『仮面ライダー龍騎』
第27話 13号ライダー
2002/8/4 放映


(Story)
 容態が急変した恵里を見ながら、優衣は蓮に
  お兄ちゃんがこんなひどいことしたのに、どうしてあたしなんかと一緒にいられるの?
と聞く。
 蓮は、お前がやったわけじゃない
と、優衣もまた神崎士郎の被害者であると答えるのだった。
 そのとき、モンスターの気配を感じた蓮は、
  俺は恵里のためにライダーになった
  今してやれることは、ただ戦うことだけだ

と言って飛び出して行く。
 そして、アピスラッシャーが狙っていた少年:原田拓也を助け、変身して戦うが、逃げられてしまう。
 蓮が変身してミラーワールドに入るところ、現実世界に戻ってきるところを見ていた拓也は、携帯電話で恵里の無事を確認した蓮にまとわりつき、手を焼いた蓮は、アピスラッシャーに狙われている拓也を放り出すわけにいかず、花鶏に連れ帰り、借金500円分で拓也の面倒を真司に押しつけた。
 
 旧神崎邸を訪れて士郎と対面した優衣は、士郎に
  恵里さんがもしこのまま死んでしまったら蓮は
と食ってかかるが、士郎は
  戦う目的をなくしたライダーは死ぬしかない
  それでいい

と答える。
 優衣は、鏡を覆っていた紙をはがし、鏡を割って
  もういや、そんなに戦わせたいんなら、あたしが戦うよ
  あたしがライダーになる!
  お兄ちゃんの目的は何なの!?

と叫ぶ。
 割れた鏡の中から金色の羽が飛び散る中、士郎は
  力を得る
  最期に残ったライダーと共に
  俺は、その力で神にも悪魔にもなれるだろう
  必要なのはお前ではない
  お前のミラーワールドを覗ける力だ
  だが、ここまでくればもう用はない
  邪魔をするなら、お前を消す

と冷たく言い放つ。
 そして、優衣が
  そう…これであたしも迷わず言える
  さよならお兄ちゃん、もう兄妹なんて思わない!

と飛び出した後で
  それでいい、優衣
  お前は真実を知る必要はない

と呟く。
 その手には、カードデッキが握られていた。
 
 翌朝、拓也を押しつけられた真司は、拓也にのせられて、ライダーの証がカードデッキだと教えてしまい、餃子のレシピを教わりに来た吾郎に気を取られているうちに、デッキを持ち去られてしまう。
 そのころ、北岡は本格的に体調を崩し始めていた。
 
 逃げ出した拓也の耳にモンスターの接近音が響き、現れたダークウイングを見て逃げ出そうとした拓也は、蓮にデッキを取り上げられてしまう。
 どうしてライダーになりたいのかという蓮の質問に、拓也は
  かっこいいからに決まってんじゃん
  学校で自慢できるし、生意気な奴とかやっつけられるしさ

と答える。
 そして、アピスラッシャーの接近に気付いた蓮は、拓也に真司のデッキを渡して、自分の戦い振りを見ているように言って、変身してミラーワールドへと向かった。
 アピスラッシャーに苦戦してみせるナイトだったが、ゾルダがナイトに向かっての参入によってそうもしていられなくなった。
 サバイブ化し、ファイナルベント“疾風断”でアピスラッシャーを一気に葬ったナイトを、王蛇のソードベント“ベノサーベル”が襲い、サバイブ化の解けたナイト、ゾルダ、王蛇の三つ巴の戦いが始まった。
 その凄惨な戦いに目を背ける拓也に、真司は
  これがライダーの戦いなんだ
  面白くなんてない、痛くて、苦しくて、それでもゲームみたいにスイッチ切れない
  戦うしかないんだ
  デッキ…返してくれるかな
  俺も行かなきゃ

と言う。
 拓也からデッキを受け取った真司は
  お前は、絶対に誰とも戦ったりするなよ
と言って拓也を帰し、乱戦模様の戦いに飛び込んでいった。
 そして、王蛇がユナイトベントを発動し、ファイナルベントのカードを取り出したとき、金色の光と共に新たなライダー:仮面ライダーオーディンが現れた。
 オーディンは、3人に向かって
  戦いを続けろ
  生き残った者は、私と戦い、力を得られるだろう
  13人目であるこの私と

と呼び掛ける。
 
 一方、令子は、そのビデオに映っていた男が、花鶏にあった写真の男だと気付き、花鶏を訪れていた。
 そして、優衣に
  高見士郎よね。1年前、アメリカで亡くなった…
と尋ねる。
 士郎が死んでいたとは思わなかった優衣に衝撃が走った…。


(傾向と対策)
 拓也が変身しようとしたら、龍騎になれたのかなぁ?
 是非試してもらいたいところだったんだけど。

 さて、“ライダーであることはちっともかっこよくなんかない” という非情な現実を視聴者に叩き付けてくれた今日の『龍騎』だが、『ライダーキックは危ないから真似しちゃいけないよ』というメッセージだと受け取っておこう。
 デッキを持っていると、ライダーでなくてもミラーワールドを覗いたりモンスターを感じたりできるということを再確認させてくれたいい話だった。
 拓也が真似していたのが、変身ポーズと現実に帰還したときのポーズだけだったというのもリアルだった。
 さりげに、ゾルダは知っているけど戦っているところは見たことがない吾郎という、当たり前だけど気付いていない人が多そうな部分もフォローしているあたりが素晴らしい。
 北岡も、そろそろ本格的に体調不良になってきたようで、これからは本気で戦わざるを得ないようだ。
 でも、たった一晩で腕の怪我が回復していたのだから、意外と回復力高いのかも。
 
 で、士郎の顔を花鶏で見たというところまで自力で辿り着いてしまった令子は確かに大したものだと思うのだが、ちょっと問題のある展開だ。
 まずいい方から言うと、高見士郎という彼の本名が久々に出たことが挙げられる。
 これが出るのは、2話『巨大クモ逆襲』以来のことだ。
 忘れている人のために一応書いておくと、この名前は、両親亡き後親戚に養子に入っており、その後の姓なのだ。
 どういう訳か、大学には神崎士郎の名で登録されているのだが、彼の本名は「高見士郎」が正しい。

 そして良くないのは、令子は士郎の顔など知らないはずだという点だ。
 令子は9話『真司が逮捕!?』で花鶏を訪れているから、カウンターに置いてある写真を見て覚えていても問題ない。
 だが、写真を確認するのはいいとして、名前を知っているのはまずいだろう。
 一応「高見士郎」の名は、1話『誕生秘話』で真司が渡された行方不明者リストの中に入っているから、令子が名前を知っていること自体は全く問題ない。
 とはいえ、あの資料には顔写真は載っていない。
 令子は、顔と名前が一致するような資料を持っているのだろうか?
 百歩譲って顔写真入りの資料もあったとして、高見士郎(旧姓神崎)は、2001年の夏ころから日本国内で怒り始めた連続行方不明事件の失踪者の1人であって、「1年前、アメリカで亡くなった」などという表現には絶対にならないのだ。
 メインライターが忘れちゃ駄目じゃん。
 
 さて、今回は、借金15万円の内訳が発表された。
  ・ガラス代          30,000円
  ・利子             5,000円
  ・迷惑料           15,000円
  ・「いびき」による睡眠妨害代 25,000円
  ・日頃のうらみ        25,000円
  ・バカがうつる        20,000円
  ・うるさい!         30,000円

となっているが、こんなものを、いつでも渡せるよう書いている蓮って、実はかなり暇人かも。
 
 予想どおりというか、餃子のレシピを習いに来た吾郎ちゃん。
 たかが子供を追い掛けるのに転けたりしているのは、ちょっと変だったなぁ。
 
 実は、今回一番腹を立てているのは、本編よりもジャンクション(ハリケンジャーの後に入っているやつ)だったりする。
 本編上、今後の焦点は“優衣に内緒の真実とは何か”という方向にシフトしていくはずだ。
 そして、画面に登場するのは8人目のくせに、自ら13人目のライダーと名乗るオーディンの正体も大きな見せ場になるはずだ。
 本人が正式に本編に登場するより先に、オーディンの正体が士郎だとバラしちゃうのはまずいのではなかろうか。
 いくら士郎がデッキを持っているからといって、それが自分で使うものとは限らないはずだ。
 実際、オーディンの声は士郎とは違うわけだから、演出上はオーディンは正体不明という扱いなのだろう。
 それを、士郎の姿がオーディンに変わるジャンクションを作っては台無しだ。
 “1か月ごとに変える”ということには拘るべきじゃないと思う。
 ガイが死んだ後もジャンクションがガイのままだったりして、結構興醒めだから。
 
 
 それにしても、優衣がはがした紙の向こうにはギガゼールやデッドリマーがうじゃうじゃいたわけだが、あれはやっぱりあそこが巣窟ってことなのかな。
 
 さて、今回の見所は“1日の売上が1万円に満たない花鶏”だろう。
 よく潰れないよな〜。
 そんでもって、拓也はやっぱり真司のベッドで寝たんだろうなぁ。

PS  今回のラジコン・サイクロンのCMは良かった。
   カット割からナレーションから、『仮面ライダー』のOPを意識しまくってるのが丸分かりなんだもん。
     このサイクロン号は、ラジオコントオールである
    マルチアクションと安定走行を実現した伝説のマシンが蘇る
    仮面ライダー・サイクロン号は、タイヨーから発売しているのだ
  だもんね。

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