『仮面ライダー龍騎』
第25話 合体する王蛇
2002/7/21 放映
(Story)
突然真司達の契約カードの絵柄を消して変身能力を失わせた神崎士郎は、真司と蓮に
優衣を探せ
優衣を見付ければお前達は再びライダーになる
急げよ
契約したモンスターがお前達を襲わないうちに
と、優衣を探すよう命じた。
花鶏に戻った2人は、朝から優衣の姿が見えなかったことを聞き、優衣が行きそうな場所として旧神崎邸を教えられ、そこに急いだ。
あらゆる反射物に紙が貼られたその建物に、真司は、自分がカードデッキを拾った榊原耕一の部屋を思い出す。
そして僅かな隙間から覗いていた絵が、幼き日の優衣が描いた大洗海岸だと知った2人は、そこへと向かう。
そのころ令子は、浅倉から弟の暁について聞いていた。
火事にあったとき、浅倉は暁を助けようとしたが助けられず、死んだものと思っていたという。
本当に暁が生きているなら、俺は変われるかもしれない
という浅倉の言葉に、令子は暁を捜す決心をした。
一方、空白になったカードを見ていた北岡は、目眩を感じて倒れた。
そんな北岡に、吾郎は「自分のせいだ」と謝る。
かつて、傷害事件に巻き込まれた吾郎を弁護した北岡は、そのために検査を受けず、病気の発見が遅れたのだ。
責任を感じる吾郎に、北岡は「もう責任を感じて俺の側にいなくていい」と言うが、吾郎は、恩があるからというだけではなく、北岡の側にいたいのだと答える。
蓮の運転する車で大洗海岸に到着した真司達は、優衣を見付けるが、オメガゼールに襲われる。
未だカードの絵柄が消えたままの2人は、逃げることしかできない。
2人がオメガゼールに追われて逃げた後、優衣の前に士郎が現れた。
士郎は
俺がお前に嘘を付いたことがあるか? お前を傷つけたことが?
俺を信じろ
お前には、これからも楽しいことがいっぱいある
お前の人生を生きろ
と言う。
士郎は、優衣が戻ってきた真司達に気を取られた隙に姿を消していた。
未だ戻らないカードだったが、士郎の
心配するな
すぐにライダーの力は復活する
全て元に戻る
という声が響く。
そこに、令子から真司宛に電話が入った。
暁を見付けたが、浅倉に会おうとしてくれないという。
真司は、優衣に『ライダーを人間として変えていこうと思う』と決意を語り、蓮と共に令子の元へと向かった。
真司や令子の説得により、ようやく浅倉に会おうという気になった暁は、蓮の車で浅倉のねぐらへと向かう。
その前に立ち塞がったのは、浅倉だった。
浅倉に助けようとしてくれたことを知らなかったと詫びる暁に、浅倉は
お前を助けた? バカかお前は
あの火事はなぁ、俺が火を付けたんだよ
お前を助けるはずがないだろう
会いたかったぜ、暁
今度こそ消えろ
と言って、暁をベノスネイカーに食わせてしまった。
暁が突然消えたことに驚く令子に当て身を入れて気絶させた浅倉は、憤る真司に
あいつは昔からウザかった
どうしようもなく、な
と悪びれる様子もない。
そんな浅倉を「城戸、奴は人間じゃない。モンスターだ」と評した蓮は、浅倉と共に変身してミラーワールドへと向かう。
同じく変身してミラーワールドに行った龍騎に、オメガゼールが襲い掛かる。
王蛇と戦うナイトに、ゾルダも現れて加勢し、オメガゼールをファイナルベント“ドラゴンライダーキック”で倒した龍騎が加わって、3体1の様相を呈してきた。
そこにさらに、エビルダイバーも現れて王蛇を襲うが、王蛇は「お前も俺のものにしてやる」と3枚目のコントラクトカードを取り出した。
そして、3体のモンスターを従えた王蛇は、UNITE VENTカードを装填し、3体のモンスターを合体させた。
合体モンスター:ジェノサイダーの攻撃が龍騎達3人を襲う。
(傾向と対策)
お見事。なるほど、そう来たか。
浅倉が親戚に引き取られなかったのは、家に火を付けた張本人だったからなのかもしれない。
もちろんそんなことが分かっていれば、いかに浅倉が当時13才といってもそれなりの処遇を受けるだろうから、親戚が「もしかしたら」と思った程度なのだろう。
つまり、浅倉が暁の生存をネタにできなかったのは“浅倉自身による放火殺人”の可能性を示唆しなければならなくなるからだったのだ。
ちょっと分かりにくい話だから、詳しく説明しよう。
日本では、犯人が14才未満の場合、刑事罰を受けないことになっているが、あくまで刑事罰を受けないというだけで、ある程度重い罪の場合、何らかの処分の対象となる。
放火殺人(現住建造物等放火、殺人)というのは無茶苦茶重い罪だから、浅倉の仕業だと発覚していれば、当時中学生だった浅倉が“野良犬のように”生きてこられたはずがない。
絶対に何らかの首輪が付いていただろう。
そして、処分を受けた経歴は書類として残るし、裁判では当然その経歴も証拠として提出されるから、過去の悪事として報道されないはずがない。
提出するのは検察側だから、いくら北岡でも握りつぶせないはずだ。
ということは、令子が火事のことを知らなかったということは、浅倉の放火は当時立証できなかったということになる。
処分を受けていなければ、改めて調べ直さないと当時の疑惑までは行き着かないだろうからだ。
ちなみに、どうして殺す対象だったであろう暁が生きているのに殺人未遂でなく殺人になるかと言うと、両親が死んでいるからだ。
日本の裁判では、殺人の場合“誰を殺そうと思ったか”ではなく、“人を殺そうと思って”誰かを殺したことが問題にされるのだ。
いや、もしかしたら両親も殺したかったかもしれないけどね。
となると、わざわざ暁を浅倉の所まで案内した挙げ句殺させてしまったという令子の人道的罪は大きい。
もちろん、騙されて利用されただけだから刑罰の対象とはなるまいが、少なくとも令子が“会いたくないと言ってる暁を説得して連れ出さなければ、暁は死なずに済んだ”という事実は消えない。
そもそも、一度は指名手配されていた凶悪犯が生きていることを知った時点で、令子は警察にその生存を伝えるべきだったわけで、それをしなかったのは“スクープをものにするため”だったと非難されても仕方がない行動だ。
少なくとも、令子が記事を書くために浅倉を追っていたのは間違いないのだから。
果たして令子は、自分のせいで人が死んだことを今後どう受け止めるのか?
ベノスネイカーそのものを見たかどうか(多分見てないだろうから、振り返ったら消えていたってとこだろう)は知らないが、“突然暁が消えたのを目撃したこと”なんかよりも、よっぽど大きな問題だ。
ましてや、編集部との会話を取材対象に聞かれて未確認情報を知られてしまったという失態の末だ。
浅倉本人に内緒で行動できていたなら、こうはならなかった(ベノスネイカーを事前に配置できなかった)かもしれないのだから。
一応断っておくが、これはシナリオへの文句ではなく、令子個人への文句である。
もちろん、どうして真司達がベノスネイカーの気配に気付かなかったかというシナリオ側への文句もあるのだが。
なぜか突然駆け付けるゾルダも謎だったね。
ついさっきまで東京都内にいたのに、どうして神奈川で戦ってるのが分かったんだろう?
果たして吾郎ちゃんの懐石料理が完成する前に事務所に帰り着けるのか?
そういや、吾郎ちゃんとの会話も、801な方々が喜びそうなシチュエーションだったな〜。
ところで鷹羽は、士郎が真司や蓮のカードを使えなくして、脅迫してまで優衣を探させたのは、多分、反射物のないところに自分が行けないからではないかと思っている。
蓮達が優衣を探して行動すれば、当然バイクなり車なりのミラーが付いて回る。
そこから優衣の前に出ていこうと考えたのではないだろうか。
そして、蓮が運転していた車は、どうもご都合主義で登場したわけではないようだ。
遠くにいる優衣を迎えに行くのに、2人のバイクの差を考え会わせると、車でないと真司と別行動になってしまうのだ。
あの車はどうやら「わ」ナンバーだったようなので、レンタカーを借りたのだろう。
いや、長い目で見れば、ラストシーンのためのご都合(令子の車スマートは2シーターだから、車の中で3人の会話ができないため)なんだろうけどね。
ちなみに、暁が勤めていた西浜市役所だが、そんな市は存在しないので、あれが神奈川県なのかどうかは不明。
ただし、そもそも浅倉の出身地である三ツ浦市自体が架空なので、多分その近くにある市なのだろう。
そうそう、ユナイトベントは単なるカードの1つに過ぎないようなので、モンスターを全て召還して合体させるという機能なのだろう。
別に合体したままというわけではなさそうだ。
ただ、合体状態でファイナルベントを使うと、分離して行動になるのか、合体したままで発動するのか?
あのままでハイドベノンは無理だろうけどな〜。
さて、今回の見所は“たった数時間一緒にいただけなのに、『ずっと浅倉と一緒にいた』などと訳の分からないことを言う令子”だろう。
令子が浅倉を見付けたのは、今日の午前中で、まだ日暮れ前だから、半日経つか経たないかってとこだろうに…。
PS そういえば、優衣の絵に描かれていたドラグレッダーのようなものは一体…?
PS2 今回の次回予告、龍騎がマグナギガのカードをドラグバイザーに装填しているのだけど、果たして、他人のモンスターを呼び出したり使役したりできるものなのか?
以前、ドラグレッダーのカードを芝浦に取られたときにも抱いた疑問だけど、もし、これでマグナギガを利用できたりしたら…。
ウソ予告かもしれないけど…。