『仮面ライダー龍騎』
第10話 ナイトの危機
2002/4/7 放映
(Story)
ゾルダはワイルドボーダーには構わず、ナイトに攻撃を開始し、ワイルドボーダーは逃げてしまった。
トリックベント、ナスティベントを駆使して戦うナイトだが、ゾルダに一撃も加えることができず一方的に攻撃を食らい続ける。
そして時間切れになった2人は、共に現実世界へと帰った。
フラフラになっている蓮に、北岡はライダーである真司を救うために同じライダーである蓮が必死になっていることを
友情ゴッコがしたいなら、ライダーになんてならない方が良かったんじゃない?
どんなライダーが出てきても俺は勝つ
なぜだか分かるか? 俺は自分のためだけに戦ってるからな
そういう人間が一番強いんだよ
お前、ライダーになるには10年早かったな
と嘲笑って去っていった。
花鶏に帰った蓮は、真司を助けたいなら北岡をクビにした方がいいと優衣に話した。
北岡もライダーであり、このまま真司が捕らえられ続けていずれドラグレッダーに喰い殺されるのを待つ気なのだと。、
翌日、北岡の事務所を昨日追い返されたばかりの少女ゆかりが再び訪れていた。
昨日吾郎に貰ったキャンディーのお返しに折り鶴を持ってきたのだ。
ゆかりは、誘拐犯として捕まっているであろう父を助けてくれるよう北岡に頼みにきていたことを吾郎に話した。
北岡は真司に接見し、身代金3,000万円が自分のものだったら何に使うかなど、およそ弁護には関係なさそうなことを聞いてはテープに録音していた。
その後、面会にやってきた蓮と優衣は、北岡が真司を陥れようとしていることを教える。
蓮は、真司に借金を返してもらうために助けるのだと言うのだった。
そのころ、退院した島田は、廊下で北岡とぶつかり、看護婦が話している『北岡の病気は今の医学では治せず、もう長くない』という言葉を聞く。
蓮、優衣、令子の3人が北岡の事務所を訪れ、北岡にクビを宣告し、真司との会話を録音したテープを回収しているところに、ゆかりを伴った吾郎が現れるが、北岡はやはりゆかりを追い返した。
令子達は、吾郎の口から事情を聞いた。
ゆかりの父は、かつてOREジャーナルの記事が元で職を失い、復讐とゆかりの母の手術代を稼ぐため、女の人を誘拐する計画を立てていたが戻ってこないため、ゆかりは父が警察に逮捕されたと思ったのだという。
令子は、逮捕されたのはゆかりの父ではなく、無関係の人だと教え、ゆかりは迷惑を掛けたその人に謝りたいと答えた。
一方、大久保と共に真司に面会に現れた島田は、真司が右手の打撲を痛がるのを見て、犯人の手に噛みついたことを思い出した。
真司は、ゆかりと島田の証言によって嫌疑が晴れて釈放された。
ゆかりに礼を言いたい真司は、ゆかりの母が入院している病院に向かう。
真司が釈放されたことを知った北岡は、ゆかりに文句を言いつつも家に送っていこうとするが、そこでゆかりの母が入院していることを知った。
病院で母の手を握りしめるゆかりの様子を見た北岡は、看護婦に何事か尋ねていた。
病院に着いた真司達は、看護婦からゆかりの母の手術代を出してくれる人が現れたことを聞き、ゆかりを探しに行く。
病院の前では、ゆかりが北岡に礼を言っていた。
蓮は、る姿を見て、彼がゆかりに供述を翻すよう言っているのと早とちりして北岡の胸ぐらを掴む。
殴ろうとした蓮の拳を止めた真司は、自分で北岡を殴り
あんたを見損なってたよ!
2度と顔も見たくない!
と叫ぶが、それを見たゆかりは
やめて! 先生を虐めないで!
と叫んだ。
北岡は、何も言わずに去っていった。
それを追い掛けたゆかりをワイルドボーダーが襲う。
間一髪助けた真司と蓮は、変身。
2対1でワイルドボーダーに苦戦する龍騎達を見つめていたゾルダは、マグナギガを呼び出し、ファイナルベントでワイルドボーダーを吹き飛ばした。
その爆炎の巻き添えを食って吹き飛んだ龍騎とナイトを見ながら、ゾルダは
お前達の望みどおり、2度と会うことはない
とつぶやくのだった。
(傾向と対策)
誘拐事件無事解決。
つーか、時効完成決定。
犯人が死んじゃってるんじゃねぇ。
結局ゆかりの父は、重要参考人もしくは容疑者として指名手配されたまま時効を迎えるんだろう。
営利誘拐の時効って7年だっけ?
それにしても、小学生の娘に誘拐の計画立ててたことを見破られてるようじゃ、絶対成功しなかったと思う。
ま、OREジャーナルに恨みがあるから、OREジャーナルの編集部紹介を見て島田をさらうことにして、頼りなさそうな真司を襲って金を奪うつもりだったんだろうけど、手術代に3,000万も掛かるとは思えないし、イマイチ何考えてるのか分からなかったなぁ。
それにしても、手首を噛んだのを「腕を噛んだ」と表現してしまう島田って何者?
大久保も「お前、やっぱり…」なんて全く信じていない様子だったし。
真司って、実は可哀想な環境で仕事してるのかも。
あの状況下で自分を疑うような人の下で働いても大丈夫?
それはともかく、真司の保証の方はどうなるんだろう?
身代金は真司が持ったままだったはずだし、人質も取り敢えず無事だった。
そもそも通報は「身代金を持っていった真司が襲われた」という内容であるはず。
最初に捕まっちゃうのは、事情が分からない現場の警官としてはしょうがないとして、その後犯人として疑われる必要がまるでない。
結果的に大間違いだったわけだし、国家賠償を求めたら認められるんじゃないか?
ちなみに北岡は、弁護士としては背信的な行為をしようとしたからクビになったわけで、手付け金も払う必要がない。
一方で、なんだかいい奴になってしまった蓮。
早速「借金を返してもらうため」に助けるなんて言い訳使ってるし。
5万から始まって、言うたびに値段が上がっていき、最期に「ちゃんと返せよ、10万」というお約束な展開は、もしかしたら今回一番面白かったかもしれない。
さて、今回の中心はやはり“余命幾ばくもない北岡”という情報だろうか。
真司や蓮のようなメインの連中には知らせないまま、視聴者にだけそういう情報を与えているわけだけど、ゆかり(の母)の境遇に同情して手術代を出してやるあたり、人のことを言えないくらい青臭いようだ。
これが後にいい人化する伏線になるのだろうか?
もうすぐ死んでしまうという条件なら、永遠の命に憧れても仕方ない面があるし、“まだ死にたくない”という気持ちならば、そうけなすこともできまい。
自分の死を背負って戦っている分だけ執着が強く、勝ち残る確率が高いのも事実だ。
また、確かに正義の味方とはとても言えない北岡だが、“自分の命を救うためにはライダーを12人殺せばいい”という条件を考えてみれば、悪いことをしているとはとても言えないのもまた事実だ。
真司だけは例外だが、ライダー達は多かれ少なかれ“自分の欲望を叶えるためにライダー同士戦う道を選んだ人間”達であるらしい。
となれば、例えば“恋人の命を助けるため”であろうと思われる蓮と“自分が生きるため”の北岡では、レベルは一緒だ。
少なくとも蓮に北岡をけなす権利はない。
確かに蓮は北岡や須藤(シザース)に比べて真っ当な生き方をしている。
モンスターを倒すことを優先目的にしているし、真司に対しても謀略を巡らせる気はないようだ。
だが、蓮がその目的を果たすためには真司を倒す(恐らくは殺す)ことが必須であり、蓮の現在の行動はおためごかしに過ぎない。
北岡のように『俺は自分のためだけに戦ってる』と言い切れる方が潔い。
いい悪いではなく、『仮面ライダー』であることの宿命がそうである以上、そして自己の欲望を叶えるために自分の意志でライダーになった以上、そう言いきれる強さと覚悟が必要なのだ。
北岡自身、ゆかりの母を救おうとしているようにクールになり切れていないわけで、彼もまた「青臭い」部分を持っている。
だが、それはあくまで自分の身を危険にさらさないからだ。
恐らく今の彼なら、ほかのライダーがゆかりと一緒にいても、構わず撃てるだろう。
自分の目的とほかのモノを天秤にかける必要性を感じていないからだ。
ライダーであるということは、手段を選ばず自分の欲望に邁進することと同義であって、これが『仮面ライダー龍騎』のヒーロー物としての問題点なわけだ(この辺は近々評論の方で書く予定)。
“ヒーローの片割れ”としては蓮の行動は正しいわけだが、“自分の欲望のためにライダーとして生きることを選んだ”人間としては、偽善でしかない。
これが北岡の言うところの「青臭い」ということなのだ。
ところで、今回は面白いことが分かった。
真司が閉じ込められたままでいると、いずれドラグレッダーに喰われてしまうらしい。
これは、カードデッキが手元にない(留置されているんだから、当然取り上げられている)ことによるのだろう。
デッキがないということは、契約の証がないということであり、餌を与えてやれないということでもある。
留置場の中でも、一時的になら反射物が存在するだろうから、やがて腹を空かせたドラグレッダーが契約違反した相手を喰いに出てくることも十分考えられる。
これもまたライダーの宿命なのだろう。
モンスターを強くするためだけでなく、モンスターに餌をやるためにも、ほかのモンスターを倒す必要はあるわけだ。
その割には、前回・前々回とモンスターを吸収させてないけど。
さて、今回の見所は“廊下まで聞こえる声で患者の病状を話す看護婦”だろう。
しかも治らないって話をするかね、普通?
それって守秘義務違反でないかい?