『仮面ライダー龍騎』
第9話 真司が逮捕!? 
2002/3/31 放映

(Story)
 ゼブラスカル・アイアンを倒した龍騎をゾルダのシュートベントが襲う。
 ゾルダは、「俺はライダー同士で戦う気はないんだ」という龍騎の言葉に耳を貸さずに責め続ける。
 そしてゾルダは、ようやくソードベントで反撃を始めた龍騎の右腕を執拗に責めた。
 深夜、右腕を怪我して花鶏に戻った真司は、モンスターと戦ったことも4人目のライダーが現れたことも黙っていた。

 その夜、遊園地で遊んだ帰りの島田奈々子が誘拐され、翌朝OREジャーナルに身代金3千万円を要求する電話が入った。
 身代金を持ってくるのを真司と指定していることから、犯人は内部事情に詳しい人間らしい。
 とりあえず犯人の要求どおり、真司が指定された場所に3千万を持っていくことになった。
 だが、指定された場所には犯人の姿はなかった。
 仕方なく編集部に携帯電話でそのことを伝える真司に、姿を見せた犯人が襲い掛かる。
 その様子を聞いていた大久保は、事態が変わったことを知って警察に連絡した。
 だが、犯人は、突如現れたイノシシ型のモンスター:ワイルドボーダーに喰われてしまう。
 すぐに変身した龍騎だが、ワイルドボーターの体当たりに苦戦して取り逃がした。
 変身を解き、意識を失っている島田に駆け寄った真司は、突入してきた警官隊に逮捕されてしまった。

 逮捕された真司を、大久保、令子、蓮と優衣が次々と面会に訪れる。
 警官隊が駆け込んだとき、真司と島田のいた部屋は密室で、島田が誘拐された時間に真司にアリバイがなく、しかも真司は「犯人がモンスターに喰われた」と言えず犯人のことを話したがらないため、状況は真司に極めて不利になっていた。
 優衣は、叔母さんがいい弁護士を雇うから安心するように言った。

 その弁護士とは北岡だった。
 依頼にやってきた蓮を一目見た北岡は、金の匂いがしないと無碍に断るが、蓮はギャラは何としても払うからと答えため、北岡はOREジャーナルで自分の特集記事を組むことを条件に真司の弁護を引き受けることになる。
 そして面会にやってきた北岡は、真司が右腕を痛めていることを知り、真司が龍騎だと気付いて笑みを浮かべるのだった。

 花鶏にやってきた北岡は、店を売ってでもギャラを払うという沙奈子の言葉に、優衣がいる花鶏を自分専用のティールームにするのも悪くないと言い、その言葉に激昂した蓮は北岡の胸ぐらを掴んだ。
 そのとき、2人は同時にワイルドボーダーの気配を感じ取った。
 その様子から、蓮は北岡がライダーであると気付く。
 同時にナイトとゾルダに変身した2人。
 ナイトがワイルドボーダーに苦戦するのを後目に、ゾルダはナイトに攻撃を開始した。



(傾向と対策)
 あ〜、頭の悪い話だった。

 突然島田を誘拐した犯人の唐突さ、身代金を家族でなく勤め先に要求し、しかも社員1人のために3千万を用意する大久保の優しさと資金力、あの廃屋で密室などと言い出すとんでもなさ、わざわざギャラの高い北岡を弁護士に雇う御都合ぶりと、無理の多い話作りだった。
 脚本と演出のミスが重なって、とにかく話が無茶苦茶。

 あの真司なら、確かにモンスター絡みの部分を上手く外して説明できないのは分かる。
 上手に言い訳できるほど真司は器用じゃない。
 それはいい。
 だが、少なくとも密室だと言うには、ドアを閉めて鍵を掛けたという描写は不可欠だ。
 真司が部屋に入ったのは犯人に襲われた後だし、連続で鉄棒を振り下ろしている犯人にドアを閉める余裕があるはずもなく、部屋は出入り自由だったはずだ。
 しかも、犯人がワイルドボーダーに襲われた瞬間、犯人の背後にはドアの開いた出入口が2つ、変身した龍騎の背後にはガラスの外れた窓枠が1つ…どこが密室だって?
 しかも、犯人はマスクをしてたから、真司は犯人の顔を見てないはず。
 いくら真司がバカ正直でも、「マスクしてたから顔は分からない」とは答えられるはず。
 犯人はマスクをしているべきではなかった。
 これって、脚本の流れを理解できなかった演出的なミスだよね?

 脚本側のミスとしては、身代金問題と、面会に来た大久保と令子の部分が大きい。
 どうして島田なのか、どうしてOREジャーナルに身代金を要求するのか?
 少なくとも完全な私生活上で誘拐された社員の身代金を払う義理はないはずだ。
 払うのは大久保の勝手だが、それは必ずしも期待できることではない。
 犯人がOREジャーナルに要求する理由が必要だ。
 更に、逮捕された真司に面会に来た大久保達の描写も問題だ。
 大久保と令子が真司を信じてるのか信じてないのか、スタンスがはっきりしていない。
 軽いジョークで済ますには、突然逮捕されてしまった真司の心情を無視しすぎだ。
 もう1つ、島田は誘拐されてからは意識がなかっただろうけど、自分を誘拐したのが真司だったかどうかくらいは分かるはずだけど?

 反面、沙奈子と蓮はよく描けていた。
 いきなり「子供のころから」まで言い出し、店を売ってでも弁護士費用を払うと言ってのけた沙奈子はいつもどおりで良かった。
 また、蓮は、真司の前では悪態をつきながら、真司のために「金は何とかする」などと言ってのける。
 普通でも何十万と掛かる弁護士費用を、しかも北岡がふっかけてくるのは少なく見積もって100万単位になるのが分かり切っている。
 それを払ってでも真司を助けようとするのは、なんだかんだ言っても真司を高く買っているということだろう。
 いずれ戦うべき相手と同じ部屋に寝泊まりできるということが、真司に対する信頼を表している。
 ただ、一応“手付金も払わずに依頼者面している”ことについては突っ込んでおこう。

 もう1つ一貫していたのが北岡のキャラかな?
 「子供嫌いだから」ということで、依頼の内容も聞かず(そもそも子供を依頼人として事務所の中まで連れて来る吾郎ちゃんも不思議だが)追い返したり、「金の匂いがしない」と言って蓮を追い返そうとしたり、モンスターには目もくれずナイトを攻撃したりと、快楽主義の現実主義者としてよく描けていたと思う。
 龍騎のベルトを攻撃しなかったところを見ると、カードデッキを破壊すれば勝てるということは知らないんだろうな〜。
 ナイトがシザースのデッキを破壊したのも偶然だったし、ライダー共通の弱点はまだ蓮しか知らないんだろう。

 あと、思わせぶりに依頼にやってきた少女(多分OPテロップの『堀口ゆかり』だろう)は何のために来たのかね?
 名前がある以上、それなりの意味のある存在のはずだが…。
 

 さて、今回の見所は“1人で遊園地に遊びに行く島田”だろう。
 普通、あそこまで時間を気にして1人で遊びに行くかなぁ?
 何かのフェアとかで、入場時間制限でもあったんだろうか?


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