『仮面ライダー龍騎』
第33話 鏡のマジック
2002/9/15 放映
(Story)
浅倉が去り、編集部に戻ろうとする真司の前にめぐみが現れ
見たの。あなたがガラスから出てくるところ…
と告げ、真司から事情を聞こうとつきまとう。
うまい言い訳を考えつかない真司は、めぐみに「ちゃんと考えて話しますから」と口止めするが、めぐみは
ふーん、そう関単にネタ晴らしはしないってことね
でもあたし、それ系の解明は得意なの
楽しみが増えちゃった
と言い出し、真司を慌てさせる。
花鶏に帰った真司は、蓮に相談するが「俺を巻き込むな」と相手にされなかい。
そのころ、編集部に戻った令子は、一瞬のうちに姿を消したポトラッツ教授のことや、高見士郎のことを大久保に相談していた。
令子は、これまでOREジャーナルで扱ってきた『人が消えた試着室(2話)』『謎の無人電車(11話)』『人が消えるエレベーター(13話)』、そして浅倉による『方法不明の脱獄(18話)』『ファミレスでの消失(20話)』『落下する車からの謎の脱出(20話)』などには、高見士郎なる人物が関わっているのではないかと睨んでいた。
高見士郎は、去年(2001年)4月にアメリカの大学で死亡扱いになり、その直後「神崎士郎」と名乗って清明院大学に入学、その4か月後に清明院大学から出た数名の行方不明者の中に「神崎士郎」の名があった。
そして、浅倉が脱獄した当日の拘置所の監視ビデオには、廊下には誰もいないのに、鏡にだけ士郎の姿が写っているのだ。
令子は、これらの裏に『人を文字どおり消滅させる人為的な何か』があるのではないかと考え、高見士郎がその鍵を握っていると考えていた。
翌朝、忍び込んだ金庫破りが金も自分の荷物も残したまま逃げたらしいという事件が起こり、取材に行った真司は、そこでモンスターの気配を感じ、犯人がモンスターに食われてしまったことを知った。
早速モンスターと戦うために変身しようとする真司だが、めぐみが付いてくるためになかなか変身できず、モンスター:ブロバジェルに逃げられてしまった。
そして、鏡を見ていて何事か閃いためぐみは、真司に
分かっちゃった、城戸君の秘密のネタ
全部バラしてあげるから、事務所戻って待ってて
と言って嬉しそうにどこかへ行った。
そのころ、花鶏では優衣が倒れ、同時に旧神崎邸の鏡1つが割れた。
それを見た士郎は、先日修復した少年と少女の絵を見つめながら「優衣…」と呟く。
事務所に戻り、めぐみにどう説明しようか考える真司の前に、手品師に扮しためぐみがやってきた。
めぐみは、内側が鏡張りの箱を使って島田の消滅マジックをやってみせ、真司に「あなたがやったのもこれの応用でしょ? あたしマジック得意なの」と耳打ちする。
めぐみは、真司がガラスから出てきたのもそういった手品の類だったと思っていたのだ。
ホッとする真司と、めぐみの意外な才能に驚く大久保。
だが、令子は、鏡張りの箱を見て、これまでの消失現場には全て鏡(のようなもの)があったことに気付き、「あり得ないけど、まさか…」と何かを考えついていた。
めぐみの方が無事解決してホッとした真司は、再び現れたブロバジェルをファイナルベント“ドラゴンライダーキック”で倒した。
一方、士郎は北岡の前に現れ
医者に言われた期限はあとどれくらいだ?
半年か、3か月か、それとも…
戦わなければライダーである意味はない
戦いをやめたライダーは死ぬだけだ
と告げて消えた。
士郎が去っていった後、体調不良から突っ伏した北岡は、決意を秘めた顔で浅倉の挑戦を受ける。
そして、恵里の病室に現れた士郎の視線の先で、恵里の脈拍が急上昇し、医者は、蓮に恵里の命がもってあと数日だと告げる。
花鶏では、優衣の身体が“ミラーワールドで時間切れを迎えたライダーのように”分解を始め、清明院大学の研究室では、虎の紋章のカードデッキを持つライダーが出現。
事態が大きく動き始めていた。
(傾向と対策)
風雲急を告げ始めた物語。
いよいよ悪くなる北岡の体調、あと数日の命となった恵里、姿を見せた(テレビでは)9人目のライダー、士郎に鍵があると気付いた令子、そして突然倒れた優衣に呼応するかのように割れた神崎邸の鏡、分解を始めた優衣の身体…。
盛り沢山すぎて、何から書こうか迷うくらいだ。
ではまず今後のメインとなりそうな令子の謎解きから行ってみようか。
令子は、人間消失のキーワードが「鏡」だということに気付いた。
その経緯は実にお粗末なめぐみの勘違いだったわけだが、1話でのOLの鏡台といい、試着室の姿見、ビデオに写った士郎の写った鏡と、現場に鏡があることが多いことに気付いたのは偉かった。
ただ、エレベーターのときはドアからだったし、浅倉暁のときはフロントガラスからだったし、電車の中には鏡はなかったはず…。
いや、多少的はずれなところからでも、令子が核心を突いていくという展開自体は非常にいいのだけど、鏡の写っていない回想シーンを見せて「まさか…」とかいうのはなぁ…。
鏡のある部分だけを回想シーンで見せればいいのに。
ま、それはともかく、士郎の行方不明ネタを覚えててくれて良かった。
士郎がアメリカで死亡扱いになった直後に清明院大学に入学し、その4か月後に行方不明ということは、例の実験は2001年8月ということだ。
死亡扱いだから、戸籍は抹消されていそうな気がする(少なくとも海外での事故死となると、大使館に連絡が行っているはず)し、どうやって入学したのか、受験はどうやったのかという疑問は多いのだが、何かしらのごまかしをしているのだろう。
ちなみに、入学直後に研究室に入っているということは、途中編入した可能性が高く、これなら入学試験ではないから、4月に日本に来てすぐになんとかできる。
で、あとは令子が、優衣のときにも渋っていた大学側との交渉をどうにかして、江島研究室の研究の内容などを調べていくことになるのだろう。
素人の優衣が仲村創まで行き着いたのだから、プロの令子なら、江島教授の死亡や小川恵里の昏睡に気付き、仲村創と連絡を取って、彼に接触していた優衣に行き着くまでそう長くは掛からないだろう。
優衣や真司が何か関わっていることを突き止める日も近い。
あとは、令子がガルドサンダーに食われる士郎側から謎を解明していくのを待つだけだ。
次に、優衣の不調などだが、優衣の不調と期を同じくして割れた旧神崎邸の鏡、そして身体が分解を始めた優衣について考えてみよう。
優衣の身体の分解は、ライダーがミラーワールドで時間切れになったときと同じように見える。
つまり、優衣はミラーワールドの存在で、時間切れを起こしているように感じられる、ということだ。
あの状態を蓮や真司が見たらすぐに気付くだろうから、話運びとしては、分解自体はすぐに止まるが、その後も時々倒れては分解する、というのを何回かに分けて続けるものと思われる。
神崎邸の鏡は何枚もある。
あれが1つ割れるたびに優衣が分解していく、というよりその逆に優衣が分解を始めるたびに鏡が割れるのだろう。
そして、最後の1枚が割れたとき、優衣は死ぬ…という気がする。
要するにアイアンキングの3つのランプのように、いくつかある鏡が全部割れたらお終いという具合なのではないだろうか。
命の蝋燭ならぬ命の鏡というわけだ。
優衣がミラーワールドとどういう関わりを持っているかはまだ不明としても、士郎が優衣の不調を何とかするために、北岡を焚き付けたりしていることは間違いない。
その北岡だが、いよいよ体調が思わしくないようで、本腰を入れて戦うことにしたらしく、ちょうどケンカを売りに来た浅倉に応じて戦うことになった。
この浅倉の訪問も、前回の
俺は死なないぜ
これが終わったら、真っ先にお前を潰しに行ってやるよ
という予告に基づいていたりして、微笑ましい。
律儀じゃん、浅倉ってば(執念深いとも言う)。
その脇で、真司に習ったであろう餃子を作っている吾郎ちゃんもナイス。
よく分からないのが恵里の具合だ。
1年以上眠ってたくせに、あと数日の命だなんて、唐突すぎる。
それじゃ、蓮がどんなに頑張っても最後の1人にはなれないじゃない。
まだライダーを9人も倒さなきゃならないし、その中には会ったことのないライダーが4人もいる。
これ全部数日で倒すのは、独力ではほぼ不可能だと思うんだが。
士郎が病室に現れた途端に脈拍が急上昇したが、まさか意識不明のくせに士郎のあまりの格好良さにドキドキしてるってわけじゃないだろう。
病状急変するところに偶然士郎が居合わせたというのもできすぎだし、やはり士郎が何かしたとしか思えない。
もしそうなら、あと1か月くらいの命にまけておかないと、蓮がやる気をなくしかねない。
まぁ、士郎としては、蓮のやる気がなくなったら王蛇辺りをけしかけてあっさり殺すつもりなんだろうけど。
で、考えてみれば、恵里の意識不明は士郎の実験の際からのものだから、士郎が恵里の意識をどうにかしている可能性もある。
となれば、士郎は恵里の意識を回復させる方法を知っている(というか士郎が意識を奪っている)とか?
…あれ? じゃ、士郎を倒せば、もしかしたら恵里は回復するんじゃ…。
蓮が倒すべきは、やはり士郎だったのでは?
で、新たなライダー:タイガの登場だが、鏡に写ったデッキの向きからすると、どうやらあれはミラーワールドにいるのが見えているらしい。
ミラーワールドにいるくせに、あの角度の鏡にいくつも並ぶなんて、士郎よろしく分身の術を使うんだろうか。
実はトリックベントというオチだったら笑える。
さて、今回の見所は“ミラーワールドに行く前にめぐみがいないのを確認する龍騎”だろう。
いつものように「よっしゃ!」と言った後、ちょっとキョロキョロしてからミラーワールドへ行くのが笑える。
ブロバジェルに電撃を浴びせられて感電しているときのリアクションもなかなか笑えたし、ホントに真司らしいなぁ。