『仮面ライダー龍騎』
第37話 眠りが覚めて
2002/10/13 放映
(Story)
何者かにミラーワールドに引きずり込まれた優衣を追ってミラーワールドに入った龍騎は、初めて見るライダー(オルタナティブ)に襲われている優衣を見付けた。
一刻も早く優衣を現実世界に連れ帰ろうと考えた龍騎は、ストライクベント“昇竜突破”でオルタナティブをひるませた隙に脱出する。
だが、ミラーワールドにあれだけ滞在していた優衣の身体には、何も異常はなかった。
優衣は、自分が士郎の妹だから、士郎に恨みを持つライダーに狙われたのではないかと考える。
そして、優衣が何者かに狙われているのではないかと感づいた真司の脳裏に、手塚の
神崎優衣から目を離すな
という言葉が蘇る。
そのころ、清明院大学では、香川が仲村・東條に
失敗でしたね
慎重にやりましょう、慎重に
と語っていた。
一方、聖中央病院では、医者が蓮に恵里の病状の説明をしていた。
昏睡の理由も、目覚めた理由も分からないが、1つだけはっきり言えることがある、と。
病室に戻り、この1年間のことを恵里から訪ねられた蓮は、適当な言葉で誤魔化すが、恵里は納得していなかった。
恵里の側にいると感づかれそうなので病室を出ることにした蓮は、病院の入口前で、恵里の見舞いにやってきた優衣と真司に出会う。
「もう戦う理由はないんだから、堂々と一緒にいればいい」と言う真司に、蓮は
ライダーになった以上、戦い続けなければ死ぬしかない
なかったことにするには戦いすぎた
と答えて去っていった。
真司は、「ミラーワールドを閉じる方法を発見した」という香川の言葉を思い出し、そこに希望を見出していた。
病院に入ろうとする真司の携帯電話に、大久保から「お前、クビ」との連絡が入る。
真司は、見舞いを優衣1人に任せて慌てて編集部に向かう。
大久保は、真司が何かをしていることに気付いた上で、
お前さあ、最近何やってんだ?
お前はバカだけど、ただサボる奴じゃないってことくらい、分かってるわけよ、俺だって
言えよほら、何やってんだ?
言えねぇってか? しょうがねえなぁ
ま、もうちょっと我慢してやっから、できることはなるべくやっとけよ
と、真司の勝手な行動に目をつぶってくれると言ってきた。
翌日、北岡法律事務所を訪ねた令子は、浅倉の護送車の窓を目張りさせたのはなぜかと尋ねる。
北岡は、ガラスの向こうの景色の何が浅倉を刺激するか分からないからだと誤魔化すが、令子は、その言葉を聞いて「鏡の向こう」と連想する、
北岡は、ガラスの向こうの世界について一緒に調べるという口実で、令子をデートに誘おうとするが、令子は関東拘置所に連れていくよう迫った。
香川達の研究に望みを掛けた真司は、401号室を訪れて方法を教えてくれと頼むが、香川は
私があなたを信用するとして、あなたは私たちを信用できますか?
と聞き返してきた。
王蛇との戦いで助けてくれたと言う真司に、香川は「誰に?」と聞いてタイガのデッキを取り出す。
そして、東條と仲村も同じデッキを取り出した。
驚く真司に、香川は
真実というのは、なかなか見えないものなんですよ
と言い、東條は
多分、君にミラーワールドは閉じられないと思う
と言った。
それでも食い下がる真司に、香川は
ミラーワールドを閉じるのは、正に英雄的行為が必要なんですよ
例えば、10人の命と1人の命、どちらかだけを救えるとすれば、どちらを選びますか?
と聞いてくる。
言いよどむ真司に、仲村が
決まってるだろう、10人だ!
と答える。
香川は、続けて
いいですか、多くを助けるために1つを犠牲にできる勇気を持つ者が真の英雄なんです
あなたにその勇気があると認められたとき、私達はあなたに全てお話ししましょう
と言って去っていった。
真司は、「1つを犠牲にする勇気」という言葉を噛みしめる。
そこに優衣から、恵里がいなくなったとの連絡が入った。
恵里は、蓮のやっていることを確かめようと、病院を抜け出したのだ。
恵里の意識は、いつまた失われてもおかしくない状態だった。
外を歩いていた恵里に、バズスティンガー・ブルームが襲い掛かる。
そこに現れたダークウイングがブルームを弾き飛ばすが、今度はダークウイングが恵里に襲い掛かろうとする。
かつての実験の際の恐怖が蘇る恵里。
蓮の「よせ!」という命令に従ってミラーワールドに帰ったダークウイングだったが、ブルームの気配は消えなかった。
蓮は恵里が見ている前でナイトに変身してミラーワールドへと入っていく。
そして、ブルームに加勢するかのように現れたバズスティンガー・フロストを蹴り飛ばして龍騎が乱入。
ナイトと龍騎はサバイブ化する。
そして、ナイトサバイブはファイナルベント“疾風断”でフロストを、龍騎サバイブはファイナルベント“ドラゴンファイヤーストーム”でブルームをそれぞれ倒した。
現実世界に戻った蓮に、恵里は
あたしのせいなんでしょう?
と言うが、蓮は
違う。俺が決めたことだ
お前は何も心配するな
と言い捨ててどこかへ行ってしまった。
そのころ、アテにならない真司や蓮に愛想を尽かしてアルバイトを募集した沙奈子の元に、東條がやってきた。
(傾向と対策)
ライダーモドキ出現。
あのあからさまにタイプの違うバックル部を見れば、ライダーのものとは違うことに気付きそうなものだが、どうしてライダーだと思うかな〜?
鷹羽なら、あれはモンスターだと思って迷わずファイナルベントをかますけど。
あれが香川グループの研究の成果なのか、それとも別の勢力なのか、普通に考えれば前者のはずだが、何かもう一捻りあったら嬉しい。
それにしても、黒いゾロー(※)にしか見えてしまう鷹羽って、年かしら?
優衣が生身でミラーワールドに行って平気なことや、謎のライダーモドキに優衣が狙われたことから、かつて手塚が真司に言った「神埼優衣から目を離すな」という言葉がクローズアップされてきたわけだが、この場合、真司は優衣が要注意人物であるという認識を持ったのだろうか?
どうも真司はそういうタイプじゃないからなぁ。
とりあえず目先の“1つを犠牲に”に気が向いちゃって、優衣のことなんかすっかり忘れているのではあるまいか。
あ、次回予告を見ていると、少なくとも優衣が誰かに狙われているというレベルでは認識を保っているみたいね。
それにしても、大久保が格好良かったなぁ。
真司が何か真剣にやっていることを分かった上で、目をつぶると言っている辺り、人を見る目に自信があるようだ。
でも、給料大幅減額ってのは、きっと島田達への説明用ではなく、単純にそんな金ないってだけじゃなかろうか。
さて、「多くを助けるために1つを犠牲にできる勇気」を語る香川グループだが、その「1つ」とは、やはり優衣の命なんだろうなぁ。
で、オルタナティブが、真司がいる前でわざわざ優衣をミラーワールドに引き込んで襲った理由は何だろう?
前回優衣を突き飛ばしたのは、服装から言って東條のはずだ。
で、オルタナティブが香川グループの人間だったとして、優衣が車に轢かれて死んでもいいのなら、わざわざ真司(=ライダー)の前でミラーワールドに引きずり込む必要はない。
少なくとも、一拍遅れてミラーワールドに飛び込んだ龍騎に見付かるまで殺せないでいるというのは妙だ。つーか、窓から剣だけ突きだして刺しちゃえばよかったのに。
ま、オルタナティブがモンスターと契約していない存在なら、契約モンスターに食わせるという方法は採れないだろうけど、もうちょっと簡単に殺せるのに殺さなかったのは、何か特殊な殺し方でないとまずいとかあるのだろうか?
あの速度の車になら、轢かれても即死はしないだろうし。
さて、北岡を下僕に関東拘置所に浅倉見物に出掛けることにした令子だが、確かに北岡の存在なしには浅倉に面会は不可能だ。
北岡だけなら確実に会えるはずだけど、令子自身が浅倉と面会できるかというと、かなり難しいと思うけどな〜。
「どうして!?」と思う人もいるだろうから、一応書いておこう。
浅倉は、今回脱走するに当たって警官を数名行方不明にした上、数人を叩きのめしている。
行方不明者については立証できないだろうから傷害や殺人の類には当たらないが、少なくとも逃走中の浅倉を捕まえようとした制服警官は、誰が見ても公務執行中だったから、公務執行妨害と傷害に当たる。
つまり、拘置所に送られた浅倉は、今度は公務執行妨害&傷害事件の犯人として送検された上、再び起訴されることになる。
そして、刑事訴訟法39条では、「弁護人及び弁護人になろうとする者」は、いかなる場合でも被告人・被疑者(所謂犯人)に会えると規定されている。
つまり、弁護士である北岡は、この前の裁判の絡みもあるから、「浅倉の弁護人になろうと思っている」と一言言えば、簡単に会える。
この場合、スペシャルのときのように独房の前に行くのではなく、以前真司が大久保達と面会していたようなタイプの部屋に行くはずだが。
話をした後で、「やっぱりやめた」というのもありだ。
ともかくそういうわけだから、北岡なら浅倉に会えるという令子の考えは間違っていない。
ただし、同じ刑事訴訟法の31条には、弁護人には弁護士しかなれないと明記されているから、令子自身が会うには「接見交通の禁止」、つまり“誰にも会わせちゃダメ”という制限がない場合に限られる。
この制限がかかると、弁護人(になろうとする者)以外は会えないのだ。
これは、基本的に共犯者などに会わせないことによって口裏合わせや証拠隠滅を防ごうという制度なので、浅倉がどう考えても単独犯と思われていれば、もしかしたら制限がないかもしれない。
もしそうなら、令子も浅倉に会えるだろう。
ただ、脚本は、もちろんそんなこと考慮してないはずだ。
ところで、花鶏の求人ポスターの内容は、
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紅茶専門店 花鶏
となっている。
真面目で一生懸命働いてくれるという条件に、沙奈子の気持ちが表れている。
本業を持っている真司、すぐどこかへ行ってしまう蓮と優衣には、かなり悩まされていたのだろう。
それにしても、時給800円も出せるような余裕があったのか。
この前まで風呂のお湯の量を減らそうとしていたくせに。
さて、今回の見所は“自分でサイドブレーキを引いて無理矢理車を止める令子”だろう。
一見普通にサイドブレーキを引いているようだけど、よく見ると、北岡はサイドブレーキを左手で引いている。
んで、令子がブレーキを引いているシーンでも、ブレーキレバーの手前には北岡の足が見える。
知らなかった。ジャガー(徳大寺風に書くとジャグァ)のサイドブレーキって、左ハンドルのくせに運転席の左側にあるのね。
わざわざそんなところに手を伸ばした令子って、要するに北岡の腿の上を上半身が通っている状態だから、体勢が非常に危ない。
急停止したシーンの後に、座席の中間辺りから頭を上げているけど、本来なら、頭は北岡に膝枕状態…。
よく北岡にそのまま抱え込まれなかったもんだ。
てーか、令子さん無茶ですそれは。
多分、撮影でジャガーを使うことorジャガーのサイドブレーキが左側にあることを知らなかった脚本がそういう指定をしたんだろーなー。
撮影の時、設定変えればよかったのに。
※ゾロー
『超新星フラッシュマン』に登場した改造実験帝国メスの戦闘員で、本当は赤い。
「ゾロゾロいるからゾロー」というネーミングになっている。