『仮面ライダーアギト』
第48話 星の支配者
2002/1/6 放映
(Story)
風のエルは、エクシードギルスを風で吹き飛ばしてビルの屋上から叩き落とすと、トドメを刺そうとせずに去っていった。
スティンガーで階段を掴んで落下を免れたギルスだったが、エルとの戦いで大きなダメージを負った。
その夜、小沢、北條は幹部らと共に今後のG3ユニットのあり方についての検討会議を行っていた。
小沢は、アンノウンが滅んだという保証もなく、またたとえ滅んでいたとしてもいつか現れるかもしれない未知なる敵に対しての備えは必要だから、G3ユニットの強化・拡大が必要だと主張するが、幹部は受け入れない。
そして、意見を求められた北條は、基本的にはG3ユニットの強化・拡大に賛成しながらも、アギトに対する防衛を視野に入れるよう求めた。
北條は、将来的に“人間でありながら人間ではない”存在であるアギトが人間にとっての“未知なる敵”になる可能性を考えているのだった。
翌朝、翔一が厨房に入ると、可奈が料理の練習をしていた。
少しでも早く一人前になりたいと言う可奈は、気安く話しかける翔一を
友達を作りにここに来ているわけじゃありませんから
と拒絶する。
また、昨日リサを取り逃がして上司から怒られてしょげている尾室の前に小沢が現れた。
尾室は、「またみんなで一緒に働けるといいけど」という小沢の言葉に感激するのだった。
そして、そのころ聖地では、相変わらず宙に浮いたままの青年が
人間よ、私の子供達よ
滅びなさい
私はもうあなた達を愛することができない
滅びなさい
滅びなさい、自らの手で
と念じ続けていた。
もう1人の自分の幻影を見た少女が突然壁に体当たりして自殺した。
その現場にやってきた河野は、たった2日間で30件以上も起きている不可解な自殺に頭を痛める。
氷川は、自殺者らが全員蠍座生まれであることに気付き、何か途方もないことが起きているのではないかという漠然とした不安を感じていた。
その日、翔一はレストランをクビになった可奈を、涼は夢を見失って自暴自棄になっているリサをそれぞれ放っておけず、夜会う約束をした。
だが、聖地に迷い込んだ人間を再び風のエルが殺した。
それを目撃した涼はギルスに変身して戦うが、昨日のダメージが抜けきらないまま破れてしまう。
エルの出現を感知して駆け付けた翔一もまた、アギトに変身するが、バーニングフォームですらエルの風に吹き飛ばされてしまった。
そのころ、可奈は自宅アパートの前で、リサは待ち合わせ場所で、それぞれ翔一と涼が来るのを心待ちにしていた…。
(傾向と対策)
うーん…今回、怒ってる人多いんだろうな〜。
ここに来て、どちらかというと翔一と可奈、涼とリサの関係の描写に力が入っちゃってるからなあ…。
警察幹部はすっかりアンノウンは滅んだと思いこんでるし。
でも、涼とリサの対比は面白かったと思う。
リサは、陸上部の有望株でありながら怪我で道を断たれ、周囲が冷たくなったことに裏切られたと感じて自暴自棄になっている、いわば涼の分身とも言うべき存在だ。
涼もそれが分かったからこそ放っておけなくなったのだ。
同じだ…俺と
だが、裏切られることも悪くない
その分、人の痛みも分かるようになる
夢なんかなくたって生きていける
いや、普通に生きていくのが俺の夢だ
花が夢を持っていると思うか?
それでも花は咲く、花は枯れる
そういう風に生きていけばいいと思う
という涼の言葉からは、既に“アンノウンを倒す”という以上の先を見据えていることが伝わってくる。
40話『共同戦線!』で、「俺はお前の命を狙ったんだぞ」と言った木野に
裏切られることには慣れてる
と平然と答えた涼ならではの言葉だ。
自分にできることをしながら、日々を過ごしていくことの意味を感じている涼なりの生き方なのだ。
リサは、涼の言葉になにがしかの重みを感じたからこそ、涼と一緒にいることで癒されると思ったのだろう。
一方の可奈は、自分の中での自問自答“どうして料理をしているのか”ということについて、“お父さんが好きだから料理をしている”と言って背中を押してくれた翔一の存在にすがろうとしている。
可奈は、自分に才能がないのではないかという不安と、父に対するわだかまりがないまぜになって、誰にも頼らずに一人前になろうと頑張ってきたのにクビになってしまった。
そのため、優しい言葉をかけてくれる翔一に頼れる大人の男を感じて頼ってしまっているのだ。
でも、もしかしたら可奈がクビになったのって、翔一という可奈より有能な新人が入ったからなんじゃあ…?
リサも可奈も、支えになってくれそうな人を見付けてすがろうとしている。
だから、涼や翔一が“アンノウンとの戦い”という普通の人に理解しにくい理由で迎えに来てくれないことでかなり紛糾するはずだ。
最終決戦とは全く違う部分での事件になりそうなので、フラストレーション溜まる人が多いはず。
鷹羽は好きだけどね、こういうの。
そういや、ギルスのツノが縮んだのも久しぶりだね。
あれから察するに、ダメージが抜けきっていないためにエクシード化もできなかったってことなのかな?
さて、警察側での対応も最終局面を迎えつつあるようだ。
出現しない(目撃情報がない)アンノウンのために無用の長物と化しつつあるG3ユニットは、北條の意見で“未知なる敵”アギトへの防衛力に生まれ変わる可能性がある。
次回予告で出てきたG3-XとG3は、多分アギトに銃を向けることになるのだろう。
人間すら敵に回しかねないアギトは、これからどうなるのか? …って、その前にアンタレスはどうすんの?
さて、今回の見所は“ブラインドを閉める尾室”だろうか。
珍しく優しい言葉をかけてくれた小沢に、思わず涙が出てしまったセンチな尾室は、なぜかブラインドを閉めてしまった。
普通、こういうことするのは、その後誰かに見られては困ることが起きるからなんだよね。
いくら小沢も凹んでるときとはいえ、尾室相手にそれはあるまい。
紛らわしいなぁ…。
PS 翔一は未だに可奈に名前で呼ばれていない&リサの名前も全く本編に出てこない…。