『仮面ライダー龍騎』
第8話 4人目ゾルダ
2002/3/24 放映
(Story)
真司の書いた「金色のザリガニ」の記事は、大久保のチェックを無事通過して配信されることになった。
だが、事務所に寝泊まりするようになって以来、電気代・ガス代を25%アップさせてしまった真司は、ますます事務所に居づらくなっていく。
そんな中、再び大森から、今度は「髪の毛の生えたカエル」を見付けたというメールが入った。
相変わらずはしゃいでいる真司を後目に、令子は川の上流にある製薬会社の煙突に注目する。
花鶏に顔を出した真司は、沙奈子に事務所に居候していることや、そこから追い出されそうになっていることなどを話し、時々店を手伝うことを条件に安く花鶏に住まわせてもらえることになった。
蓮は、真司に「(真司が)ライダーとして優衣から有利な情報を引き出すかもしれないことが許せない」と文句を言うが、真司は「お前が考えてるのは自分のことだけじゃないか」と突っぱねる。
一方、「かわず製薬」の工場排水がザリガニやカエルの突然変異を生みだしたのではないかと考えた令子は、工場周辺で最近原因不明の病気が発生していることを突き止め、かわず製薬に取材を申し入れた。
取材に応じたのは、かわず製薬に雇われた北岡秀一だった。
北岡は、令子の取材に対し
仕事の話なんかやめて、男と女の時間を過ごしませんか?
と煙に巻き、令子は怒って席を立ってしまった。
北岡は、真司をマッサージや食事に連れ回し、弁護士になった動機は“格好いいし金になるから”と語り
俺はな、人間の欲望ってやつを愛してるんだ
人として生まれたからには、全ての欲望を叶えたい
と持論を展開する。
真司はそんな北岡に興味を抱いた。
その夜、早速花鶏に引っ越してきた真司は、客としてやってきた蓮のいちゃもんに腹を立てたせいでカップやソーサーを割りまくる。
そんな真司の前で、蓮は洗い物やウェイターを見事にこなして見せた。
沙奈子は、「あんた達3人、きっとうまくやっていけるよ」と蓮も花鶏に住まわせることにした。
かくて真司と蓮は同室に住むことになる。
翌日、令子は川の水に問題がなく、工場周辺で発生していた病気もインフルエンザだったことを知り、大森が「金色のザリガニ」や「髪の毛の生えたカエル」を作っていたと気付いて大森の家を訪ねる。
そして、予想どおり「羽の生えたイモリ」を作っている大森を見付けるのだった。
一方、真司は“取材と社会勉強を兼ねて”北岡に一日張り付くことにした。
そして、「欲を全部叶えるなんてことできるのかな?」という真司の質問に、北岡は
できるさ、永遠の命があれば
たった1つだけ方法がある
おれはそのために…
と言いかけてやめた。
そんな北岡に、思わず「自分の欲望のためだけに生きるなんて虚しい」と言ってしまった真司は、「お前も所詮退屈で凡庸なただの人間の1人」と追い返されてしまった。
真司は
俺、嫌いじゃないですよ、北岡さんのこと
と言い残して帰っていく。
そのころ、ヤラセがバレて失意の大森がゼブラスカル・アイアンに襲われた。
それを察知した真司は、龍騎に変身して戦い、ファイナルベントでようやく倒した。
そしてホッとしたのも束の間、龍騎をゾルダのシュートベントが襲う。
(傾向と対策)
あまりにもあまりな「金色のザリガニ」「髪の毛の生えたカエル」の正体。
安っぽすぎる外観は、小道具さんの手抜きではなく、そのまんま大森の腕のせいだったらしい。
あざといな〜。
そうすると、庭に沢山あった墓は、改造に失敗した動物のものだったんだろうか。
前回、真司が大森の家でゼブラスカルの気配を感じたのは、大森が狙われていたせいで、“モンスターは一度狙った獲物は諦めない”の言葉どおり、大森がゼブラスカルの犠牲者になったことで、彼自身は天罰を受けた形になったが、果たしてOREジャーナルの方では、どんな訂正記事を書くのだろう。
騙されたとはいえ、ウソの記事を書いちゃったんだから、何らかの謝罪記事はいるよね。
真司の記者デビューはケチが付いてしまった。
さて、北岡がライダーになった目的は“永遠の命”だったようだ。
シザース=須藤の目的はイマイチはっきりしなかったし、蓮の目的もまだはっきりしていないから、真司以外で仮面ライダーになった明確な理由を表明した初めての男ということになる。
全ての欲を叶えるべく永遠の命を得るためにライダーの頂点に立つ…後から後から増大していく欲望を全て叶えるには、やはり永遠の命を得ることが有効とは思うが、果たして最後に残ったライダーに与えられる特典は、どこまでの力なのだろう?
ようやく住処の決まった真司だが、わざわざ蓮まで引っ越してきたのは意外だった。
それもよりにもよって同じ部屋とは…。
蓮が自分のプライベートを犠牲にしてまで真司と優衣を一緒にしておきたくない理由は何だろうか。
蓮は、優衣から有利な情報を引き出すのを許せないとか言っていたが、元々パートナーを組んでいたのだから、恐らく優衣の持っている情報は全て蓮も知っているはずだ。
やはり真司の言うとおり嫉妬…?
ただ、蓮には命懸けで果たそうとしている女絡みの目的があるわけで、単純に優衣をどうこうというものではないだろう。
多分“自分が元々組んでいたパートナーを後から来た真司に横取りされる形になるのが面白くない”という意地なのだろう。
わざわざ花鶏にやってきて皿洗いやらウェイターやらこなしてみせる嫌味っぷりがそう思わせる。
ちなみに、ファーストフラッシュというのは、3月末から4月始めに収穫された茶葉、セカンドフラッシュは5月末〜6月の2週目に収穫された茶葉のこと。
要するに“蓮はそういう専門的なことも知ってるんだよ”ということなのだろうが、どうせなら客から「ファーストフラッシュって何ですか?」という質問が欲しかった。
いや、そうなると蓮がピエロになっちゃうんだけど、でも、喫茶店に来る客のほとんどって、そんな違いを知っているとは思えないし、そもそもメニューに載ってれば、最初からそういう頼み方すると思うんだけど…。
ところで、「かわず製薬」という名前、珍しく漢字で出てこなかったからひらがな表記にしたけど、カエルのことを「かわず」って呼ぶ地方があるから引っ掛けたのか、それとも単に「川」に引っ掛けたのか…どっちでしょ?
さて、今回の見所は“北岡の反撃に言い返せない令子”だろう。
北岡の言うとおり、「セクハラっていうのは、それを断ることによって労働条件に不利益を被ること」であり、取引関係や上司・部下など身分的な上下関係のない間柄には発生しない。
その辺を取り違えてる人が多く、令子も例外ではなかったのだけど、さらっとこういう反論をしてみせることで北岡が弁護士である(法律的な解釈を日常的に行える)ことに説得力を持たせている。
これは、蓮の茶葉の話と違って知識自慢の類ではない。
ちなみに、上下関係のない間柄でのセクハラ的発言については、侮辱という観点から見ることになるだろうが、北岡のセリフは「仕事の話なんかやめて男と女の時間を過ごしませんか?」であり、まず「仕事の話はしない(取材は受けない)」と取引関係を切り離すことを明言した上でナンパしている。
また、相手に女性的魅力を感じていることをアピールしているわけで、侮辱にも当たらない。
こういう物言いは、北岡というキャラを描写する上で実に面白かった。