『仮面ライダー龍騎』
第21話 優衣の過去
2002/6/23 放映


(Story)
 龍騎に襲い掛かるナイトにライアが割り込み、さらにメタルゲラスが現れたことで戦いは終わり、4人は現実世界に戻った。
 手塚は浅倉に「斉藤ゆういち」という男を知っているかと聞くが、浅倉は知らないと言って立ち去る。
 そして浅倉と共に立ち去ろうとする蓮に、真司は蓮が最後に望んでいるものが何かと尋ね、答えない蓮に代わって手塚が『小川恵里の意識を取り戻すこと』だと教えた。

 蓮は
  俺が失敗すれば、恵里は意識を取り戻さないまま死ぬしかない
  あと半年か1年…
  俺のせいでもある
  俺は戦って勝ち残らなければならない
  どんなことをしても
  俺はそのためだけにライダーになった

と言って去っていった。
 蓮に戦いをやめさせることの意味を初めて思い知った真司はショックを受けるのだった。

 浅倉は、龍騎の一撃を食らって吹っ飛ばされたことに「ライダー同士の戦いも面白いだけじゃないな」とイラついていた。
 蓮は浅倉に
  倒せ…奴を
と言い
  お前も奴に恨みがあるってわけか
と尋ねる浅倉に
  ない…だから邪魔なんだ
と答えた。

 その夜、優衣は、仲村から貰った資料に挟まっていたネガフィルムに写っていた見覚えのある建物のことを沙奈子に聞いてみるが、何かを隠しているらしい沙奈子に誤魔化されてしまった。
 手塚の協力で、建物の窓に地下鉄丸の内線の列車が写り込んでいること、、子供が写っていることが分かった。

 一方、警察は浅倉が海に転落死したものと判断していた。
 だが、ファミレスの一件から浅倉の生存を疑う令子は、さらに浅倉を追って取材することにしていた。
 そして真司は、手塚に言われた
  神崎士郎の言葉に賭けるしかない奴だけがライダーになれる
という言葉と、蓮の
  俺が失敗すれば、恵里は意識を取り戻さないまま死ぬしかない
という言葉の意味を噛みしめていた。
 そんな真司の前に神崎士郎が現れ
  偶然ライダーになったお前がここまで生き残るとは思わなかった
  お前も戦いに賭けるものが欲しくないか?
  戦いに勝ち残り最後の1人になったとき、お前は大きな力を手に入れる

と誘いを掛ける。
 そして、真司が誘いに乗らずに優衣が心配していることを告げるのに対し
  望みがないならそれでもいい
  ほかのライダーのためにお前が死んでやるのも自由だ

と言い残して消えた。
 翌朝、編集部で悩み続ける真司は、大久保から「真実は1つだが正義は1つじゃない」と言われる。

 一方、優衣と手塚は、写真の建物が営団地下鉄・丸の内線が地上に出ている場所の近辺らしいと睨んで探していた。
 そして、見付け出した建物には、「神崎」と表札が出ていた。
 建物に近付いて頭痛を起こした優衣を残し、手塚は中に入っていく。
 中には、あらゆる反射物が封じられた部屋と、鏡だらけの部屋があった。
 そして、鏡の部屋には士郎の姿が…。
 また、外で待つ優衣の脳裏には、幼い少年と少女の姿が浮かぶ。
 
 その頃浅倉と蓮は、浅倉が少年時代溜まり場にしていた場所に身を隠していた。
 戦っている間だけ頭がすっきりするという浅倉は、龍騎を呼び出すよう蓮に迫る。
 そんな浅倉に、蓮は
  お前にとっての戦いはそんな程度か
と驚く。
 そこに、蓮の居所を見付けた真司がやってきた。
 蓮は、真司の
  お前がどうしても戦わなきゃいけないんなら、俺が相手になる
  俺が全力で戦う
  お前の戦いの重さを受け止めるには、今はそれしか思いつかない

という真摯な言葉にカードデッキを取り出す。
 だが、浅倉が
  俺に譲れよ
  龍騎を倒せって言ったのはお前だろう

と横やりを入れた。
 そして、蓮は本当に相手を浅倉に譲ってしまう。
 変身しようとする真司の右腕を鉄パイプで殴った浅倉は変身してミラーワールドへ入っていく。
 右腕を痛めた真司もまた、変身してミラーワールドへと入るが、利き手を思うように使えない龍騎は、王蛇相手に為す術もない。
 そして、トドメを刺すべくファイナルベント“ベノクラッシュ”を放つ王蛇をナイトが弾き飛ばした。
 ナイトは、王蛇に
  気が変わった。龍騎は俺が自分で倒す
  だから横から汚い手を出すな
  それともう1つ、こいつの前にお前を倒すことにした

と戦いを挑み、さらにメタルゲラスも現れて王蛇を吹き飛ばす。
 王蛇は
  しつこいなぁ
  そこまで俺が気に入ったというわけか

とコントラクトカード(契約カード)を取り出す。
 王蛇は、コントラクトカードを複数持っていたのだ。
 メタルゲラスと契約した王蛇は
  なあ、本当に楽しいなぁ…ライダーってのは
とファイナルベント“ヘビープレッシャー”で龍騎とナイトをガードベントごと吹き飛ばした。


(傾向と対策)
 やはりというか、警察はあっさり騙されてしまったが、令子は浅倉の生存を信じているようだ。
 浅倉の姿を見かけたこともあって、もう暫く浅倉の昔の行動範囲を探すことになるだろう。
 いずれ、今回の隠れ場を見付けて人がいた形跡を見付けるかもしれない。
 で、どうやらライダー同士は、本当に現実世界でやり合っても問題ないようだ。
 変身中に鉄パイプで殴りかかるというヒーロー物のタブーに挑戦するかのような素晴らしい攻撃を見せてくれた浅倉の姿に、鷹羽は思わず柏手のヤス(C:『将太の寿司』)してしまった。
 ここで鷹羽なら、きっとそこら辺に落ちているであろうスプレー缶を探して鏡をコーティングしてさしあげるところなのだが、素直な真司はそのまま行ってしまった。
 この辺の行動に、浅倉の性格が現れている。
 浅倉は、単に戦うのが好きなのではなく、有利な立場で戦いを運ぶのが好きなのだ。
 ただし、これは相手より強い武器を振るって勝ちたいというのとも少し違って、“同じような条件でありながら圧倒的に強い自分”に酔っているものと思われる。
 龍騎の右腕を潰してから戦うというのは、相手を弱らせてから戦えば有利になるからだが、決して武器を奪ったわけでもなく、そうなるように自分が仕向けた結果だから、負い目を感じる必要はない。
 王蛇の能力は、ほかのライダーに比して、決して抜きん出て高いものではない。
 スピードは一番かもしれないが、防御力は決して高くはないだろう。
 だからこそ、龍騎の右手が繰り出す昇龍突破が怖くて潰した。
 また、ライダー同士で戦うという状況が気に入っているから、現実世界で真司を殴り殺そうとは思わなかった。
 浅倉の行動は、彼なりに一貫した行動理念に従っているように感じる。
 これまでのライダー達が、変身中を襲わなかったのは、単に思いつかなかっただけということらしい。
 “相手を弱らせてから変身させる”という浅倉のやり方は非常に理に適っているわけで、戦いの末に大きな野望を持っている者ならば、気が付いたらやらなければおかしい、少なくとも警戒しなければならない戦術と言える。
 ちなみに、数人がかりで1人のライダーをなぶり殺したい場合、ローテーションでミラーワールドから出て変身し直して戦い、相手をミラーワールドから出さないというやり方も有効だ。
 ナイトのナスティベントやゾルダのエンドオブワールドのように逃げ出す隙を作る技もあるが、3人がかりくらいで時間稼ぎを目的にカードを使って消耗戦を仕掛ければ、大抵のライダーは倒せると思われる。
 特に相手の手の内が分かっていれば尚更だ。

 どうやら、カードの種類と枚数というのは、元々デッキによって違っているらしい。
 メタルゲラスと契約したことで、王蛇はメタルゲラス召還のカードを手に入れると同時に、メタルゲラス用のファイナルベントカードも手にすることになった。
 多分ストライクベント×2、コンファインベント×2といったガイが使えたカードは全部持っているのだろう。

 今回一番おいしかったのは、真正面から蓮に対しようとした真司と、それを受け止めた蓮の2人だ。
 蓮の背負っているものが“恋人の命”だと知って、「見捨てろ」と言えない真司の優しさ、士郎から「望むもの」を聞かれても無視して優衣が心配していることを告げるまっすぐさは、正義の味方だった。
 初めて真司が自分から蓮に戦いを挑み、蓮が浅倉に戦いを譲ったときのあの目の表情は、これまでの真司で一番良かったシーンだと思う。
 対する蓮も、一度は浅倉に譲るが、浅倉のやり方に怒って王蛇の敵に回るなど、ちゃんと応えている。
 これでコンビ復活かな?

 沙奈子は写真の建物が何か知っているようだ。
 鏡を封じまくった部屋と言い、鏡だらけの部屋と言い、よく分からない建物だが、沙奈子も“秘密がある”と知っている建物…。
 先が楽しみだね。

 ところで、例の写真に写っていた電車だが、昔の丸の内線は赤かったそうな。
 鷹羽の目にはオレンジに見えたけど、あれが赤だとあっさり見抜いた手塚の目は大したもんだ。
 さすがに未来が見える男の目は違う♪ 
 
 さて、今回の見所は“わざわざ編集部にいる相手の携帯電話にかけてくる令子”だろう。
 普通なら、一旦編集部にかけていないのを確認してから携帯にかけない?
 もしかして、既に大久保が帰ってしまったと思ってるんだろうか?
 確かに定時は過ぎてるだろうけど、大事件を追ってる最中に、編集部を空にするかな。
 大久保って、普段そういう行動取ってるんだろうか?
 

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