そのころ、警察からの要請を“イメージアップのため”受けた北岡は、人質と交換にファミレスに入ることになった。
浅倉は、万一の保険にと少女1人を残そうとするが、真司は少女を放っておけず、一緒に残ることになった。
そして、北岡と対峙した浅倉が銃をしまってカードデッキを出したとき、真司は浅倉に飛びついて少女を助け出し、浅倉に殴り飛ばされた。
機動隊が突入する中、浅倉と北岡は変身して戦い始める。
芝浦の元に到着した蓮も、優衣救出を手塚に任せて変身してガイと戦い始め、優衣を救い出した手塚も、変身してナイトに協力し、ミラーワールドではゾルダ対王蛇、ナイト&ライア対ガイの戦いが繰り広げられることになった。
その様子を為す術もなく見守る優衣の前に神崎士郎が現れ
この戦いはお前には関係ない
ライダーは皆自分の意志で戦っている
自分の求めるもののために
それを止める権利は誰にもない
と語りかけ
お前は何も考えるな
と言い残して消えた。
ナイトのガードベントやライアのファイナルベントをコンファインベントで打ち消し、ナイトにファイナルベントでトドメを刺そうとするガイに、ライアは予知したナイトの最期を思い浮かべる。
だが、ガイの一撃は、龍騎のガードベントによって防がれた。
いつまでこんな戦い続けるつもりなんだよ
こんなのが運命だなんて、俺は絶対認めないからな!
と叫ぶ龍騎の姿に、ライアは「あいつなら本当に…」と希望を抱く。
そして、ライダーが6人も入り乱れての戦いに嫌気が差したゾルダは、ファイナルベントを王蛇に放って
こういうゴチャゴチャした戦いは好きじゃない
と去っていった。
余波を食らって吹き飛ばされる龍騎、ナイト、ライア。
だが、当の王蛇は、ガイを盾代わりにして無傷だった。
王蛇は
お前…おれがゲームを面白くしてやったのに…
と文句を付けるガイに
近くにいたお前が悪い
とファイナルベントを放ち、倒した。
あっさりとガイを殺してしまった王蛇に怒る龍騎だったが、王蛇は
こういうもんなんだろ? 違うのか?
と平然と対峙していた。
ともかく、あらすじだけでこんなに長くなるくらいのボリュームなのに、大筋は破綻してないわ、立て籠もり事件はきっちり普通の犯罪として描いてるわで、もう楽しいのなんの!
真司は中からメール送る前にマナーモードにしてるし、島田はこの前のノートパソコンでメール送ってるしで、非常に良かった。
どうやら、ケータイでカメラ機能使うときの音声って消せないらしいのだが、それをピンチの発生に持っていくあたりも巧い。
今回の真司は、「ちか」という少女を放っておけずに人質として残ったこと、浅倉が銃をしまった後とはいえ、身を挺してちかちゃんを助けたことなど、どこから見てもヒーローだった。
救出された真司は、ちかちゃんやその母親の証言からも、救出された状況からも、“自分の危険を省みず、警察に内部の状況を知らせ、敢えて危険な場所に残って人質の少女を奪い返した勇気ある青年”として扱われるだろう。
たとえ浅倉に飛びかかった理由が“結局騒ぎ全部がライダー同士の戦いのとばっちり”という思い込みだったとしても。
今回の件、ライダー同士の戦いが原因なのは確かだが、元はと言えば浅倉の私怨が発端であり、実際のところは浅倉が普通に行っている犯罪に過ぎない。
警察や世間もそういう観点で動いているのがはっきりと描かれている。
どういうわけか、浅倉が“ライダーとして”戦うことに順応してしまったから、“銃で撃ち殺す”というトドメを選ばなかっただけだ。
だから、ガイを殺した(死んだろう、あれは)ことについても
こういうもんなんだろ? 違うのか?
とあっさりしているわけだ。
“人生すべからく手の平の上”と世間を舐めきっていた芝浦だが、自分が他人に利用されるということは、これっぽっちも考えていなかったようだ。
この前、危うくナイトに負けそうになったくせに、誰かに負けるという可能性は考慮していなかったらしい。
確かに、相手のカードを無効にできるカードを複数持っているのなら、1人を相手にする限りどんなファイナルベントも怖くないだろうが、浅倉や北岡の性格を知らないくせに利用しようとしたのがまずかったのだ。
王蛇がガイを盾に選んだのは、多分一番ガタイが大きくて盾にし易そうだったせいで、それが誰かなんてことはどうでもいいのだろう。
どうせ最後には自分しか残らない予定なのだから。
あれだけの憎まれ役だったので、あの悲しい最期に喝采を送った人も多かったのではないだろうか?
鷹羽? もちろん大喝采だ。
さて、今回一番おいしい思いをしたのはOREジャーナルだ。
事件解決に多大な寄与をして知名度を上げた(感謝状ものだ)だろうし、事件現場の内部写真を持っているというのも、記事構成上非常に説得力がある。
まして、その写真を撮った記者が人質救出という大活躍をしているのだから。
購読者もかなり増えたりして。
調子よく「うちの真司はやりますよ!」なんて言ってる大久保は見ていて楽しかった。
今回で文句を付けるとすれば、“脱獄犯が云々”と言われていたにもかかわらず、鍵も掛けずにボーっとしていた挙げ句にさらわれてしまった優衣くらいなのだが、ま、ほかのことで頭が一杯だったということで許そう。
ちなみに、優衣はあのビルの中では監禁されているようには見えなかったし、争った後もなく、薬物で眠らされたわけでもなさそうなのだが、もしかして口車で連れて行かれてしまったのだろうか?
次からは迷子札を付けておいた方がいいかもしれない。
どこに行っても目立つように。
さて、神崎士郎が言っていたことからは特に新しい情報は得られなかったのだが、今は亡きガイのセリフから、はっきりしたことがある。
それは“ライダーのカードは、基本的には1回の変身で1枚1回ずつしか使えない”ということだ。
ライアのファイナルベントをコンファインベントで打ち消したガイは『カードが1枚とは限らない』と言った上で、2枚目のストライクベントを使っている。
とすると、前々回の『嘆きのナイト』冒頭で、ガイが2枚目のストライクベントを使用したのは、ポカではないということになる。
てっきりその辺もいい加減なんだと思っていたから敢えて突っ込まなかったんだが、同じカードを複数持っている場合もあるとなれば納得だ。
じゃあ、龍騎が2つのシールド出したときって2枚のカード使ってたのかも。
さて、今回の見所は“優衣を誘拐したライダーは死んじゃうの法則”だろう。
シザースといい、ガイといい、優衣を誘拐したライダーはその回のうちに死んでしまう。
もしかしたら神崎士郎の呪いかも…。
やっぱり、優衣には迷子札が必要だ。
できれば『危険人物・触れると危険』とか書いておきたいところだ。
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