『仮面ライダー龍騎』
第5話 骨董屋の怪人
2002/3/3 放映

(Story)
 真司は、優衣から士郎のことを聞いていた。
 士郎は、優衣に
  もし俺がいなくなったとしても何も心配するな
  俺はいつでもお前を守るためだけに生きている

と言い残し、自分の作ったカードデッキと共に姿を消したのだという。
 士郎が仮面ライダー同士で戦わせ、最後に残ったライダーに何が待っているのか分からないでいる真司と優衣だったが、優衣は
  多分、蓮はそこ(最後)に何があるのか知っているから戦えるんだろうけど
とつぶやいた。
 真司は、きっと士郎を見付け出そうと約束して花鶏を後にした。

 その夜、行方不明者のうちアンティーク趣味だった4人が出入りしていたアンティークショップ『TIN'S COLLECTION』に足を運んだ令子は、店主もまた数週間前から行方不明になっていることを知った。
 無施錠の扉から店内に忍び込んだ令子は、何者かに背後から襲われたが、苦し紛れに叩き割ったガラスの音に気付いた通行人のお陰で事なきを得た。

 翌日、OREジャーナルに令子入院の連絡が入り、真司が病室に駆け付けた。
 令子を助けた男は大森署の須藤刑事と名乗り、行方不明事件との関連はともかく、令子の件は立派な刑事事件なので捜査は任せてくれと言って病室を出ていった。
 令子は、真司にアンティークショップの店長:加賀友之について調べるよう頼む。
 真司は、久しぶりにモンスター絡みでない取材だと喜ぶが、道中モンスターの気配を察知し、カニ型のモンスター(ボルキャンサー)に襲われかけた女性を助けた。
 変身してミラーワールドに入った龍騎は、ボルキャンサーと戦うが、そこに現れた新たな仮面ライダー(シザース)が突然龍騎に襲い掛かる。
 ボルキャンサーとシザースを相手に苦戦する龍騎だったが、ナイトがピンチを救った。
 仮面ライダーと戦うことに戸惑う龍騎に、ナイトは
  仮面ライダーシザースだ
  だから戦え

と言う。
 ナイトの出現に、シザースは
  仲間がいたのか…
と撤退していった。

 現実世界に戻ってきた蓮は、アンティークショップに向かい、そこでボルキャンサーの気配を感じた。
 蓮の後を追ってきた真司も、ショップの中にボルキャンサーの気配を感じる。
 蓮は、士郎がTIN'S COLLECTIONに出入りしていたことを知っており、店長の加賀が行方不明を装って近くに潜伏していると見込んでいた。
 真司は、蓮の
  奴の正体を知っている分、俺達が有利だ
という言葉に反発し、加賀と話し合うために店内に入るが、捜査のため訪れた須藤刑事に追い出される。
 真司は、自分の名刺を置いて店を出ていった。
 蓮は、帰る真司を呼び止め
  蓮 「戦うだけが神崎士郎に近付く道だ
  真司「そんな馬鹿な
  蓮 「その馬鹿なことにしか賭けられない人間だけがライダーになる
   戦って生き残ることしか頭にない
   いいか、迂闊なことはするなよ
   死にたくなければな

と忠告する。
 だがその夜、真司は、連絡を取ってきたシザースに求められるまま優衣のこと、蓮のことを教えてしまった。
 翌朝、TIN'S COLLECTIONに向かう蓮をボルキャンサーが襲う。
 蓮は、何故ボルキャンサーが自分を狙ってきたのか疑問に思うのだった。
 そして、真司はシザースと待ち合わせた場所で貨物の落下に見舞われた。
 ミラーワールドにいるシザースの前に龍騎が現れた。
 転がっていたカーブミラーで変身してやってきたのだ。
 問答無用で襲い掛かってくるシザースに、攻撃する意志のない龍騎はガードベントで挑むが追い詰められていく。

 そのころ、TIN'S COLLECTIONを訪れた蓮は、令子が割った鏡の奥に壁のひび割れがあることに気付いた。
 そこを突き崩すと、加賀の死体が埋め込まれていた。
  シザースはこいつ(加賀)じゃなかったのか?
  じゃあ一体誰が…?
 



(傾向と対策)
 なんだか正体丸分かりの感がある須藤刑事、じゃなかったシザースだけど、これで行方不明事件が全てミラーワールド絡みではないという複雑さを呈してきた。
 一応解説しておくが、前回令子がピックアップしていたアンティーク趣味の行方不明者4名の中に加賀は含まれていない
 はっきりと描かれてはいなかったが、令子は、聞き込みの結果、4人の被害者達(多分全員)がTIN'S COLLECTIONの客だったことから、店主に話を聞こうと思って店を訪ねたのだ。
 結構複雑な絡み方をしているので、この辺を整理しておかないと今回の話は理解できないので要注意だ。
 夜に訪ねるというのは非常識ではあるが、行方不明者の関係者から取材していてで遅くなってしまったのだろう。
 だから、加賀の行方不明を知った令子は驚いているわけだ。
 加賀については、令子が把握していなかったことから行方不明という扱いではなかったのかもしれない(捜索願とか出てなかったのかも)が、加賀の死体が壁に塗り込められていたという事実によって、ほかの行方不明事件も個別の犯罪の偶然の一致もしくは加賀殺害犯の仕業という可能性が出てきてしまったわけだ。
 須藤が加賀を殺して埋めたのか、それとも別の誰かが加賀を殺したのかは分からない(多分前者なのだろう)が、警察側もOREジャーナルも、幅広い可能性の中から情報を取捨選択していかなければならなくなった。
 恐らく警察が死体のことを知れば、令子を襲った犯人は死体の発見を恐れて令子を襲ったのだと結論づけるだろう。

 もう1つのポイントは、シザースがボルキャンサーに人間を与えていることだ。
 前回真司が言っていたとおり、モンスターは契約しても人間を喰いたがる。
 シザースが人間を襲う許可を与えていたということには何か意味があるはずだ。
 例えば、ほかのモンスターと危険を冒して戦うよりも簡単に与えられる人間を与えた方がいいとか、ボルキャンサーを制御し切れていないために人間を与えておかないと反逆される恐れがあるとかだ。
 だが後者は、蓮を敢えて交通事故に見せかけて殺そうとしていたフシがあるから可能性が薄い。
 少なくとも目の前にいる人間(蓮)を喰わせずに襲わせるというある程度の支配権を必要とする命令を、しかも自分とは距離を置いて実行させているからだ。
 蓮を喰わせられない理由があるにしても、ボルキャンサーには関係なさそうな動機だろうから、ボルキャンサーを制御していると考える方が無難だ。
 となると、TIN'S COLLECTIONに出入りしていた客を狙わせたのもシザースだと考えて良さそうだ。

 ここで1つ疑問がある。
 4人の行方不明者がボルキャンサーの犠牲者だったとして、加賀の死体だけ壁に埋まっているというのはどういうことだろうか。
 ボルキャンサーがあの店に潜んでいた以上は、加賀もまたターゲットになりうるはずだ。
 というより、ボルキャンサーが「中年オヤジは不味い」とかワガママを言わないなら、誰かが止めない限り、真っ先に狙われるのは加賀のはずなのだ。
 シザースが止めていたと考えるのが自然だ。
 客の中から次々と目星をつけ、相手の家で狙える分だけ、安全な隠れ蓑になりうる。
 それを、店主を殺してしまっては、店自体が営業しなくなってしまう。
 須藤と加賀に何らかのトラブルがあったとか、加賀が先代のシザースで、自分の客をボルキャンサーに与えていて、その正体を知った須藤がライダーになるために加賀を殺してカードデッキを奪ったなどというパターンも考えられる。
 そう、シザースは、蓮を車に轢かせようとしたり(あれはどう考えてもタイミングを計っていたはずだ)、真司を貨物の下敷きにしようとしたりと、敢えて普通の死に方をさせようとしている。
 また、真司を呼び出した場所には反射物がなさそうな場所を選んでいるようだ。
 だからこそミラーワールドに龍騎が現れたとき、(どうやって変身したのか)一瞬驚いていたのだろう。
 これは、変身させずに殺そうという意志の表れとも言える。
 シザースは、極力相対して戦いたくない、言い換えれば危険を冒したくないのだろう。
 シザースがミラーワールドにいたことを考えると、貨物を吊していたワイヤーを切ったのはシザースだったのかもしれない。
 にしては、切れ方が変だったけど。
 だとすれば、シザースが反射物のない場所を選んだのは、自分が潜んでいることを感づかれたくなかったからかも。

 考えてみれば、士郎が言ったのは
  最後に存在できるライダーはただ1人
  ライダーを倒すんだ
  戦え

だけであって、「殺せ」とは一言も言っていない。
 もしかしたらライダーを殺す必要などなく、単にカードデッキを奪えばいいとかそういうことなのかもしれない。
 また、例えばナイトのデッキを持てば、ダークウイングとの契約を生かしたまま誰でもナイトになれる可能性もある。
 だとすれば、複数のデッキから一番強いモンスターと契約しているデッキを使うという方法は、実に合理的だ。
 もし須藤が加賀からデッキを奪ったのだとしたら、そういう考え方も可能だ。
 いずれにせよ、来週にはこの答えが出るだろうから、ゆっくり待つとしよう。

 今回注目すべき点として、蓮が真司に忠告しているところが挙げられる。
 あの時点では、蓮は自分のことまで喋られるとは思っていなかったようだし、単純に真司の身を案じて忠告していたと思われる。
 蓮としては、ライダーになる意味(最終的に生き残ったときに与えられる何か)を知らないまま、お人好しにも命を懸けた戦いに飛び込んだ真司をあまり死なせたくはないらしい。
 前回でそれなりに認めているからだろう。
 今回自分が痛い目に遭ったのが真司のせいだと知ったら怒るだろうな〜。
 でも、真司の性格からすると、すごく納得できる展開だし…。

 そう言えば、やはりライダーの名前は最初から決まっているようだ。
 シザースはナイトの名を知っていたし、ナイトもシザースを知っていた。
 能力はともかく、どんなモンスターと契約すればどんなライダーになるかは決まっているのかもしれない。。

 さて、今回の見所は“昼間は何ともなかったのに、夜になったらものもらいができていた令子”だろう。
 もしかして、TIN'S COLLECTIONを訪ねるのが遅くなったのは、目医者に行ってたからか?
 まl、撮影日の関係なんだろうけど、そういや、前回はTIN'S COLLECTIONに昼間っから電気が煌々とついていたっけ。
 営業してないんじゃなかった?


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