名を出すことで、蓮をオルタナティブ討伐に向かわせることに成功した士郎は、どうやらガルドストームに優衣警護を命じているようだ。
オーディンが助けに来れば一番強いだろうに、敢えてモンスターに優衣を守らせるというのはどういう意図あってのことか。
オーディンを迂闊にぶつけるわけにはいかない理由があるのだろうか。
そして、どうやら香川の契約モンスターらしいサイコローグは、当然香川の命令で動いているのだろうが、どうして優衣を現実世界で殺さなかったのか。
もしかしたらモンスターではなく、香川が作り出した疑似モンスターで、現実世界に出てこられないのだろうか。
「じゃあ、なんで優衣をミラーワールドに連れていったんだ!?」と思うかもしれないが、優衣をサイコローグがミラーワールドに引きずり込んだシーンはない。
つまり、もしかしたら危機に陥った優衣が、自分でも知らずに、ミラーワールドに入り込む特殊能力を発動させてしまったという可能性だってあるのだ。
だって、あいつが優衣を引きずりこんだのなら、もうちょっと近くにいてもいいじゃない? いや、演出の都合かもしれないけど。
その香川の記憶力は、瞬間記憶とかいう奴だと思うが、多分丸暗記してしまった内容を、後であれこれ考えて、ミラーワールドやライダーについて解明したのだろう。
その方法は、多分、優衣をミラーワールド内で殺せばミラーワールドは消滅するというものだと思う。
そうでないと、仲村が優衣をミラーワールドに引きずり込んでいた理由が説明できないし。
あ、でも、東條が仲村を「1つを犠牲にする勇気を持たない」真司と同じと称していたことからすると、仲村は優衣を殺すのを躊躇っていたということにならないか? とてもそんな風には見えなかったけど、真司が仲村と同じってのは、違う意味なんだろうか。
あと、今回気に入ったのが、蓮の「ああ」ね。
たとえ多くの命が失われるとしても、自分にとって大事な人間の命には代えられないという、蓮の行動のスタンスが表れている。
蓮の場合、恵里の命を救うために12人のライダーを殺す覚悟をしているわけだから、ある意味当然のことといえる。
この辺が、「多くの命」と言われて詰まる真司との違いだ。
もっとも、蓮の場合、ミラーワールドを閉じられると恵里が助からなくなるわけだから、そっちの意味の方が重要だったりして。
さて、今回の見所は“ライドシューターの絵まで載せて資料を作っている士郎”だろう。
どーでもいいが、あれって、士郎のデザインなわけ? センスない…。
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